こんにちは!
この記事は2024年2月12日(月・祝)に開催されたマネックス・アクティビスト・フォーラム2024に参加した時のことをまとめたものです。
ちなにに、会場に足を運ぶのは昨年に続き2回目で、アクティビストファンドの積立投資をしています。
【会場でいただいた配布物等】
1 はじめに
投資で個人のみならず企業を元気にすることで日本を豊にしていくという趣旨に賛同しています。
そして、毎月、株主総会に通っているので自分もある意味、アクティビストかもしれません。
ベルサール秋葉原の会場はほぼ満席でした。
4時間でしたが来場者の2/3は最後まで残っていたように思います。
有意義な時間を過ごせました。
来てよかったです。
2 内容
⑴ パネルディスカッション『東証改革』
主なポイント
・東証改革で資本コストや株価を意識した経営の流れが生じている。
・MBO(非上場化)と改革をしているふりの2局化
・資本効率の向上が求められている。
・会社にはステージがあるので資本効率の向上を目指さない場合は開示責任を果たすことが大切。
・アップル(高配当、積極的な自社株買い)とアマゾン(無配、自社株買い無し)に象徴される異なる成長へのアプローチ
・尻を叩かれている企業は頑張って改革しているが、日本を代表するような会社は情報開示に積極的ではなく、この点が今後の課題
・日本企業は利益を出せるようになってきた。
・パイを奪い合うことからパイそのものを大きくすることが重視されてきている。
・株主(シェアホルダー)第一主義からステークホルダー第一主義へ
・効率よりも成長重視
・企業と同じように投資家もライフステージに応じて配当(資産運用による悠々自適な生活)と成長(一生懸命働く)のバランスを考えるべし
コメント
企業と人のライフステージにおける頑張り方についての共通点が印象的でした。
それは、若い企業は成長投資、若い人はしっかりと稼ぐ、成熟した企業は配当等の還元、成熟した人は配当による悠々自適な生活という意味だと理解しました。
そしてそのことを”仲間”(ステークホルダー)に理解してもらうための情報開示が大切ということも共通しているのではないかと思いました。
いずれにしても、東証改革によってプライム銘柄の株価が上昇しているのは喜ばしいことです。
それに比べて、グロース市場は・・・。
⑵ 対談『資本市場立国論』
主なポイント
・株価の上昇は投資家のみならず、年金にも恩恵をもたらすとともに、企業が強くなることを通じて、雇用や給与の向上の点で国民に、さらに税収のアップということで国にとっても喜ばしいこと。
・去年は4%の給与上昇、今年は5%を予想。
・給与を上げたり、設備投資をすることに対するマインドが変わってきた。
・名目GDPが上昇しなければ株価は上がらないので、これまでの日本経済を状況を踏まえれば、現預金の比率が高い日本人が金融リテラシーが低いというのはナンセンス。
・企業の配当の損金算入を認めれば、株価は1.5倍(日経平均株価は5万円越え)になる。
・配当の損金算入の事例は海外でもないが、PBR1倍割れ企業に対する東証の指導もまた、海外では例のないこと。
・日本が変わったというメッセージが世界に届くことで株価はさらに上昇すると予想。
・親子上場で、子会社が親会社の財布になっていることを投資家が問題解決した事例もある。
・”生株”を持っている日本は世界でも特有(米国でも投信やETF)
・株主総会で株主が質問しにくい要因の一つに”信託銀行が振り付ける株主総会”の多さがあるのではないか?
コメント
松本さんの著書を中心としたディスカッションでした。
読んでみたいと思い、アンケートを通じて著書のプレゼントに申し込みました。
さらに、対談の中では配当の損金算入、親子上場対策、株主総会集中日の解消など、様々な気づきが得られました。
一番印象的だったのは、名目GDPが上昇しない限り株価は上がらない!ということ。
30年以上、日本株に投資をしてきた自分はあまり金融リテラシーが高くなかったということになります(涙)。
でも、ここまで苦労した分、これからマイペースで取り返していけば良いと考えています(笑)。
⑶ マネックス・アクティビスト・ファンドの投資戦略
主なポイント
・上位組入銘柄である、大日本印刷、IHI、大正製薬、オルガノ、TBSが紹介され、その中で大正製薬の経営実態についての説明がありました。
・創業一族の相続対策のため株式の市場適正価格を探る努力を怠った。
・対話の力(エンゲージメント)を通じて企業価値向上に努める。
コメント
マネックス・アクティビスト・ファンドの積立投資をしています。
その運用状況を聞くことができて有意義でした。
”株価の上昇を好ましく思わない経営者”という視点はこれまで皆無でした。
その意味で、企業の課題解決について多少なりとも、多面的な物の見方ができるようになったとお思います。
⑷ パネルディスカッション『日本企業の転換点』
主なポイント
・日本市場が変わってきている!(東証のPBR1倍割れ対策、企業の設備投資増額等)
・株主のオーナーシップの欠如→株主も変わらなければならない(オリエンタルランドの株主になるということは、ミッキーマウスに働いてもらうという意識を持つということ)
・ただし、オーナーシップがあってもファミリー企業やアナリストがカバーしな8割の中小企業は難しいものがある。
・今の経営者の意識は(前任者のしがらみからの脱却という点で)確実に変わってきている。
・野村アセットマネジメントがアグレッシブになってきたという点では評価できる。
・(アクティビストでない参加者から)信越化学は4つの事業間のシナジーがなくコングロマリットディスカウントだが、ディスカウントのまま株価は上昇しているので問題ないし、株式を売却することも考えてない。
・アクティビストが企業の問題を解決したら、売却しないで済む会社の数も増える(投資対象の増加)のではないか。
・日本の金融市場は世界大2位。
・日本型資本主義の特徴の一つは企業を廃業させないこと。
・破綻させないで企業を再生させようとしていることが、米国とのパフォーマンスの違い(日本の良い会社は欧米と変わらないレベル)。
・気づいたら上場していたという元西武の堤オーナーの言葉。
・何のための上場なのかを考える必要がある。
・日米の市場の比較として、上場数、投資家との対話、安定株主などの違いがある。
・米国の株式市場はスーパースターモデル(マグニフィセントセブン等)
・グロース市場銘柄については、
→規模が小さくてリソースに限りがあるので合併が必要
→グローバル戦略が無い
→上場数が多すぎる
・株主は王様!
コメント
アクティビストでない識者の意見も聞きながら深い議論を楽しめたと思います。
グロース市場についてはあまりポジティブな意見を持っていないように感じました。
プライム市場とグロース市場の間の乖離が広がっていますが、最後はどのようになるかが見ものです。
また、”長期的な企業価値”に対する批判的な指摘には賛同します。
というのも、東芝の株主総会でもこの言葉が役員から濫用され、結局、不当に安い値段のMBO価格となったからです。
GCAの社長で東芝の役員でもあった渡辺取締役は、M&Aについての著書を出版するなど、この分野のオーソリティのように思われていますが、GCAや東芝のMBOについては汚点を残したと思います。
やはり、自分なりに腹落ちするまで考えることは大切です!
3 気になったこと
会場で飲み物でなくポテチを頂いたことが斬新でしたが、何故、ポテチ?
松本さんの著書『資本市場立国論』と広木さんの著書『利回り5%配当生活』を読んでみたいと気になっています。
これまで長年の間、マネックスの看板を背負って広木さんが日本株で強気発言している時に松本さんは名目GDPが上がらないから日本株は上がらないと認識していたという謎のコラボがマネックスの多様性を物語っているように感じました。
前日に愛媛マラソンで自己ベストを更新された、清明社長はフォーラム不在でしたが、今後の更なる活躍が気になっています。
4 まとめ
マネックス・アクティビスト・フォーラム2024について述べてきました。
株主総会で質問するという自分のライフスタイルに関係するという理由で参加し続けていますが、それ以上に日本企業、日本市場そして日本そのものが大きく転換している様子を伺うことができて、有意義でした。
来年も参加したいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。