初投稿:2023.8.29
こんにちは!
この記事は、佐鳥電機【7420】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
・物売りから事売りへ
・バーチャルオンリー株主総会への懸念
【目次】
【株主総会の会場となったベイサイドホテル アジュール竹芝】
1 佐鳥電機について
⑴ 会社概要
売上高1463億円、総資産815億円、時価総額279億円の事業規模。
会社の付加価値(のれん、ブランド力)を意味するPBRは0.76倍です。
市場からの評価は芳しくありません。
企業理念
企業理念等は下記の通りです。
よく考えているとは思いますが、少し表現が冗長で社員の方にどこまで浸透しているのかちょっと気になりました。
Visionとはある意味、社員の方の創造性発揮の源泉だと考えていますが、「サステナビリティソリューションカンパニー」についての様々なアイデアがボトムアップされることを期待します。
⚫️Mission
エレクトロニクスを通じて、豊かに満ち溢れた幸福を希求し、グローバルにより良い会社の実現と発展に貢献します。
⚫️Vision
産業、インフラ、モビリティ業界に対する深い知見を生かし、IoTとデータアナリティックの技術力を成長度ドライバーにして、お客様と社会課題を解決する「サステナビリティカンパニー」を目指します。
⚫️Value
「Who is The First Penguin?」
顧客や市場のウォンツをいち早くキャッチし、自らビジネスモデルを創造します。
常に多様な意見を取り入れ、常に変革を求め、常にプロフェッショナルとして、「個の成長」と「集団の成長」を実現します。
そういう人を佐鳥は大切にします。
セグメント
セグメントを2つから4つに変更したとのことでした。
これにより、収益の柱がより大きくなることを期待します。
・産業インフラ事業
・エンタープライズ事業
・モビリティ事業
・グローバル事業
⑵ 株主になったきっかけ
5月に決算企業、高配当株、半導体の業績に明るいものを感じて1年前に株主になりました。
含み益もあり好調に推移しています。
⑶ 経営分析
収益性
・売上高総利益率:8%
・売上高営業利益率(10%以上は優良株):2%
収益性は高くはありません。
会社の業績説明や質疑応答から、物売りから事売りにビジネスモデルを変換していく過程において、収益性を向上させていくとのことでした。
安全性
・流動比率(100%以上が望ましい):180%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):43%
短期的にも中・長期的にも顕著な問題はないと考えます。
ただし、TOBの実施など資本政策については注意を要すると考えます。
効率性
・有形固定資産回転率:48.71
全業種及び卸業との比較においても顕著な差異はなく平均レベルの効率性と考えます。
ちなみに、同じく半導体商社の菱洋エレクトロニクスの有形固定資産回転率は一桁良かったと思います。
【株主総会の案内板】
2 株主総会等
⑴ 株主総会
2023年5月期 定時株主総会 2023年8月23日(水)
ベイサイドホテル アジュール竹芝14階「天平」
受付にて冷えたお茶をいただきました。
主な質疑応答
【事前】
Q.インド戦略について
A.インド市場は成長は著しいが、難しい市場であもる。
SMエレクトロニクス社を通じて事業展開していく。
まず、2輪、3輪を中心に初め、将来的には技術力を活かした事業に繋げていきたい。
Q.株主還元について
A.TOB(自己株式の公開買い付け)を行ったことは資本効率を向上させるためである。
配当性向は50%とし、業績連動型としている。
Q.新人事制度について
A.サステナビリティソリューションカンパニーになるための制度改革である。
社員にとって時代にあった働きやすい職場環境を作っていく。
A.対面の株主総会が恒久的になされないというのは、誤った認識である。
恣意的な運用はせず、株主の権利を守っていく。
【会場】
Q.サイバーセキュリティについて
A.情報セキュリティ基本法と個人情報保護法に基づき、所要の処置を講じている。
具体的には、ファイアーウォールの導入、クライアント&サーバー方式のPC、データの暗号化などを徹底している。
Q.当社の過去の議事録を確認する際、コピー機の持ち込み等で大変苦労した
A.不快な思いをさせてしまい申し訳ないが社内規定に従ったものでご理解いただきたい。
Q.RIC(ガバナンス関連の指標?)の開示と市場との対話をもっと重視して欲しい
A.貴重なご意見として承った。
Q.スライドの株主数と招集通知の株主数の差は
A.スライドは議決権を有する株主(単位株)であり、招集通知は単位未満を含む株主数である。
Q.2030年の成長ドライバーたるデータアナリティクスの社員とは?
A.勘や経験に頼らずデータに基づく仕事をしていこうという趣旨である。
具体的な社員の人数までは把握していない。
Q.収益性の向上策について
A.成長していく市場(モビリティ、産業インフラ)にリソースを重点投資していく。
併せて”物売り”から”事売り”へビジネスモデルを転換することにより収益性向上を目指す。
具体的な目標値については、2026年中期経計画の中で示したい。
Q.女性役員の活躍について
A.東証から2030年までに取締役の3割を女性にするというハードルの高い要請を受けて対応している。
現在、生え抜きの女性社員が執行役員として子会社の社長として勤務している。
Q.株主数について議決権を有するものとそうでない者の過去の数値の2割の乖離について
A.調査の上、回答する。
Q.女性専用のスペースについて
A.トイレや更衣室は別であるが、就業スペースについては業務の活性化等の理由で専用スペースは設けていない。
Q.チャイナリスクについて
A.サプライヤーや顧客の中で中国離れが生じていることは承知している。
一方で、成長率が高く、地場で取り組まれているビジネスとも考えている。
当社は中国を離れても顧客のサポートを継続できるよう柔軟に対応していく。
Q.投資有価証券の売却について
A.事業に関係している企業の株式を保有している。
今回の売却は、関係が希薄化している会社4社の株式を売却したものである。
今後も、保有株式の見直しを図り、取締役会の決定をへて所要の売却を実施していく。
Q.大株主である加賀電子との関係について
A.純投資である。
仕事上の深い取引はない。
Q.修正動議(1号議案について、「場所を定めて実施することが困難な場合」を追記)
A.承知した。
A.他社に関することなのでコメントは控える。
決議事項
・定款一部変更の件
・取締役5名選任の件
拍手を持って、承認・可決されました。
修正動議については否決。
⑵ 株主還元
配当
1株配当実績は下記の通りです。
・2023年5月期:70円
・2022年5月期:62円
・2021年5月期:30円
・2000年5月期:38円
・2019年5月期:38円
業績連動型なのでブレがあるのはやむを得ないかもしれません。
ただし、同じく業績にブレのあるNTTデータなどは過去5年間の業績の平均に連動させることにより安定性を重視しています。
株主優待
なし
【株主総会会場でいただいたお茶】
3 株主としてのコメント
⑴ 気に入っていること
一番感心したのが物売りから事売りへのビジネスモデルの転換の方針を出していること。
日立製作所などがその代表ですが、進むべき方向としては正しい選択だと思います。
ただし、組織文化を含め社内がどれだけ変われるかについてはよくモニターしないといけないと思います。
⑵ 気になっていること
やはりバーチャルオンリー株主総会を可能にする定款変更は気になりました。
動議を提出して反対した株主程ではありませんが、当社の印象が明らかに低下しました。
バーチャルオンリー株主総会の定款を変更した会社であっても
「・・・来年以降も、対面の株主総会を実施する予定だが、将来パンデミックが生じた事態に備えるものである。・・・」
のような、補足説明がされることが大多数でした。
今回、議長からそのような説明もなかったため、下手をすると来年以降、ずっとバーチャルオンリー株主総会になりかねない懸念を持ちました。
【14階「天平」からの眺望】
4 まとめ
佐鳥電気について述べてきました。
配当も良く業績もこれまでのところ順調に推移してきました。
さらに、物売りから事売りへのビジネスモデルの転換も期待できます。
ただし、PBRが低いということや株主総会でバーチャルオンリー株主総会に対して動議が提出されるなど、ステークホルダーとの関係の改善余地もありそうです。
業績の変動が大きい業界であることも踏まえ、注意深く株価をモニターして行きたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
なお、経営分析においては下記の書籍を参考にしています。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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