こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

Jトラスト【8508】〜株主総会雑感(いろいろな株主)

初投稿:2024.4.9

こんにちは!

この記事は、Jトラスト【8508】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

・金融事業についていろいろ学べる

・個性豊かな株主

【目次】 

株主総会会場前の眺望】

                      

1 Jトラストについて

⑴ 会社概要

四季報では保証、債権回収、アジアの銀行等で構成する金融グループとあります。

テレビのCMで「・・・H、I、JTB証券🎶」もグループ企業です。

売上高1142億円、総資産1750億円、時価総額616億円の事業規模。

会社の付加価値(のれん、ブランド力)を意味するPBRは0.41倍と低評価です。

企業理念 

下記の企業理念が掲載されています。

Jトラストらしさというか、金融事業に限らず、どの企業でも通じるような内容に思えて仕方がないのですが・・・。

「お客様のため、株主様のため、私たち自身のため、いかなる時も迅速に、誠実にチャレンジし続け、皆様とともに世界の未来を創造します。」

なお、行動理念は下記のとおりで企業名の由来はよく理解できました。

J:Justice(公正)

T:Teamwork(組織力

R:Revolution(革新性)

U:Uniqueness(独自性)

S:Safety(安心)

T:Thankfulness(感謝)

セグメント

・日本金融事業

・韓国及びモンゴル金融事業

・東南アジア金融事業

・不動産事業

・投資事業

・その他の事業

⑵ 株主になったきっかけ

株主優待の拡充のニュースがきっかけとなって関心を持ちました(実際は使えていませんが)。

12月決算企業であり、株価もお手頃価格だったことから2023年末に株主となっています。

⑶ 経営分析

収益性

売上高営業利益率(10%以上は優良株):7%

収益性は少し物足りない気がします。

ただし、ここ数年間で赤字から黒字へと転換していることを踏まえると良い方向に向かっている面もあると考えます。

安全性

流動比率(100%以上が望ましい):326%

自己資本比率(30%以上が望ましい):72%

短期的にも中・長期的にも問題ありません。

むしろ、資本の効率化が求められるレベルだと思います。

効率性 

・有形固定資産回転率:672.91

高い数値で、有形固定資産については効率的な経営がなされていると考えます。

金融グループらしく、土地や建物にはミニマムなコストを徹底しているようです。

【案内板】

2 株主総会

⑴ 株主総会

第48回定時株主総会 2024年3月26日(火)恵比寿ガーデンプレイス

雨の中の株主総会でした。

受付で傘を預かっていただくご配慮は良かったと思います。

社長から増収増益である旨の事業報告と、不動産事業は新セグメントとしたことの説明がありました。

主な質疑応答

Q.ゼロ金利解除の影響について

A.日本金融事業において、貸出補償業務については価格転嫁が可能。

金利水準は多少上がる程度なので現状ではあまり影響はない。

また、海外においては円安の影響は認識している。

Q.詐欺事案について

A.事案については裁判中であり、かつ、世界各国で対応中である。

ご心配をおかけして申し訳ない。

社長が暴走しないような取締役によるチェック体制は構築している。

シンガポールに拠点を持つ悪意を持った粉飾決済集団にうまくやられてしまい、現在は回収中である。

同じ失敗はしないように心がけるが、チャレンジは必要と認識している。

Q.韓国金融事業の苦戦について

A.3年前までは順調だったが、米国の金利上昇に伴い厳しい状況が続いている。

貸倒引当金には悪材料を十分織り込んでいる。

Q.株主還元について

A.自社株買いを積極的に実施しており、それらは償却する予定である。

サラリーマン富裕層ではなく、数十億円の富裕層については宝塚のチケットなども有効と考える。

日本的な優待も大切にしつつ試行錯誤をしている。

成長と還元のバランスを大事にしていく。

Q.動画IRについて

A.悩みながらやっている。

四半期決算については財務担当が、本決算については社長が対応しているがコストも考慮しつつ検討を続ける。

Q.プライム市場への以降について

A.子会社の上場も含め様々な検討を実施している。

Q.韓国事業について

A.副社長が韓国で頑張ったので大丈夫。

後任の韓国人はコンサバティブな人物で日本人にはできないような大胆なリストラ等を断行しており立て直しに注力している。

Q.優待の変更が株価に与えた影響について

A.優待については試行錯誤をしている。

楽天ポイントも試したが配当と変わらない。

オリーブスパは人気がある。

宝塚に着目しているが満席を確保することへの対応が求められる。

いずれにしても人気があって定着すれば良いと考える。

Q.3号議案(譲渡制限付株式報酬制度改定)について

A.お金のない会社のストックオプションではない。

譲渡制限付きなので退社するまで譲渡できない。

Q.インドネシア事業について

A.(担当者より)インドネシア勤務5年で大きな赤字にならない状態になった。

46の支店をサポートできる体制を整えている。

ジャカルタが沈む懸念から首都移転としてジャングルを切り開いている。

ジャカルタでは上位3%の財閥から友情と信頼を通じて預金を獲得することが重要。

100兆円の預金の7割を大手5行が独占し、残りの3割を100行が争っている状態。

当社はMUFGと組んで対応している。

2040年には日本を超える予想もある。

日本の地銀もインドネシアを目指しており、当社がサポートすることが最適と考えるメガバンクのサポートは顧客を奪われる懸念がある)。

Q.タイ事案(21年償還期限の140億円)について

A.20年の償還期限のものは全て回収。

21年については回収中(140億円相当の資産(現金や不動産)があることはかなり把握している)。

時間はかかってるが、シンガポールのみならず現地国で、これまでの回収のノウハウを活かしつつ対応を進めている。

Q.裁判を早期に終わらせることについて(和解)

A.詐欺師とは逃げ回ることしか考えていないので、和解しようにも話し合いが成立しない。

よって攻めるしかない。

Q.当社の株式を7%保有する韓国企業について

A.基本的に会話はないが、パチンコガイアの件では手伝いたい旨の連絡があった。

Q.PBR1倍割れ対策について

A.配当や自社株買いも含め業績をアップさせるよう社員一丸となって対応していく。

Q.自社株買いの株式について

A.大半は償却するが一部は役員報酬に利用する。

Q.平等に使える株主優待について

A.QUOカード楽天ポイントでは実質配当と変わらない。

株主分布を考えながら試行錯誤していく。

Q.子会社のKeyHolderとのシナジーについて

A.コンテンツ事業と金融は親和性が高くシナジー効果があると考える。

具体的には高島彩さんのCM登用などがある。

富裕層に対するアピールとしてコンテンツを持っておくことは重要。

さらにKey Holderを強化していきたい。

Q.コンテンツ事業と金融事業の親和性が理解できない

A.おそらく社長の考え方はマイノリティだと思うが、そのマイノリティの考え方で事業をここまで成長させてきた。

Q.3号議案で2億円を5億円に拡大することについて

A.来年の総会後のことであり、そのタイミングでインドネシアで頑張った人たちの労を労いたいと考えている。

なお、枠は拡大するが必ずしも5億円全額使うというわけではない。

あくまで、利益が上がった場合に上げられるようにするものである。

ちなみに、2億円の枠でも半分しか使っていない。

決議事項

・取締役9名選任の件

監査役2名選任の件

・取締役(社外取締役を除く。)に対する譲渡制限付株式報酬制度改定の件

拍手を持って承認・可決されました。

⑵ 株主還元    

配当

1株配当実績は下記のとおりです。

業績に配当金が左右されているようです。

・2023年12月期:14円

・2022年12月期:10円

・2021年12月期:1円

・2000年12月期:0円

・2019年12月期:1円

株主優待

DSクリニックで使用可能な3万円分の金券

自社株買い 

保有していたほとんどの自社株(938万株)を2024年2月末で償却と報じられています。

3月以降、さらに400万株、20億円を上限に自社株買いを実施する計画があるとのことです。 

【ガーデンホール前の眺望】 

               

3 株主としてのコメント

⑴ 気に入っていること

初めて株主総会に参加し、当社のみならず金融のこと、詐欺のこと、インドネシアのこと、コンテンツビジネスのことなど幅広く学ぶことができました。

また、詐欺にあったこと、IR動画を悩みながらアップしていること、株主優待で試行錯誤中であることに対しても真摯に答えていた社長の姿勢には共感が持てました。

金融の世界にはいろいろな落とし穴があるようですが、それを承知でチャレンジを続ける事業展開に期待したいと思います。

⑵ 気になっていること

株主総会で、詐欺被害にあったことを責め立てる質問、債権の回収状況についての連続質問、子会社の売却を迫る発言などがありました。

反対に、インドネシア事業のディープな現実を知る担当役員の苦労話を引き出すような要望や事業展望に対する建設的な提言もありました。

いろいろな株主が集っていることが興味深かったです。

ただし、一部の株主の発言に社長が熱くなり事務局からサポートが入る場面がありました。

ビジネスではいかなる事態になろうとも冷静でいることの重要性を再認識しました。

4 まとめ

Jトラストについて述べてきました。

株主優待の金額に釣られて株主になりましたが、当社の今後の事業展開に関心を持っています。

基本的には金利がつく時代を背景に国内の事業については堅調に推移すると思いますが、資源や人口が多いインドネシアでの事業が期待通りに収益を上げるかどうかは正直、良くわかりません。

そのような、さまざまな要素がごっちゃ混ぜになったある意味、”カオス”のような部分も含めて株主として当社を注視していきたいと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。

なお、経営分析においては下記の書籍を参考にしています。

 

   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

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