こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

東芝【6502】〜株主総会雑感(残念)

初投稿:2023.7.17

こんにちは!

この記事は、東芝【6502】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

・経営再建の成否を分けるもの

・アクティビストの功罪

【目次】 

東芝本社と建設が進むツインタワー】

                    

1 東芝について

⑴ 会社概要

売上高3.3兆円、総資産3.5兆円、時価総額1.9兆円の事業規模。

PBRは1.56倍と高くはありませんが、トヨタの1倍未満などに比べればそれなりの評価がなされていると考えます。

四季報では総合電機と位置付けられ時価総額順位は4/5との位置付け。

不正会計や米国原発事業の巨額損失で経営危機にさらされています。

企業理念 

人と、地球と、明日のために

CMでお馴染みの企業理念です。

でも、よくよく考えればちょっと抽象的すぎる理念のようにも思えます。

東芝の存在意義や価値観も同様に抽象的です。

よって、もう少し具体的なことが戦略やオペレーションレベルで明確になっていないと、理念だけが一人歩きしてしまう懸念があるようにも感じました。

例えば、価値観として

誠実であり続ける

と謳われていますが、粉飾決算を行ったことを考え合わせるとこの企業理念は役員や社員の心に響いていなかったと言わざるを得ません。

企業理念の役割について考えさせられました。

セグメント

セグメントは下記の7つとなっています。

バランスが取れた事業ポートフォリオと考えます。

( )の数値は売上高構成比です。

・エネルギーシステムソリューション(16)

・インフィラシステムソリューション(18)

・ビルソリューション(17)

・リテール&プリンティングソリューション(13)

・デバイス&ストレージソリューション(24)

・デジタルソリューション(6)

・その他(6)

⑵ 株主になったきっかけ

経営再建を期待して1年前に購入しました。

けれども、株価は低迷。

さらに今回のTOB価格4620円は買値を下回っています。

⑶ 経営分析

増収・減益となっています。

収益性

・売上高総利益率:26%

売上高営業利益率(10%以上は優良株):3%

収益性は高いとは言えません。

けれども、三菱重工業IHIのような重厚長大な製造業と比べてもそれほど悪いわけではありません。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):151%

自己資本比率(30%以上が望ましい):38%

短期的にも中・長期的にも安全性が問題があるレベルではないと考えます。

ただし、経営は迷走中です。

効率性 

・有形固定資産回転率:3.39

これも、同業他社と同レベルと考えます。

ラゾーナ川崎

2 株主総会

⑴ 株主総会

第184期定時株主総会 2023年6月29日(木)ベルサール高田馬場

ライブ配信を視聴しました。

各事業の概要のビデオが長々と上映されていたのが印象的でした。

2時間半ぐらいの時間で質問もたくさんありましたが、建設的な質問は3つほどで少し寂しく感じました。

主な質疑応答

【事前】

Q.社外取締役が多いことについて

A.(指名委員会の議長から)監督を強化するため。

Q.公開買付価格が安すぎることについて

A.将来性を考えると妥当と考える。

Q.社員の雇用について

A.リストラは前提としていない。

Q.何故、無配なのか?

A.総合的に判断した。

Q.キオクシア株式の還元について

A.公開買付価格に反映済み。

Q.風力発電について

A.陸上では福島、秋田、銚子等順調に推移している。

洋上については2026年から開始する。

Q.フィルム型ぺロブスカイト太陽電池について

A.2025年の実用化を目指す。

Q.過去の経営者に対する責任追及について

A.西田氏、佐々木氏、村国氏、久保氏に対して任務懈怠で裁判中(高裁)。

Q.国や東電への賠償請求について

A.法的請求をする根拠が存在しない。

Q.社員の解雇撤回について

A.所用の手当を支給しつつ、職場復帰を支援中。

【会場】

Q.役員の20億円という報酬の高さについて

A.同業他社を参考に決めた。

Q.(パワハラで退職した30年間当社に勤務した元社員から)職場環境の改善について

A.申し訳ない。

内部通報制度を通じて改善に努める。

Q.創業者(藤岡さん)が嘆いているのでは?

A.社員が誇りに思えるようなニュースを出せるよう努める。

Q.自衛隊向け装備品の今後について

A.防衛関連の仕事は長くしてきており、特にレーダーや誘導弾に実績がある。

今後も貢献すると共にアピールできるものは積極的にしていく。

Q.(解雇された元社員から)良い人事制度を作ってほしい。

解雇は有効であると裁判を通じ明らかになっている。

Q.非公開化で会社が良くなるとは思えない。

A.非公開かで会社を良くするよう努める。

Q.”不確かさ”と”誤差”の違いを認識しデータの正しさを把握してほしい。

A.承知した。

Q.川崎駅前の東芝館を見て感動した。頑張ってほしい。

A.貴重なご意見ありがとうございました。

Q.ビジネスライクのジャッジによる非公開化は問題では?

A.貴重なご意見、ありがとうございました。

Q.20億円の報酬についてどう感じているか?

A.同業他社を参考に決めた。

米国に比べると半分程度の報酬で安い。

Q.(解雇が無効とされた株主から)もっと手当を払ってほしい。

A.休職中であることから、賃金ではなく休業補償をお支払いしている。

Q.中部電力との関係について

A.国が推進しているGXを踏まえ、サポートを継続していく。

Q.非公開化を選択した基準は何か?

A.金額のみでなく、長期的な企業価値向上が重要と考えた。

併せて、国防等との関連から実行可能性を考慮している。

Q.スキルマトリックス財務会計に強い役員に変重しているのでは?

A.資本(リソース)配分に重点を置いたため。

Q.原子力安全条約関連で5兆円がもらえるのでは?

A.貴重なご意見、ありがとうございました。

Q.不適切な会計と粉飾決算の違いについて

A.言い回しはともかく、米国会計基準に合わない事ということで認識している。

Q.TOBに応じない株主はどうなるのか?

A.TOB成立後は、株式売払い請求、又は株式併合という手続きがなされる。

Q.経産省の影響を理由に外された車谷さんが経営していた方が良かったのでは?

A.経産省からの影響はなかったと考える。

Q.東芝の現在の状況を考えると同業他社の普通の状態と同じに考える役員報酬には無理があるのでは?

A.役員報酬は適切であると考える。

Q.再上場について

A.経営再建には時間がかかるが再上場の可能性はある。

決議事項

挙手を持って採決がなされましたが、会場の株主映像が配信されませんでした。

恣意的かつ不適切なライブ配信だと思います。

おそらく大多数の株主は手をあげなかったのだろうと思います。

それでも、事前に大株主からの同意を得ていたということで承認・可決されました。

これでは、ステークホルダーのベクトルはバラバラだと言わざるを得ません。

ただし、散会に際して会場から拍手がありました。

何に対する拍手だったのか、ちょっとだけ気になりました。

⑵ 株主還元    

配当

1株配当実績は下記の通りです。

・2023年3月期:220円

・2022年3月期:220円

・2021年3月期:80円

・2020年3月期:20円

・2019年3月期:30円

・2018年3月期:0円

2015年の粉飾決算の影響で、2018年まで無配でしたが、2019年に復配。

コロナショックで経営が苦しい中であっても著しい増配がされてきました。

これは、アクティビストの要求によるものではないかと推察します。

株主優待

なし 

東芝の本社方面】

                

3 株主としてのコメント

何が経営再建の成否を分けるのか?

経営再建は様々な会社でなされますが、うまくいく場合とそうでない場ありがあります。

その違いを生む違いは何なのでしょうか?

例えば、うまくいった例としてはJALソニーが挙げられます。

JALは2010年に倒産しましたが、稲盛会長のもと経営再建がなされ、2年後には再上場を果たしています。

上場廃止に至った会社が再上場する確率は10%未満と言われていますので、その意味でもJALの経営再建は大成功だったと言えると思います。

ソニーについても『ソニー再建』を通じて、選択と集中を徹底することで赤字体質から見事に経営再建がなされている様子が伺えます。

東芝に関しても、昭和40年の経営危機において土光会長が辣腕を発揮することで翌昭和41年に再建を果たした実績を持っています。

それらに比べると、今回の経営再建については、将来のビジョンが見えない、長期間かかることが予想されるなど、あまり明るい材料が見つかりません。

それは、今回は経営再建する人物の”顔が見えない”ということが大きく関係していると考えます。

取締役の渡辺氏、島田氏・・・?

ちなみに渡辺氏はGCA上場廃止にしており当社の株主だった自分にとっては応援していただけにその経営手腕に疑問を持っています。

島田氏も議事進行を拝見する限り、株主の心を掴むような力量があるかどうかは疑問です(例えば、オリックスの社長の株主総会での答弁はちょっと抜きん出ています)。

経営再建は多くのステークホルダーのベクトルを合わせる必要があり、その意味でも経営再建の中心人物の顔が見えることは必須の要件です。

今回の経営再建の先が見えないのは、多くの方が

信頼して任せよう!

と思われるような経営者の不在によるものと懸念しています。

アクティビストの功罪

個人的には、アクティビストに対してネガティブなイメージはそれほど強くありません。

むしろ、自分も微力ながら会社が良くなって欲しいと、株主総会で質問したりしています。

けれども、今回はアクティビストの意見が強すぎて経営が迷走してしまったと考えざるを得ません。

改めて、企業経営においてルールを守りつつ緊張感を持って守りを固めることの大切さを痛感しています。

4 まとめ

東芝について、述べてきました。

多くの株主のコメント同様、今回の上場廃止残念でなりません。

経営危機は多くの会社に訪れますが、その再建の成否を左右するのは、中核となって粉骨砕身する”顔の見える”経営者だと思いました。

量子コンピュータの分野など世界最先端の技術を有し、防衛装備品等も生産する重要な会社なので、その復活を願って止みません。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

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