初投稿:2023.3.3
こんにちは!
この記事は、トーセイ【8923】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
・数値を前面に出した経営
・コングロマリットディスカウント問題
【目次】
1 トーセイについて
⑴ 会社概要
不動産会社(非住宅)です。
比較会社としていちご【2337】(株式保有中)が挙げられています。
売上高709億円、総資産2109億円、時価総額729億円の事業規模。
PBRは0.98倍と厳しい評価。
けれども株価は上昇基調にあります。
企業理念
●大方針
あらゆる不動産シーンにおいて、グループの無限大の成長可能性を追求し、総合不動産会社としての新たなステージを目指す。
●中期経営計画における定量計画
・成長性:最終年度連結売上高:850億円
・資本効率:最終年度ROE:12%以上
・安定性:安定事業比率(営業利益ベース):42%以上
・財務健全性:自己資本比率:35%以上
ネットD/Eレシオ:1.3倍程度
・株主還元:3年間で25%〜30%へ段階的に引き上げ
資本効率を意識した自社株買いの実施
セグメント
セグメントは下記の通りで、( )内の数値は営業利益構成比
・不動産再生事業(38.4%)
・不動産開発事業(18.6%)
・不動産ファンド・コンサルティング事業(20.3%)
・不動産管理j業(5.5%)
・不動産賃貸事業(19.2%)
・ホテル事業(−2%)
⑵ 株主になったきっかけ
11月決算企業を探していて見つけました。
不動産会社でありかつ業績が安定してい他ので2022年の秋に株主となりました。
⑶ 経営分析
収益性
・売上高総利益率:36%
・売上高営業利益率(10%以上は優良株):19%
高収益性の経営がなされています。
不動産会社の中でも収益性の上位に位置するのではないかと考えます。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):611%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):34%
会社の目標としている35%には満たないものの、懸念する水準ではなさそうです。
特に、短期的な安全性については余裕がありすぎるレベル。
また、安定事業比率42%の数値目標のように、賃貸料金(フィー)の比率も意識した経営を実施していることも評価できます。
効率性
・有形固定資産回転率:3.09
不動産会社らしく、有形固定資産回転率は少なめ。
「土地」と「建物」に投資をしており、それらが今後どのように収益に貢献するかに注目しています。
【株主総会の案内板】
2 株主総会等
⑴ 株主総会
第73回定時株主総会 2023年2月24日(金) 時事通信ホール
ハイブリッド総会でしたが、会場に足を運びました。
広い会場に100名近くの株主が参集していたと思います。
社長の挨拶に続き、監査報告、事業報告を紹介するビデオ放映がなされました。
主な質疑応答
【事前】
Q.株主優待の拡充について
A.前向きに検討する。
【会場】
Q.サイバーセキュリティについて
A.DXチームを中心にサイバーアタック対策は講じている。
Q.ホテル事業の課題に記載のE分野、S分野について
A.E分野とは環境分野であり、二酸化炭素50%削減を考慮したホテルの実現を、
S分野とは社会分野であり、地元との交流が可能なオープンスペースが広いホテルを目指している。
Q.トーセイのホテルの魅力について
A.ココネ(心の音)は癒しを最大の魅力としている。
くつろぎ、癒されるお風呂、女性に喜んでいただけるプランなどを展開しつつ、新たに築地に205室という当社最大級のホテルの開業を9月に予定している。
期待して欲しい。
Q.太陽光パネルに伴う人権問題について
A.当社が扱う太陽光パネルに中国産は無い。
Q.バーチャル総会について
A.ご指摘のとおり、ネット環境のない株主の阻害や一方的な対応などの懸念は承知している。
バーチャルオンリーの株主総会については2020年のコロナ禍(デルタ株)のような特異な状況を想定している。
バーチャルオンリーが可能となったとしても必ずしもそれをしなければならないことではない。
Q.(社長さんへの労いの言葉に続いて)テレビCMについて
A.「不動産の才能を開化(開花)させる」テレビCMを1億円の経費をかけて実施している。
決議事項
下記の議案について、一括ではなく、一つ一つ個別に審議し、株主からの拍手を持って採決されていきました。
73回目となる伝統のある会社には時々見られる方式です(他社ではラックランド)。
・剰余金処分の件
・定款一部変更の件
・監査役1名専任の件
⑵ 事業戦略説明会
株主総会終了後、休憩を挟んで事業戦略説明会が実施されました。
社長からの数値を駆使した分かりやすい説明だったと思います。
主なポイント
・オフィス、賃貸、分譲、ホテル、ファンド等の”天気予報”
・中期経営計画「Infinite Potential 2023」の変更点(売上高の下方修正等)
・増配について51円→60円
・675億円のパイプラインの紹介
・AUM(Assets Under Management略で運用資産残高)が、1.7兆円から2.3兆円へ増加し、その中には大手町プレイスのような物件が含まれる
・当社最大のホテルであるココネ築地の開業
質疑応答
Q.株価について
A.日経平均が9%下落、不動産関連株が1.7%上昇の中で、当社株は35%上昇しているが株価が正当に評価されているとは考えていない。
おそらく、コングロマリットディスカウント(多くの産業を抱える複合企業(コングロマリット)の企業価値が各事業の企業価値の合計よりも小さい状態のこと)になっていると考える。
これに対しては適時適切な情報開示を心がけることで対応していきたい。
Q.自社株買いについて
A.自社株買いは短期株主のためというだけでなく、株価に対する経営者のメッセージを反映させる観点からは長期株主のためにもなると認識している。
利益のバランスとしては成長投資に60%株主還元に40%をガイドラインとしている。
最後は拍手を持って散会となりました。
良き株主に恵まれていると感じました。
⑶ 株主還元
配当
一株配当の実績は下記のとおりです。
・2022年11月期:51円
・2021年11月期:38円
・2020年11月期:19円
・2019年11月期:42円
・2018年11月期:30円
コロナ禍以前の増配基調をコロナ禍後に取り戻したような状況です。
株主還元に期待します。
株主優待
100株以上の株主の保有機関に応じて宿泊割引券やQUOカードがもらえます。
自社株買い
適時実施している。
【時事通信ビル1階のディスプレイ】
3 株主としてのコメント
⑴ 気に入っていること
社長に労いの声をかけた株主の方からの発言に代表されるように、社長の頑張りによる会社だと感じました。
伝統もあり、社長の数値を踏まえた経営には会社の将来性について”確かな手応え”を感じることができました。
⑵ 気になっていること
社長の年齢は62歳。
後継者や経営交代についてもちょっと気になりました。
そういえば、SBIの北尾社長が72歳でちょうど歳の差が10年。
しかも、コングロマリットディスカウント問題も共通しています。
北尾社長は
「自分の代わりになる後継者は出てこないかもしれない。」
と発言してました。
トーセイとは長く付き合いきたく、そのあたりが気になっています。
ただし、コングロマリットディスカウントという概念は、機関投資家が売り仕掛けする際に便利で都合の良い理由として酷使されているようにも感じています。
いずれにしても、これを機に情報を鵜呑みにせず、価格と価値についてよく考えて投資を継続していきたいと思います。
【時事通信ビル内の様子】
4 まとめ
トーセイについて述べてきました。
日常生活では馴染みがありませんでしたが、株主総会に参加して社長の現実的かつ数値の裏付けのある経営を知ることができて良かったです。
また、リスク管理のための事業ポートフォリオの拡充とコングロマリットディスカウントの問題についても考える機会を得ることができました。
そのあたりにも注目しつつ、株主を続けたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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