投稿日:2022.7.19
こんにちは!
この記事は、住友商事【8053】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
・総合商社の中での位置付け
・自信を持って!
★★★
【目次】
【本社の大手町プレイスイーストタワー】
1 住友商事について
⑴ 会社概要
大手総合商社のひとつで通信やメディアに強いとされています。
四季報の時価総額順位では総合商社の中で5/8位となっています。
大手5社の中で唯一自社ビルがなく、大手町プレイスイーストタワーを拠点としています。
傘下にスーパーのサミットやドラッグストアのトモズがあります。
総資産9.5兆円、売上高5.4兆円、時価総額2.3兆円という事業規模です。
PBRが0.73倍と他の総合商社と比べて厳しい評価となっています。
企業理念
●健全な事業活動を通じて豊かさと夢を実現する。
●人間尊重を基本とし、信用を重んじ確実を旨とする。
●活力に溢れ核心を生み出す企業風土を醸成する。
住友430年の歴史に培われた「住友の事業精神」を基に、1998年に「企業理念」が制定されたとのこと。
430年という極めて長い伝統の重みを感じます。
セグメント
●金属
●輸送機・建機
●インフラ
●メディア・デジタル
●生活・不動産
●資源・化学品
比較的非資源に強いと考えます。
⑵ 株主になったきっかけ
高配当ということで商社株に投資をした際の銘柄の一つです。
大手総合商社の特徴がまだ良く理解しきれていないうちに株主となりました。
⑶ 経営分析
収益性
・売上高総利益率:18%
・売上高に対する税引前利益率:11%
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):151%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):35%
構造改革中ということで、安全性についても今後の改善が期待されます。
効率性
・有形固定資産回転率:5.37
他の大手商社と比較しても概ね同じレベルです。
有形固定資産の額も減っていはいますがそれほど顕著ではありません。
構造改革と有形固定資産の売却とはあまりリンクしていないように推察します。
【グループ傘下のトモズ】
2 株主総会等
⑴ 株主総会
第154期定時株主総会 2022年6月24日(金) The Okura Tokyo
ビデオによる事業報告がなされました。
続いて中期経営計画(SHIFT)についてスライドを用いた社長のプレゼン。
・DOE(株主資本配当率)3.5〜4.5%の範囲内で連結配当性向30%
・役員報酬の改善
SHIFT2023
・マネタイズモデルの確立
・ビジネスモデルチェンジ
・過去の失敗を繰り返さないこと!
主な質疑応答
【事前】
Q.他の総合商社との格差について
A.利益の絶対額の格差が生じているのは事実。
構造改革により収益力の向上と下方耐性をつけつつバリューアップ事業を通じて改善に努める。
Q.株価低迷について
A.市場のからの期待に応えられていないことが原因であり、資産や事業ポートフォリオの入れ替えを実施している。
収益性や安全性については一定の成果が得られており、スピード感を持った経営を継続する。
Q.経済安全保障について
A.ロシア関連ビジネスについては活動を停止もしくは縮小している。
中国関連のビジネスについては情報を収集中である。
Q.女性役員等について
A.直近の登用は未定だが、2030年に女性役員の比率30%に賛同している。
また、社長等の任期は最長6年とし、人材の多様化を図っている。
Q.マダガスカルのニッケル事業(アンバトビー)について
A.コロナ禍で1年間の操業を停止しているが、収まり次第、再開する。
【会場】
Q.台湾有事について
A.社員とその家族の安全確保を最優先とする。
事業への影響は限定的。
Q.(所沢のサミットのファンから)西武との提携業務について
A.不動産関連で所沢にて西武との提携を強化していく。
Q.6号議案(取締役報酬額の改定の件)について
配当が18%下がることと同時に役員報酬も3割下がる設計となっている。
株価上昇のみならずTOPIXに対してオーバーパフォーマンスとなることが役員賞与を上げるためには必要となる。
A.安定的な再エネとして必要と考える。
Q.為替の影響について
A.なるべく排除するよう努めている。
21年度は1ドル110円、22年は120円を想定している。
1円の円安により12億円の収益力向上となる。
Q.撤退事業について
A.構造改革の一環として9.5兆円のバランスシートを全て精査し、住友商事グループに残るのが良いのか?それ以外の選択肢の方が良いのかを総合的に決定したもの。
450社中101社を選別した。
Q.ニュージーランドでの森林事業について
A.森林開発として樹木の伐採、林道の建設、(FSC認証に基づく)木材の輸出等を推進している。
Q.バフェット氏とのつながりについて
A.定期的にビジネスミーティングを実施している。
Q.高騰する物流費について
Q.生え抜きばかりの取締役(グループ・シンク)について
ダイバシティ&インクルージョンに賛同しつつ、変化の早い時代に対応することを優先している。
Q.インドネシアの石炭開発について
A.新たな石炭開発に開発はしないが、既存の石炭開発は当面継続する。
決議事項
・剰余金の配当の件
・定款の一部変更の件
・取締役11名選任の件
・監査役1名選任の件
・取締役賞与の支給の件
・取締役報酬額の改定の件
⑵ 株主還元
配当
配当の推移は下記のとおりです。
2022年3月期:110円
2021年3月期:110円
2020年3月期:70円
2019年3月期:80円
2018年3月期:75円
連結配当性向30%程度を目安としているとのこと。
安定した配当は魅力です。
株主優待
なし
3 株主としてのコメント
⑴ 今後の事業展開
2021年は赤字、2022年はV字回復、2023年は減益・減配そして2024年以降に利益は向上していくとの見通しが説明されました。
2023年の減益・減配は避けられないのでしょうか?
あのバフェットも株主なので優れた経営が為されていると思いますが、ちょっと複雑な気持ちです。
事業環境の波を考えた長期投資という視点が大切だと思います。
⑵ 気になったこと
社長はプロンプターを見過ぎです。
文字を読んでいる表情がそのまま見えてしまうので話に説得力に欠けました。
それなら、下を向いて紙を読みながら時々顔を上げて言葉に力を込めた方が迫力のあるプレゼンができたと思います。
また、株主への回答の際、
「・・・よろしいでしょうか?」
と付け加えていました。
いらないと思います。
テンポ良く円滑な議事進行を行った方が総合的には株主のためになると考えます。
丁寧な対応として交換が持てますが、中身のある回答を自信を持って行い
「以上、ご回答申し上げました。」
で打ち切っても問題ないと思います。
そのほうが、経営陣に対する信頼性が高まると思います。
また、会社四季報では
「ロシア事業の中で、航空機リースで前期500億円減損、ロシア国内の航空機34機は返還交渉を継続中」
とあります。
総会では株主からの質問はありませんでしたが、今後の展開が気になります。
【大手町プレイスイーストタワー】
4 まとめ
住友商事について述べてきました。
5大総合商社の中で低迷中ですが、430年の住友の歴史と構造改革による伸び代を考えると将来性に期待することもできると思います。
ただし、ロシアからの航空機の返還など懸念事項等も少なくありません。
さらに、「チャイナリスクについては検討中」とありリスク管理がちょっと甘い気がします。
今後も危機感を持ちつつ会社をモニターしていきたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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