こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

三菱商事【8058】〜株主総会雑感(心ある株主からの拍手)

初投稿:2022.2.19、更新日:2022.7.、2023.7.18

こんにちは!

この記事は、三菱商事【8058】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

なお、株主総会の内容を追記し記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。

・時代とともに変化する総合商社のビジネスモデル

・成長戦略(EX、DX、未来創造)

【目次】 

三菱商事の本社ビル】

                      

1 三菱商事について

⑴ 会社概要

総合商社の大手で三菱グループの中核企業です。

売上高21兆円、総資産22兆円、時価総額9.9兆円の事業規模です。

バフェット氏の大量購入等によりPBRが1.22倍と1倍割れ解消です。

また、株主構成は

・金融機関・証券会社:44.15%

・外国法人等:29.73%

・個人・その他:19.19%

・その他の法人:5.39%

・自己株式:1.54%

となっています。

なお、株主数は53,010名増加して404,144名です。

企業理念 

「三綱領」

●所期奉公:事業を通じ、物心共に豊かな社会の実現に努力すると同時に、かけがえのない地球環境の維持にも貢献する。

●所持公明:公明正大で品格のある行動を旨とし、活動の公開性、透明性を堅持する。

●立業貿易:全世界的、宇宙的視野に立脚した事業展開を図る。

歴史のある会社であることを思い出させてくれるような企業理念だと思います。

「中期経営戦略2021」

●事業ポートフォーリオ

●成長メカニズム

●人事制度改革

定量目標・資本政策

セグメント

天然ガス

・総合素材

・石油・化学

・金属資源

・産業インフラ

・自動車・モビリティ

・食品産業

・コンシューマー産業

・電力ソリューション

・複合都市開発

・その他、調整・消去

⑵ 株主になったきっかけ

高配当、資源高、日本を代表する商社ということで数ヶ月前に株主となりました。

バフェットも保有しているということで以前から気にはなっていました。

保有してからも基本的に株価は右肩上がり。

高配当株でもあり株主としては満足してます。

⑶ 2023年3月期の経営分析

業績は増収増益、過去最高益でした。

収益性

・売上高総利益率:12%

・売上高税引前利益率:8

前期よりも1%売上高税引利益率が向上しています。

ちなみにROEは15.8%で前期よりも向上しています。

安全性

流動比率(100%以上が望ましい):136%

自己資本比率(30%以上が望ましい):41%

前期よりも安全性は向上しています。

好決算を背景に財務を強化したのかもしれません。

効率性 

・有形固定資産回転率:7.21

継続的に効率的な経営がなされていると推察します。

⑷ 2022年3月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:12%

・売上高税引前利益率:7%

前期よりも売上高税引利益率が向上しています。

ちなみにROEは15%と高い値を示しています。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):130%

自己資本比率(30%以上が望ましい):36%

前期とほぼ同じ水準です。

効率性 

・有形固定資産回転率:6.20

前期よりも良くなっています。

おそらく、売上高の上昇の影響だと考えます。

⑸ 2021年3月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:12%

・売上高税引前利益率:2%

売上原価及び販管費が大きく、収益性は意外と高くありませんでした。

それでも売上高が巨額なので利益は大きな金額となります。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):132%

自己資本比率(30%以上が望ましい):35%

財務的に盤石とは言い難いですが、問題となる数値ではないと考えます。

効率性 

・有形固定資産回転率:5.13

卸業としては平均よりも少し下回る数値です。

⑹ 総合商社とは?

総合商社は

財閥系:三菱商事三井物産住友商事

非財閥系:伊藤忠商事、丸紅、双日豊田通商

大手7社と呼ばれています。

総合商社は

基本機能:商取引機能、在庫機能、金融・ファイナンス機能、情報・渉外機能

付帯機能:資源開発機能、オーガナイズ機能、事業経営・管理機能

の機能を有すると言われています。

資源株と見做されることが多い総合商社。

でも、それは付帯機能である資源開発機能に注目されてのことと考えます。

そもそも、総合商社は時代の変化に合わせて柔軟にビジネスモデルを変化させており、非資源分野の育成にも力を注いでいるようです。

脱炭素の流れで、太陽光や風力、水素など新エネルギーへの転換が図られています。

 

 

【株主通信の表紙】

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2 株主総会

⑴ 2023年6月の株主総会

2022年度定時株主総会2023年6月23日(金)ザ・プリンスパークタワー東京

ライブ配信を視聴しました。

事業報告はビデオでなされ、90カ国において12の営業グループの活動等が紹介されました。

また、議案上程において環境に関する株主提案が昨年同様になされましたが、短期目標の設定によりポートフォリオの売却等に支障をきたし経営が制約されることから反対である旨の説明がなされました。

主な質疑応答

【事前】

Q.業績、予想、株主還元について

A.資源高、アフターコロナを背景に過去最高益を達成。

来期は好況の反動により純利益9200億円を見込む。

前期は1株180円の配当と2000億円の自社株買いを実施した。

今期は1株200円の配当と1000億円の自社株買いを実施する予定。

なお、当社は累進配当制を導入している。

Q.成長戦略について

A.EX、DX、未来創造の3本柱で頑張る。

EXでは2050年のカーボンニュートラルを目指しつつ金属資源の確保に注力する。

DXではデジタルを駆使して既存ビジネスの生産性向上に努める。

未来創造では日本の課題解決を通じて、地域経済を強化していく。

【会場】

Q.CCS(CO2回収・貯留:Carbon Capture Strage)について

日本製鉄、エクソン・モービルと弊社で覚書を結んで事業に取り組んでいく。

ただし、コストが高いことから、他の手法も同時に進めている。

Q.円安や資源高等の恩恵が無くなっても大丈夫か?

A.資源以外でも、例えば自動車(自動運転)なども頑張っている。

循環型成長モデルを確立し、地政学リスクも含め、耐性をつけていく。

Q.バフェットさんとの会合について

A.相手のある話なので情報開示はできないが、92歳で不老長春な方だとの印象を持った。

Q.三菱ふそう日野自動車との統合について

A.トヨタ自動車と(独)ダイムラートラックが中心となって考えている。

インドネシアでの三菱ふそうの50%以上のマーケットシェアは大切にしつつ、成長させていく。

Q.”選択”という雑誌の成城石井の暴露記事について

A.議長の指示に従っていただけなかったので、質疑は打ち切らせていただきます(会場から拍手)。

Q.セグメント別資産額を開示して資産効率を分かりやすくしてほしい。

A.ご指摘のとおり有価証券報告書では開示しているが、より分かりやすい報告を検討する。

Q.社長が社員から妬まれることでグループ力が下がることはないか?

A.多様性が我が社の強みであり、エンゲージメント(社員同士の繋がり)の高さ意識しつつ社員が一丸となるよう努めている。

Q.退任する齊木社外取締役から一言お願いします。

6年間勤務したが印象は変わらない。

・組織で大切なのは、人材、金、仕事の進め方であり当社はこの3つが強い。

・リスクを探知する能力とそれに対応する力が優れている。

・事業を構想する力と実行力の高さが際立っている。

当社は日本経済をリードしていく会社として今後も期待できる(会場から拍手)

Q.台湾有事の際のシーレーン防衛等は大丈夫か?

A.地政学リスクによる世界の分断等については常に注視している。

事案発生時は、まずは従業員や家族の安全を最優先としし、事業への影響の局限化に努める。

Q.再生エネルギー事業の懸念事項について

A.我が国においては自給自足のエネルギーが重要と認識している。

しっかりとした調査を踏まえ、課題を認識しつつ政府の指導を仰ぎつつ、地元の理解を深めながら事業を推進する。

Q.洋上風力発電の隘路(リスク)について

A.エネコ社(蘭)とともにワンチームで風力発電事業に取り組んできており、それを元に秋田、銚子で事業を展開している。

技術向上の結果、10MWの発電を実用化しているが、まだまだ発展の余地があると考える。

また、タービン技術など重要でありサプライチェーン構築に万全を期したい。

Q.今期は減益予想であるが累進配当は大丈夫か?

A.中期経営計画に基づき精度を持った予算を立てているので大丈夫です(会場から拍手)。

Q.株主提案について、火力発電所の建設とネットゼロは矛盾しないのか?

A.2050年ネットゼロ達成に向けて、様々な分析を実施しており矛盾はないと考える。

なお、”1.5°Cシナリオ”は毎年検証していく。

Q.経営におけるスピード感について

A.担当者が事業を構想して経営陣に上げるまでに4つの階層を通過するが、場合によっては承認までの手続きを加速することも可能(リスクを詰める必要はある)。

経営スピードが遅いとは思っていない。

慎重さとスピードをうまくバランスさせていく。

Q.サハリン2のリスクと回収について

A.1日も早い正常化を願っている。

サハリン2については政府と事業パートナーとともに適切に取り組んでいく。

メンテナンス等については当面問題ないと考える。

個別事業についてのコメントは控えさせていただく。

Q.バングラディッシュ等の新興国に高価な化石燃料に依存させるのはいかがなものか?

A.当社は事業を通じて解決していく社会課題をマテリアリティと定義して取り組んでいる。

決議事項

・剰余金処分の件

・取締役9名選任の件

監査役1名専任の件

・取締役報酬改定の件

拍手を持って承認・可決されました。

なお、株主提案は否決されています。

株主総会雑感

下記の3回、会場の株主から自然な拍手が湧いていました。

・議長の指示に従わない株主の発言を打ち切った時

・齋木社外取締役の退任挨拶

・減収予想だが累進配当は実施すると説明した時

心ある株主が数多く参加する株主総会は気持ちの良いものです。

視聴して良かったです。

一方、質疑応答の際は、少し答弁内容が抽象的だったような気がします。

もう少し経営に当たっている役員の方の生の声を活かしながら回答された方が、多くの株主の心に響いたのではないかと思いました。

⑵ 2022年6月の株主総会

2021年度定時株主総会2022年6月24日(金)ザ・プリンスパークタワー東京

資源高と経済回復を背景に過去最高益となったと報告がありました。

また、EXとして2050年のカーボンニュートラルの達成のため、洋上風力発電、水素、アンモニアに注力するとのこと。

さらに、DXとしてデジタルとリアルの融合を推進し自動運転などの実用化を目指すとのことでした。

対処すべき課題として、中期経営計画2024(MCSVの創出)について説明がなされていました。

主な質疑応答

【事前の質問】

Q.業績、配当について

A.純利益については、2022年の8500億円に対して2024年は8000億円を見込んでいる。

配当については150円、自社株買いは700億円を予定している。

Q.成長戦略について

A.EX・DXをすすめ再生エネルギーを拡充し、現状12%のエネルギー自給率の向上に努める。

Q.サステナビリティについて

A.カーボンニュートラルのロードマップに基づき、成熟した社会的課題(マテリアリティ)の解決に努める。

【会場からの質問】

Q.新社長としての心構えについて

A.”つながり”を大切にしており、コミュニケーションよくやっていきたい。

Q.電力ソリューションとしての潮力発電について

A.まだまだ技術開発段階である。

Q.未来創造、地域のブランド化の具体化について

A.脱炭素実現のためには地域の理解が必要であり、そのためには地域の活性化が不可欠である。

ともに発展させていくことが重要。

Q.総合商社の中での首位奪還後の展開について

A.スリム化も含め一つ一つの事業を丁寧に見直していく。

Q.社外取締役から退任の総括

A.三菱商事多様性のある会社。

その気があれば各種会議に社外取締役として100回程度参加も可能。

強みとしては多様なビジネスを実施していることから適時入れ替えが可能なことと、全世界に展開していることによりリスク対応が可能なこと。

社内に優秀な人材が豊富である。

新社長は体格が大きくて緩やかに見えるが、行動力がありスピード感のある経営をされる人物。

(会場から拍手)

Q.チャイナリスクについて

A.重要な国だが、リスク・エクスポージャー(最悪の場合投資した資産を失う変動リスク?)は実施済み。

基本的には自由・資本主義以外への投資はしない。

Q.原油価格の前提がきこ変動リスクに一致しているか?

A.デロイトトーマツとの対話や幅広い調査により、1.5°Cシナリオと原油価格の一致に務めている。

Q.ESG(環境)と資源価格上昇(利益)について

2原論では語れない。

エネルギーの安定供給、環境配慮、競争力という3つのテーマを考慮して経営に当たる。

特にE(環境)のためにはS(地方)に力を入れることが大切と認識している。

Q.何故、新社長に選ばれたと思うか?

A.6年前だったら選ばれなかった。

エネルギー・電力分野での実績が評価されたと思う。

37年間の会社人生を歩んできた。

さらに43年間会社のために全力を尽くす。

Q.定款一部変更に対する修正動議

A.承知した。

Q.総合商社とは?

A.多様性を持っていることが強み。

Q.設備投資の表記と株主還元について

自社株買いよりも成長投資を重視する。

株主還元は配当を中心に考える。

Q.再生エネルギーの展望と製品の国産と外国産について

A.現在12%のエネルギー自給率エネルギー安全保障の観点から風力、太陽光、水力などにより高めるよう努めている。

性能の良さも大切だが、競争力も考えなければならない。

国産と外国産の製品が切磋琢磨することが大切。

Q.株価の急落について

A.直近では豪州の石炭のロイヤリティの引き上げなどの影響が考えられるが、当社は強靭性を持っているので限定的と考える。

決議事項

・剰余金処分の件

・定款一部変更の件

・取締役11名選任の件

監査役2名選任の件

(株主提案)

・定款一部変更の件

・定款一部変更の件

会社提案の4件が拍手を持って賛成・可決され、株主提案と株主からの修正動議は否決されました。

終了後に新役員の紹介がありました。

最後は、

「みんなで力を合わせて当社の企業価値向上に邁進する所存ですので・・・」

との社長の言葉に対する株主からの拍手で締めくくられました。

株主総会雑感

週刊ダイヤモンドという雑誌によると三菱商事は今回の社長の交代に際して、王者の余裕を示したとのこと。

それは、総合商社の首位奪還ということで前社長に花を持たせつつかなりの損失を計上することで新社長の円滑なるスタートにも配慮したというものです。

記事の内容については検証できませんが、退任する社外取締役の話などから優秀な人材が互いに協力して経営に当たっている様子を垣間見ることができました。

全般として気持ちの良い株主総会でした。

視聴して良かったです!

⑶ 2021年6月の株主総会

2021年6月25日(金) ザ・プリンス パークタワー東京

アーカイブ配信を利用して視聴しました。

事前アンケートに基づく、業績と配当についての説明とともに9つの質問に対する回答もしっかりと編集されていました。

説明責任を積極的に果たそうとする姿勢に好感を持ちました。

⑷ 株主還元    

配当

一株あたりの配当の推移

2018年度:125円

2019年度:132円

2020年度:134円

2021年度:134円→142円(見通し)

高配当で増配基調であり、株主としては満足です。

また、累進配当性を採用しており、業績の影響を局限して長期に株主に報いる方針もありがたいと考えます。

株主優待   

なし 

その他

東洋文庫ミュージアムへの無料招待券がいただけました。

株主優待ではないので、外国人も不満はないかも?

2022年9月まで有効なのでそれまでにミュージアムへ足を運んでみます。

【株主通信に同封されてきた東洋文化ミュージアムの招待券】  

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3 株主としてのコメント

⑴ 株主通信を読んで

他の会社と同様にカーボンニュートラル社会へのロードマップが紹介されていました。

けれども中身はEX(2兆円投資)と(NTTと組んだ)DXの相乗効果を狙う内容となっており、他社よりも良く練られているように考えます。

そして、ウエストホールディングスから調達した太陽光発電の再エネをAmazonに長期供給する取り組みが紹介されていました。

未来創造に挑戦する事業展開に注目していきます。

⑵  気になっていること

株主総会で◯期、○回の表記がない

1870年(明治3年)に土佐・高知藩の岩崎弥太郎が設立した海運業の九十九商会が会社の源流である歴史の長い会社のためかもしれません。

ただし、年度表記なので総会実施日と一致しないのがややこしく感じます。

ファシリティ・マネジメントの分野でイオンディライトと競合?

産業インフラ事業におけるトピックスとして、ファシリティ・マネジメントへの進出が記載されていました。

読んでみると、人材不足を解消するためDXに力を注ぐとのこと。

イオンディライトと同じことが書かれており、どちらかが真似したのかもしれないと、少し気になりました。

EPSの予想

四季報によると一株あたりの当期純利益(EPS)は

2021年3月期:116.9円

2022年3月期:635.1円

2023年3月期:484.8円

2024年3月期:550.4円

と予想されています。

今期はV字回復過去最高益を更新していますが、23年3月期は減益予想となっています。

少し先のことですが、右肩上がりの成長を期待しています。

三菱商事の重要な子会社のひとつであるローソン】

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4 まとめ

三菱商事について述べてきました。

株価ではなくビジネスモデルを買う」というバフェットが保有するだけあって時代に柔軟に対応できるさまざまな事業を経営していることがわかりました。

株主としては配当をいただけたり、含み益を狙えることも大きな魅了です。

ただし、本当に三菱商事から学ぶべきは、生き残るために個人も企業と同様に時代に応じて変化することかもしれないと感じました。

お読みいただき、ありがとうございました。 

【子会社の三菱HCキャピタル】

cogepan20.hatenablog.com

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

株式投資 #株主総会 #資産運用 #三菱商事 #ローソン #マテリアリティ