初投稿:2023.3.3、更新日:2024.3.7
こんにちは!
この記事は、トーセイ【8923】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
なお、2024年2月の株主総会の内容を追記し、記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。
・元気な株価と元気な社長
・株主優待はサムティを超えていけ!
【目次】
1 トーセイについて
⑴ 会社概要
不動産会社(非住宅)です。
比較会社としていちご【2337】(株式保有中)が挙げられています。
売上高794億円、総資産2453億円、時価総額984億円の事業規模。
PBRは1.19倍となり前期の1倍割れを解消しています。
株価は上昇基調にあります。
企業理念
●大方針
あらゆる不動産シーンにおいて、グループの無限大の成長可能性を追求し、総合不動産会社としての新たなステージを目指す。
●中期経営計画における定量計画
・成長性:最終年度連結売上高:850億円
・資本効率:最終年度ROE:12%以上
・安定性:安定事業比率(営業利益ベース):42%以上
・財務健全性:自己資本比率:35%以上
ネットD/Eレシオ:1.3倍程度
・株主還元:3年間で25%〜30%へ段階的に引き上げ
資本効率を意識した自社株買いの実施
セグメント
セグメントは下記の通りで、( )内の数値は営業利益構成比
・不動産再生事業(45.5%)
・不動産開発事業(5.3%)
・不動産ファンド・コンサルティング事業(23.4%)
・不動産管理j業(4.2%)
・不動産賃貸事業(16.6%)
・ホテル事業(5.1%)
⑵ 株主になったきっかけ
11月決算企業を探していて見つけました。
不動産会社でありかつ業績が安定してい他ので2022年の秋に株主となりました。
⑶ 2024年11月期の経営分析
収益性
・売上高総利益率:38%
・売上高営業利益率(10%以上は優良株):20%
高収益性の経営がなされています。
しかも、前期よりも向上している点は高評価です。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):669%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):34%
前期とほぼ同じ水準。
安全性については、長期的に多少懸念があるものの概ね良好と考えます。
効率性
・有形固定資産回転率:2.41
前期よりも数値は低下しています。
おそらく、「土地」と「建物」の投資を売上高以上に(前期比で約1.5倍)増やした結果と推察します。
将来への布石と期待します。
⑷ 2023年11月期の経営分析
収益性
・売上高総利益率:36%
・売上高営業利益率(10%以上は優良株):19%
高収益性の経営がなされています。
不動産会社の中でも収益性の上位に位置するのではないかと考えます。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):611%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):34%
会社の目標としている35%には満たないものの、懸念する水準ではなさそうです。
特に、短期的な安全性については余裕がありすぎるレベル。
また、安定事業比率42%の数値目標のように、賃貸料金(フィー)の比率も意識した経営を実施していることも評価できます。
効率性
・有形固定資産回転率:3.09
不動産会社らしく、有形固定資産回転率は少なめ。
「土地」と「建物」に投資をしており、それらが今後どのように収益に貢献するかに注目しています。
【株主総会の案内板】
2 株主総会等
⑴ 2024年2月の株主総会
第74回定時株主総会 2024年2月27日(火) 時事通信ホール
ハイブリッド総会でしたが、会場に足を運びました。
入り口でペットボトルが置いてあり、ジュース、コーヒー、水の中から水をいただきました。
昨年同様、多くの株主が集っていました。
主な質疑応答
【事前】
Q.株主優待(ホテルの三千円割引券)の利用状況等について
A.利用実績は41%。
より良き株主優待を検討していく。
【会場】
Q.J-REITは右肩下がりで大手ゼネコンの清水建設も赤字ということで、今後の展望は?
A.日本株の上昇率が28%、不動産セクタの上昇率は20%に対して、当社は46%上昇した。
J-REITについては借入金が50%であることからゼロ金利解除、そして金利上昇に伴う収益ダウンが懸念されているのではないか?
また、欧米が逆イールドカーブであるのに対して日本はイールドカーブであることから不動産投資に対する姿勢はポジティブと考える。
なお、建築費高騰の影響は現在のところ限定的。
Q.LIXILグループの不動産投資部門の買収について
A.シナジー効果が見込めたためM&Aを実施した。
再生後に売却する予定。
Q.シンガポールの運用会社GIC(ソブリンウエルスファンド)について
A.当社は2013年に東証とシンガポールに上場しており、政府系ファンドとの深いつながりがある。
Q.デジタル証券とは?
A.ST(セキュリティ・トークン)というもので、すでにシンガポールのADDXという市場で発行済み。
日本でも将来、大阪(ODX)にて発行を目指す。
Q.女性の取締役や社員の処遇について
A.今回、女性取締役の候補がいる。
賃上げとして今回は7%、3年間で20%実施しており、これはベスト3に入っている。
有給休暇の利用率は66%、育児休暇の取得率は42%。
なお、社員の3割が女性であり、管理職は6%であるが10%を目標に取り組んでいる。
Q.(毎年参加している株主から)社長は口がうまい!テレビCMはどうなった?
A.CMは1億円の予算で1年間放映中である。
Q.昔のように会場に足をはこぶお土産(以前は時計があった)を配っては?
A.検討する。
Q.配当については配当性向を採用しているが、DOEについての考え方は?
A.長期的な株主に報いるためのDOEが広まっていることは承知しているが、当社は高い利益成長を目指して業績達成を通じて株主に報いることを目指していきたい。
決議事項
・剰余金処分の件
・定款一部変更の件
・取締役9名選任の件
・当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防止策)更新の件
・社外取締役を除く取締役に対する株式報酬の付与のための報酬決定の件
・社外取締役に対する株式報酬付与のための報酬決定の件
拍手を持って、承認・可決されました。
事業説明会
主なポイントは下記の通り。
・まだまだ進化していく!
・DXについては攻め(STをシンガポールで上場)と守り(効率化)
・不動産再生事業は成長ビジネス
・不動産管理事業と不動産賃貸事業は安定ビジネス
・配当性向は30%から35%へ
・ホテル事業は8棟プラスアルファで頑張る
・従業員の離職率は7%で低いと認識
株主総会雑感
スターマイカの株主総会では社長も株価も元気がなかったですが、当社は反対に社長も株価も元気でした。
そのパワーをいただいたためか、総会の帰りに気持ちが大きくなって築地のお寿司やさんでランチをいただいた程です。
ただし、事前の質問にもあったように株主優待には不満を持っています。
株主優待を利用してホテルの正規料金よりも3000円割り引いてもらうより、ホテル予約サイトを利用した方が安く泊まれるからです。
にも関わらず、4割の株主がこれを利用したとのこと。
びっくりしました。
これはネットを利用してホテルを予約することに慣れていない株主が4割もいるということ。
ある意味、”情報弱者”に支えられている現状があると考えます。
スターマイカに対しては有利な点が多い当社ですが、サムティと比較すると”まだまだ”と思います。
というのは、サムティの株主優待はホテルの宿泊券は割引ではなく、【無料】であり、かつ、議決権を行使した株主全員に【QUOカード】が配布されるからです。
株主優待の拡充について毎年、
”検討します”
を繰り返すだけでなく、そろそろ”本気”を出していただくことを期待しています。
【2024年2月の株主総会の案内板】
⑵ 2023年2月の株主総会
第73回定時株主総会 2023年2月24日(金) 時事通信ホール
ハイブリッド総会でしたが、会場に足を運びました。
広い会場に100名近くの株主が参集していたと思います。
社長の挨拶に続き、監査報告、事業報告を紹介するビデオ放映がなされました。
主な質疑応答
【事前】
Q.株主優待の拡充について
A.前向きに検討する。
【会場】
Q.サイバーセキュリティについて
A.DXチームを中心にサイバーアタック対策は講じている。
Q.ホテル事業の課題に記載のE分野、S分野について
A.E分野とは環境分野であり、二酸化炭素50%削減を考慮したホテルの実現を、
S分野とは社会分野であり、地元との交流が可能なオープンスペースが広いホテルを目指している。
Q.トーセイのホテルの魅力について
A.ココネ(心の音)は癒しを最大の魅力としている。
くつろぎ、癒されるお風呂、女性に喜んでいただけるプランなどを展開しつつ、新たに築地に205室という当社最大級のホテルの開業を9月に予定している。
期待して欲しい。
Q.太陽光パネルに伴う人権問題について
A.当社が扱う太陽光パネルに中国産は無い。
Q.バーチャル総会について
A.ご指摘のとおり、ネット環境のない株主の阻害や一方的な対応などの懸念は承知している。
バーチャルオンリーの株主総会については2020年のコロナ禍(デルタ株)のような特異な状況を想定している。
バーチャルオンリーが可能となったとしても必ずしもそれをしなければならないことではない。
Q.(社長さんへの労いの言葉に続いて)テレビCMについて
A.「不動産の才能を開化(開花)させる」テレビCMを1億円の経費をかけて実施している。
決議事項
下記の議案について、一括ではなく、一つ一つ個別に審議し、株主からの拍手を持って採決されていきました。
73回目となる伝統のある会社には時々見られる方式です(他社ではラックランド)。
・剰余金処分の件
・定款一部変更の件
・監査役1名専任の件
⑶ 事業戦略説明会
株主総会終了後、休憩を挟んで事業戦略説明会が実施されました。
社長からの数値を駆使した分かりやすい説明だったと思います。
主なポイント
・オフィス、賃貸、分譲、ホテル、ファンド等の”天気予報”
・中期経営計画「Infinite Potential 2023」の変更点(売上高の下方修正等)
・増配について51円→60円
・675億円のパイプラインの紹介
・AUM(Assets Under Management略で運用資産残高)が、1.7兆円から2.3兆円へ増加し、その中には大手町プレイスのような物件が含まれる
・当社最大のホテルであるココネ築地の開業
質疑応答
Q.株価について
A.日経平均が9%下落、不動産関連株が1.7%上昇の中で、当社株は35%上昇しているが株価が正当に評価されているとは考えていない。
おそらく、コングロマリットディスカウント(多くの産業を抱える複合企業(コングロマリット)の企業価値が各事業の企業価値の合計よりも小さい状態のこと)になっていると考える。
これに対しては適時適切な情報開示を心がけることで対応していきたい。
Q.自社株買いについて
A.自社株買いは短期株主のためというだけでなく、株価に対する経営者のメッセージを反映させる観点からは長期株主のためにもなると認識している。
利益のバランスとしては成長投資に60%株主還元に40%をガイドラインとしている。
最後は拍手を持って散会となりました。
良き株主に恵まれていると感じました。
⑷ 株主還元
配当
一株配当の実績は下記のとおりです。
最近の増配基調はありがたく感じています。
・2023年11月期:66円
・2022年11月期:51円
・2021年11月期:38円
・2020年11月期:19円
・2019年11月期:42円
・2018年11月期:30円
コロナ禍以前の増配基調をコロナ禍後に取り戻したような状況です。
株主還元に期待します。
株主優待
100株以上の株主の保有期間に応じて宿泊割引券やQUOカードがもらえます。
【使いにくい宿泊割引券と長期株主へのQUOカード】
自社株買い
適時実施している。
【時事通信ビル1階のディスプレイ】
3 株主としてのコメント
⑴ 気に入っていること
社長に労いの声をかけた株主の方からの発言に代表されるように、社長の頑張りによる会社だと感じました。
伝統もあり、社長の数値を踏まえた経営には会社の将来性について”確かな手応え”を感じることができました。
⑵ 気になっていること
社長の年齢は63歳。
後継者や経営交代についてもちょっと気になりました。
そういえば、SBIの北尾社長が72歳でちょうど歳の差が10年。
しかも、コングロマリットディスカウント問題も共通しています。
北尾社長は
「自分の代わりになる後継者は出てこないかもしれない。」
と発言してました。
トーセイとは長く付き合いきたく、そのあたりが気になっています。
ただし、コングロマリットディスカウントという概念は、機関投資家が売り仕掛けする際に便利で都合の良い理由として酷使されているようにも感じています。
いずれにしても、これを機に情報を鵜呑みにせず、価格と価値についてよく考えて投資を継続していきたいと思います。
【時事通信ビル内の様子】
4 まとめ
トーセイについて述べてきました。
日常生活では馴染みがありませんでしたが、株主総会に参加して社長の現実的かつ数値の裏付けのある経営を知ることができて良かったです。
また、リスク管理のための事業ポートフォリオの拡充とコングロマリットディスカウントの問題についても考える機会を得ることができました。
そのあたりにも注目しつつ、株主を続けたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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