初投稿:2024.6.21
こんにちは!
この記事は、イオンモール【8905】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
・親会社イオンとの関係
・株価低迷について
【目次】
【イオン東雲店】
1 イオンモールについて
⑴ 会社概要
イオンのショッピングセンターや商業施設を開発・運営する会社です。
売上高4321億円、総資産1.65兆円、時価総額4401億円の事業規模。
会社の付加価値(のれん、ブランド力)を意味するPBRは0.95倍と苦戦しています。
企業理念 等
下記の通り、さまざまな理念が掲げられています。
親会社の影響を強く受けていることが明らかです。
⚫️基本理念
お客さま第一
⚫️経営理念
イオンモールは、地域とともに「暮らしの未来」をつくる
Life Design Developerです。
⚫️経営ビジョン
アジア50億人の心を動かす企業へ
⚫️イオングループ未来ビジョン
一人ひとりの笑顔が咲く未来のくらしを蘇澳増する
⚫️2030年ビジョン
地域競争業へ。
セグメント
下記の3つとなっています。
米中対立の状況下でバブルが崩壊した中国が気になります。
⚫️日本
⚫️中国
⚫️アセアン
⑵ 株主になったきっかけ
親しみのある2月決算企業ということで株主となりました。
⑶ 経営分析
収益性
・売上高総利益率:19%
・売上高営業利益率(10%以上は優良株):11%
業績は、増収・増益。
収益性についても比較的収益性は高いと考えます。
安全性
・流動比率(100%以上が望ましい):73%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):29%
安全性については、短期的にも中・長期的にも懸念される水準です。
本来ならば財務強化が優先されても良さそうですが、親会社のイオンの意向なのか”高配当”が財務基盤強化よりも優先されている状況と推察します。
効率性
・有形固定資産回転率:0.33
不動産を扱っているためか、効率性については低い状況です。
なお、有形固定資産の内訳は金額順に、「建物及び構築物」、「土地」、「使用権」、「建設仮勘定」となっており、今後も高額のまま推移すると予想します。
【イオンモール岡山】
2 株主総会等
⑴ 株主総会
第113期定時株主総会 2024年5月23日(木) イオンタワー別棟
ライブ配信を視聴しました。
報告事項のポイントは
・真の統合型ESG経営を実施
・地域共創業
・マリモ(住宅・収益不動産開発)と資本業務提携
・増収・増益(過去最高)
・配当は一株50円
などです。
主な質疑応答
【事前】
Q.取締役の若返りについて
A.優先課題の解決を踏まえつつ若返りを実現している。
Q.女性取締役の兼務の多さについて
A.性別に関係なく高い見識をも人物を選んでいる。
兼務については業務に差しつかえのないことを確認し、会議に100%出席している。
Q.株価低迷の原因について
A.特に、国内の業績回復の遅れ(計画の未達)によるものと認識。
Q.株主還元について
A.連結配当性向30%を基本としている。
今期も来期も一株あたり50円を予定。
成長ドライブである海外への投資を考慮しつつ配当を実施していくが、収益力の回復次第では更なる還元も考えたい。
また、情報開示によりNISAを通じた株主の増加を目指す。
優待制度に変更の予定は今のところない。
Q.利益率の低下について
A.営業費用の増加に伴い利益が出ていないことによる。
Q.メガソーラ等の再生可能エネルギーによる環境破壊について
A.当社は小規模な発電でありかつソーラパネルは建物の屋上等に設置するものであり、環境負荷は比較的小さいと認識。
【会場】
Q.女性の社内取締役について
A.女性は社外取締役だけで良いとは考えていない。
ジョブローテーションを踏まえ執行役員制度により2名の女性が誕生している。
Q.レジ袋の有料化についてはやりすぎでは?
A.ご指摘のように悩ましい部分があり、プラスティック削減への貢献は大きくはないが、環境問題について考えるきっかけにはなっていると認識。
出店者、顧客の負荷にならないようさまざまな意見を頂きながら進めていきたい。
Q.沖縄のライカムの眺望がダイワハウスのマンションによって損なわれるのでは?
A.ダイワハウスについては一体街開発として当初かから建設される予定だった。
なお、ライカムは周辺で一番高い場所にあるので眺望への影響は少ないのではないか。
Q.7人中4人が若い新人で大丈夫か?
A.さまざまな検討を踏まえての人選である。
なお、(社長自身は)常に精一杯業務に取り組んできた。
Q.柏のイオンの無料バスについて
A.イオン利用者以外の方の利用が増えたためイオンカードやレシートの確認を実施しているが、状況を見ながら柔軟に対応したい。
Q.ベトナムにおける地方政府との締結式について
A.ベトナムの地方において、イオンのサービスを誘致することは地元の要望を実現する上で、重要事項と認識している。
A.都市開発について地元と行政と調整中である。
Q.設備更新(1990年〜2000年)について
A.老朽化施設の改修については計画的に求められる物を精査して実施している。
Q.剰余金処分を議案に入れないことについて
A.定款を変更してタイムリーに配当するために実施している。
Q.配当は少ないのでは
A.配当性向は従来の25%から30%にするとともに、実際には50〜60%の水準で実施している。
Q.外国人の取締役について
A.現地法人における活躍を踏まえ検討する。
Q.株主総会は良くなった。
A.貴重なご意見、ありがとうございます。
検討するだけでなく、その結果を適時、情報開示をしていきます。
Q.株価を意識した経営について
A.利益が出ていないことが株価低迷の原因。
収益を出すことに注力している。
併せて当社に対して期待してもらうことも大切。
Q.受託モールについて
A.浦和美園やレイクタウンの受託モールはイオンリテールの支出によるものだが、一部当社の提案に対する成果報酬もいただいている。
Q.まちづくりについて
A.地域共創については志をともにできることが大切。
マリモ社とは志をともにしつつリージョナルシフトを実施していく。
決議事項
・取締役12名選任の件
拍手を持って承認・可決されました。
なお、退任役員4名の紹介がありました。
⑵ 株主還元
配当
1株配当の推移は下記の通りです。
赤字だった2021年2月期でも減配すらしなかったのは親会社の意向でしょうか。
・2024年2月期:50円
・2023年2月期:50円
・2022年2月期:50円
・2021年2月期:40円
・2000年2月期:40円
・2019年2月期:38円
株主優待
株数と保有期間に応じてギフトカード等が選べます。
自社株買い
適時、実施しているようです。
【イオンラウンジにて】
3 株主としてのコメント
⑴ 気に入っていること
普段の買い物等で親しみのある会社です。
特に、地方に転勤になった時など、イオンモールを見つけて元気になったりしたものでした。
株主優待も充実していますし、配当利回りも約2.6%あります。
株価は冴えませんが株主還元の恩恵を享受しながら気長に株価の回復を待つことも可能かもしれません。
⑵ 気になっていること
親会社イオンの影響が大きいように感じました。
・財務基盤が脆弱なのに高配当が継続
・中国進出
・増収増益にも関わらす若返り人事で社長交代
など。
ある意味、イオンの犠牲者のようにすら感じられます。
また、冴えない株価は将来への懸念によるものでしょうか。
・金利上昇が不動産業に与える影響
・更新を要する施設が増加する一方で、インフレによる資材が高騰
・国内の回復の遅れ
など。
そのような、懸念を払拭させてくれるような成長ストーリーを描き、それを市場に周知できるかどうかが今後の株価を左右するように感じました。
4 まとめ
イオンモールについて述べてきました。
親しみのある会社ですが、意外と株価が冴えないことが印象的でした。
財務基盤、施設の更新、中国問題など懸念事項は少なくありません。
親会社と消費者との板挟み状態なような状況で気の毒に感じる部分もありますが、若返った経営陣のリーダーシップに期待したいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
なお、経営分析においては下記の書籍を参考にしています。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。