こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

PKSHA Technology【3993】について~株主総会雑感

こんにちは!

この記事は、PKSHA Technology【3993】に関心のある方に向けた株主としてのコメントを記したものです。

・質問が絶えなかった株主総会と事業説明会

・AIはExcelくらい誰もが使うツールへ

【目次】 

株主総会の会場となったカーデンシティ御茶ノ水

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1 PKSHAについて

⑴ 会社概要

東京大学松尾研発のスタートアップ企業1号です。

設立は2012年で主な事業内容はチャットボットと報じられています。

企業理念 

ミッションは「未来のソフトを形にする」

ビジョンは「人とソフトウエアの共進化」

ちょっと、抽象的で分かりずらいです。

セグメント

・Mobility & MaaS事業

「Smart City化に向けてリアル空間のオペレーションを知能化させていく取り組み」とあります。

要は、駐車場運営会社を顧客としたビジネスのようです。

・Cloud Intelligence事業

「デジタル空間上で行われる処理を知能化させていく取り組み」とあります。

要は、ソフトウエア(チャットボット等)の販売のようです。

⑵ 株主になったきっかけ

AI企業が脚光を浴びた数年前に、将来性に期待し株主となりました。

⑶ 経営分析

収益性

・売上高総利益率:41%

売上高営業利益率:8%

AI企業なので粗利が高いのは同業他社と同様です。

営業利益率が低いのは人材採用に力を注いだためのコスト増によるものと考えます。

ちなみに、時価総額が800憶円に対して売上高は87億円しかありません。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):643%

自己資本比率(30%以上が望ましい):81%

短期及び中・長期の安全性については問題が認められませんでした。

効率性 

・有形固定資産回転率:約6.5

売上高に比べ不動産に投じている資金は大きいようです。

特に効率的な経営ではなさそうです。

2 株主総会

⑴ 株主総会

会議の概要

第9期定時株主総会2021年12月24日(金) TKPガーデンシティ御茶ノ水

1000~1045株主総会

1100~1215事業説明会

議案の監査当委員でない取締役3名選任の件は可決されました。

質疑応答(株主総会&事業説明会)

Q.コロナ禍における出社率は(霞ヶ関キャピタルでも同様な質問あり)?

A.出社して議論することにも意義がある。

テレワークと出社のいいとこどりを目指す。

オフィスの賃料に対しては柔軟に対応している。

Q.取締役の退任に際して、ガバナンスが大丈夫か?

A.執行役員を自分ひとりにして意思決定を迅速にしつつ、残りの取締役に助言をもらう態勢とする。

Q.減収減益となった駐車場事業の見通しについては?

A.コロナ禍の影響による一時的なものとみている。

Q.社外取締役二人に質問、取締役としての大切なことは?

A.月に1回活発な意見交換をしている。

18年間取締役をしてきた実績がある。

Q.損益計算書において税引き前当期純利益が5億8千万円に対して税金が5億2千万強と高額である理由は?

A.前々期にアルゴリズム関連の特別益に対する課税。

Q.駐車場事業の規模は?

A.都内で12万車程度。

駐車場のバーにセンサーがついているのはPKSHAの製品。

Q.ミッションに対する進捗度は?

A.山登りに例えると2~3合目。

Q.自社株買いした株式は償却するのか?

A.柔軟に対処する。

Q.大企業とのビックプロジェクトは考えていないのか?

A.考えていない。少しでも多くの人にサービスを利用してほしい。

Q.GAFAと対立するのではなく協力する気は無いか???

A.この業界は3層構造になっている。

空の領域にGAFAが存在し、我々は最下層にてゲリラ戦で頑張る。

Q.株価低迷の中、M&Aを行う意義は?

A.企業価値の向上をを目指す。

Q.ソフトウエア会社における設備投資の内容は?

A.ソフトウエアのインフラとニューラルネットワークを構築するためのコンピュータなどがある。

Q.事業説明会に社外取締役が不在なのはもったいないし、姿勢を疑う!

A.・・・。

機関投資家向け説明会で利用した資料がツッコミどころ満載で、かつ、社長の話が冗長だったことから12時を過ぎても質問が終わる気配がありませんでした。

それでも、株主総会と事業説明会に参加した株主の中で、分かる方にはPKSHAがどのような企業なのかが理解できたと思います。

⑵ 株主還元    

配当

なし

株主優待

なし  

株主総会の案内板】

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3 株主としてのコメント

⑴ 株主総会の良かった点

ミネラルウオーターの配布

・事業説明会の実施

・事業説明会で12時を超えても質問が絶えなかった際の会議の巻き方が上手い

⑵ 株主総会で気になった点

・社長のテーブルに両手をついて体を斜めに傾けている姿勢が悪い

・社長は座っている際に水を飲みまっくており落ち着きがない

・社長の説明が冗長でポイントがずれている

・中期事業計画がない

⑶ 大株主について

大株主第4位にトヨタがあることに関心はありません。

社長に次ぐ第2位の山田尚史氏に注目しています。

実は、マネックスグループ株主総会で山田氏が取締役に選出される場面に立ち会いました。

印象的だったのは山田氏の自己紹介。

PKSHAの創業者であることとその知見を活かしてマネックスグループ企業価値向上に全力を尽くすことを自信たっぷりに語っていたことを覚えています。

実際、マネックスグループの株価は堅調です。

その原動力は、暗号資産取引業者のコインチェック

コインチェックが2018年1月に暗号資産流出事件を発生させた後、4月にマネックスグループが買収しています。

もし、PKSHAに不祥事が生じた際、マネックスグループに買収されるなどという、分かりやすいシナリオはとっくに織り込み済みだとは思いますが・・・。

⑷ 類似企業比較

類似企業との共通点を挙げてみました。

ニューラルポケットとの比較

・AI企業

・創業時のメンバーが経営から離れている

・チャートの形が似ている(上場後急騰し長期下落トレンド)

・社長の話が冗長でポイントが外れている

cogepan20.hatenablog.com

ビザスクとの比較

・高学歴

株主総会に社長のファンと思われる株主が参集

cogepan20.hatenablog.com

ALBERTとの比較

・AI企業

・大株主に大手企業

・社長が夢を語る

ALBERTの場合はカラリスト戦略で非連続的な成長

PKSHAの場合は、成長戦略1.0(研究開発型)から2.0(M&A型)

ただし、ALBERTとの相違点もあります。

日経新聞(2022年1月1日)によると今年の有望銘柄としてALBERTは紹介されていますが、PKSHAは入っていません。

また、SBIの株主通信には、M&Aした会社の中にALBERTが掲載されています(持分法適用会社として)が、PKSHAはどこにも属していません。

cogepan20.hatenablog.com

ライザップとの比較

M&A好き

M&Aで何をしたいのかが分からない

・口は禍の元

「ライザップの社長は2年連続の赤字なら来年私はここにいない!」と啖呵を切ったが、翌年『すみません』と謝りながら、2期連続赤字で続投。

PKSHAの社長も、大企業との大きな取引について指摘された際、「一切、考えていない。なぜなら、自社の製品をひとりでも多くの人に使ってもらいたいから」と謎ロジックで説明して、投資家を失望させた。

cogepan20.hatenablog.com

⑸ 機関投資家からみたPKSHA

株主の中でお二人ほど「証券会社からのリコメンドで購入した」とおっしゃった方がいました。

組織として市場に参加している者(機関投資家(主に売り手))にとってPKSHAはとても好ましい存在ではないかと思います。

理由は、

・流行のAI企業ということでフィールドが良く、短期で高バリュエーションでも不自然ではない。

・今回の株主総会及び事業説明会でも事業のことが良く理解されないため、揺さぶることで握力の無い投資家が投げやすい。

・社長が株主総会に引き続き、事業説明会までして熱弁をふるい、一応「説明責任」を果たしているので批判をかわしやすい。

の3点です。

ただし、これはPKSHAのみならず、AI企業全般に言える傾向と考えています。

⑹ 東京大学松尾研究室第1号

年末の日本経済新聞に松尾研発の主なスタートアップという記事が載っていました。

PKSHAは松尾研発スタートアップの第1号とし”チャットボット”を主な事業内容として2012年に設立されました。

松尾研は

2016 DeepX 重機の自動運転

2017 ACES 商談の分析

2018 ELYZA 文章要約

2021 燈 建物の3次元化

     パンハウス 動画の解析

     StatHack 製造業の検品

など、スタートアップを量産しています。

そして、今年はさらに10社のスタートアップを予定しているとのこと。

東京大学はもっと他になすべきことがあるのでは?

2022年はマザーズ市場崩壊で始まりました。

松尾研が予定通りスタートアップを継続し、PKSHAのような上場会社に注力するのか注視します。

⑺ AI神話の崩壊

AIについては素人ほど「凄い、怖い」とおもい、良く知っている人ほど「それほどでもない」と考える傾向があるようです。

そして、AI企業は多かれ少なかれこの素人の「凄い、怖い」という感情を利用している気がします。

そう考える根拠は、AI企業が最近AISaaSという言葉を多用して事業内容がそれほど変わっていないのに企業のイメージが大きく変わったようなプレゼンが多くみられるからです。

そもそも、AIはそんなにすごいことなのでしょうか?

もちろんそのような要素もあります。

でも、そうでない要素も沢山あると考えます。

例えば、Amazonでもベストセラーになり、書店でも見かける

『文系AI人材になる』

という本の中では、

「AIはExcelくらい誰もが使うツールへ」

とあり、AIがExcelと同様に職場でふつうに使われている事例が数多く紹介されています。

もちろん、業務の効率化のためにExcelよりAIの方がいろいろな可能性が広がることは想像できます。

でも、AIがよりいっそう活きるのはビックデータの活用があるからであり、そのようなビックデータは一部の巨大企業に集中しているのが現状です。

駐車場管理会社相手のビジネスにおいてAI技術を駆使して非連続的な成長を遂げるような革新的な技術が生じるとは思えません(そこそこ便利にはなると思いますが)。

株主総会でいただいたミネラルウオーター さりげなく自社ロゴ入り!】

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4 まとめ

株主としてPKSHAについて述べてきました。

企業のライフサイクルには、導入期、成長期、成熟期、衰退期があると言われています。

成熟期であっても、例えば2四半期期(2022年3月期)の三菱UFJファイナンシャル・グループのように、上半期過去最高益、上方修正、増配のような著しい成長を続ける企業もあります。

反対に、導入期であっても成長に至らない企業もあり得ます。

市場と上手に付き合い続けるには、思い込みを排し、自分で調べ、考え、行動することが大切であると考えます。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

 

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