初投稿:2023.11.4
こんにちは!
この記事は、ブレインテクノロジー【4075】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
・株主のアツい想い
・オペレーショナルレベルでの社員のやり切る力は?
【目次】
【株主総会の会場】
1 ブレインテクノロジーについて
⑴ 会社概要
異常検知「Impulse」と企業内検索エンジン「Neuron Enterprise Serch」の2つのAI実装ソフト事業が中心の企業です。
売上高10億円、総資産18億円、時価総額の39億円事業規模。
会社の付加価値(のれん、ブランド力)を意味するPBRは2.66倍と、比較的高い評価です。
企業理念
⚫️ミッション
「企業活動の継続性と生産性の劇的な向上に貢献すること」
セグメント
「エンタープライズAIソフトウエア事業」の単一セグメント
少しわかりにくい”業界”のように感じました。
⑵ 株主になったきっかけ
7月の決算企業を検索していて業績が好調と考えて”打診買”により株主となりました。
よって、株価は乱高下の影響はあまり大きくはありません。
⑶ 経営分析
収益性
・売上高総利益率:65%
・売上高営業利益率(10%以上は優良株):15%
収益性は高いです。
特に営業利益率は10%を超えている点は評価できます。
ただし、業績そのものは増収減益。
社長の説明によると、トップライン(売上高)が計画未達のため販管費を引いた利益が前期に比べて落ち込んだとのことでした。
安全性
・流動比率(100%以上が望ましい):486%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):86%
財務については短期的にも中・長期的にも問題ありません。
堅実な経営がなされていると思います。
現状は事業規模を考えると財務を重視するのは理解できます。
ただし、数年後に企業規模が大きくなった時には資産効率の観点から見直しが必要になると思います。
そうでない場合はキャッシュリッチゆえM&Aの対象とされかねないと推測します。
効率性
・有形固定資産回転率:107.14
IT企業らしく、有形固定資産についても効率的な経営がなされていると考えます。
なお、有形固定資産の勘定科目は「工具、器具及び備品」となっており、オフィス等はレンタルなのではないかと推察します。
また、有形固定資産の金額が983万円に対し、無形固定資産の金額が3億円を超えていることからも、投資先についてのメリハリが効いていると感じました。
【株主総会の案内板】
2 株主総会等
⑴ 株主総会
第15回定時株主総会2023年10月27日(金)AP品川アネックス
数十名程度の株主が集っていました。
席には役員の名簿と裏に注意事項が記載されたペーパーが配られていました。
主な質疑応答
Q.株価下落について
A.トップラインが計画に届かなかったことが原因と考える。
数字を伸ばすことが株価向上につながると考える。
Q.配当政策について
A.数年間は成長投資を重視するため配当することは考えていない。
当面は営業力を強化(採用のみならず外部のリソースを活用)しトップラインを伸ばすことに尽力する。
Q.販管費の内訳について
A.開示ルールにおいて非開示で問題ないためそのようにしている。
細部は有価証券報告書を参考にしてほしい。
Q.有価証券報告書の内容は今ここでできないのか?
A.公平性を期すため、3時に開示となっている。
Q.従業員への報酬は大丈夫なのか?
A.平均で667万円(昨年)である。
離職率も低い。
Q.研究開発費の推移について
21年度まではメジャーバージョンアップが中心で大きかった。
現在はメンテナンス中心の金額となっている。
Q.EPSが低下した理由は?
A.販管費が増加したというよりは、売上高が11億の計画に対して10億円となってしまった計画未達の影響と考える。
決議事項
・取締役5名選任の件
拍手を持って承認・可決されました。
⑵ 事業説明会
株主総会に引き続き、事業説明会が開催されました。
株主からも建設的な意見が出されていたと感じました。
主なポイント
・人工知能の会社として未来工場(研究開発)を通じて製品を提供してきた沿革
・”ニューロ”と”インパルス”が収益の2本柱
・社員の72%はエンジニアでそのうち62%が修士号・博士号保持者、20%が外国人
・特定企業に依存しない
・クロスセル(顧客に関連商品を追加購入を推奨する営業手法)、アップセル(顧客に上位商品の購入を推奨する営業手法)、新規顧客、既存顧客の順に強化
・成長戦略:機能強化、アライアンス、次の成長ドライバー(センサ、カメラ、ビデオ)
主な質疑応答
Q.上場ゴールにならないように
A.今後、株価が上がらないなら公募価格以上でのMBOして欲しいとの要望だが、期待に添えるよう尽力する。
Q.目標未達について
A.中長期の計画を初めて立てたが、計画の達成度について適時開示するとともに半年に一度はレビューしていく。
Q.社長が株を売却しているとのネット書き込みについて
A.自分自身は売却せず保持し続けている。
Q.M&A(特に営業部門)について
A.可能性は探っている。
また、オーガニックな成長を続けてきた結果、システムインテグレートな人材が育ち足回りが強くなってきた。
Q.インパルスの製造業以外での展開について
A.そもそもがソフト会社向けだったが、製造業からの需要に応じて現在に至っったって。
Q.(モノ対象の)精度99%以上のサービスよりも精度95%(ヒト対象)のサービスの提供について
A.そのようなニーズについても検討していく。
Q.説明にあったAIシステム市場(1兆円)における当社の位置付けについて
A.当社が目指すのはより正確には外観検査市場と認識。
それに近い業界として異常検知市場というものもできつつある。
当該分野でのシェア拡大を目指す。
Q.成長未達の原因について
A.営業が4名(製品担当は1名)であり営業力強化が急務。
また、遠因として製造業は異常が見つかりにくくその効果が現れるまで1年単位を要する。
さらに、ニューロの検索を実現するための時間も長期化の傾向。
回転率を上げる努力を続ける。
Q.海外展開について
A.日系企業を中心にタイや欧米でのビジネスを検討しているがそれぞれ課題を抱えている。
ただし、米国での人件費の高騰を受けて効率化の余地という点でビジネスチャンスがあると認識。
⑶ 株主還元
配当
なし
株主優待
なし
3 株主としてのコメント
⑴ 気に入っていること
2時間以上の長時間に及びましたが、株主総会&会社説明会は良い勉強になりました。
株主総会では、株主が社長に手厳しい意見をぶつけるのみならず、株主同士が意見をぶつけ合う展開もありました。
けれども、最後には経営陣からも笑いがあり結果オーライだったようにも感じています。
特に、会社説明会では沢山の改善提案がなされました(業界用語をあまり理解できず、一部しか記述できなくてすみません)。
時流に乗っていて、新しい成長企業で、課題が明確で、良い意味で株主からの関心が高い会社として、今後に期待できると感じました。
⑵ 気になったこと
開始早々は、社長のマックブックに貼られた沢山のシールに
「なんなんだ!?」
と意識を持って行かれてしまいました。
他の総会では見られない、強烈なインパクトに動揺してしまいました。
あと、株主から従業員の待遇を気に掛ける質問がありました。
これに対して、平均年収は600万円越えで前期に離職した従業員は無い旨の回答がなされました。
気になったのは従業員の仕事ぶり。
「平均年収が600万円を超えていて誰も辞めないのは、居心地が良くてコンフォートゾーンにどっぷりはまっているからではないか?」
とも感じました。
人が成長するためにはコンフォートゾーンを抜けてラーニングゾーンへ足を踏み出すことが不可欠。
業績低迷は、従業員に対する良いきっかけになり得ます。
果たして、社長が業績低迷で株主から厳しい叱責に晒されている現実が従業員にどこまで共有されているのか?
とても気になりました。
業績低迷は社長のみならず社員にも責任があるのは当然。
オペレーションレベル(特に営業)での”やり切る力”の今後の向上に期待します。
余談ですが、離職率についてはゼロが必ずしも良いとは考えていません。
適切な人事評価、組織の活性化、従業員のキャリアアップなどを考えると退職する人が一定数いた方が”健全”と考えるからです。
会社の規模にもよりますが、一桁台の離職率を妥当とする経営者が多かったように思います。
当社の離職率や、社長が離職率を経営指標の一つとして考えているかに注目していきたいと思っています。
【総会会場にて】
4 まとめ
正直、馴染みの薄い会社でしたが、株主のアツい思いや、会社説明会による成長ストーリーなどを知ることができてよかったです。
まだまだ小さい会社ですが、将来性も感じました。
ただし、飛躍的な成長のためには高学歴な社員や外国人従業員の奮起が不可欠だとも思いました。
そのためにも社長のリーダーシップが大切だと思います。
色々な意味で今後が楽しみな会社なので引き続き注目していきたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
なお、経営分析においては下記の書籍を参考にしています。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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