初投稿:2023.2.26、更新日:2024.3.13
こんにちは!
この記事は、エスプール【2471】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
なお、2024年2月の株主総会の内容を追記し、記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。
・成長段階から踊り場段階へ
・社長の魅力
【目次】
1 エスプールについて
⑴ 会社概要
四季報では他産業サービス・製品の業種に区分されるグロース企業。
コールセンター等への派遣と障害者雇用支援の農園事業が柱の会社です。
売上高257億円、総資産209億円、時価総額244億円という事業規模。
株価は下落トレンドで、会社の付加価値(のれん、ブランド力)を示すPBRは2.87倍とへ低下。
企業理念
●アウトソーシングの力で企業変革を支援し、社会課題を解決する。
●社名の由来はSolution(解決策)・System(システム)Staff(人材)Susteinability(持続可能性)の4つのSをPOOL(蓄積)し、お客様の課題を解決していきたいという想いが込められているとのことです。
セグメント
●ビジネスソリューション事業
シニアや障害者など潜在労働力の活用を支援するサービスや、企業の業務の一部を受託するアウトソーシングサービスを提供。
●人材ソリューション事業
コールセンター等のオフィスサポート業務とスマートフォンや家電製品等の店頭販売支援業務に関する人材サービスを展開。
⑵ 株主になったきっかけ
11月決算企業を探していて長期的な業績が良かったので株式を購入しました。
ただし、チャート的には長期ダウントレンド中なので含み損を抱えていまます。
⑶ 2024年11月期の経営分析
収益性
・売上高総利益率:34%
・売上高営業利益率(10%以上は優良株):10%
前期と同様、高収益性が維持されていると考えます。
ただし、粗利率は上昇していますが、営業利益率については逆に下がっています。
安全性
・流動比率(100%以上が望ましい):97%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):42%
短期的には多少、懸念される数値となっています。
概ね前期と同水準と考えます。
効率性
・有形固定資産回転率:2.10
前期と同様の低い数値となっています。
勘定科目では有形固定資産122億円のうち、110億円が「建物及び構築物」と大半を占めています。
”オフィス(本社のある秋葉原ダイビル?)”にお金をかけているように思われます。
⑷ 2023年11月期の経営分析
収益性
・売上高総利益率:33%
・売上高営業利益率(10%以上は優良株):12%
高収益なビジネスモデルと考えます。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):98%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):44%
短期的には懸念される数値となっています。
ただし、中・長期的には問題ないと推察されます。
効率性
・有形固定資産回転率:2.92
2021年の全業種の平均が46.9であることを考えると効率的とは言い難い数値となっています。
勘定科目では有形固定資産91億円のうち、79億円が「建物及び構築物」と大半を占めています。
”オフィス”にお金をかけているように思われます。
【株主総会の案内】
2 株主総会等
⑴ 2024年2月の株主総会
第24期定時株主総会 2024年2月28日(水) 秋葉原ダイビル
ハイブリッド方式でしたが会場に足を運びました。
昨年同様に受付にてクッキーなどのお土産を頂いています。
下記に主な質疑応答を記していますが、会社のHPで株主総会の動画が公開されています。
主な質疑応答
Q.ロジスティック事業の役割について(社会問題解決との関係)
A.通販会社(事業)に対して、共同配送を推進し効率化を図ることも、限られたドライバーの有効活用につながるという意味で社会問題解決とも考えられる。
ロジスティック事業がワンストップで通販会社にインフラを提供できる意味をご理解いただきたい。
Q.共同通信の報道について
A.当社としては反論に注力するのではなく、ステークホルダーに理解を求め、応援者を増やすことに全力を注いできた。
Q.取締役の担当(管理本部)について
A.投資家とのミーティングを年間300〜400件通じて、当社への投資のチャンスであることを訴えてきた。
ただし、株価については力不足を感じている。
Q.人材の採用・育成についての具体的説明について
A.信賞必罰が大切だが、会社が大きくなったのでチャレンジする(失敗することも含む)経験がしにくい環境になってきていると認識。
よって、会社の下にカンパニーを作っていろいろと経験しながらチャレンジする風土を作っていくように努める。
Q.コールセンターサービスの今後の展望についえ
A.コールセンターサービスの先細りは予想されていた。
よって、人材派遣以外で頑張る方向性は正しかったと考える。
コールセンターサービスはコロナ禍で一時的に需要が高まったが、今後は労働力不足が本格化すると予想されるのでコールセンター以外の業種にも注力していく。
なお、コールセンターは利益率、成長率を考えて事業を縮小しつつ利益を出し続けるようにすることが大切と考える。
Q.直近の業績について
A.リーマンショックの後、増収増益を10年続けてきたが今は”踊り場”と考える。
全般的に当社のようなグロース株は売られ、大型株やバリュー株に投資資金がシフトしている。
改革の年は踊り場で、何をすべきかを考えることが重要。
資本政策(自社株買い、配当など)を検討する。
Q.光通信が当社株を購入することについて
A.純投資と理解している。
互いにコミュニケーションが取れているので、何かあれば協力していこうという関係である。
Q.障害者・高齢者の雇用に対する配慮について
A.例えると当社はビルのオーナーでテナントが会社のようなもので、その会社が障がい者・高齢者を雇用している。
よって、当社としては暑い日には熱中症防止等について”通達”などを通じて”配慮”を実施している。
Q.取締役から見た社長の良さ(ストロングポイント)について
A.当社の強みは全従業員が一丸となっているところ。
それは、社長が社員から愛されていることによる。
社員に対して、”仕事を自分事としてやっていこう!”気持ちが伝わっている。
その一方で、撤退する判断は早い。
会社がピンチの時に、農園事業を始められたのもそのような背景があったからと思う。
(会場から拍手)
Q.農園事業の今後の展開について
A.多くの支援者を増やしていく方針により、農園事業継続のリスクは小さくなってきている。
さらに応援してもらえるよう、努力している。
農園で働く人の環境改善に努める。
決議事項
・剰余金処分の件
・監査役1名専任の件
拍手を持って、承認・可決されました。
新役員が紹介されています。
事業説明会
下記のアジェンダで説明がなされました。
1 エスプールについて
2 24期の業績概要
3 25期の業績予想
4 事業別概要
5 新たな成長戦略
6 配当計画・方針
主なポイントは下記の通り。
・ソーシャルビジネスとは社会課題の解決が企業の成長につながる
・当社は成長段階から踊り場段階
・デフレで伸びたのは派遣業(安さ追求が成功)、インフレ化ではやり方を変える!
・地方の事業承継に手応えを感じている(M&A仲介業とは異なる)!
・配当性向は60%を超えるまでは減配しない!
・東京よりも田舎の方が株主が増える。
・値上げできるビジネスでなければダメ。
株主総会雑感
事業説明会の質疑応答を終えたのは午後1時過ぎ。
3時間という長時間でしたが、当社のこと、ソーシャルビジネスのこと、経営者及び企業経営のことなど大変勉強になりました。
株価が低迷していても、社長が元気で、下手な言い訳をせず、
”踊り場に置いてもやるべきことはやる!”
という姿勢は好感が持てました。
株主の中に、社長の信者になる人が出てくるのも納得です。
また、総会終了時には農園で採れた野菜もいただきました。
家族で美味しくいただいています。
ごちそうさまでした!
【株主総会開始時にいただいたお土産】
【株主総会終了時にいただいたお土産】
【頂いた水菜の鍋料理を家族で堪能!】
⑵ 2023年2月の株主総会
第23期定時株主総会 2023年2月22日(水) 秋葉原ダイビル
受付にてお土産のクッキーを頂きました。
さらに、気分が悪くなった人に対応できる看護師を配置されているとのこと。
株主を重視する姿勢が感じられました。
社長の挨拶に続き、監査報告、ビデオによる事業報告等が続きました。
主な質疑応答
Q.共同通信の報道が株価に与えた影響について
A.報道における批判について当社は問題ないと認識している(障害者の定着率92%、満足度90%以上)。
しかし、当社のビジネスモデルを模倣した他社について不正が出始めていると考えている。
これに対しては、リーダーシップを発揮して業界団体を立ち上げることによって対応する予定である。
ロビー活動を実施しつつ、3月末を目途に方針を打ち出す。
Q.NHKの野菜が売れない報道について
A.報道については未確認である。
当社は農園を貸している会社であり、野菜を売ることについては他社さんが主体となり、当社はそこに働きかける立場と考える。
Q.営業利益の計算について
A.ビジネスソリューションの営業利益に人材ソリューションの利益を加え、さらに管理部門の利益を加えることで営業利益を算出している。
Q.投資有価証券評価損の計上について
A.ご指摘のとおり、損失計上がなければ連続増益になっていたであろうと考える。
投資については台湾のロジスティック関連企業への出資である。
コロナ禍で打撃を受けリストラ等を実行してビジネスの改善を試みたが、将来性を見込むことができなくなったため、評価損の計上に至った。
なお、現在も様々な出資をしているが、リスク管理を徹底することで再発防止に努める。
Q.共同通信の報道に伴うモヤモヤ感につて
A.(社長自身)大株主であり憤りを感じている。
ただし、マスコミと戦うより業界全体を良くすることに注力してこうと考えている。
それは、過去において債務超過になった苦しい時期に、「自分達が正しいことを実施している」と信じることが困難な状況を克服するのに一番役に立った実体験に基づいている。
一時的な取り組みでなく、じっくりと確実に対応する姿を応援していただきたい。
Q.当社のスキームを説明してほしい
A.当社は農園を貸すことをしており、借りた企業が障がい者を雇用する仕組みとなっている。
農産物を買い取ることは実施していない。
よって、厚労省からの指導もなく、スキームには問題はない。
Q.障害者団体とのコミュニケーションについて
A.良好な関係を維持していると認識。
3000人の障害者が働けるスキームを構築した結果、障害者から賃金を頂けたこと、旅行に行けたこと、納税できたことなどに関して感謝されている。
Q.コールセンター事業について
A.当初はコールセンターに人材を派遣するのみであった。
ところが、コロナ禍で給付金対応等でコールセンターが”いっぱいいっぱい”になってしまったことから、”お手伝い”をさせていただいていた。
現在は、ピークを超えたため状況に応じたコールセンターの統廃合等を実施している。
Q.野菜の買取(売る喜びの実体験)について
A.野菜を買い取ったり直売したりはしていない。
ただし、1500人の社員は農園で働く方との交流(お手伝い)もあり、野菜を無駄にしてはならないという意識は共有されている。
Q.DXの推進のリスクについて
A.これまでも社内で実施してきており、データマイニングやディープラーニングに社内で注力していく予定である。
コスト低減以上に信頼度を高めることが期待される。
Q.子会社の売上高、営業利益、利益率について
A.エスプールプラス、エスプールロジスティック、エスプールセールスサポート、エスプールリンク、エスプーるグローカル、ブルードットグリーンについて説明が実施されました(数値は書き取れませんでした。)
Q.素晴らしい事業に投資していると感じた(コメント)
A.当社は公的資金は頂かず、企業からの参加費でビジネスを営んでいる。
業界団体を作ることなど、”慌てて伸ばす”ことは考えず、じっくりと対応していく予定であり、現場に対してもそのように支持している。
Q.ブルードットグリーンのコンサルについて
A.現在、英国のNGO団体CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)からの二酸化炭素削減についての問い合わせに答えないとESGの観点から投資不適格となりかねないのが現状である。
ところが、大企業以外ではこれに対応する専門の人員・組織を配置するのは困難と推測される。
よって、当社がアウトソーシングとして環境経営を支援させていただいている。
決議事項
・剰余金処分の件
・定款一部変更の件
・取締役6名選任の件
・監査役2名選任の件
拍手を持って賛成・可決されました。
事業説明会
総会終了後に事業説明会が実施されました。
残念ながら時間がなくて最初しか聞くことができませんでしたが有意義な話だったと思います。
⑶ 株主還元
配当
一株当たりの配当推移は下記の通りです。
増配基調なのは株主としてありがたく感じています。
2023年11月期:10円
2022年11月期:8.0円
2021年11月期:6.0円
2020年11月期:3.3円
2019年11月期:2.0円
株主優待
なし
株主総会のお土産等
受付時に下記のクッキーを頂きました。
あと、事業説明会前にペットボトルの水かお茶が頂けました。
それから、事業説明会終了後に野菜を配るとのことでした。
【美味しかったクッキー】
3 株主としてのコメント
⑴ 批判的な報道への対応について
批判的な報道に対する対応として業界団体設立を目指すという方向性は悪くないと考えます。
その理由は、M&A業界の前例があるからです。
数年前に河野太郎の
「M&A仲介業者が売り手と買い手を同時に行うのが利益相反ではないか?」
という趣旨の発言をきっかけに東洋経済等の雑誌が批判記事を報じたことがありました。
これに対しては、日本M&Aセンター、M&Aキャピタルパートナーズ、ストライクなどの企業が中小企業庁の”指導”を踏まえて業界団体や業界のガイドラインを制定して業界の発展に繋げています。
その意味で会社の方向性は妥当と判断します。
今後、監督官庁の厚労省をうまく取り込んで、業界ガイドラインや団体設立等に注力することが期待されます。
⑵ 株価の長期下落トレンドについて
一般的に株価が下落する要因は3つあります。
業績低迷、不祥事、将来の成長期待の剥落です。
残念ながら現在のエスプールには3つとも当てはまってるように感じています。
具体的には
・業績低迷:連続していた増収増益が増収減益となったこと
・不祥事:共同通信の批判記事(個人的には風評被害と思っていますが・・・)
・将来の成長期待の剥落:コロナ禍のコールセンターのピークアウト
この中で、業績については本業が好調で投資有価証券評価損の計上が”一過性”という会社の説明を踏まえれば今期以降は問題ないのではないかと考えます(決算発表は要注目です)。
次に不祥事については、業界団体やガイドラインの設立によって徐々に良い方向に転換していくのではないかと期待しています。
ただし、成長期待については個人的には懸念が残っています。
今まではコロナ禍で助成金・給付金関連の手続きでコールセンターが”儲かる”という素人でもわかる成長ストーリーが株価を大きく牽引してきたと思います。
そのコールセンターがピークアウトした現在、新たに誰もがエスプールは”儲かる”と思えるようなシンプルかつ強力な成長ストーリーがよく見えません。
個人的に勉強不足なところはありますが、成長性についての会社からの積極的なIRなどが期待されます。
【総会会場で見かけたオブジェ】
4 まとめ
エスプールについて述べてきました。
普段、馴染みがない会社で含み損を抱えていましたが、総会に参加して社会課題を解決することが会社の成長につながることなどを理解することができました。
残念ながら事業説明会を中座してお土産の野菜はいただけませんでしたが、来て良かったです。
時間がかかっても株価が長期上昇トレンドに反転することを期待して、株主として粘り強くホールドしていきたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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