こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

ヨシムラ・フード・ホールディングス【2884】〜2年連続株主総会に出席して感じたこと

投稿日:2022.5.27、更新日:2023.6.5

こんにちは!

この記事は、ヨシムラ・フード・ホールディングス【2884】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

なお、2023年5月の株主総会の内容を追記し記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。

・中小企業支援プラットフォームを活かした相互補完の会社

・将来が楽しみな会社

【目次】 

株主総会の会場となった日比谷国際ビル】

【過去に株主総会会場となったTKPカンファレンスセンター】

1 ヨシムラ・フード・ホールディングスについて

⑴ 会社概要

複数の中小食品企業(食品卸、中華、冷食、清酒、水産加工、製麺など)をM&Aし相互補完した会社です。

売上高、292億円、総資産237億円、時価総額194億円という事業規模。

PBRも2.6倍と前期よりも良くなっています。

MISSION(目指す社会像)

いつまでも、この”おいしい”を楽しめる社会へ

VISION(果たす役割)

地域の”おいしい”を守り、育て、海外へ

VALUE(大切にする価値観)

あなた”らしさ”を大切にします

”経営理念”はちょっと抽象的な印象もありますが、真面目な会社という印象を持ちます。

セグメント

●食品製造事業

国内製造事業は、独自の製品を開発、製造し、主に卸売業者を通じてスーパーマーケット、コンビニエンスストア等へ販売を実施。

海外製造事業は、独自の製品を開発、製造し、主にスーパーマーケット、ホテル、航空関連企業等へ販売を実施。

●食品販売事業

国内販売事業は、販売力と企画力を強みとしており、消費者のニーズを捉えた商品を企画開発し、主に産業給食、生協、スーパーマーケット等への販売を実施。

海外販売事業は、海外から仕入れた良質な製品を主にスーパーマーケット、レストラン、ホテル等への販売を実施。

⑵ 株主になったきっかけ

ユーチューバーが取り上げたことから注目していました。

食料品という業種の銘柄はほぼ初めてで関心も高かったです。

「中小企業支援プラットフォーム」を活用したビジネスモデルが悪くないことと2月が決算であることも注目しました。

【2023年5月の株主総会の案内板】

⑶ 2023年2月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:20%

売上高営業利益率:2%

数値から明らかなように収益性は低いです。

しかも前期よりも低下しています。

株主総会の質疑応答から、社長は成長性ほど収益性は重視していないように感じました。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):164%

自己資本比率(30%以上が望ましい):31%

特に経営に支障があるということはない安全レベルと考えます。

ただし、安全性についても前期より低下していることは注意が必要です。

効率性 

・有形固定資産回転率:5.05

前期と同レベルです。

ただし、売上高増に加えて有形固定資産そのものも増えています。

主な勘定科目は金額順に、「建物及び構築物」、「土地」、「機械装置及び運搬具」、「リース資産」、「その他」となっています。

⑷ 2022年2月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:22%

売上高営業利益率:3%

数値だけを見ると収益性は低いです。

ただし、業界を考えると3%というのは食品製造業としては平均的な水準のようです。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):197%

自己資本比率(30%以上が望ましい):35%

特に経営に支障があるということはない安全レベルと考えます。

コロナ禍であることを考えると奮闘しているように思います。

効率性 

・有形固定資産回転率:5.16

少し古いですが、農林水産省による『食品企業財務動向調査報告書』(平成24年3月)によると、食品製造業の固定資産回転率は約2で推してきたことを考えると効率的な経営がなされていると考えます。

2 株主総会

⑴ 2023年5月の株主総会

第15回定時株主総会 2023年5月30日(火) 日比谷国際ビル 

受付にてペットボトルのお水をいただきました。

11時からのスタートということで会社としては時間短縮の意向だったようですが、株主からの質問が多く、終了時刻は12時を軽く超えていました。

会社からの説明は下記のようなポイントを中心に、主にM&Aの成功により売上高が伸びていることが中心でした。

・CAGR17%

・8年間で売上高は0→110億円

・ノウハウ構築期(2008〜2016)は年間1件のM&A

・ノウハウ進化期(2016〜2022)は年間2件のM&A

・M&A拡大き(2022年〜)

主な質疑応答

Q.IRに注力することについて。

A.IRに注力しているが、グループ化したOne Story(マーケティングが得意な会社)が自分たちの仕事で多忙なのが現状。

落ち着いたらグループのIR活動に積極的に取り組む予定である。

Q.各種会社のグループ化のシナジーについて

A.現状では28社の間でシナジーを活かすべく取り組んでいる。

四国のかき揚げの会社やフリーズどドライの出汁についての実例もある。

Q.大型M&Aの目標値について

マルキチ(北海道のホタテ関連会社)のような業界のど真ん中の会社を買収することで、当社はそのような規模の会社のM&Aも可能なことが周知されたと認識。

質問のM&Aについては相手のある話なので目標値等の開示は控える。

ただし、M&Aに関しては良い環境が整っていることは申し上げる。

Q.28社がヨシムラフードサービスのグループに属していることのアピールについて

A.組織やお金の部分で繋がっている他は、そのままの各社のアピールでも良いと考える。

中には、グループに属していることがアピールになる会社もあるので、その場合にアピールすれば良いのではないか。

現状のグループ内の状態は良好であり、今後も要望がある限りM&Aはやっていきたい。

Q.大型M&Aに賭ける気持ちについて

A.ご指摘のロコンドやIRジャパンのような大勝負は特に考えていない。

M&Aについてはこれまで同様に慎重に実施していく。

Q.収益性の低迷について

A.全体として収益性を上げたいが、分野別によって収益性の高さがまちまちである。

さらに、会社によっても攻めることが得意な会社と硬い守りに特徴がある会社が存在している。

よって経営リソース(ヒト、モノ、カネ)は伸び代があるところに注ぎ込んでいく。

28社の中で傾斜して考え、戦略的に支援をしていく予定である。

なお、各社については収益性の率ではなく、絶対額を重視する経営を指導していく。

Q.為替の影響について

A.約6億円の当期純利益のうち約5億円は為替差益によるものであった。

その大半が、円安に伴うシンガポールのビジネスがもたらしたものだ。

なお、シンガポール事業は、為替差益獲得ではなく、あくまでもビジネスとして活かすことを優先している。

よって、為替ヘッジはしていないが、為替に左右される持分は下げていく。

Q.金利の影響について

A.短期的には変わらないと予想している。

なお、金利の上昇は借入コストの増加を伴うが、景気も良くなっていることを考え合わせるとなんとかやっていけると認識している。

また、輸入コストが下がることはビジネス上はプラスの効果をもたらすと考えている。

なお、借入金については早めに眺めに調達することに留意したい。

Q.ベルベという会社(社長逃亡)のM&Aについて

A.M&Aは会社貢献するかどうかで判断している。

どのような会社でも、精査して見極めてからグループ化させる。

Q.M&Aに当たり社長が重視していることについて

A.グループ化した後に互いに良いパートナーとなっていけるかどうかが重要。

社長として指針を出したのち、取締役会の検討のプロセスを踏んでM&A実施に移行する仕組みとなっている。

Q.原材料価格高騰に伴う価格転化の成否について

A.現状は、交渉して価格を転化できるところとそうでないところがある。

分野と交渉環境によって価格添加の状況が会社ごと異なっているのが現状。

ただし、トータルで考えれば交渉力は上昇しており、原材料価格高騰のダメージは小さくなってきている。

Q.シンガポールの状況について

A.前半は売り上げが1/10に落ち込むなどして苦戦したが、後半は回復している。

コロナ前の水準に近づきつつある。

Q.インフレの影響について

A.価格を上げても受け入れられる点ではメリットが大きいと考える。

Q.賃上げについて

A.各社によって必然的に賃上げがなされると認識。

デメリットとしては、低価格を強みにしていた会社の業績への影響。

現状では各事業会社の賃上げについての上申を検討するというプロセスを踏んでいる。

Q.値上げによって売上げが下がるケースについて

A.(グループ内の事例を挙げつつ)顧客がその製品を欲しい度合いによると考えており、正に我々のビジネスが試されている。

売上減によって本物の実力ではないことを再認識させられる部分もあった。

Q.グループ内の会社の売却について

A.我々はファンドではないので、高く売れるからといって売却を選択することはない。

ただし、逆に破産寸前の状況になったら個別・具体的に考える。

決議事項

・取締役5名選任の件

監査役3名選任の件

・補欠監査役1名選任の件

拍手を持って賛成・可決されました。

なお、3名の新役員の紹介があり、散会時には会場から拍手がありました。

株主としてのコメント

2年連続で株主総会に参加しました。

感じたことは

・社長が前回よりも自信を持って議長を務めていた。

・株主からの質問が前回よりも積極的だった。

の2点です。

特に、株主については、地下アイドルを推すような以前からの長期の株主と、M&Aの成功を嗅ぎつけて短期的な成果を期待する株主に大別されたように感じられました。

社長の丁寧かつ本音ベース?の質疑応答も聞き応えがあり、参加して勉強になりました。

ただし、株主総会開始の時刻が11時なのは感心しません。

昼休みまで会議を長引かせるより、2時間以内に会議をまとめて気持ちよく昼休みを迎えた方がステイクホルダーの利益に一致すると思います。

M&Aによる成長性が来年も継続するかどうかに加え、株主からの質問の増加傾向が次回も続くかどうか、大いに楽しみにしています。

【2022年5月の株主総会の案内板】

⑵ 2022年5月の株主総会

第14回定時株主総会 2022年5月27日(金)TKP新橋カンファレンスセンター

雨の中、30人弱ぐらいの方が会場に集まっていました。

社長の挨拶とスライドを用いた会社説明(直近のM&Aによる3つの子会社の紹介)がなされました。

特に、ONE STORYというマーケティングに強みを持つ会社をグループ化したことの成果を強調されていました。

質疑応答

Q.IR(見せ方)について

A.ご提言ありがとうございます。真面目にコツコツ良いものを作るだけでなく見せ方にも工夫するように努めます。

Q.M&Aのソーシング(対象企業の選定と交渉)とPMI(合併後の統合プロセス)について

A.一番多いのは地銀からの情報。独自で実施する場合もあるが良い案件は少ない。

PMIは基本的に自社で実施している。

Q.DX化の推進について

A.DXの重要性は認識しているが、今はマーケティング機能の拡充に注力していきたい。

Q.ガバナンス強化について

A.本社は上場していることもあり一定以上のガバナンスは維持しているが、経営を委託している二十数社の子会社については強化していく必要性があると認識している。

決議事項

●定款一部変更の件

●取締役に対する譲渡制限付き株式付与のための報酬決定の件

●補欠監査役1名専任の件

拍手を持って賛成・可決されました。

辞任する取締役の紹介

辞任する取締役の紹介がありました。

株主から拍手が送られました。

⑵ 株主還元    

配当

なし

株主優待

2月は300株以上、8月は2500株以上の保有の株主に対して自社グループ製品が送付されるとのことです。 

【2023年に頂いた株主優待

【TKP新橋カンファレンスセンター前のツツジ】  

              

3 株主としてのコメント

⑴ 気に入っていること

社長の総会の議事運営が丁寧であり、かつ真摯な態度に好感が持てました。

後継者不在問題に取り組む会社の姿勢も支持できます。

「中小企業プラットフォーム」という仕組みも優れたものと考えます。

年単位で考えたときに、将来が楽しみとなる会社です。

⑵ 気になっていること

『地域の美味しいを守り、育て、海外へ』というビジョンは希少性があり共感できます。

また、成長戦略としてM&Aによる欠落機能の補完、具体的にはONE STORY子会社化によるマーケティング強化は上手な一手だと思います。

ただし、オペレーションレベルとなると本社事業27名では、ちょっと少ないように感じました。

マーケティングもデジタル化も大事なのは分かっていても、限られた経営リソースでは優先順位づけをせざるを得ないという社長の発言もそのことを物語っています。

そこがクリアになれば、市場や投資家からの評価も見直され、株価の長期下落トレンドからも脱却できると予測します。

【TKP新橋カンファレンスセンターの1階の様子】

4 まとめ

ヨシムラ・フード・ホールディングスについて述べてきました。

ビジョン戦略は悪くなくても経営資源(主に人の数)の少なさからオペレーションレベルで苦労していることが市場や投資家からの人気のなさにつながっているように思えました。

けれどもこの先、健全な経営のもと、人員が増え、恒常業務に加えM&AやPMIのノウハウが積み上がり、弱みであるマーケティングやデジタル化が補完・推進されれば、非連続的な成長もあり得るように感じました。

末長く会社の成長を見守っていきたいと思っています。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

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