初投稿:2021.9.16、更新日2022.8.1、2023.7.29、2024.7.21
こんにちは!
この記事は、東和フードサービス(3329)に関心のある方に向けた株主としてのコメントを記したものです。
なお、2024年7月開催の株主総会の内容等を追記して記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。
・株主との良好なコミュニケーション
・社内女性役員について
★★★★
【目次】
【本社ビル】
【銀座の椿屋珈琲】
1 東和フードサービスについて
⑴ 会社概要
椿屋珈琲、ダッキーダック、イタリアンダイニング ドナなどを運営する会社です。
個人的には、株主になる前からレストランにはお世話になっていました。
売上高108億円、総資産84億円、時価総額136億円の事業規模。
PBRも2.23倍と外食産業としては高い評価と思います。
経営理念等
・社是:『先を見据えて今を生きる』
・経営理念:『味覚とサービスを通じて都会生活に安全で楽しい食の場を提供する』
「
セグメント
(売上高構成比)
・椿屋珈琲グループ(39.8%)(48店舗)
・ダッキーダックグループ(21.1%)(20店舗)
・イタリアンダイニング ドナグループ(20%)(27店舗)
・ぱすたかん・こてがえしグループ(9%)(17店舗)
・プロント(7店舗)(5.4%)
・生産カンパニー/物販・EC’(4.7%)
⑵ 株主になったきっかけ
4月決算銘柄を探していたところ、株主優待があり、なじみがあるレストランを経営している当社が目に留まりました。
コロナ禍ということもあり、優待を頂きながら今後の業績回復を期待しようと考え株主となりました。
⑶ 2024年4月期の経営分析
収益性
・売上高総利益率:73%
・売上高営業利益率:8%
粗利率は変わりませんが、営業利益率が向上しています。
収益性の高まりは評価できると考えます。
安全性
・流動比率(100%以上が望ましい):356%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):76%
前期以上に、短期的にも中・長期的にも財務は固いと考えます。
むしろ、資本の効率性についての検討が必要かもしれません。
効率性
有形固定資産回転率:8.06
引き続き、前期よりも向上しています。
有形固定資産額も上昇していますが、それ以上に売上高が伸びた結果です。
効率的な経営がなされていると考えます。
⑷ 2023年4月期の経営分析
収益性
・売上高総利益率:73%
・売上高営業利益率:6%
飲食業の基本が原価3割であることを考えると粗利率は悪くありません。
2期連続の営業赤字からの黒字化です。
今後の更なる収益性向上が楽しみです。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):272%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):71%
前期同様に短期的にも中・長期的にも安全性は問題なさそうです。
ただし、少し安全性重視のため資本効率が低いようにも感じます。
効率性
有形固定資産回転率:7.42
前期よりも向上しています。
店舗の新規出店をしつつ、回転率が上がっていることから効率的な経営がなされていると判断します。
⑸ 2022年4月期の経営分析
収益性
・売上高総利益率:71%
・売上高営業利益率 営業赤字
粗利率は悪くありません。
コロナ禍の影響で2期連続の営業赤字です。
ただし、助成金のおかげで当期利益は黒字となっています。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):288%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):67%
短期的にも中・長期的にも安全性は問題なさそうです。
効率性
有形固定資産回転率:5.25
飲食店はある意味、”立地家業”。
椿屋珈琲も都内の一等地でよく目にします。
そのように考えると、宿泊業・飲食サービス業の平均が1.62であることを考えると効率的な経営がなされていると考えます。
なお勘定科目は「建物」、「土地」の順となっています。
⑹ 2021年4月期の経営分析
2期連続の赤字です。
収益性
・売上高総利益率:70%
一般に、飲食店は原価率3割が標準といわれています。
その意味で、スタンダードな経営がなされているようです。
けれども、コロナ禍のため赤字経営になっています。
椿屋珈琲での店員さんの独特なコスチュームとの関係は不明ですが、販管費を賄うほどの売り上げが上がっていなかったようです。
安全性
原価率3割を守っているように、安全性についても下記の指標について目安となる数値をクリアしています。
堅実な経営がなされていると考えます。
これなら、コロナ禍を乗り越えることはそれほど難しいことではないように感じました。
・流動比率:315%
・負債比率:41%
・自己資本比率:71%
効率性
・棚卸資産回転率:210.65
レストランなので棚卸資産回転率が高いことは容易に想像できます。
そして、200を超える棚卸試案回転率は、自分の持株である、日レス・ドトール、クリエイトレストランツHD、ワイズテーブル、コロワイドなどと比べても最も高い数値です。
人気がある商品を扱っており、売れ残りが少ないことを意味していると考えます。
【イタリアンダイニングDONA】
2 株主総会等
⑴ 2024年7月の株主総会
第25期定時株主総会 2024年7月12日(金) TOWA J’sビル(本社ビル)
主なポイント
・インフレ対応
原価管理精度向上、セントラルキッチンの生産性向上、持続可能な食材調達
・労働者不足対応
労働環境の改善(年間取得休日123日、時間外労働時間平均は17時間)
賃上げ福利・厚生の拡充(家族手当、奨学金返済援助)に注力
研修センターを設立し、やりがいや成長実感の向上に努めている
・マーケット競走の激化について
業務のブラッシアップ、デジタルマーケティングの推進等
主な質疑応答
Q.今期の業績見通しについて
A.25期は出来すぎた。
次は減益の計画。
安心・安全のために資金を投じる。
Q.株主総会の配信について
A.昨年実施したが、見てもらえなかったため今回は中止した。
Q.女性役員について
A.幹部化は発展途上と認識。
外部から招聘するのは簡単だが、社内から育成することに注力したい。
役員に登用するためには店長の経験が必須であるが、店長になりたいと思う女性が少ないのが現時点での課題。
2025年までに女性管理職の割合10%目標に対して、現在13%を達成している。
バイトから社員への転換に注力している。
なお、出産後に復帰した社員も数名存在する。
Q.株価について
ロイヤルホスト、ドトール、サイゼリア等の同業他社に比べてPBR、PER、営業利益率が高いことについては良いと考える。
Q.地域とのコミュニケーションについて
A.子供パテシエ体験を横須賀で復帰するなど、鋭意取り組んでいる(コストはかかるが人材確保という側面も無視できない)。
なお、機関投資家が少ないので株主総会におけるコミュニケーションを重視していきたい(株主=お客様と認識)。
Q.値上げについて
A.インフレを上回る値上げについては考えていない。
Q.ターゲットとする顧客層について
A.さまざまな顧客層をターゲットとしていきたい。
なお、店舗によっては婚活に3割用いられる所もあるので、そのような需要にも応えていきたい。
Q.30〜40代の女性顧客の取り込みのためのグッズについて
A.過去に一度トライしたことがあったが、売れ行きは芳しくなかった。
けれども、そのような要望(贈答用)が多いことも承知しているので、引き続き取り組んでいきたい。
Q.椿屋珈琲のバイトの採用状況について
A.他社に比べると良いと考える。
ただし、華やかな外見に比べてハードな業務ゆえ採用後に辞めてしまう人も少なくない。
決議事項
・取締役4名(監査等委員である取締役を除く)選任の件
・取締役3名(監査等委員である取締役)選任の件
拍手を持って承認・可決されました。
株主総会雑感
社長から
株主=お客様
という話がありました。
そのため、株主総会でも中身の濃い話が聞けて良かったです。
お飾りで女性社外取締役をつける会社が多い中、時間がかかっても社内からの店長を経て女性取締役を育成しようとする姿勢には好感が持てました。
そのようなことが許されるのも、機関投資家の影響が少ないため。
”成長”も大切ですが、それ以上に”創造”の大切さを感じました。
⑶ 2023年7月の株主総会
第24期 定時株主総会 2023年7月28日(金) TOWAJ’Sビル(本社ビル)
驚いたのは、パチスロのビルと思っていた場所が本社ビルであったこと。
感心したのは、会場までの接客が丁寧だったこと(さすが、椿屋珈琲を運営する会社です)。
また、冷えたペットボトルのお水をいただきました。
会場には50名前後の株主が参加していたようです。
社長の「おはようございます!」の挨拶に対して、会場からも元気よく「おはようございます!」の返事がありました。
活気があって良かったです。
事業報告のビデオに続いて、社長から対処すべき課題の説明と議案の上程がなされました。
主な質疑応答
Q.今期の展望について
A.新たに3つの店舗を開業させ前期比105%を見込んでいる。
猛暑はプラスだが、人員確保が課題。
コスト増をカバーしつつ収益向上に努める。
Q.海外展開の可能性について
A.現在は1都3県で事業を展開している。
それは、ケーキという生物を扱っているため工場からの距離の制約によるものである。
よって、エリアを広めるためには工場建設も必要になるので、現地の有力企業との協力関係が不可欠と考えている。
なお、当社では従業員に対する暖簾分けのような制度を展開しているが、法人についてもそのようなことの可能性について法律的に検討を進めている。
Q.前期の好業績はメニュー価格の改定によるものか?
A.適正価格を各ブランドごと定期的に見直しを実施し、それが消費者にも受け入れていただいた結果と認識している。
Q.椿屋珈琲新宿店のような増床は今後も続けるのか?
A.椿屋珈琲新宿店の場合はたまたまコロナ禍でスペースが開いたため増床が実現できた。
Q.M&Aの予定について
A.現状はないし、そもそも具体的なことは話せない。
Q.東和産業の影響について
A.東和産業から分社化されて以来、資本関係はなく当社の経営に対する影響はない。
Q.外国人の採用について
A.今回2名の外国人を採用している。
Q.112の店舗に対して200名の社員は少ないのでは?
A.店舗で働く社員の労務管理については一部負担があったと反省している。
ただし、社員の数を増やす前に、本部の社員を現場に派遣することによる平準化を優先させたい。
今後は、社員にも長期休暇が取れるような環境づくりを推進していきたい。
Q.1号議案で4月に統一することについて
A.6年前に減損会計の処置によるスケジュール管理の必要性から4月と5月に分離した。
今回は、それを4月にすることで事務の効率化を図るものである。
なお、決算期が4月であることのメリットは、税理士や監査人等が余裕を持って仕事に当たることができることなどがあると思う。
決議事項
・定款一部変更の件
・取締役3名選任の件
拍手を持って承認・可決されました。
株主総会雑感
会社を良くしようと株主からの”心ある質問”が多かったように感じました。
会場に集った株主間でもお互いに知り合いの方が多かったようで、挨拶が頻繁になされていました。
よって、株主の愛に支えられた会社だと考えます。
また、これまで決算日と株主総会の基準日が4月で、株主総会に参加するための議決権の基準日が5月だったのが、今回の定款変更で全て4月に統一されました。
普通の会社になったと思います。
ただし、椿屋珈琲新宿店のように1日の売上高が3000万円を超えるような、純喫茶としては普通でない収益をあげている面もあります。
今後の持続可能な成長が楽しみです。
【株主総会の案内板】
⑷ 2022年7月の株主総会
第23回定時株主総会 2022年7月28日(木) ホテル ルポール麹町
参加できず。
⑸ 2021年7月の株主総会
第22回定時株主総会 2021年7月30日(金)ホテル ルポール麹町
参加できず。
⑹ 株主還元
配当
1株配当実績は下記の通りです。
・2024年4月期:19円
・2023年4月期:11円
・2022年4月期:10.5円
・2021年4月期:6円
・2020年4月期:9円
・2019年4月期12円
増配が続いておりありがたいです。
株主優待
500円分の優待食事券が持株に応じてもらえます。
100株の場合
〈4月末〉3枚、〈10月末〉2枚
試供品
2022年7月の株主総会参加者には試供品が配られたようです。
【試供品】
【会場でいただいた水】
3 株主としてのコメント
⑴ 株主優待は届いたのに議決権行使書が届かない謎
・始まりは議決権行使書が届かないことから
4月決算銘柄は7月中に株主総会が開かれます。
けれども7月半ばになっても株主総会招集通知が届きません。
株主優待が届いているのに、株主総会招集通知が届かないのは何故だろう?
過去に貸株で優待が取れなかった経験から、今回も貸株関係のミスではないかと思い、SBI証券に問い合わせました。
・SBI証券に問い合わせ
株主優待が届いているのに議決権行使書類が届かないのは何故なのかを電話でSBI証券に問い合わせました。
最初は、オペレーターの女性から
オ:「今は株主ではありません」
私:「もちろんです、貸株をしてますから」
というやり取りが続き、ようやくオペレーターの方に自分の疑問点を理解してもらいました。
どうやら、優待権利確定日には貸株が解除されふつうに株主優待を頂けたようです。
けれども、残念ながら議決権行使書面が発行されない理由は分からず、担当しているみずほ信託銀行の連絡先を教えてもらうことになりました。
そして、おそらく
「みずほ信託会社の発送手続きミスに違いない」
とこの時はそう考えていました。
・みずほ信託銀行に問い合わせ
みずほ信託銀行に問い合わせました。
オペレーターの方は若い女性で何回も中断して社内の人に聞きながら対応してくれました。
そして、送付ミスではないかと聞いたところ、
オ:「臨時総会開催のため7月末の通常総会はありません。」との回答でした。
そんなこともあるのかな?と思いつついったん電話を置きました。
その後、ちょっと気になってネットで調べてみるとなんと、7月末に株主総会が開かれる旨の株主総会招集通知のPDFがアップされているではありませんか!
もういちど、みずほ信託銀行に問い合わせました。
私:「議決権行書が届いていない件で、総会が無いとの回答ですが、総会は実施されますよ・・・。」
結局、みずほ信託銀行の担当者では原因は分からず、会社の連絡先を教えてもらうことになりました。
・会社に問い合わせ
会社に問い合わせたところ、決算と株主優待権利確定日は4月末だが、議決権行使書の権利確定日は5月末との回答でした。
ようやく謎が解けました。
貸株(優待権利獲得優先)をやっていた関係で優待はゲットできましたが、それ以外は貸株となっていたため、5月の議決権獲得日に権利を得ることが出来なかったというわけでした。
驚きました。
こんなケースがあることを始めて知りました。
いろいろな会社があるのですね!
担当者からは社内のスケジュールの都合で行っているとのこと。
正直、権利確定日を分割している説明を聞いても趣旨は良く分かりませんでした。
ちなみに、ここまで調べるのに約1時間。
謎以外に、意外と証券会社や信託銀行の人も株式についてそれほど詳しいわけではないことが分かりました。
来年は、手動で5月末に買い株を解除して株主総会に参加し、いろいろと質問してみたいと考えています。
【椿屋珈琲のランチ 1300円(税別)】
⑵ 椿屋珈琲
椿屋珈琲には興味はありましたが、すっかりドトール慣れしていたので行くきっかけがありませんでした。
けれども、先日、頂いた優待食事券を握りしめて初めて椿屋珈琲に行きました。
行ってみて、確かに値段は安くはありませんが、客層や昭和レトロな雰囲気、店員さんのユニークなコスチュームなどリーズナブルな満足感が得られました。
行ってみて良かったです。
今度は家族を連れて行ってみようと思いました。
株主優待のおかげです。
【株主優待の食事券】
4 まとめ
東和フードサービスについて述べてきました。
外食業界はコロナ禍からの回復期にあり、当社の今後の業績向上にも期待が持てます。
ただし、インフレに伴う食材高騰などさまざまな課題を抱えていることも事実。
今後の『椿屋珈琲』という高級喫茶業態のブランド力と時代の変化に伴うさまざまな改革の行方を株主として、また、消費者として期待します。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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