こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

楽天【4755】について〜株主総会雑感(京セラとの比較)

初投稿:2024.4.5

こんにちは!

この記事は、楽天【4755】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

・携帯電話代を下げるという大義名分についての考察

三木谷社長と稲盛社長の違いは?

【目次】 

楽天本社】

                      

1 楽天について

⑴ 会社概要

ネット通販で有名ですが、金融、旅行など総合路線と四季報では記載されています。

19年に参入した携帯電話事業が経営に大きな影響を及ぼしており目が離せません。

ただし、株価は少しずつ上昇に転じており非常に興味深い会社でもあります。

売上高約2兆円、総資産約22兆円、時価総額約1.8兆円の事業規模。

会社の付加価値(のれん、ブランド力)を意味するPBRは2.21倍です。

企業理念 

イノベーションを通じて人と会社をエンパワーメントする」

ことがミッションとあります。

ビジョンとしては

「グローバルイノベーションカンパニー」であり続けるとのこと。

感覚的には力強く感じます。

セグメント

沢山の事業を手掛けてますが、3つのセグメントに区分されており分かりやすいです。

⚫️インターネットサービスセグメント

⚫️フィンテックセグメント

⚫️モバイルセグメント

⑵ 株主になったきっかけ

サイバーエージェント株主総会で、藤田社長が楽天への出資について強気な答弁をしていることから関心を持ち2023年末に株主となりました。

⑶ 経営分析

収益性

売上高営業利益率(10%以上は優良株):営業赤字

営業赤字が4期連続、当期利益の赤字が5期連続続いています。

楽天モバイル事業の影響ですが、前期に比べて赤字幅が縮小している点が救いです。

また、売上高が伸びている点ではビジネスモデルが優れていると考えます。

安全性

自己資本比率(30%以上が望ましい):5%

財務的いは厳しい状況が続いています。

効率性 

・有形固定資産回転率:1.63

”サービス業”としては低いと思います。

1.2兆円以上の有形固定資産があるとは意外でした。

モバイルの基地局なども関係しているのでしょうか?

ちなみにNTTの有形固定資産回転率も1.35です。

【本社入口にて】

2 株主総会

⑴ 株主総会

第27回定時株主総会2024年3月28日(木) 楽天クリムゾンハウス(本社)

多くの株主が縦長の部屋に集っていました。

聞いたところそれまでホテルでやっているよりも2倍ぐらいの株主が集ったようです。

主な質疑応答

【事前】

Q.財務戦略について

A.楽天銀行楽天証券を売却してモバイル事業関連の財務負担を軽減できる見通しはたった。

今後も、社債償還を適切に進め、規律ある財源コントロールに努める。

Q.株主還元について

A.配当は無配とさせて頂く。

楽天モバイル株主優待の申込期限は明日までですのでお忘れなく。

Q.楽天モバイル事業について

A.当社の参入前は、携帯料金が上昇を続け家計の7〜10%が携帯代となっていた。

当社の参入により携帯代が20%下り、家計として4兆円が別のことに使えるようになった。

モバイル事業は固定費を超えると利益が飛躍的に伸びるので数年後の実現を目指している。

また、モバイル事業を通じた他事業とのシナジーの最大化を実現させていく。

特にAI事業に注力していく。

AIは野菜のようなもので、肥沃な土壌(生データ)が大切。

当社は生データに恵まれているとともに、英語を公用語にしたため外国人のAIに優れた人材を多く採用している。

その強みを活かした事業戦略を展開していく。

【決議事項への質問】

Q.副社長が多いことについて

A.70以上の事業を展開していることから副社長は必要。

Q.フラットな組織について

A.当社はフラットな組織と考える(例えば、月曜日の全社的なミーティング?)。

Q.社外取締役は他の企業との兼務が多くお飾りになっていることについて

A.社外取締役はしっかりと職責を全うしている。

Q.監査役が22年も勤めていることについて

A.監査役は公平公正に職務を全うしている。

【会場】

Q.スコアリング制度について

A.中国のスコアリング制度と当社の事業とは異なる。

法令を遵守しつつ、例えば、信用システムについては”支払いの良さ”などの活用を図っている。

Q.株価について

A.楽天カードの時も最初は苦労した(1日の契約数が50名)。

それに比べると楽天モバイルはずっと良い。

中・長期的に株価に対して自信と覚悟は持って経営に取り組む。

Q.AIは人間を乗っ取るのか?

A.AIは予想モデルであり、人間のように物理的なことは苦手である。

反対に医療現場の画像診断のように得意な分野もある。

AIの進化は止められない。

ガイドラインに従いつつ安全に使っていく。

Q.剰余金処分の件を議案にしないで無配にすることについて

A.法令に則って剰余金処分の件は取締役会で決めさせていただいた。

Q.楽天リンクについて

A.LINEが強いが、地道に頑張る。

Q.(20年間株主総会に参加している株主から)金利上昇等の金融環境の変化の影響について

A.当社のキャッシュフローは改善されつつある。

モバイル事業への投資もひと段落した。

今後のプラチナバンドへの投資については仮想技術を用いれば巨額になることはない。

将来的には無借金経営を目指す。

Q.事前の質問に全て答えない、ネットに掲載しないのは何故か?

A.多くの質問を頂いているので、その中で多い質問について優先的に回答している。

決議事項

事前の質問→決議事項の説明&採決→報告事項等への質問というユニークな議事の運営でした。

・定款一部変更の件

・取締役12名選任の件

監査役2名選任の件

拍手を持って承認・可決されました。

なお、新任者については紹介されています。

⑵ 株主還元    

配当

1株配当実績は下記の通りです。

モバイル事業の影響により無配はやむを得ないと考えます。

・2023年12月期:0円

・2022年12月期:4.5円

・2021年12月期:4.5円

・2020年12月期:4.5円

・2019年12月期:4.5円

株主優待

楽天モバイル」の音声+データプラン(30GB /月)を無料にて提供(1年間)

【総会会場最寄りの二子玉川駅

                

3 株主としてのコメント

⑴ 気に入っていること

当初、株主優待の申込期限が3月29日であることを知りませんでした。

株主総会三木谷社長から

”明日まで”

と教えられ、直ちに総会会場で申し込みをしました。

三木谷さん、ありがとうございました。

ちなみに、通知書では

株主優待の申込受付期限は、専用サイトをご確認下さい。”

という謎の記載でした。

また、三木谷社長話(クチ)が上手いです。

さすがは楽天の創業者です。

特に、

”AIは野菜”

との例えは秀逸でした。

”ジジイ殺し”

として財界の大物からも可愛がってもらったという評判も納得です。

ただし、株主総会の幕引きのように、多少の強引な面も感じられました。

⑵ 気になったこと

”携帯電話代が下がったのは楽天の参入のおかげという話は本当か?”

と気になりました。

確かに要因の一つではあると思います。

ただし、携帯電話代が下がった一番の要因は菅前首相(元総務大臣)の政治力だと考えます。

当時、日本の携帯代が7千円の時、欧州が4千円だったことから、

”日本の携帯代は4割下げられる”

と発言しリーダーシップを発揮したと記憶しています。

そこはやはりいい意味でも悪い意味でも官の主導が大きかったと考えます。

さらに、

”世のため人のため”

という大義名分を考えるなら京セラ創業者である稲盛和夫氏との比較が興味深いと思います。

京セラの社長である稲盛氏は過去に

・NTTと競争する会社が必要→KDDIの設立

ANAと競争する会社が必要→JALの再建

を実施しています。

その際、

”世のため人のため”

という大義名分に意気を感じて多くの支援が集まったと著書では述べられています。

少なくとも、それにより京セラの経営が今の楽天のような状況にはならなかったと記憶しています(もちろん、リスクはありましたが)。

それに対して、楽天の場合は、サイバーエージェントの藤田社長の出資があったぐらいで、楽天を積極的に応援しようとする企業の動きはほとんどなく、楽天証券楽天銀行を売却せざるを得ない状況にまで追い込まれました。

さらに、YouTubeでは楽天の経営危機を煽ることでPVを稼ぐ著名ユーチューバーが溢れています。

稲盛さんの大義名分と三木谷さんの大義名分では、やはり何か本質的に異なるものがあるように思えてなりません。

個人的にこれからもこの”問い”について極めていきたいと思います。

4 まとめ

楽天について述べてきました。

初めての株主総会へ参加しましたが沢山学ぶことがあり有意義でした。

三木谷社長のリーダーシップ、イノベーションを重視する理念、モバイル事業の行方、AI事業の成長ストーリーなど関心事は山盛りです。

今後も楽天に注目していきたいと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。

なお、経営分析においては下記の書籍を参考にしています。

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

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