初投稿:2022.7.26
こんにちは!
この記事は、三菱重工業【7011】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
・脱炭素や防衛関連としての期待
・サイレントマジョリティについて
★★★
【目次】
1 三菱重工業について
⑴ 会社概要
日本の製造業のリーディングカンパニー。
四季報では総合重機と紹介され、産業機械部門の時価総額で135社中3位と報じられています。
総資産5.1兆円、売上高3.8兆円、時価総額1.6兆円の事業規模。
PBRは1.06倍の市場評価となっています。
社是
一、顧客第一の信念に徹し、社業を通じて社会の進歩に貢献する
一、誠実を旨とし、和を重んじて公私の別を明らかにする
一、世界的視野に立ち、経営の革新と技術の開発に努める
伝統が感じられつつ今の時代にも沿った社是と考えます。
セグメント
下記の4つのセグメントから構成されています。
( )の数値は売上収益構成比です。
●エナジー(42%)
●プラント・インフラ(16%)
●物流・冷熱・ドライブシステム(25%)
●航空・防衛・宇宙(15%)
⑵ 株主になったきっかけ
ロシアのウクライナ侵攻や防衛予算増額等の報道に接し、応援する意味で2022年の春に株主となりました。
⑶ 経営分析
収益性
・売上高総利益率:17%
・売上高営業利益率:4%
あまり高い収益性とはいえなさそうです。
それでも株価は右肩上がり。
現在「収益力回復・強化」に取組んでいるとのことなので、収益性向上による株価への効果が期待されます。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):113%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):32%
数値としては盤石な財務基盤とは言えなさそうです。
ただし、巨大企業であり、同業のIHIの自己資本比率が22%であること、増配もできていることなどを考え合わせると安全性に直ちに問題が生じることはないと考えます。
効率性
・有形固定資産回転率:4.89
製造業の平均が3.22であることを考えると高い数値となっています。
比較的、有形固定資産については効率的な投資がなされていると考えます。
なお、単体での有形固定資産の内訳としては金額順で「建物」、「土地」、「機械及び装置」となっています。
2 株主総会等
⑴ 株主総会
ライブ配信を視聴しました。
社長が議長を務め、事業報告から対処すべき課題までビデオで紹介されていました。
カーボンニュートラルを実現するための
・供給側からの脱炭素のアプローチ
・需要側からの省エネのアプローチ
という説明が印象に残っています。
主な質疑応答
【事前】
Q.三菱スペースジェットの現状について
A.2020年10月から飛行試験を中断しているが、リージョナルジェット市場の回復、サプライヤーの状況を勘案して再会のチャンスを狙っている。
それまでの間、ボンバルディア社から買収したリージョナルジェット事業を通じて実績を積み重ねていく。
Q.取締役の構成について
A.女性もデジタルも強い人材が揃っている。
個々の役員ではなく全体を通じて多様性を発揮していく。
【会場】
Q.定款変更について
A.株主総会資料については電子データが基本となっても、手続きをすれば紙で入手することは可能。
Q.ウクライナ情勢の影響について
A.従業員とその家族の安全を第一として対応する。
Q.1000億円の研究開発について
A.H3等研究開発は競争力強化のために積極的に実施する。
担当部門のみならず、横断的な取り組みをしておりリソースは十分にある。
Q.徴用工訴訟問題について
A.日韓請求権協定により完全かつ最終的に解決済み(会場から拍手)。
Q.定款変更についての修正動議
A.承知した。
Q.三菱重工業に対する激励
A.頑張る(会場から拍手)
Q.半導体を何とかしてほしい。
A.産業基盤を作るということを通じて貢献したい。
Q.品質について
A.トップメッセージを通じて重要性を再周知している。
定期的な監査・モニタリング体制を構築するとともにネットワークを密にすることによる品質の維持に努める。
Q.H3の開発について
A.現状はポンプで見つかった課題に取り組んでいる。
その上で、計画的な試験機の打ち上げを目指す。
Q.無人機について
A.防衛と民間の2つの需要に対応している。
航空機のみならず、省人化のニーズに応えるさまざまな製品づくりに取り組んでいる。
Q.風力発電について
A.陸上風力発電からは2015年までに撤退した。
洋上風力発電はデンマーク企業との合弁会社と協力しながら各種事業を継続している。
Q.波動を用いた再生可能エネルギー発電について
A.再生可能エネルギーについては基礎的技術の開発に取組んでいる。
その一環として、小さな発電装置というものに対してあらゆる可能性を念頭に対応している。
Q.みなとみらい技術館の人数制限について
A.コロナ禍の収束を踏まえて対応する。
なお、Webの活用も実施している。
Q.三菱重工業はゆりかもめのような遅い交通システムしか作れないのか!?
A.制約条件のもとで安全性を第一と考えた結果の交通システムである。
Q.ミッション・ネット・ゼロの達成の見込みは
A.2040年を目途に固い決意で臨んでいる。
水素還元製鉄の研究開発もそれに貢献できる可能性があると考える。
決議事項
・剰余金処分の件
・定款一部変更の件
・監査等委員でない取締役7名選任の件
・監査等委員である取締役1名選任の件
拍手を持って原案通り賛成・可決されました(修正動議は否決)。
⑵ 株主還元
配当
一株あたりの配当の推移は下記の通りです。
2022年3月期:100円
2021年3月期:75円
2020年3月期:150円
2019年3月期:130円
2018年3月期:66円
2017年3月期:12円
2018年から増配基調となり、一旦はコロナ禍で減配しますが再び増配。
連結配当性向は30%としているので今後も期待されます。
株主優待
なし
自社株買い
実施せず
【丸の内二重橋ビル】
3 株主としてのコメント
⑴ 自社株買い無しについて
株価が上昇トレンドを継続しています。
しかも、自社株買い無しでここまで株価を上げるというのは投資家の期待の大きさを物語っています。
反対に考えると自社株買いに積極的なのに株価が冴えない会社というのは、もう少し根本的に経営を見直したほうがいいいと思います。
会計マジックを駆使しなくても株価を上げ得ることをMHIの株価が教えてくれました。
⑵ サイレントマジョリティ
株主総会で、徴用工問題に対する株主の質問に対して、会社が「解決済み」と言明したことに対して、会場からの拍手がライブ中継でも伝わってきました。
サイレントマジョリティというか、心ある多くの株主が会場に集っている様子が目に浮かびました。
また、修正動議についても同じようなことがたの総会で実施されていましたが、会場の多くの株主によって否決されています。
三菱重工業はこのような多くの株主の愛に支持されていることに矜持を持って頑張ってほしいと思います。
ちなみに株主構成では、外国人と個人投資家がそれぞれ3割という割合になっているようです。
4 まとめ
三菱重工業について述べてきました。
脱炭素や日本の安全保障に極めて重要な役割を果たしている会社です。
自社株買い無しにも関わらず株価が上昇基調なのは、心ある多くの株主(サイレントマジョリティ)と市場の期待の高さを物語っていると考えます。
広い視野と長期的な展望を持ちつつ株主として応援していきたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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