こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

日本製鉄【5401】について〜株主総会雑感

初投稿:2022.7.1

こんにちは!

この記事は、日本製鉄【5401】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

・V字回復と高配当にも関わらず市場は低評価

選択と集中

★★★

【目次】 

株主総会会場にて】

                     

1 日本製鉄について

⑴ 会社概要

粗鋼生産で国内首位世界3位の会社。

総資産8.7兆円、売上高6.8兆円、時価総額1.8兆円の事業規模です。

PBRは0.5倍と低評価。

基本理念

日本製鉄グループは、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献します。 

セグメント

●製鉄事業

●エンジニアリング事業

●ケミカル&マテリアル事業

●システムソリューション事業

4つの事業から構成されていますが、利益の9割を製鉄事業が生み出す一本足打法状態なのが気になります。

⑵ 株主になったきっかけ

割安かつ5%を超える高配当ということで注目していました。

2022年は相場は下落トレンドでしたので、そこそこの値段で購入。

2022年3月の配当をいただきました。

けれども、株価の低迷が続き塩漬け状態です。

⑶ 経営分析

収益性

・売上高総利益率:18%

売上高営業利益率:12%

収益性は高い数値となっています。

事業利益は6,000億円を目標にしていますが、そのうち

・原料権益:1,000億円

・海外事業:1,000億円

という収益構造になっているという雑誌の記事もあります。

これからも高い収益性を維持し得るのかに注目しています。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):174%

自己資本比率(30%以上が望ましい):45%

短期的にやや懸念があるものの、中・長期的にはそれほど問題とはならない財務状況と判断します。

効率性 

・有形固定資産回転率:2.23

製造業の平均値が3.22であることを考えるとやや非効率と判断します。

反対に有形固定資産については更なる効率化の余地があるとも考えられます。

【総会会場の案内板】

2 株主総会

⑴ 株主総会

第98回定時株主総会2022年6月23日(木) ホテルニューオータニ鶴の間

コロナ禍での赤字から一転、21年間で過去最高益となった。

選択と集中という方針に基づき、製鉄の立て直し、生産・販売の改革によるV字回復となった。

主な質疑応答

【事前】

Q.いわゆる徴用工問題について

A.韓国における判決は遺憾。

日韓外交交渉を踏まえ政府と共に適切に対応していく。

【会場】

Q.いわゆる徴用工問題について

A.和解金の支払いは考えていない。

Q.カーボンニュートラルについて

A.難しい問題であり多額の研究開発費を必要としている。

他社に先駆けて実現できるかどうかで、競争のルールが決まる。

経済合理性以上に脱炭素は重要であり、大型電炉等で頑張る。

Q.軽い鉄について

A.研究開発が進むことでもっと軽くし得る。

Q.鉄の規格が多いことについて

A.多種多様なサービスに応えるためでありご理解いただきたい。

Q.工場のタンクからの流出により魚が死んだことについて

A.ご心配をお掛けして申し訳ない。

社長として年に2回は全工場を回ってトップとしてのESGの周知について努めてきた。”努力が足りない”という指摘については謙虚に受け止め今後の活動に活かしたい。

Q.株主優待の再開について(都内での映像による工場紹介についての提言)

A.慎重に判断していく。

工場見学については貴重な意見として受け止める。

Q.円安について

A.1985年のプラザ合意に始まった理不尽な円高が続いたが、アベノミクスで復活した。

資源高の影響によるコストプッシュの影響を懸念している。

Q.従業員のリストラについて

A.国内の鉄の需要が6000万トンしかないのに、当社のみで5000万トンの供給力を持っていた。

3年前にリストラの決断をしなければ会社は全滅となっていた。

社長として極力大きな雇用を守るために、全工場を回って生き残れるかどうかの見極めを行った。

選択(工場閉鎖)と集中(設備投資)を実施中だが、リストラの効果がわかるまで5年はかかると見込んでいる。

なお、閉鎖された工場の社員に対しては違う場所になるが引き続き雇用されるように取り組んでいる。

Q.カントリーリスクについて

A.ロシアに対しては輸入はあるが輸出はなく直接的な顕著な影響は見込んでいない。

中国のロックダウンの影響はある。

Q.米中対立について

A.米中対立で最も困っているのは米中以外の国であり長期化するとの認識。

Q.将来のカーボンニュートラルな社会について

A.ロシアのウクライナ侵攻で脱炭素の矛盾が明らかになった。

中国については市場としての魅力はない。

今後はいろいろな収益の柱を立てることが大切。

Q.中期経営計画の進捗状況について

A.ようやく利益を出す力がついてきた。

事業利益6000億円以上を目指して更なる努力を継続する!

決議事項

・剰余金処分の件

・定款一部変更の件

・取締役9名選任の件

・監査等委員である取締役5名選任の件

拍手を持って賛成・可決されました。

⑵ 株主還元    

配当

過去の配当の推移は下記の通りです。

2022年3月期:160円

2021年3月期:10円

2020年3月期:10円

2019年3月期:80円

株主優待   

なし                

3 株主としてのコメント

⑴ 株価の低迷について

事業の安定性

低迷する株価の原因について、社長から投資家が当社の業績の安定性に懸念を持っているためと認識している旨の説明がありました。

そのため、中期経営計画の目標値をしっかりと達成して実績を積み重ねていくとのことでした。

事業についてはその方向で頑張って欲しいと思います。

PBRとESG経営

PBRというのはのれんブランド力などの無形の価値を表しています。

日本製鉄の場合は0.5倍であり投資家からの人気がありません。

一方、PBRについては、エーザイがESG経営に力を注ぐことで高PBRの実現に成功していると報じられています。

具体的には、女性管理職の登用や社員の給与の見直しなどです。

日本製鉄に当てはめてみると、株主総会での担当取締役の”紋切り型の解答”などを目撃するとESG経営による改善余地は小さくないと感じました。

ブランド価値価値向上に努めることを希望します。

⑵ 社長のリーダーシップ

リストラされた社員のような株主からの質問に対する社長の

「3年前にリストラを断行しなければ会社は全滅となっていた・・・」

という熱のこもった説明が印象に残っています。

勇気ある決断に敬意を表したいと思います。

ただし、社長の覚悟とビジョンをどれだけの社員が共有しているかということが気になりました。

繰り返しになりますが、他の取締役の言動がイマイチだったからです。

よって、リストラによりV字回復していますが、まだまだ様々な改革は今後も必要という認識を持つ必要性があるように感じました。

4 まとめ

日本製鉄について述べて来ました。

リストラと価格改定でV字回復を遂げましたがPBRの割安は市場の厳しい評価を示しています。

株主総会での社長のリーダーシップに頼もしさを感じた一方で、他の取締役の対応や一般社員のオペレーションについては正直良く分かりませんでした。

今後の改革が続くことを期待します。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

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