初投稿:2023.5.3
こんにちは!
この記事は、NIPPON EXPRESS ホールディングスに関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
・ワールドベースボールクラッシックの広告効果
・長期的な視点の大切さ
【目次】
【年次報告書】
1 NIPPON EXPRESS ホールディングスについて
⑴ 会社概要
日本通運をグループに持つ陸・海・空の総合物流会社。
売上高2.6兆円、総資産1.7兆円、時価総額7356億円の事業規模。
PBRは0.96倍と苦戦しています。
四季報では倉庫・運輸サービス業に区分され、時価総額順位は1/50社となっています。
なお四季報では、【反落】という気になる見出しと、【効率化】という期待される見出しが出ていて、様々な評価があるように思われます。
企業理念
企業理念は下記の通りで、分かり易く共感が持てるものと考えます。
●私たちの使命
それは社会発展の原動力であること
●私たちの挑戦
それは物流から新たな価値を創ること
●私たちの誇り
それは信頼される存在であること
セグメント
⑵ 株主になったきっかけ
12月決算銘柄で配当も高く物流に関心があったことから、2022年の年末に株主となりました。
ただし、記念配当を含む中間配当があ2022年6月に一株あたり250円あったことを考えると、もう少し早く株主になっておけば良かったと悔しく感じています。
⑶ 経営分析
収益性
・売上高総利益率:10%
・売上高営業利益率(10%以上は優良株):5%
収益性はあまり良くありません。
売上原価が高いためです。
決算説明資料から売上原価の内訳は追えませんでしたが、チャットGPTの力を借りると
「運賃及び輸送料」、「倉庫及び配送費用」、「燃料費」
などが意外と高額であると推察されます。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):143%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):45%
短期的には多少懸念がありますが、中・長期的には問題となるレベルではないと考えます。
効率性
・有形固定資産回転率:4.06
有形固定資産については、売上高を考えるとそれほど効率的に投資されているようには思えません。
物流の会社なので、土地、建物、車両運搬具等に莫大なコストがかかるのでやむを得ないと考えます。
ただし、グループ内での効率化が進むと考えますので今後の効率化に期待します。
【鉄道】
2 株主総会等
⑴ 株主総会
第1回定時株主総会 2023年3月30日(木) NXグループビル
ハイブリッド総会でした。
ライブ配信を視聴しました。
時間は50分ほどで終了。
説明のポイントは主に3つと理解しました。
・2037年の創立100周年時に売上高4兆円を目指す!
・ホールディングカンパニーとなりグループ経営を強化中!
・コア事業を強化するとともに、効率化(コスト削減)も進める!
主な質疑応答
Q.陸・海・空の売上の比率について
A.6:2:2で空>海。
Q.ドローンに対する取り組みについて
A.ビジネス創出につながる実証実験を(下記3点について)実施中である。
・現行のドローン
・大型のドローン
・ドローンポート(インフラ)
Q.広告戦略について
A.WBCの広告効果を評価していただきありがとうございます。
グローバル市場で存在感のあるロジスティック会社を目指す中で、WBCでの広告効果は主に米国における知名度向上に貢献したと認識。
国内においては、We find the way
というCMを実施中である。
また、女子プロゴルファーを起用したCMを行いつつ、2019年からSNSによる情報発信も開始している。
Q.ダイバシティ経営に対する取り組みについて
A.障害者の雇用率、女性管理職比率、男性の育児休暇取得率等に対して数値目標を定めて取り組んでいる。
Q.(買収した米国企業である)MDエクスプレス、MDロジスティックの業績について
A.買収時(売上高?55億円)よりは業績は向上している(数値は非開示)。
Q.上記会社の所属先について
A.米国日通である。
Q.米国における経営戦略について
A.ノースカロライナ州に拠点を設け、主に医薬品を中心に米国事業を強化している。
Q.WBCの広告費について
A.個別契約につき非開示となっている。
Q.(荷主の株主より)2024年問題(労働力不足)に対する事前の心構えについて
A.会社としては、プロジェクトチームを立ち上げ、賃金は輸送方法の見直し、トラックに加JR貨物の活用、行政との対話など多面的に対応していく。
その際、ピンチはチャンスと捉え構造的な問題解決しつつより効率的な業務を推進していきたい。
荷主の方へのお願いとしては例えば、
・手持ち時間の短縮化
・混載物流の推進
・パレット等の統一化
などが挙げられる。
Q.買収した米国企業の業績の数値について
A.非開示である。
決議事項
・取締役6名選任の件
拍手を持って賛成・可決。
なお、散会に当たっても拍手が湧き上がっていました。
⑵ 株主還元
配当
一株配当実績は下記の通り。
2022年12月期:400円
なお、2022年は記念配当が100円あったため、今後は300円が基準となると予想します。
株主優待
なし
自社株買い
100億円を上限とする自社株買が2022年8〜12月にかけて実施されるとの報道がありました。
【フェリー】
3 株主としてのコメント
⑴ 気に入っていること
成長戦略とWBCの成果
保険業界ではトップの東京海上HDが、海外の企業のM&Aを成功させて著しい成長を実現させています。
そう考えると、非連続的な成長をM&Aによって実現するという当社の戦略は妥当なものと考えます。
そして、それを実現するために知名度の向上を狙ってWBCでは所要の成果を獲得したと考えます。
今後の海外企業の買収に注目しています。
医薬品や半導体の輸送
物流についても単価の高い輸送に注力するという着眼も良いと感じました。
総会の審議の中で、社長から半導体は丁寧な取り扱いが必要で空輸が好まれるため単価が高いといった趣旨の説明がありました。
半導体工場が誘致された熊本に巨大な物流拠点を作るという報道もなされています。
単価を意識した事業推進が収益性の向上につながることを期待します。
⑵ 気になったこと
執行役員の回答について
質疑応答の中で、執行役員による回答が質問とずれていると受け止められる場面がありました。
その件を除いても、全般的にもう少し、わかって頂きたいという姿勢が執行役員にあっても良いように感じました。
ただし、社長による補足説明があったので、良かったと思います。
非連続的な成長実現のためのM&Aについて
株主からの質問はありませんでしたが、M&Aのリスク管理について気になりました。
M&Aで非連続的な成長を実現するとしていますが、M&Aは半分ぐらいが失敗するという厳しい面もあります。
当社はどのようにしてM&Aの失敗を回避すべくリスク管理を行なっていくのか?
当社と末長く付き合う上ではその点をしっかり見極めることが不可欠だと感じています。
【航空機】
4 まとめ
NIPPON EXPRESS ホールディングスについて述べてきました。
WBCの広告の大成功、海外展開、グループ経営による効率化の推進、医療品や半導体に注力したコア事業強化などは期待が持てます。
その一方で、2024年問題(労働力不足)、M&Aの成否、執行役員の紋切り型の回答など気になる点も散見されました。
四季報の見出し同様に、さまざまな見方ができる会社ですが、長く株主を続けていきたいと考えます。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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