こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

M&A総研ホールディングス【9552】〜株主総会で感じた3つの懸念

初投稿:2023.12.25

こんにちは!

この記事は、M&A総研ホールディングス【9552】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

・DXやAIを駆使し業界の問題解決に取り組む会社

・経営陣も会場の社員も若い方ばかり

【目次】 

株主総会の会場】

                       

1 M&A総研ホールディングスについて

⑴ 会社概要

売上高86億円、総資産83億円、時価総額2547億円の事業規模。

会社の付加価値(のれん、ブランド力)を意味するPBRは45.05倍と極めて高く評価されています。

四季報によれば、他産業サービス・製品の業種に区分され時価総額順位は18/290社となっています。

また、【成長続く】とか【立ち上げ】などの見出しも踊り、将来性が期待されます。

企業理念 

下記のようなシンプルで力強い経営理念が掲げられています。

⚫️M&A Techにより未来のM&A市場を創造する

主な事業内容

主な事業内容は下記の通りです。

⚫️M&A仲介

・AIマッチングアルゴリズムを用いたM&A仲介サービスの提供

・M&Aプラットフォームの運用

また、コンサル事業の子会社を設立するとのこと。

なお、従業員数は258名となっています(株主総会資料より)。

⑵ 株主になったきっかけ

9月決算企業を探していました。

何かと話題のM&A総研に関心があったことから2023年に初めて株主となりました。

⑶ 主なM&A仲介企業とその状況

上場している主なM&A仲介企業でこれまで株主総会に足を運んだことのあることがある会社は以下の通りです。

⚫️日本M&Aセンターホールディングス【2127】

・業界ナンバーワンで中小企業のM&A仲介業界をつくってきた

・質の高いサービスだが手数料は高め

・不適切な会計(期ズレ)で役員9名を処分した後、営業部門から100名が抜けて時価総額は1/3に減少

・不祥事に際して株を売却した欧州の機関投資家が禊を経て買いに転じているとのこと(ラジオ日経の解説者より)

⚫️M&Aキャピタルパートナーズ【6080】

・ライオンのCM

・社員の高額報酬で有名

・訴訟がないことが強み

・大型のM&Aも得意

⚫️ストライク【6196】

・当初はネットを駆使した経営に特徴

公認会計士・税理士の経営陣

・医療関係に強み

⚫️M&A総研ホールディングス【9552】

・経営陣が若く、社長がエンジニア

・M&Aマッチングアプリなどに強み

・M&A成立までの期間の短縮(半年)&手数料の明確化(成功報酬型)が売り文句

⑷ 経営分析

収益性

・売上高総利益率:77%

売上高営業利益率(10%以上は優良株):53%

収益性は申し分ありません。

M&A仲介企業としても他社に遜色はないレベルと考えます。

安全性

流動比率(100%以上が望ましい):286%

自己資本比率(30%以上が望ましい):67%

短期的にも中・長期的にも問題ないと考えます。

効率性 

・有形固定資産回転率:127.56

東京オフィスの増床や地方オフィスの移転がなされています。

有形固定資産への投資がなされても回転率が100を超えていることから、この点に関して効率的な経営がなされていると考えます。

株主総会の案内板】

2 株主総会

⑴ 株主総会

第5回定時株主総会2023年12月22日(金)TKP東京カンンファレンスセンター

数十人の株主が集っていました。

社長からは事業報告に加えて成長戦略等についての話がありました。

主なポイントは下記の通り。

・当社はDXやAIに強い

・62万社の黒字廃業が予測されている

・M&A仲介業界の問題点は「成立までの期間が遅い」、「料金体系が不明確」

・当社の特徴は「完全成功報酬」、「成約期間6.6ヶ月」、「マッチング力に強み」

主な質疑応答

Q.税制改正によるインパクトについて

A.現状では見えていない。

Q.M&A市場の足元は伸び悩んでいるのではないか?

A.各社によって伸びていたり、そうでなかったりしている。

それらは会社の規模等によっても異なる。

いずれにしても、ポテンシャルのある市場と認識。

Q.社員がダメにならないような内部管理体制について

A.働きすぎとならないようなシステムを構築している。

現状の退職率は低い。

アドバイザーがしなくても良い仕事を削減するよう努める。

Q.IR(特に株主総会ライブ配信)について

A.貴重なご意見として承る。

Q.M&Aの後、うまくいっているのか?開示はできないのか?

A.ポジティブな変化の方が多い。

開示については相手のある話なので容易にはできないが、検討する。

Q.当社の抱えるリスクは?

A.業界を問わず、事例研究を丁寧に行いリスクを潰すことをしてきている。

Q.システムについて他社に真似されるリスクについて

A.マッチングの作り込みの徹底の伴い何万件と改善を実施しており、その要件定義だけでも数年かかると考えるのでこれが強い参入障壁となっていると考える。

Q.印象深いM&Aについて

A.債務超過日本語学校を売却することができた。

Q.リスク管理の一環としての実効性のある内部監査はできているのか?

A.東京、大阪、名古屋等の事務所を年に1回は監査している。

より充実させるよう努める。

Q.ベクトル社の社長から学んだことについて

A.上場企業の社長としてあるべき姿等、さまざまなことについて学んだ。

Q.減資によるキャッシュの活かし方について

A.この場では申し上げられない。

コーポレートアクションを取り安くなることは確実なので適時、開示される情報をお待ち下さい。

Q.成長の壁を2つ挙げて欲しい

A.壁は常に考えているので特定しにくい。

強いて言うならば、リスク管理の強化」と「人材の採用」と考える。

決議事項

・取締役6名選任の件

・資本金の減少の件

拍手を持って承認・可決。

なお、総会終了には拍手が湧き上がっていました(終了時に拍手が湧き上がる会社は基本的には良い会社だと思います)。

⑵ 株主還元    

無し

【ビルの前にて】

3 株主としてのコメント

⑴ 気に入っていること

M&A仲介という成長が見込まれる事業やその中でも好業績を維持している点は気に入っています。

また、ICTを駆使した事業がどこまで持続的な収益に結びつくのかについても注目していきたいと思います。

⑵ 株主総会で感じた3つの懸念

基本的には期待しています。

けれども、初めて株主総会に参加して次の3つの懸念を感じました。

経営陣が若い

若いから単純に未熟だとは考えません。

ただし、ベテランの知恵を活かすという点では”抜け”があるようにも思えます。

人工知能の専門家で『妻のトリセツ』などのベストセラー作家の黒川さんは、56歳以降の脳は”成熟脳”であり、さまざまな問題を解決する知恵が詰まっていると解説しています(下記をご参照下さい)。

当社の中で、どのくらい”成熟脳”が活用されているのか、気になりました。

ちなみに、以前株主だった同じような若い経営陣オンリーの会社にオーケストラホールディングス【6533】があります。

多様性が重視される昨今において、役員が若い人ばかりという単一性に違和感を抱いてその後、株式を売却しました(下記リンクを参照下さい)。

Orchestra Holdings【6533】について〜株主総会雑感 - こげぱんの資産運用

同社の2年間の株価チャートは3000円から1000円へ右方下りとなっています。

他方、

”若い人に高齢で会社を手放す人の気持ちが分かるのか?”

という疑問も感じました(AIがやるから人の年齢は無関係という意見もあるかもしれませんが・・・)。

M&Aについて

”早かろう悪かろう”

のビジネスモデルは持続可能性に疑問を持ちます。

株主からのM&Aの後どうなったのかという質問の背景にも

”早かろう悪かろう”

に対する懸念があると推察します。

だからこそ、株主からも情報開示が必要との提言だったと思います。

ちなみに、M&Aキャピタルパートナーズでは社長が著書を出して買い手と売り手の双方のウインウインの事例を紹介しています。

さらに、数年前の同社の株主総会では

”訴訟がないことが当社の強み”

と社長が繰り返し語っていました。

人材について

総会終了後に、会場の前方で若い女性が不安そうに取り残されていました。

聞くと、今回選任された新人の役員とのこと。

役員や株主の退室については案内がありましたが、新人さんは”状況外”?

忘れられていたのではないかと思ったほどです。

”事例研究”にもなりませんが、一般に新人の役員が選出された場合、

・紹介:多数

・挨拶:増加傾向

・スピーチ:時々(例:カラダノート、マネックス

・無視:少数

となると思います。

今回は彼女の選任も議案だったのに紹介すらありませんでした。

”人材”を常に考えていると言う割には、

”役員クラスでもこの扱いなんだ”

と言う実態を垣間見ることができました。

株主から、社員がダメにならないような仕組みについての質問が出るのも頷けます。

賢い株主の多さ

エンジニアで大株主の社長というとPKSHA Technology【3993】が挙げられると思います。

同社の株主総会に参加した際、信者のような若い株主が複数いたことを覚えています。

当社においてもそのような株主がいるように思ったのですが、意外と株主の皆さんの発言を聞いていると会社とほど良い距離感を保っているような方が多いように感じました。

冴えない株価に感情をぶつけるような質問も皆無。

会社からのリスク管理の説明はイマイチでしたが、株主のリスク管理は意外としっかりされているように思えました。

このことは、何かがあれば適切な処置を行う株主が多く、株価に大きなインパクを与えることにつながると感じました。

そもそも、PBRは50倍と投資家の期待は尋常ではありません。

例え株価が10分の1になってもPBR5倍でまだまだ高い評価と言える水準。

成長性著しいとはいえ、売上高が100億円未満の会社。

自分も賢い株主さんを見習って節度ある投資を心がけたいとお思います。

ちなみに、サイバーエージェントではウマ娘が大ヒットして株価が急騰した反動で、現在では長期に渡り右肩下がりの株価となっています。

リスク管理においては、不祥事だけが株価下落の原因ではないと申し添えます。

4 まとめ

M&A総研ホールディングスについて述べてきました。

基本的には成長著しく経営分析からも素晴らしい内容だと思っています。

ただし、株主総会に足を運んで株主からの質問を聞いているうちに生じたさまざまな懸念事項の中から3点について説明しました。

けれども、何と言っても経営陣のみならず、会社そのものが創業5年目の若い会社。

今後の展開に期待したいと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。

なお、経営分析においては下記の書籍を参考にしています。

 

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

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