初投稿:2023.4.16
こんにちは!
この記事は、ENECHANGE【4169】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
・社長の誠実な対応
・雰囲気の良さと合理性の追求
【目次】
【株主総会の会場】
1 ENECHANGEについて
⑴ 会社概要
売上高37億円、総資産67億円、時価総額363億円の事業規模。
PBRは10.24倍と市場からは高い評価を得ています。
四季報では業種は電力に区分されており、時価総額順位は18/22社。
比較会社としては何故か、電力会社ではなくマネーフォワード、フリー、メドレーなどが挙げられています。
Chat GPTに質問したら、”消費者の生活支援では?”とのお答え。
おそらく”家計支援”の会社という認識で四季報の記者は着目していると推測します。
ミッション
エネルギーの未来をつくる
エネルギー革命の軸となる「エネルギーの4D」
・Deregulation:自由化
・Digitalization:デジタル化
・Decarbonization:脱炭素化
・Decentralization:分散化
を事業領域としているとのことです。
ちょっと抽象的ですが印象的でもあります。
事業ドメイン
まだ新しい企業ですが、事業ポートフォリオが3つに分散されていることはリスク管理という点で評価できます。
・エネルギープラットフォーム事業
消費者向け電力・ガス切替サービス「エネチェンジ」「エネチェンジBiz」等の運営
・エネルギーデータ事業
エネルギー事業者向けクラウド型DXサービス「エネチェンジクラウドMarketing」「エネチェンジクラウドDR」等の運営
・EV充電サービス事業
「EV充電エネチェンジ」のブランド名による、EV充電サービスの提供
⑵ 株主になったきっかけ
ファイナンシャルプランナーの方から家計の見直しにおいてエネチェンジが役に立つと教えられて当社のことを知りました。
その後、ネットにおいて成長企業としての評判が良いことから、気になっていました。
ただし、株主になる前は株価が乱高下する会社という印象しかありませんでした。
そして、会社のことをもっと知りたいと思い、2022年12月の決算前に株主となりました。
⑶ 経営分析
収益性
・売上高総利益率:79%
・売上高営業利益率(10%以上は優良株):営業赤字
なお、四季報では【下期黒字化】という見出しがありました。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):217%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):52%
上記の指標を見る限り、安全性についてな特に問題はなさそうです。
ただし、繰越利益剰余金(これまでの事業で生み出した利益の積み重ね)がマイナスになっていることは頭に入れておいた方が良いと思います。
その点で、株主でもあるChatWorkの類似を感じます。
効率性
・有形固定資産回転率:35.65
有形固定資産(オフィス等)については比較的、効率的な経営がなされていると推測します。
【株主総会の案内板】
2 株主総会等
⑴ 株主総会
机付きの席の上にエネチェンジのラベルが貼られた水が置いてありました。
良いセンスだと思います。
下記の通り、社長との質疑応答については誠実な対応がなされていたと感じました。
主な質疑応答
Q.EUの2035年以降のエンジン車容認等のEV充電事業への影響について
A.フェラーリなどのスポーツ車を考えると、当初から無理があったように認識。
今回は、現実的に修正されたものと考える。
別な見方として、これを機に大企業が足踏みをしていれば競合環境が緩まる可能性もある。
また、当社のEV充電事業については順調に進捗している。
今後も、政府等の補助金、モラルハザードにならない事等に留意しつつ事業を展開する。
Q.プラットフォーム事業の進捗について
A.環境は良くなってきている。
法人は安定しており、家庭(個人)は様子見の状態である。
Q.1号議案(資本金の減資)の株主にとってのメリットとデメリットについて
A.メリットとしては節税、デメリットは特にないと考える。
また、新株予約権の関連からキャッシュを配当に回すようなことは株主総会の合意を得なければならず、実質的には会社判断で何かに都合することは困難。
Q.来期の充電インフラ補助金175億円について
A.他社も含めて当初案では足りないと認識していたが、政府が頑張って昨年比3倍の額となった。
細部の内訳は不明だが、当社の事業展開(4〜5千台設置)に十分な額と認識。
ちなみに、予算の示達から執行までの期間は7〜12月までであり、その間に熾烈な工事オペレーションを遂行しなければならないが、工事管理チームを作って役所の期待に応えてきている。
Q.基礎充電の課題について
A.実質的に賃貸マンション中心。
分譲の場合理事会などの意思決定を考えると間に合わないのが現状である。
マンションの住人からの働きかけを促すような広告も重要。
Q.トレードマークの赤いネクタイをつけていないことについて
A.忘れました(笑)。
Q.青いネクタイもお似合いです。
A.ありがとうございます。
株主の皆さんはレアケースに遭遇されていらっしゃいます!
ユーグレナの社長が緑のネクタイをつけていることなどに共感しています。
Q.トップラインが伸びていることは理解できるが収益性についてはどうか?
A.早ければ今期の下期の黒字化を目指したい。
来年度以降は、ストック型ビジネスでもあるので黒字化を継続させていきたい。
なお、プライム市場を目指しており、営業利益100億円の会社をどのようにして作るのかについて思案中である。
Q.1号議案(資本金の減資)によって資金調達の際、借入金が困難となり増資という懸念はないか。
A.銀行との関係は良好であり、そのようなことはない。
Q.今回80名を超える人材獲得は計画によるものか?
A.その通り。
今後の事業展開を考えると人員はますます確保する必要性がある。
余談であるが、個人投資家が当社の理念に共感して社員となったケースもある。
当社はホワイト企業のような社風の中でのハードワークをこなしている。
事業に対するパッション(EV充電を復旧させたい)を持つ人材を今後もアグレッシブに採用していきたい。
Q.社外取締役候補の坊垣さんのスキルと組織開発について
A.組織開発については有田取締役とともに実施してきた。
具体的には、勤務後のクラブ活動(サウナ部、筋トレ部)を通じたモチベーションや従業員間のコミュニケーションの向上などがある。
ちなみに、坊垣取締役候補のキャリアはマクアケ以外にも、サーバーエージェントでのウマ娘の開発、さらには女性管理職の登用についての知見を有していると考える。
決議事項
・資本金の額の減少(減資)の件
・取締役五名選任の件
拍手をもって賛成・可決されました。
なお、退任と新任の取締役の挨拶があり、気持ちの良い株主総会だったと思います。
⑵ 株主還元
配当
なし
株主優待
なし
【株主総会場で頂いた水】
3 株主としてのコメント
⑴ 気に入っていること
雰囲気の良さ
株主総会に参加して新取締役の挨拶がありました。
そのことは一般的ですが、退任する取締役についても挨拶がありました。
取締役からは外れても執行役員として頑張るとのこと。
経営陣の人事というのはドロドロした印象を抱きがちですが、今回の人事は、少なくとも表面的には雰囲気良く実施されていて好感が持てました。
合理性
取締役人事については雰囲気の良さだけでなく、しっかりと合理性も追求されていると考えます。
それは、経済産業省のOBを迎えているからです。
社内の生え抜きの取締役を執行役員とし、その空いたポストに外部の有識者を迎えるというのは組織力を強化する上で有効と推測します。
というのは、業績好調なINPEX(株主です)も経産省OBが活躍されており、その官民からなる多様性が著しく変化する資源・エネルギー業界での生き残りに寄与していると考えるからです。
今後の社外取締役にどのような有識者を迎え入れるのかにも注目しています。
ちなみに、当社の場合は英国に拠点もあり、より一層の多様性が期待されます。
⑵ 気になっていること
テンバーガー候補について
当社は、テンバーガー候補として取り上げるYouTuberも多く期待される成長企業であることは確かです。
ただし、成長企業ゆえに業績の不安定さが株価に与える影響は覚悟しなければなりません。
というか、そもそも期待される成長企業は、業績に関わらず機関投資家による売り仕掛けの洗礼に無関係でいることは難しいと思います。
株主総会招集通知の対処すべき課題の中の⑨財務体質の強化の中で、
「・・・資金需要が現在化した際には、適時に資金調達を検討してまいります。」
との記述があります。
資金調達の中には増資もあり、場合によっては一時的に1〜2割の株価下落があっても不思議ではありません。
成長企業ゆえの株価の乱高下は覚悟しておいた方が良いと思います。
反ESGの流れについて
反ESGの流れが米国の共和党を中心に勢いを増しています。
そもそも、ESGが通用したのはコロナ禍という経済活動が停滞した時代だったと考えています。
コロナも終息して経済活動が戻りつつある中、ESG志向では資源・エネルギーが足りなくなるのは必然のこと。
そのような背景の変化において、環境に優しいとされていたEV車等について、当初の成長ストーリーがそのまま成立するのか、気になります。
ガソリン価格の動向について
EV車の普及にはガソリン価格の動向が関わっていると思います。
ガソリンが高ければEV普及は勢いを増すと考えますが、その逆もあり得ます。
米ソ冷戦を振り返ると、ロシアのウクライナ侵攻を最終的にロシアの敗北で終わらせるためには、ロシアの主要産業である石油について価格を下げることが不可欠だと考えます。
その意味で、安い石油がガソリン車(ハイブリッド車を含む)の需要を意外と延ばすのでは無いかと推測しています。
EV車の普及についても紆余曲折が予想されます。
4 まとめ
エネチェンジについて述べてきました。
優秀な経営陣と積極的な情報発信が特徴の成長企業です。
将来の成長が予想されますが、機関投資家の空売り攻勢、成長のための資金調達、グリーンエネルギーをめぐる国際情勢の変化などを踏まえると株価も単純な右肩上がりというわけにはいかないように感じました。
そういったことも含めて、末長く当社の事業展開を支持していきたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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