こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

JFEホールディングス【5411】〜株主総会雑感

投稿日:2022.7.5

こんにちは!

この記事は、JFEホールディングス【5411】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

・PBR=0.4

・経営スピードの遅さ

★★★

【目次】 

株主総会の会場となった帝国ホテル】   

                    

1 JFEホールディングスについて

⑴ 会社概要

粗鋼生産国内2位の会社。

総資産5.2兆円、売上高4.3兆円、時価総額8878億円の事業規模です。

PBRが0.4倍と非常にブランド価値が低く評価されています。

企業理念 

「常に世界最高の技術を持って世界の貢献する」

セグメント

下記3つの中核子会社から成り立っています。

JFEスチール

JFEエンジニアリング

JFE商事

⑵ 株主になったきっかけ

割安かつ高配当ということで2022年の年明けに購入しました。

期待通りの高配当をいただけましたが、株価は塩漬け状態です。

⑶ 経営分析

収益性

・売上高総利益率:15%

売上高営業利益率:9%

2期連続の赤字から黒字回復しています。

ただし、業界首位の日本製鉄に収益性の良さでは及んでいません。

この点について株主からの質問で会社の見解を伺うことができました(主な質疑応答をご覧下さい)。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):160%

自己資本比率(30%以上が望ましい):39%

財務面は問題となるレベルではありません。

しかし、安全性に関しても日本製鉄の方が良い数値となっています。

効率性 

・有形固定資産回転率:2.36

製造業の平均が3.22であることを考えると効率的な経営については平均値に至っていないと考えられます。

利益を生む有形固定資産を考えると構造改革が必要なレベルにあると見なすことができます。

【ホテル内の案内看板】

2 株主総会

第20回定時株主総会 2022年6月24日(金)帝国ホテル 孔雀の間

⑴ 株主総会

社長が司会のもと、2期連続の赤字からV字回復したことが説明されました。

事業報告の中で3つの事業について紹介。

そして、量から質への転換の重要性が強調されて審議へ。

主な質疑応答

Q.今後の中期経経営戦略の進捗について

A.構造改革による500億円生産性向上による500億円1000億円の積み上げを目指す。

Q.工場内のについて

A.工場内に住み着いた猫について保険当局と協力しながら適切に対処する。

Q.子会社3社の親子上場について

A.当局の指導に従い手続きをしている。JFEコンテナについては完全子会社化した。

残りの2社については競争を維持する観点から上場のままとする。

Q.川崎市池上町の不法占拠について(約3〜4名で同様の質問)

A.川崎市と協力しながら適切に対処している。

Q.PBRが1倍を切っている株価水準について

A.市場が当社の業績の安定性を見極めようとしているのではないか?

ROEなどの指標に着目しつつ適時IRを発出していく。

特に、カーボンニュートラルに関すること革新的な技術が今後を左右すると考える。

Q.配当性向30%にこだわらずに研究開発費に投じることについて

A.会社の基本方針として株主に報いることを大切にしていく。

Q.日本製鉄に比べ収益力が低い点について

A.日本製鉄の収益性は25%に対して当社は15%となっている。

原因は販売価格と固定費である。

対策として、販売価格の改善と構造改革による固定費削減を実施する。

Q.グローバリゼーション終了の影響について

A.鉄鋼市場で大きな変化が生じているが、中国からは手を引くことはできない。

Q.10年後を見据えた今後の組織体制について

A.(洋上風力発電の例を挙げ、)3つの事業のシナジーを追求していく。

現在は、事業構造を見直す時期ではない。

決議事項

・剰余金処分の件

・定款一部変更の件

・取締役8名選任の件

監査役3名選任の件

拍手を持って賛成・可決されました。

⑵ 株主還元    

配当

一株あたりの配当の推移は下記の通りです。

赤字の間も配当を継続したのはある意味、立派だと思います。

2022年3月期:140円

2021年3月期:10円

2020年3月期:20円

2019年3月期:95円

株主優待  

自社グループの会社説明会及び各製鉄所・事業所の工場見学の開催

【総会会場の様子】

                

3 株主としてのコメント

⑴ 事業分散の良さ

コロナ禍の影響で2期連続の赤字からV字回復を達成しています。

一般にリスク対応として、事業ポートフォリオの分散がなされます。

その意味で、鉄鋼事業、エンジニアリング事業、商社事業の3つがリスク分散に寄与しているのではないかと考えます。

併せて、会社が例に挙げた洋上風力発電のような各事業のシナジー効果が発揮されれば回復に弾みがつくと予想します。

⑵ ブランド力

PBRはのれんやブランド力などの無形の価値を意味します。

その点でJFE HDの0.4倍というのはブランド力の無さを物語っています。

また、PBRについてはエーザイがESG経営によって高めてきた取り組みが有名です。

ESGと言ってもJFEだより」に記された一般的な内容ではありません。

具体的にはエーザイが実施した、女性役員の登用、従業員の給与の見直しなどのことであり、今後のブランド力向上を意識した経営を望みます。

⑶ チャイナリスク

米中対立、ロシア制裁、中国の不動産バブル崩壊やロックダウン等のチャイナリスクが高まり続けています。

社長からは、中国から簡単に手を引くことは出来ないという発言もありました。

グローバル4拠点として、いまだに中国が残っています。

日本製鉄の社長は、「中国には市場としての魅力がない!」と既に株主総会で明言されています。

いずれ中国の損切りが不可避なら早い方が良いと思います。

⑷ 経営におけるスピード感について

日本製鉄が3年前に実施したリストラをこれから手がけることや、未だに中国から手を引くことができない経営は何を意味しているのか?

スピード感の欠如ではないかと思います。

先延ばしの組織文化があるのかもしれません。

では何故、経営のスピードが遅いのか?

会社を改革していこうとする意識や覚悟が足りないからではないかと思っています。

その根拠は、総会の質疑応答における担当役員の専門用語の羅列による無機質な解答を数多く聞きながらそう感じました。

残念ながら、株主の質問に真摯に応えようとする姿勢が希薄であり、これでは株主が納得したり共感するのは難しいだろうと推測します。

そのような経営陣のコミュニケーション力で多くの社員を率いて改革を行うのはちょっとハードルが高いかもしれません。

市場がJFE HDに対してPBR0.4倍という極めて低い評価を下しているのは単に業績が安定していないという表面的な事象によるものではなく、経営スピードの無さや経営陣の意識の問題であるということに腹落ちしました。

4 まとめ

JFEホールディングスについて述べてきました。

2期連続の赤字から一転して黒字へとV字回復したにも関わらず、PBRが0.4倍と著しく低い評価について疑問を持っていました。

そして、日本製鉄との比較をしながら、構造改革の遅れや経営陣のスピード感の無さ会社のブランド力の失墜に影響していると指摘しました。

ポテンシャルは高いので、覚悟を持ったスピード感のある経営が実施され飛躍的な発展を遂げることを夢見つつ、会社を注視していこうと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

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