初投稿:2022.9.
こんにちは!
この記事は、IGポート【3791】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
・コンテンツ・プロバイダー
・NFTやゲームに期待
【目次】
1 IGポートについて
⑴ 会社概要
『攻殻機動隊』等のアニメ制作会社を子会社にもつコンテンツ・プロバイダー。
総資産114億円、売上高118億円、時価総額77億円の事業規模。
PBRは1.35倍と低めです。
四季報によると業種はメディアで、時価総額順位は79/132社。
比較会社として東映メディアやサンリオが挙げられています。
企業理念
ホームページでは社長の挨拶の中で
「愚直さ」、「地に根を張った成長」
が強調されていました。
企業が大きくなるためには企業理念を社員が共有することが不可欠だと書かれた書籍もあります。
もう少し、企業理念等を分かりやすく伝えるなどのホームページの改善が必要だと感じました。
セグメント
●映像制作事業
●出版事業
●版権事業
●その他事業
重要な子会社
●(株)プロダクション・アイジー(アニメ制作)
●(株)マッグ・ガーデン(コミック出版)
●(株)ウイットスタジオ(アニメ制作)
●(株)シグナル・エムディ(アニメ制作)
●(株)リンガ・フランカ(Web漫画運営)
●Production I.G.、LLC(版権)
⑵ 株主になったきっかけ
約10年ほど前、株式を保有していた時期がありました。
流行りのNFTとの関連もあるということで久しぶりに株式を購入。
株価のモメンタム(勢い)も強く利益をもたらしてくれました。
ちなみに、『攻殻機動隊』のファンです。
⑶ 経営分析
収益性
・売上高総利益率:18%
・売上高営業利益率(10%以上は優良株):5%
収益性は良くありません。
世界的に人気のあるコンテンツを供給してきた当社の実績やポテンシャルを考えると改善の余地は小さくないと考えます。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):164%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):48%
短期的及び中・長期的な安全性については盤石ではないものの、それほど心配することはなさそうです。
なお、株主総会の中で、現金には比較的余裕がある旨の話(投資用資金)がありました。
効率性
・有形固定資産回転率:6.69
全業種の平均値が46.9であることを考えると効率的とは言えなさそうです。
また、(株)プロダクション・アイジーの有する遊休資産(土地)等の減損損失が計上されています。
少なくとも土地の活用については効率的な経営がなされていないと考えて良さそうです。
なお、映画制作費が映像マスターとして有形固定に計上されているのが当社の特徴です(東宝等は映画製作費は棚卸資産として計上)。
そして、有形固定の勘定科目については金額順に「映像マスター」、「土地」、「建物及び構築物」となっています。
【株主総会の案内板】
2 株主総会等
⑴ 株主総会
5分ほど遅れて会場入り。
でも、その時はすでに質疑応答で盛り上がっていました。
後で聞くと、10:58分ごろから会社説明が開始され、石川社長はコロナで欠席する旨が告げられたそうです。
その後、会場に集った数十人の熱烈な株主からの質疑が続きました。
主な質疑応答
Q.ウィットスタジオへの投資について
A.キャッシュを生むための投資を重視していく。
Q.松戸でのミニスカポリスへのクレーム事案に鑑みたリスク管理について
A.性、未成年者についてはガイドラインで対応している。
Q.作品のシリーズ化について
A.シリーズ化は手段であって目的ではないという指摘はごもっともだが、人気作品とキャッシュを生む作品に乖離があることも事実。
今後もシリーズ化を適切に実施していく。
Q.クリエイターに対する目利き力と経営について
A.和田取締役の作品選定力を通じてクリエイターと経営が力を合わせていく。
Q.(半導体を例に)投資をしないリスクについて
A.機会損失の無いようにに適切な投資に努める。
Q.ウイットスタジオに代表作品がないことについて
A.キャパシティの限界等の理由で原作が他社に移ってしまったのは事実。
今後は体制を整え、20周年記念が盛り上がるよう頑張る。
Q.コナンのエンドロールに当社の名前があったことについて
A.この業界は狭い業界で互いに助け合っている。
コナン(エバンゲリオンも)については、当社から売り込んだものではなく、依頼に基づきクリエイターの意向を踏まえて協力したもの。
金銭的報酬はいただいている。
Q.投資するコンテンツに対する目利き力について
A.核心をついた質問です。
ネットで話題の作品とキャッシュを生む作品に乖離があるのは事実。
30代の若手社員にもそのことを意識させ、人材の地層を作っていきたい。
Q.シグナル・エムディの今後の展開について
A.ある一定のクオリティの作品を長期間作り得る特徴を活かした受注戦略を重視している。
新しい作品に期待してほしい。
Q.オルタナについて
A.立ち上がったばかりの会社で守秘義務があり細部は話せない。
ゲーム会社の関連を実施している。
Q.川下に関する成長戦略について
A.和田、郡司の取締役を中心にNFT、ゲームとの関わりを検討している。
Q.マッグ・ガーデンについて
A.関西に密着した作品(作家)を有することが強み。
Q.サンリオとのコラボについて
A.ここだけの話にしておいてほしいのですが・・・(すみません、書けません)。
Q.『鹿の王』はテレビシリーズの方が良かったのでは?
A.『鹿の王』は劇場作品でなければ成立し得なかった作品。
ただし、ダイジェスト版にならないようにとのご指摘は今後の業務に活かしたい。
Q.ゲーム市場進出に当たりハードウエアとの関連について。
A.守秘義務があり詳しくは言えない。
ただし、双方向性を重視した全体を考えることが重要と思量している。
Q.『アオアシ』等スポーツアニメにおける地位確立について
A.スポーツアニメにおける当社のブランドを認識している。
今後は、『ハイキュー』に注力していく。
決議事項
・剰余金処分の件
・定款一部変更の件
・役員賞与支給の件
全体の討議が終了した後、一つ一つの議案について”審議”がなされましたが、特に質疑はなく拍手を持って賛成・可決されました。
株主総会雑感
約10年ほど前の株主総会では石川社長のカリスマ性が印象的でした。
今回の総会では石川社長は不在でしたが、若手の取締役の皆さんの質疑応答に対する的確な対応を拝見して、世代交代が比較的順調に推移しているのではないかと感じました。
ただし、会社はここ10年著しい成長がなかったのも事実(ゆえにスタンダード市場)。
NFTやゲームとの親和性のあるビジネスをしているので、成長戦略をしっかりと立てて企業価値の向上を目指すことを望みます。
また、多くの株主の参画を促すため、株主総会は会社からの業績報告や対処すべき課題、成長戦略をしっかりと語った方がいいと思います。
上場している市場がスタンダードなので、株主総会の運営もスタンダードであることが、新規の投資家の参入障壁を下げることにもつながると考えます。
経営改革に期待します。
⑵ 株主還元
配当
過去の一株当たりの配当の推移は下記の通り。
2022年5月期:5円
2021年5月期:10円
2020年5月期:5円
2019年5月期:5円
2018年5月期:5円
比較的安定配当と考えます。
株主優待
なし
自社株買い
発行株式の4.6%に相当する23万2千株を取得したと22年5月10日に発表されています。
【三鷹産業プラザ出入口】
3 株主としてのコメント
⑴ 気に入っていること
中期経営計画が策定され、キャッシュフロー獲得を重視することが明記されているます。
企業価値向上が期待されます。
また、NFTやゲームとの関連においても飛躍的な発展の余地を残しています。
併せて将来的な成長を楽しみにしています。
⑵ 気になったこと
株主総会では一部の株主の質問が集中していました。
総会において自分の好みを株主が主張するのは否定できませんが、経営陣には常に全体最適を心がけてほしいと思います。
質疑応答で強調されていたように、ネットで人気の作品とキャッシュを生む作品は必ずしも一致しません。
ファンの意見を踏まえつつも、ビジネスとしての視点を忘れずに経営者のみなさんには経営に専心していただきたいと思いました。
4 まとめ
IGポートについて述べてきました。
十数年ぶりに株主総会に出席し、若手役員が頑張っている姿を見て頼もしく感じました。
一方で、株主総会の運営要領やホームページなど若干スタンダードからずれている点が見受けられました。
さらなる経営改革に期待します。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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