初投稿:2022.2.19、更新日:2022.7.、2023.7.18、2024.8.18
こんにちは!
この記事は、三菱商事【8058】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
なお、2024年6月の株主総会の内容を追記し記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。
・時代とともに変化する総合商社のビジネスモデル
・成長戦略(EX、DX、未来創造)
【目次】
【三菱商事の本社ビル】
1 三菱商事について
⑴ 会社概要
総合商社の大手で三菱グループの中核企業です。
売上高21兆円、総資産22兆円、時価総額12.6兆円の事業規模です。
会社の付加価値(のれん、ブランド力)を示すPBRは1.28倍と前期に比べ微増。
企業理念
「三綱領」
●所期奉公:事業を通じ、物心共に豊かな社会の実現に努力すると同時に、かけがえのない地球環境の維持にも貢献する。
●所持公明:公明正大で品格のある行動を旨とし、活動の公開性、透明性を堅持する。
●立業貿易:全世界的、宇宙的視野に立脚した事業展開を図る。
歴史のある会社であることを思い出させてくれるような企業理念だと思います。
「中期経営戦略2021」
●事業ポートフォーリオ
●成長メカニズム
●人事制度改革
●定量目標・資本政策
セグメント
11だったセグメントは8に再編されています。
・地球環境
・マテリアルソリューション
・金属資源
・社会インフラ
・モビリティ
・食品産業
・S.L.C.
・電力ソリューション
⑵ 株主になったきっかけ
高配当、資源高、日本を代表する商社ということで数ヶ月前に株主となりました。
バフェットも保有しているということで以前から気にはなっていました。
保有してからも基本的に株価は右肩上がり。
高配当株でもあり株主としては満足してます。
⑶ 2024年3月期の経営分析
減収でしたが、過去2番目の利益だったとのことです。
収益性
・売上高総利益率:12%
・売上高税引前利益率:7%
前期よりも1%売上高税引利益率が低下しました。
仲介業ということもあってか、意外と収益性は低位安定と考えます。
安全性
・流動比率(100%以上が望ましい):144%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):43%
引き続き安全性は向上しています。
財務面の強化が累進配当の背景にあると推察します。
効率性
・有形固定資産回転率:7.27
前期とほぼ変わりません。
売上高も有形固定資産額も微減となっています。
全業種の中央値が4.9であることを踏まえると効率的な経営がなされていると推察します。
⑷ 2023年3月期の経営分析
業績は増収増益、過去最高益でした。
収益性
・売上高総利益率:12%
・売上高税引前利益率:8%
前期よりも1%売上高税引利益率が向上しています。
ちなみにROEは15.8%で前期よりも向上しています。
安全性
・流動比率(100%以上が望ましい):136%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):41%
前期よりも安全性は向上しています。
好決算を背景に財務を強化したのかもしれません。
効率性
・有形固定資産回転率:7.21
継続的に効率的な経営がなされていると推察します。
⑸ 2022年3月期の経営分析
収益性
・売上高総利益率:12%
・売上高税引前利益率:7%
前期よりも売上高税引利益率が向上しています。
ちなみにROEは15%と高い値を示しています。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):130%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):36%
前期とほぼ同じ水準です。
効率性
・有形固定資産回転率:6.20
前期よりも良くなっています。
おそらく、売上高の上昇の影響だと考えます。
⑹ 2021年3月期の経営分析
収益性
・売上高総利益率:12%
・売上高税引前利益率:2%
売上原価及び販管費が大きく、収益性は意外と高くありませんでした。
それでも売上高が巨額なので利益は大きな金額となります。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):132%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):35%
財務的に盤石とは言い難いですが、問題となる数値ではないと考えます。
効率性
・有形固定資産回転率:5.13
卸業としては平均よりも少し下回る数値です。
⑺ 総合商社とは?
総合商社は
が大手7社と呼ばれています。
総合商社は
基本機能:商取引機能、在庫機能、金融・ファイナンス機能、情報・渉外機能
付帯機能:資源開発機能、オーガナイズ機能、事業経営・管理機能
の機能を有すると言われています。
資源株と見做されることが多い総合商社。
でも、それは付帯機能である資源開発機能に注目されてのことと考えます。
そもそも、総合商社は時代の変化に合わせて柔軟にビジネスモデルを変化させており、非資源分野の育成にも力を注いでいるようです。
脱炭素の流れで、太陽光や風力、水素など新エネルギーへの転換が図られています。
【株主通信の表紙】
2 株主総会等
⑴ 2024年6月の株主総会
2023年度定時株主総会2024年6月21日(金)ザ・プリンスパークタワー東京
ライブ配信を視聴しました。
主なポイント
・当期純利益は9500億円の減益だが過去2番目の高さ
・組織改変(8つのグループ)について
主な質疑応答
【アンケートに基づく事前】
Q.2024年度の業績見通しについて
A.前期と同様に9500億円を予想している。
Q.配当について
A.1株あたり30円増配の100円を予定している。
累進配当制は維持していく。
Q.成長戦略について
A.循環型成長モデルを通じた1兆円を超える利益水準実現に向けて注力する。
その際、基盤固め、助走、仕込みの3層構造を通じた収益化を確立していく。
【会場】
Q.来場者に水ぐらいは出してほしい。プーチンだって水ぐらいは出す。(拍手)
A.水がなくて倒れてしまっても困りますので、来年からは出します。
来年もぜひお越しください(笑)。
Q.ドル換算の収益は2割減なことについて
A.当社のみならず日本にとっての円の弱さの問題は常に意識している。
その一方で、海外投資家は日本の成長も見ている。
当社は時価総額15〜16兆円と言っても、海外には20兆円以上の企業が多いことを意識して経営に当たっていく。
Q.モビリティグループの今後の展望について
A.タイにおいては、Isuzuの商用車やトヨタのピックアップトラックを年間500〜600万台売り上げている。
それは60年以上かけて培ったネットワークがあり、部品の供給力や顧客との信頼関係が当社の強み。
中国のEVは現在、乗用車中心だが、米国やインドと取引ができない中、東南アジアに進出することは必然と考える。
当社としては、タイのみならず東南アジアにおいてエコシステムを守りつつ、地域の発展に貢献していきたい。
Q.地域再生について
A.富山のサーモン洋食、や東北地方の水回りのサブスク、石川県の洋上風力発電などを手掛けているが、利益が出るまでには至っておらず、お客様との対話のきっかけ的な面が大きい。
よって、大変だがひとつづつ丁寧に取り組み、次のチャンスに活かしていきたい。
Q.中国市場でのビジネスについて
A.当社は1%程度しか中国にリスクマネーは貼っていない。
中国は難しい国であり、最後は政治が絡んでくるからである。
ただし、中国の状況はインテリジェンスを駆使して把握する必要があると認識。
例えば、中国のEVは世界にとって脅威だが、リチウムイオン電池のリサイクルへの取り組みなど、新たなビジネスのヒントについてモニターしている。
Q.雑誌「ZAITEN」で報じられた、親族採用について
A.当社は、3月6月採用者の中の1%程度(70〜80人)が退職し、その一方でキャリア採用を80名程度で補う現状となっている。
当社にとっては人材が全てであり、優秀な人材確保が必要である。
そのような背景のもと、職業選択の自由、親の会社に入りたいという子供の動機などを総合的に判断して、親族採用を実施することとした。
Q.原子力関係の管理ビジネスから手を引いたことについて
A.当社は三菱重工業と電力会社の代理店を返上している。
それは、単なる部品のトレーディングではなく、原子力事業はしっかりと腰を据えて取り組むべきものとの判断によるものである。
その背景にはデータ消費社会(電力消費型社会)にあって88%のエネルギーを輸入に頼っていることは再生エネルギーでは安定電源を賄えないという認識があるため。
競争力のある安定的な電源確保は急務であると考える。
ただし、日本におけるビジネスでは東電の例からも明らかなように責任の範囲は青天井であるので計画はしていない。
Q.素材(資源)ビジネスのアップダウンについて
A.当社にとっては資源系ビジネスのアップサイドをしっかり取れることが強みである。
ただし、資源系は価格変動が大きい。
このため、安定性の高い事業系とのバランスが大切であると考える。
なお、事業系については連結企業415社について無駄がないかをチェックしつつ循環型ビジネス推進に努める。
事業にも寿命があるので、基盤固め、助走、仕込みの3層構造で収益化を進めていく。
Q.社長の夢について
A.数値的なものについては事業計画でお示ししたい。
当社は全産業レベルで事業に関わっているので、いろいろな引き出しがあるがそれらが重なることはない。
例えば、EVで必要なものは全部持っている。
よって、全産業レベルでワンストップで対応し得るような会社を目指したい(拍手)。
Q.米国のLNG事業のリスクについて
A.LNG事業については様々なファクターが関わっているが、エネルギーの移行期間では重要な役割を果たすと認識している。
現在、バイデン政権での政策が事業に与える影響はない。
財務やオペレーションアンドのリスクを管理しながら、コスト競争力を意識しつつ事業を進めていく。
・・・お帰りの際には水をお持ち帰りください(笑)。
Q.招集通知の役員紹介欄に趣味を載せることで会社に対する親近感が湧くのでは?
A.貴重なご意見として検討していきます。
Q.監査等委員会の招集者を定款に明記しては?
A.定款に監査等委員長を明記するのは一般的ではない。
また、監査等委員の招集者についてはまさに総会後の、監査等委員会における委員長選出等によって決定される。
なお、監査等委員会設置会社になることによって、取締役がマネジメントk型からモニタリング型となり、より迅速な意思決定が可能となると考える。
決議事項
・剰余金処分の件
・定款一部変更の件
・取締役(監査等委員を除く)10名選任の件
・監査等委員である取締役5名選任の件
・補欠の監査等委員である取締役1名選任の件
・取締役(監査等委員を除く)の報酬決定の件
・監査等委員である取締役の報酬決定の件
・対象取締役(監査等委員を除く)に対する中長期株価連動型株式報酬の報酬額決定の件
事前の議決権行使の結果を公表し、全議案可決されましたと議長から説明されました。
なお、閉会に際して、新役員の紹介がありました。
株主総会雑感
今年の当社の株主総会は”水おじさん”がSNSでトレンド入りしたことなどが話題になりました。
ただし、”水おじさん”も含め、会社に対して建設的な意見を言う方が大半であり、そのような総会は参加して気持ちの良いものであると感じています。
経営陣の夢や趣味にまで”審議"が及ぶことは、堅調な業績、株価の上昇、累進配当制に基づく株主還元等を通じたステークホルダーとの良好な関係があると推察します。
どんな社会問題でも、当社を通じて解決できるようなそんなワンストップな存在になる日を株主として楽しみにしてます。
⑵ 2023年6月の株主総会
2022年度定時株主総会2023年6月23日(金)ザ・プリンスパークタワー東京
ライブ配信を視聴しました。
事業報告はビデオでなされ、90カ国において12の営業グループの活動等が紹介されました。
また、議案上程において環境に関する株主提案が昨年同様になされましたが、短期目標の設定によりポートフォリオの売却等に支障をきたし経営が制約されることから反対である旨の説明がなされました。
主な質疑応答
【事前】
Q.業績、予想、株主還元について
A.資源高、アフターコロナを背景に過去最高益を達成。
来期は好況の反動により純利益9200億円を見込む。
前期は1株180円の配当と2000億円の自社株買いを実施した。
今期は1株200円の配当と1000億円の自社株買いを実施する予定。
なお、当社は累進配当制を導入している。
Q.成長戦略について
A.EX、DX、未来創造の3本柱で頑張る。
EXでは2050年のカーボンニュートラルを目指しつつ金属資源の確保に注力する。
DXではデジタルを駆使して既存ビジネスの生産性向上に努める。
未来創造では日本の課題解決を通じて、地域経済を強化していく。
【会場】
Q.CCS(CO2回収・貯留:Carbon Capture Strage)について
日本製鉄、エクソン・モービルと弊社で覚書を結んで事業に取り組んでいく。
ただし、コストが高いことから、他の手法も同時に進めている。
Q.円安や資源高等の恩恵が無くなっても大丈夫か?
A.資源以外でも、例えば自動車(自動運転)なども頑張っている。
循環型成長モデルを確立し、地政学リスクも含め、耐性をつけていく。
Q.バフェットさんとの会合について
A.相手のある話なので情報開示はできないが、92歳で不老長春な方だとの印象を持った。
A.トヨタ自動車と(独)ダイムラートラックが中心となって考えている。
インドネシアでの三菱ふそうの50%以上のマーケットシェアは大切にしつつ、成長させていく。
Q.”選択”という雑誌の成城石井の暴露記事について
A.議長の指示に従っていただけなかったので、質疑は打ち切らせていただきます(会場から拍手)。
Q.セグメント別資産額を開示して資産効率を分かりやすくしてほしい。
A.ご指摘のとおり有価証券報告書では開示しているが、より分かりやすい報告を検討する。
Q.社長が社員から妬まれることでグループ力が下がることはないか?
A.多様性が我が社の強みであり、エンゲージメント(社員同士の繋がり)の高さ意識しつつ社員が一丸となるよう努めている。
Q.退任する齊木社外取締役から一言お願いします。
6年間勤務したが印象は変わらない。
・組織で大切なのは、人材、金、仕事の進め方であり当社はこの3つが強い。
・リスクを探知する能力とそれに対応する力が優れている。
・事業を構想する力と実行力の高さが際立っている。
当社は日本経済をリードしていく会社として今後も期待できる(会場から拍手)。
Q.台湾有事の際のシーレーン防衛等は大丈夫か?
A.地政学リスクによる世界の分断等については常に注視している。
事案発生時は、まずは従業員や家族の安全を最優先としし、事業への影響の局限化に努める。
Q.再生エネルギー事業の懸念事項について
A.我が国においては自給自足のエネルギーが重要と認識している。
しっかりとした調査を踏まえ、課題を認識しつつ政府の指導を仰ぎつつ、地元の理解を深めながら事業を推進する。
Q.洋上風力発電の隘路(リスク)について
A.エネコ社(蘭)とともにワンチームで風力発電事業に取り組んできており、それを元に秋田、銚子で事業を展開している。
技術向上の結果、10MWの発電を実用化しているが、まだまだ発展の余地があると考える。
また、タービン技術など重要でありサプライチェーン構築に万全を期したい。
Q.今期は減益予想であるが累進配当は大丈夫か?
A.中期経営計画に基づき精度を持った予算を立てているので大丈夫です(会場から拍手)。
Q.株主提案について、火力発電所の建設とネットゼロは矛盾しないのか?
A.2050年ネットゼロ達成に向けて、様々な分析を実施しており矛盾はないと考える。
なお、”1.5°Cシナリオ”は毎年検証していく。
Q.経営におけるスピード感について
A.担当者が事業を構想して経営陣に上げるまでに4つの階層を通過するが、場合によっては承認までの手続きを加速することも可能(リスクを詰める必要はある)。
経営スピードが遅いとは思っていない。
慎重さとスピードをうまくバランスさせていく。
Q.サハリン2のリスクと回収について
A.1日も早い正常化を願っている。
サハリン2については政府と事業パートナーとともに適切に取り組んでいく。
メンテナンス等については当面問題ないと考える。
個別事業についてのコメントは控えさせていただく。
Q.バングラディッシュ等の新興国に高価な化石燃料に依存させるのはいかがなものか?
A.当社は事業を通じて解決していく社会課題をマテリアリティと定義して取り組んでいる。
決議事項
・剰余金処分の件
・取締役9名選任の件
・監査役1名専任の件
・取締役報酬改定の件
拍手を持って承認・可決されました。
なお、株主提案は否決されています。
株主総会雑感
下記の3回、会場の株主から自然な拍手が湧いていました。
・議長の指示に従わない株主の発言を打ち切った時
・齋木社外取締役の退任挨拶
・減収予想だが累進配当は実施すると説明した時
心ある株主が数多く参加する株主総会は気持ちの良いものです。
視聴して良かったです。
一方、質疑応答の際は、少し答弁内容が抽象的だったような気がします。
もう少し経営に当たっている役員の方の生の声を活かしながら回答された方が、多くの株主の心に響いたのではないかと思いました。
⑶ 2022年6月の株主総会
2021年度定時株主総会2022年6月24日(金)ザ・プリンスパークタワー東京
資源高と経済回復を背景に過去最高益となったと報告がありました。
また、EXとして2050年のカーボンニュートラルの達成のため、洋上風力発電、水素、アンモニアに注力するとのこと。
さらに、DXとしてデジタルとリアルの融合を推進し自動運転などの実用化を目指すとのことでした。
対処すべき課題として、中期経営計画2024(MCSVの創出)について説明がなされていました。
主な質疑応答
【事前の質問】
Q.業績、配当について
A.純利益については、2022年の8500億円に対して2024年は8000億円を見込んでいる。
配当については150円、自社株買いは700億円を予定している。
Q.成長戦略について
A.EX・DXをすすめ再生エネルギーを拡充し、現状12%のエネルギー自給率の向上に努める。
Q.サステナビリティについて
A.カーボンニュートラルのロードマップに基づき、成熟した社会的課題(マテリアリティ)の解決に努める。
【会場からの質問】
Q.新社長としての心構えについて
A.”つながり”を大切にしており、コミュニケーションよくやっていきたい。
Q.電力ソリューションとしての潮力発電について
A.まだまだ技術開発段階である。
Q.未来創造、地域のブランド化の具体化について
A.脱炭素実現のためには地域の理解が必要であり、そのためには地域の活性化が不可欠である。
ともに発展させていくことが重要。
Q.総合商社の中での首位奪還後の展開について
A.スリム化も含め一つ一つの事業を丁寧に見直していく。
Q.社外取締役から退任の総括
A.三菱商事は多様性のある会社。
その気があれば各種会議に社外取締役として100回程度参加も可能。
強みとしては多様なビジネスを実施していることから適時入れ替えが可能なことと、全世界に展開していることによりリスク対応が可能なこと。
社内に優秀な人材が豊富である。
新社長は体格が大きくて緩やかに見えるが、行動力がありスピード感のある経営をされる人物。
(会場から拍手)
Q.チャイナリスクについて
A.重要な国だが、リスク・エクスポージャー(最悪の場合投資した資産を失う変動リスク?)は実施済み。
基本的には自由・資本主義以外への投資はしない。
Q.原油価格の前提がきこ変動リスクに一致しているか?
A.デロイトトーマツとの対話や幅広い調査により、1.5°Cシナリオと原油価格の一致に務めている。
Q.ESG(環境)と資源価格上昇(利益)について
2原論では語れない。
エネルギーの安定供給、環境配慮、競争力という3つのテーマを考慮して経営に当たる。
特にE(環境)のためにはS(地方)に力を入れることが大切と認識している。
Q.何故、新社長に選ばれたと思うか?
A.6年前だったら選ばれなかった。
エネルギー・電力分野での実績が評価されたと思う。
37年間の会社人生を歩んできた。
さらに43年間会社のために全力を尽くす。
Q.定款一部変更に対する修正動議
A.承知した。
Q.総合商社とは?
A.多様性を持っていることが強み。
Q.設備投資の表記と株主還元について
自社株買いよりも成長投資を重視する。
株主還元は配当を中心に考える。
Q.再生エネルギーの展望と製品の国産と外国産について
A.現在12%のエネルギー自給率をエネルギー安全保障の観点から風力、太陽光、水力などにより高めるよう努めている。
性能の良さも大切だが、競争力も考えなければならない。
国産と外国産の製品が切磋琢磨することが大切。
Q.株価の急落について
A.直近では豪州の石炭のロイヤリティの引き上げなどの影響が考えられるが、当社は強靭性を持っているので限定的と考える。
決議事項
・剰余金処分の件
・定款一部変更の件
・取締役11名選任の件
・監査役2名選任の件
(株主提案)
・定款一部変更の件
・定款一部変更の件
会社提案の4件が拍手を持って賛成・可決され、株主提案と株主からの修正動議は否決されました。
終了後に新役員の紹介がありました。
最後は、
「みんなで力を合わせて当社の企業価値向上に邁進する所存ですので・・・」
との社長の言葉に対する株主からの拍手で締めくくられました。
株主総会雑感
週刊ダイヤモンドという雑誌によると三菱商事は今回の社長の交代に際して、王者の余裕を示したとのこと。
それは、総合商社の首位奪還ということで前社長に花を持たせつつ、かなりの損失を計上することで新社長の円滑なるスタートにも配慮したというものです。
記事の内容については検証できませんが、退任する社外取締役の話などから優秀な人材が互いに協力して経営に当たっている様子を垣間見ることができました。
全般として気持ちの良い株主総会でした。
視聴して良かったです!
⑷ 2021年6月の株主総会
2021年6月25日(金) ザ・プリンス パークタワー東京
アーカイブ配信を利用して視聴しました。
事前アンケートに基づく、業績と配当についての説明とともに9つの質問に対する回答もしっかりと編集されていました。
説明責任を積極的に果たそうとする姿勢に好感を持ちました。
⑸ 株主還元
配当
1株配当実績
・2023年3月期:180円
・2022年3月期:150円
・2021年3月期:134円
・2020年3月期:132円
・2019年3月期:125円
・2018年3月期:110円
高配当で増配基調であり、株主としては満足です。
また、累進配当性を採用しており、業績の影響を局限して長期に株主に報いる方針もありがたいと考えます。
株主優待
なし
その他
株主優待ではないので、外国人も不満はないかも?
2022年9月まで有効なのでそれまでにミュージアムへ足を運んでみます。
3 株主としてのコメント
⑴ 株主通信を読んで
他の会社と同様にカーボンニュートラル社会へのロードマップが紹介されていました。
けれども中身はEX(2兆円投資)と(NTTと組んだ)DXの相乗効果を狙う内容となっており、他社よりも良く練られているように考えます。
そして、ウエストホールディングスから調達した太陽光発電の再エネをAmazonに長期供給する取り組みが紹介されていました。
未来創造に挑戦する事業展開に注目していきます。
⑵ 気になっていること
株主総会で◯期、○回の表記がない
1870年(明治3年)に土佐・高知藩の岩崎弥太郎が設立した海運業の九十九商会が会社の源流である歴史の長い会社のためかもしれません。
ただし、年度表記なので総会実施日と一致しないのがややこしく感じます。
ファシリティ・マネジメントの分野でイオンディライトと競合?
産業インフラ事業におけるトピックスとして、ファシリティ・マネジメントへの進出が記載されていました。
読んでみると、人材不足を解消するためDXに力を注ぐとのこと。
イオンディライトと同じことが書かれており、どちらかが真似したのかもしれないと、少し気になりました。
EPSの予想
2021年3月期:116.9円
2022年3月期:635.1円
2023年3月期:484.8円
2024年3月期:550.4円
と予想されています。
今期はV字回復し過去最高益を更新していますが、23年3月期は減益予想となっています。
少し先のことですが、右肩上がりの成長を期待しています。
【三菱商事の重要な子会社のひとつであるローソン】
4 まとめ
三菱商事について述べてきました。
「株価ではなくビジネスモデルを買う」というバフェットが保有するだけあって時代に柔軟に対応できるさまざまな事業を経営していることがわかりました。
株主としては配当をいただけたり、含み益を狙えることも大きな魅了です。
ただし、本当に三菱商事から学ぶべきは、生き残るために個人も企業と同様に時代に応じて変化することかもしれないと感じました。
お読みいただき、ありがとうございました。
【子会社の三菱HCキャピタル】
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。