初投稿:2024.7.22
こんにちは!
この記事は、セブン銀行【8410】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
・好業績にも関わらす株価は低迷
・トップダウンの大切さ
【目次】
【セブン銀行のATM】
1 セブン銀行について
⑴ 会社概要
ATMでお馴染みのセブン銀行です。
売上高1978億円、総資産1.7兆円、時価総額3248億円の事業規模。
会社の付加価値(のれん、ブランド力)を意味するPBRは1.19倍です。
企業理念
下記の理念等が掲げらてています。
分かりやすく共感が持てるものだと思いますが、想像力を掻き立てられ創造性を発揮し得るようなキーワードがあっても良いように感じました。
⚫️存在価値(パーパス)
お客様の「あったらいいな」を超えて、日常の未来を生み出し続ける。
⚫️社是
1 私たちは、お客様に信頼される誠実な企業でありたい。
2 私たちは、株主、取引先、地域社会に信頼される誠実な企業でありたい。
3 私たちは、社員に信頼される誠実な企業でありたい。
セグメント
下記の3つに区分されています。
クレジットカードのみならず電子マネー事業を継続していることは意外でした。
⚫️国内事業セグメント
⚫️クレジットカード・電子マネー事業セグメント
⚫️海外事業セグメント
⑵ 株主になったきっかけ
高配当かつ馴染みのある会社であることから、最近株主になりました。
⑶ 経営分析
収益性
・売上高経常利益率:15%
収益性は高いと考えます。
数多くのATMがあることから薄利多売のビジネスモデルかと思いましたが、手数料ビジネスの良さを再認識させられました。
安全性
・自己資本比率(30%以上が望ましい):16%
銀行なので、自己資本比率は低めです。
ただし、メガバンクでも自己資本比率が一桁である会社があることを考えるとキャッシュリッチ(自社株買いが可能)だと推察されます。
効率性
・有形固定資産回転率:5054.32
非常に効率的です。
考えてみればATMが中核なので、有形固定資産も少額で済むことによる効率性であることが頷けます。
2 株主総会等
⑴ 株主総会
第23回定時株主総会 2024年6月17日(月) 東京プリンスホテル
ライブ配信を視聴しました。
分かりやすい動画で業績が説明されました。
特に、増収・増益で業績が良いことと、第4世代のATMへの更新に注力していることが印象的でした。
ただし、今期は増収減益(ATM入れ替えのためのコスト増)と説明が最後になされ、ちょっと拍子抜けしてしまいました。
主な質疑応答
【事前】
Q.株価について
A.満足していない。
事業ポートフォリオを見直して(複線化)成長戦略を追求する。
A.+Connect(あらゆる認証・手続きの窓口)を通じて地方自治体との連携(特にマイナンバーカード)を強化していく。
Q.兼任の社外取締役について
A.取締役会に出席しているから問題ない。
Q.女性の活躍について
現状では、執行役員に2名、管理職17.7%、採用時の46.5%は女性である。
【会場】
Q.JREバンクの影響について
A.新しい銀行は我々のATMを使うことが多く、その点ではプラスと考えている。
ただし、銀行業務には影響があるので独自のサービスで対応していきたい。
Q.金利上昇に伴う調達コストの影響について
A.過去(1990〜1991年)に8%、7%の高金利の時代があったことを踏まえ、4つのシナリオを考えてそれぞれに対して金利上昇の影響を試算している。
その結果を踏まえ、具体的にはATMの現金のコントロール(圧縮)により調達コストを抑える一方で、個人向けローンのボリュームを上げたりしながらメリットもとっていきたい。
Q.硬貨(小銭)の扱いについて
A.ATMの入金は可能だが出金は不可。
レジについてはセブンイレブンとの調整を検討していきたい。
Q.金融犯罪(マネーロンダリング)対策について
A.現状では詐欺被害は少ない。
ただし、口座を不正に悪用されるケースはある。
このため、
・モニターをして犯罪のパターンを早期に発見する
・モニターをしてアクセスを注視する
あるいは、フィッシング対策に対応していくことが大切と考える。
Q.少子化対策について
A.時短勤務や(子供が2歳半にになるまでの)休職プランを用意し、多くの女性と半分ぐらいの男性が利用している。
厚労省の”えるぼしマーク”の認定も頂いている。
Q.キャッシュレス化対策について
A.グローバルな視点ではキャッシュレスは3〜4割に止まると考える。
その一方で、キャッシュレスにも対応するアプローチに取り組む。
Q.株価対策について
A.新規事業に投資をしているが償却までの5年程度を要すると予想している。
Q.手数料の値上げについて
A.手数料の値上げは提携先企業が決めている。
現状、200〜300円以上、上がることは少ないのではないか。
当社としては提携先企業のサポートを踏まえ適切な手数料の価格についてお願いする立場と認識している。
Q.(10年前からの株主より)業績、成長性は良いのに株価が低迷している理由は?
(会場から拍手!)
A.成長戦略が市場から評価されていないためと分析。
減益、特損、+Connectの実績を示せていないなどの要因もある。
このため、成長戦略の見える化により市場の評価を高めていきたい。
A.他校はネットを中心としたローン金利で収益を稼いでいるが、当社はATMを核とした手数料で儲けており、ビジネスモデルが異なる。
また、セブングループの中の比率は他グループに比べて小さいが、グループの中の4〜5%は稼いでいる。
他グループについては純粋に比較はしていないが、ベンチマークとして見ている。
Q.(ATMでお釣りが出てこなかった株主より)システムトラブルについて
A.紙幣の読み取りの品質向上に努めている(定量的には話せないが)。
また、ATMの稼働率は現在99.98%だがさらに向上する見込みである。
Q.株価回復の時期について
A.明言できないが、なるべく早く回復するよう努める。
具体的には原価低減、第4世代ATMにより+Connectの普及、カード事業のプラス化などに注力していく。
Q.トップラインを伸ばすに当たってのボトルネックについて
A.セブンカードの会員数が少ないのが課題。
海外については、米国のCDについては入金にもチャレンジして新マーケットの開拓に努める。
インドネシアやフィリピンではATMを伸ばしていく。
Q.減価償却の5年は今後も発生し続けるのか?
A.現在取り組んでいる第4世代のATMへの換装はハードウエアの更新である。
この先のサービス付加はソフトウエアの更新で対応できるため固定費が膨らみ続けることは無いと認識。
Q.これまで株主が元気になる話がない!(会場から拍手!)
役員は面白くない、配当も上げない、剰余金があるのに自社株買いもしない・・・。
A.内部留保については現在、積極策を検討中です。
期待しつつお待ち下さい。
決議事項
・取締役8名選任の件
・監査役1名選任の件
・補欠監査役1名選任の件
拍手を持って承認・可決されました。
株主総会雑感
丁寧な議事運営がなされていると感じる一方で、経営陣の熱意というものが今ひとつ伝わらなかったのが残念です。
ただし、内部留保については策を練っているということでしたのでステークホルダーに対する嬉しいサプライズを期待しています。
⑵ 株主還元
配当
1株配当実績は下記のとおりです。
業績を踏まえれば、増配しても良いように感じます。
・2024年3月期:11円
・2023年3月期:11円
・2022年3月期:11円
・2021年3月期:11円
・2000年3月期:11円
・2019年3月期:11円
株主優待
なし
自社株買い
2023年秋、13億円を上限、発行済株式総数に対する割合は0.32%
【株主総会が開催された芝公園付近にて 大谷翔平選手のMVPを祝して】
3 株主としてのコメント
⑴ 気に入っていること
自分はマイナンバーカードが普及することが国民にとって、公平で効率的な社会をもたらすと考えています。
その点で、当行のATM(+Connect)によってマイナンバーカードを最大限に活用できるようになることに大いに期待しています。
企業価値の向上はもちろんですが、社会インフラとしての拡充にも期待しています。
⑵ 気になっていること
当行の一番の課題は、最後の株主の指摘に尽きると思います。
”元気になる話がなかった!”
現在の経営陣の認識として、
ボトムアップで部下が頑張って上げてきた企画を無難にこなすことが仕事
と思っている人ばかりなのではないか?と気になりました。
やたら、株主から質問を催促する議事運営もボトムアップの姿勢に付合します。
全体を俯瞰し、大局観を踏まえたトップダウンによる経営姿勢が疎かになっているように見えました。
金融機関であっても、SBIのように半導体製造に乗り出すようなトップダウンの決断をする会社もあります。
そのようなトップダウンの決断が下せないなら、せめて他社を真似してください。
リクルートは6000億円の自社株買いを発表してから株価は右肩上がりですよ!
13億円はちょっと少なすぎるのではありませんか?
4 まとめ
セブン銀行について述べてきました。
ATMはお金の入出金オンリーと思っていましたが、さまざまな手続きが可能ということで大いに関心が持てるようになりました。
一方、増収・減益の業績予想もあり株価は冴えません。
さまざまな制約がある中で、ポテンシャルを活かした経営による企業価値向上に期待します。
お読みいただき、ありがとうございました。
なお、経営分析においては下記の書籍を参考にしています。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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