初投稿:20222.10.3
こんにちは!
この記事は、デジタル・インフォメーション・テクノロジー【3916】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
・創業家中心とした将来を見据えた”種まき”経営が特徴
・取締役の多さは謎
【目次】
【株主総会の会場となった鉄鋼会館】
1 デジタル・インフォメーション・テクノロジーについて
⑴ 会社概要
総資産76億円、売上高161億円、時価総額229億円の事業規模です。
PBRは4.07倍と高評価。
四季報によるとSI・ソフトウエア開発に区分され、時価増額順位は67/252社。
比較会社としてクレスコ、アドソル日進、システナが挙げられています。
企業理念
ロゴマークに象徴されているようです。
顧客起点
育成、コミュニケーション
付加価値の向上、熱い情熱を持つ、目的・目標を持つ
経営方針
付加価値の向上と変化への対応を通して、安定と成長を目指します。
5つの事業戦略
・リノベーション(既存事業の改革により事業基盤の強化・安定化)
・イノベーション(自社商品を軸とした新しい価値創造)
・競合から協業へ(協業による事業拡大)
・開発からサービスへ(サービス視点での事業拡大)
・人材調達・人材育成(採って育てる)
セグメント
●ソフトウエア開発事業(96.3%)
・ビジネスソリューション事業:業務システウ開発・運用サポート
・エンベデッドソリューション事業:組込みシステム開発・運用サポート
・自社商品事業(成長事業)
●システム販売事業(3.7%)
主な自社製品
●Web ARGUS(ウエブ・アルゴス):システムの改ざんを瞬時に検知し、1秒未満で復旧するソフトウエア
●xoBlos(ゾブロス):手作業の多いエクセル業務を劇的に効率UP
●DD-CONNECT(ディディ・コネクト):電子契約導入〜運営・維持のアカウントソーシングサービス
●shield cms:どこよりもセキュアでデザイン自由度の高いホームページ作成プラットフォーム
⑵ 株主になったきっかけ
推奨されたわけではありません。
配当のある6月決算銘柄を検索して見つけました。
IT企業なのに安定性があることに魅力を感じ、決算月に株主となりました。
⑶ 経営分析
収益性
・売上高総利益率:25%
・売上高営業利益率(10%以上は優良株):12%
粗利率は他のIT企業に比べて低めですが(例えば、ユーザーローカルは92%、アバントは48%)、収益性は高いです。
さらに、この収益性の高さをこれまで継続できていることが会社の強みと考えられます。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):353%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):72%
短期的及び中・長期的に見ても財務面での問題は見当たりません。
昨年、創業者が死去されたとのことですが株式の相続も含めて安全な経営がなされているようです。
効率性
・有形固定資産回転率:112.06
IT企業の中でも、売上高に対して有形固定資産の割合は相対的に小さく、この点で効率的な経営がなされています。
2 株主総会等
⑴ 株主総会
第21回定時株主総会 2022年9月28日(水) 鉄鋼会館
総会会場ではエレベーターまで案内していただいた係の方の丁寧な対応が印象的でした。
十数名の株主が集っていたようです。
また、机にお茶と共に両面刷りの式次第と配席図が添えてあり配慮が感じられました。
社長からの説明では、創業40周年を迎え、売上高、利益ともに大幅増、過去最高益を更新とのことでした。
主な質疑応答
Q.株主構成(新しい◯◯インベストメント)について
A.死去した創業者の株式を資産運用会社を通じて社長のふたりの息子に相続した事による。
Q.競合他社と比較した場合のDITの強みについて
A.PRESCO等が比較の対象として挙げられる。
(納品後の)運用サポートをしっかりと行い顧客をグリップしている。
顧客に研究開発機関が多いため量産型のサービスのように景気に左右されにくい強みもある。
Q.中・長期安定成長の要因について
A.紹介や各種のチャネルを通じた顧客のニーズを踏まえ、種まきを継続したことが好業績に通じている。
Q.中期経営計画の目標値が保守的すぎないか?
A.関係者に迷惑をかけないようにコンサバティブに見積もっている。
Q.自社商品事業の売上高比率の目標について
A.2030年において10%を目指している。
粗利率が高いので収益への貢献が期待される。
Q.「Webアルゴリズム」において特許を取らないことについて
A.市場を分析し、競合の恐れがないため特許を取らないこととした。
ちなみに、ランサムウエア対策のサービスでは競合するため特許を取得する。
Q.技術者数について
A.当社のビジネスモデルは技術者に依存する事業(既存主力事業)と技術者に依存しない事業(自社商品事業)の2軸で経営している。
技術者数に依存しないとは新たな事業に注力するという意味である。
Q.不採算事業の要因について
A.特に顧客のカウンターパートとの相互理解により防げると考える。
ちなみに、上場後は失敗案件はない。
Q.原材料費高騰、円高等について
A.原材料費高騰の影響はほとんどない。
円高については、米国の子会社を有しているので米国から見て工賃の安い日本の労働力にも関心が高まっている。
Q.人材の確保について
A.結婚して家族が増えても仕事が続けられるような職場づくりを目指す。
決議事項
・剰余金処分の件
・定款一部変更の件
・取締役11名選任の件
・監査役3名選任の件
・補欠監査役1名選任の件
拍手を持って賛成・可決されました。
ただし、総会終了に拍手がなくちょっと寂しかったです。
⑵ 株主還元
配当
一株当たりの配当の推移は下記の通りです。
2022年6月期:40円
2021年6月期:24円
2020年6月期:20円
2019年6月期:16円
2018年6月期:16円
増配基調なのが嬉しいです。
株主優待
なし
ただし、株主総会終了時に会社紹介のパンフレットとカレンダーをいただきました。
会社を理解する上で参考になります。
【株主総会会場で頂いたお茶】
3 株主としてのコメント
⑴ 気に入ったこと
創業家による経営がしっかりしているので安定しています。
長期的な視点に立っての種まきの継続などは、短期間で交代するサラリーマン社長ではなかなか難しいと考えます。
その意味で株主としては安心感があります。
また、配当もあり株主に対しする総会での丁寧な対応も好感が持てました。
同時に、総会で質問をしていた会社のことをよく知る株主の多さも印象的でした。
⑵ 気になったこと
良くも悪くも社長次第の会社だと感じました。
社長のコンフォートゾーン(居心地が良い状態)を下回った時には必死でもとに戻ろうと頑張るので良い方向に作用すると思います。
逆に上回る時には、ちょっとしんどいからと力が抜けてしまう懸念もあります。
周りの取締役からの叱咤激励がポイントかもしれません。
また、取締役が11名は多い(例えば、アバントの取締役4名、クロス・マーケティング・グループは2名)と感じました。
しかも、数が多いのに属性が似通っていて多様性については疑問。
おそらく、取引先との関連性かもしれませんが、外国人投資家が気にする水準のガバナンスという点では・・・。
最後は、業績について。
好調な業績が綺麗な右肩上がりを続けていますが、個人的には日本M&Aセンターやアウトソーシングの”期ずれ”の経験があり、不適切な会計でなければ良いと切に願っています。
【総会終了後に頂いた会社説明資料と卓上カレンダー】
4 まとめ
デジタル・インフォメーション・テクノロジーについて述べてきました。
創業家を中心とした将来を見据えた安定した成長が特徴のIT企業だと感じました。
取締役の多さは謎ですが、会社に所要の貢献をされているものと推察します。
また、来年も株主へのご高配に甘えて卓上カレンダーをいただければと欲張ったことを考える株主でした。
お読みいただき、ありがとうございます。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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