こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

いちご【2337】について〜株主総会雑感

初投稿:2021.6.14、更新日:2022.6

こんにちは!

この記事は、いちご【2337】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

なお、2022年5月の株主総会に参加した時のことなどを追記し、記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。

・好業績、夢のある成長ストーリーなのに株価低迷の”謎”

・不動産の可能性を学べる会社

★★★

【目次】

【毎年株主総化が実施される第一ホテル】

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1 いちごについて

⑴ 会社概要

不動産再生の「心築」事業とREIT(オフィス、ホテル、クリーンエネルギー)、太陽光等の発電事業の3本柱を有する会社。

いちごは「一期一会」に由来するものとのこと。

経営理念

日本を世界一豊かに。

その未来へ心を尽くす一期一会の「いちご」

行動指針

●プロフェッショナル

ベンチャー・スピリット&ダイバーシティ

●チームワーク

事業(セグメント)

●心築(しんちく)事業(不動産再生事業)

 AIレベニューマネジメント(売上管理)システム「PROPERA」の導入で、稼働率回復。

●アセットマネジメント事業

・いちごオフィス投資法人(8975)

・いちごホテルリート投資法人(3463)

・いちごグリーンインフラ投資法人(9282)

●クリーンエネルギー事業

太陽光発電

風力発電

バイオマス発電

長期ヴィジョン

「いちご2030」

2020年2月期~2030年2月期(11年間)

ROE自己資本利益率)期間平均15%以上

・「JPX日経インデックス400」11年間継続の組み入れ

・エコノミック営業キャッシュフロー 11年間継続の当期純利益超過

・ストック収益比率 60%以上

・「安心安定配当」の累進的配当政策減配しない

・DOE(株主資本配当率) 3%以上

・機動的な自社株買い

⑵ 株主になったきっかけ

新興不動産企業全盛の時代、いちごが、アセットマネージャーズという会社の時代からの古い付き合いです。

かつては値嵩株であり、それなりに利益を確保させていただきました。

また、毎年の年賀状も楽しみでした。

スコットさんに率いられて、いちごとして再生してからは比較的穏やかな株価。

ある意味、腐れ縁のようなものを感じています。

⑶ 2022年2月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:28%

売上高営業利益率:18%

収益性は悪くありません。

しかも昨年よりも向上しています。

それなのに株価が冴えないのはある意味”謎”です。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):589%

自己資本比率(30%以上が望ましい):33%

安全性についても悪くない財務状況が継続していると考えます。

コロナ禍にあってホテルを経営していることを考慮すると健闘していると思います。

効率性 

・有形固定資産回転率:0.28

他の不動産会社と同水準の回転率です。

霞ヶ関キャピタルのように半年で仕入れた土地を売却するようなビジネスモデルでない限り、顕著な向上は難しいと考えます。

⑷ 2021年2月期の経営分析

2021年2月期は減収減益です。

コロナ禍で赤字にならなかっただけでも立派だと思います。

収益性

・売上高総利益率:25%

売上高営業利益率:16%

なかなか良いと思います。

安全性

流動比率:540%

当座比率:233%

・負債比率:215%

自己資本比率:32%

流動比率当座比率については問題ありません。

それに比べると、負債比率と自己資本比率が比較的安全性が低いと考えられます。

負債が多いが長期で借りているということの強みでしょうか。

 効率性

棚卸資産回転率:0.96

・有形固定資産回転率:0.29

物件の売却が進んでいない(止めている)ためなのか、効率性はコロナ禍の影響を受けているように考えられます。

不動産がいつごろから売れるようなるか要注目です。

【第一ホテルにて】

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2 株主総会

⑴ 2022年5月の株主総会

第22期定時株主総会 2022年5月29日(日)第一ホテル

主な質疑応答

Q.株価が低い、新たな成長マーケットへの投資が足りないのでは?

A.日本のレストランは世界一レベルだがホテルはそのレベルになく、価値提供の観点からホテルブランドを新たに作ったり、「PROPERA」のようにバランスシートに依存しないビジネスを展開したりしている。増収・増益・増配を持って恩返しさせて頂けるよう努める!

Q.取締役選定の理由について(新任取締役候補から一言)

A.取締役の任期は10年が平均と認識しており、年数とともに監督する力が向上する。その一方で、新陳代謝や世代交代も重要である。そのバランスを踏まえ、選任している。

新任取締役(公衆衛生医療が専門)からネット配信を通じて心意気が語られる(若干聞き取りにくかった)

Q.太陽光発電についてのネガティブなイメージについて

A.地球に優しいという理念に沿ったもので、問題はこれまでもなかったし今後も無いようにしっかりと対応していく。

Q.TV広告よりもネット広告の方が良いのではないか?

A.その認識は持っている。現在のTV広告は安いコスト(無料?)で実施している。

Q.子供向けのいちごのイベントの継続の要望について

A.ありがとうございます。

Q.配当金を1号議案としない理由は?

A.いちごは指名委員会等設置会社でありガバナンスが整っているので取締役会で配当を決めることが法律で許されているため。

決議事項

●定款一部変更の件

●取締役10名選任の件

拍手を持って賛成・可決されました。

事業説明会

総会が11時10分頃終了し、20分から事業説明会が実施されました。

内容は今後の事業戦略について

・不動産の取得と売却によるフロー収益の向上

・いちごオーナーズという新しい小口取引の開始

・3つのリート(オフィス、ホテル、クリーンエネルギー)

・「PROPERA」(不動テック)

などの概要説明がありました。

主な質疑応答

Q.いちごオーナーズの内容について

A.リートでは出来ない対象をDXを駆使してコモディティかした個人向け国債ビジネスである。同業他社でも同様な商品が提供されているが、管轄が金融庁国交省かなどで細部の差異がある。

Q.借入金の返済要領について

A.自己資本比率30%以上を維持しており、銀行からの返済圧力は2年間はない。

Q.自社株買いについて

A.自社株買いのメリットは、EPSの向上による中長期定期な株式価値の向上に加え、短期的には株主構成を変える効果の2点がある。

これまで、8.5%を取得しその成果があったと認識。

そして、取得した株式については全て償却を予定している(M&A等は考えていない)。

Q.林業への参入について

A.非常に魅力的なビジネスと認識している。ご提言を検討する。

⑵ 2021年5月の株主総会

第21期定時株主総会 2021年5月23日(日)第一ホテル

毎年、5月下旬の日曜日に第一ホテルにて開催。

今年はトレイルランニングと競合したため不参加。

後日、ビデオで総会の様子を確認。

主な質疑応答

Q.ホテル事業とクリーンエネルギーへの投資拡大をどう考えるか?

A.いちごのストックの1/4はホテル。将来観光ブームが来た時の準備を着実に進めている。クリーンエネルギーについても同様に投資を継続する。

Q.YouTubeの活用は?

A.やりましょう!

Q.財務体質は?

A.キャッシュ利益を重視している。

Q.「PROPERA」とは?

A.AIを活用した客単価を上げていく仕組み。ノンアセットでの収益拡大を図るチャンスととらえている。

Q.いちごとリートの間で利益相反は無いか?

A.独立性を重視しており、そのようなことはない。

Q.不動産売却判断の分岐点は?

A.20~30%

⑶ 株主還元

配当

2021年2月期:7円

減配しないという方針は立派です。

株主優待

Jリーグ鑑賞券

コロナ禍等の理由により使用できず。

【2022年5月の株主総会でいただいたお土産】

                      

3 株主としてのコメント

⑴ 不動産の可能性を学ぶ 

 今回の「PROPERA」という、AIを駆使したホテルの客単価を上げるための仕組みのように、これまでいろいろな不動産にかかる事業についていちごを通じて学んできました。

これからバイオマス発電にも注力するようです。

不動産の可能性をいちごの事業展開を通じて学び続けたいと思います。

⑵ 経営陣との対話を楽しみに

以前は、家族全員で懇親会に参加したことも有ります。

いろいろな話をしたり聴いたりすることが楽しみでもあります。

スコット会長も同じお気持ちのご様子。

いちごとは、今までも、そして、これからも長い付き合いになりそうです。

⑶ 株主総会雑感

株価低迷の謎について考えてみました。

ビジョンレベルとしては

日本を世界一豊かに

という理念は多くの人から支持を得ていると考えます。

戦略レベルでの、バランスシートに依存しない「PROPERA」や、個人向け小口投資商品など将来についての成長ストーリー作りもしっかりとしていると思います。

問題はオペレーションレベルではないか?

根拠は3つ

1 株主総会招集通知の表紙を飾っているお台場のビルの入居率が50%と低いのみならず、社長がそのことについて株主対してふつうに話せているという問題意識のなさ。

2 株主総会会場で新任取締役候補の音声が聞き取りずらかったという総会運営要領の稚拙さ。

3 株主の中で多くの質問者がいるにもかかわらず、一番先に手を挙げた株主に複数回発言させようとしていた司会者の全般俯瞰能力の欠如(結果的には、会長からの一言で多くの株主に発言が許されましたが)。

レストランや小売の会社であれば”末端レベルの現場社員”と接する機会がありますが、いちごのような不動産会社の場合、現場レベルの状況が見えにくいという特性があるように思います。

将来の成長ストーリーもいいですが、足元をしっかりと見据え現実を直視し、本業をしっかりと立て直す(空室率を下げる)ことができていないと、どんなビジネスも”絵に描いた餅”になりかねません。

問題が社員にあるのか?、中間管理職のマネジメントにあるのか?などさまざまな要因が重なり合っているように感じられます。

謎解きには程遠いですが、株価の低迷の要因としてオペレーショナルレベルの不振がどう解決されていくかについて着目していきたいと思います。

4 まとめ

いちごについて述べてきました。

業績好調、夢のある成長ストーリー、不祥事とも無縁にもかかわず株価は低迷をつづけています。

株主総会に参加し、その”謎”の原因としてオペレーショナルレベル(現場)に問題を抱えているのではないかと感じました。

本業と新規事業のバランスを考えたいちごの事業活動を引き続き株主として見守っていきたいと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

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