初投稿:2021.3.28、更新日:2022.3.27、2023.3.23
こんにちは!
この記事は、ヒューリック【3003】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
なお、2022年3月の株主総会などの内容を追記し、記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。
★★★★
・業績好調&株主還元も満足
・4大重点地域(浅草、銀座、渋谷、新宿)
【目次】
【ヒューリック本社 日本橋大伝馬町】
1 ヒューリックについて
⑴ 会社概要
”駅と未来に近いビル”
がキャッチフレーズの不動産会社です。
売上高5234億円、総資産2320億円、時価総額8047億円の事業規模。
PBRは1.16とちょっと厳しめです。
将棋の”ヒューリック杯”の報道でもおなじみです。
不動産以外にもホテル・旅館を運営していて
・ふふ:日光、箱根
・ザ・ゲートホテル:京都、雷門(今年8月で開業10周年)、両国、銀座
などに携わっています。
⑵ 株主となったきっかけ
長期優待株主制度に魅力を感じたのが株式を購入した理由です。
また、メトロでヒューリックの看板をよく見ていたことも影響しているかもしれません。
⑶ 2022年12月期の経営分析
収益性
・売上高総利益率:33%
・売上高営業利益率:24%
前期よりも若干下がったものの、高収益のビジネスモデルです。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):102%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):30%
指標を下回る点もありますが、特に懸念するほどのものは無いと考えます。
効率性
・有形固定資産回転率:0.32
巨額の不動産投資が必要な不動産企業らしい回転率です。
⑷ 2021年12月期の経営分析
収益性
・売上高総利益率:35%
・売上高営業利益率:26%
高収益です。
浅草、銀座、渋谷、新宿の重点区域にて少数精鋭でビジネスをしている成果と考えます。
安全性
・流動比率(200%以上が好ましい):307%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):29%
短期的な安全性は流動比率から問題ないことが分かります。
自己資本比率は中・長期的な安全性としては多少懸念される程度です。
ただし、92期年次報告書ではハイブリッドファイナンス合計3500億円のうち50%を見なし資本とすることで、自己資本比率36.8%としています。
会社も「更なる財務基盤の強化」を謳っており問題ないと考えます。
効率性
・有形固定資産回転率:0.29
高い数値ではありませんが、財閥系大手不動産会社と同じレベルです。
今後売上に寄与するであろう不動産についてのポテンシャルが高いと考えます。
【2022年の株主総会の会場となった本社入口】
2 株主総会等
⑴ 2023年3月の株主総会
第93回定時株主総会 2023年3月23日(木) ヒューリック本社ビル
主な質疑応答
Q.キャッシュフロー計算書と株主資本変動変動計算書の明確化について
A.要望として承りました。
Q.災害時のライフラインの確保について
A.ビルの電源については新築物件は72時間蓄積することとしている。
また、真水に関連する施設も確保している(水道そのものは対象外)。
Q.浅草ビューホテル及び浅草ROX周辺のライトアップついて(防犯のため)
A.要望として承りました。
Q.会場における役員の名札の掲示について
A.要望として承りました。
Q.金利上昇化における資金調達について
A.当面は低金利が当面続くと予想している。
また、当社は93%は固定金利で資金調達しておりリスクは限定的と考える。
Q.クラウドファンディングについて
A.当社は実施する予定はない。
Q.株価の低迷について
A.昨年の11月以来当社の株式は5%低下している。
ただし、他の不動産会社は平均して15%程度下落していることを踏まえると検討しているのではないか。
Q.自社株買いについて
A.まず利益成長、その後増配と考えている。
自社株買いはその後に考える(現状は予定なし)。
Q.株主優待の継続について
A.継続する予定である。
Q.長期優待制度について
現状は3000円を2口にしているが、6000円一口は容易ではないと考える。
決議事項
・剰余金処分の件
・取締役2名選任の件
・監査役3名の件
拍手を持って賛成・可決されました。
⑵ 2022年3月の株主総会
第92回定時株主総会 2022年3月23日(水) ヒューリック本社ビル
主な質疑応答
Q.新社長の方針について
A.戦略は変えずに目標達成に努める。建設会社出身の強みを活かし開発に注力する。
Q.賃料アップ(内部成長)について
A.現状はコロナ禍で多くのテナントが大変な状況であることから賃料アップは考えていな。今後のことは状況を見ながら判断する。
Q.地政学リスクと東京の状況について
A.国内の資産については直接毀損することはない。東京の不動産は堅調であり、海外との競争が激化している。
Q.情報セキュリティ対策について
A.多重のガードで固めている。
Q.「2029年までにヒューリックの全保有物件で震度7に耐える耐震性を確保」に伴うコストについて
A.コストを考えると建て替えることが望ましいが、築浅の物件もあるのでコストコントロールをしながら実施していく。
Q.ホテル事業について
A.ふふは好調、ゲートホテルは緊急事態宣言が解除された昨年秋に一時的に校長となった、浅草ビューホテルは企画管理部門の集約化等で対応中。
Q.バリューアド事業のIT化不動産について
A.大家業のみをおこなっており、オペレーションはしていない。
A.概要を説明し、「細部はIRにお問合せください。」
Q.累進配当(減配しない配当)について
A.減配しない覚悟で取り組んでいるが、事業環境等を考慮すると”絶対”とまでは言えない。
Q.デジタル化について
A.デジタルオフィス等に関心を持っている。社内の生産性向上のためのデジタル化も積極的に取り組んで知る。CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)や業務提携を通じて新しいテクノロジーを生かしていきたい。
議案について
・剰余金処分の件
・定款一部変更の件
・取締役10名選任の件
・取締役報酬額改定の件
・取締役に対する業績連動型株式報酬等の増額の件
円滑に承認・可決されました。
各議案ごと拍手を持って承認・可決されるのですが、その後にも拍手が湧き上がったことが印象に残っています。
経営陣と会場に参集した株主との良好なコミュニケーションが伺えます。
⑶ 2021年3月の株主総会
第91期定時株主総会 2021年3月23日(火) ヒューリック本社ビル
社員の方の挨拶がしっかりしていたことが印象に残っています。
会場は2階で、百人近くの株主が参加。
両隣の席を空けるなど、コロナ対策もしっかりとされていました。
最初に、社長のプレゼンと映像を織り交ぜた説明がなされました。
具体的には、2020~2029年までの長期目標の説明とその進捗状況。
定量目標はすべて達成され、順調に推移し過去最高益を上げているとこのと。
コロナ禍における素晴らしい経営だと思いました。
主な質疑応答
Q.データセンターに係るビジネスの進捗状況は?
A.着実に実施していく。
Q.ホテルの収益向上策は?
A.旅館については大きなダメージはない。ホテルについてはインバウンドの影響が甚大であり、ホテル事業の統合によるコスト削減と販売力強化に努める。
Q.社名を周知させるために広告に力を入れては?
A.BtoBビジネスのため、CM等を行う予定はない。
Q.4大事融点地域を設定しているメリットと選定の理由は?
A.①銀座は世界的レベルでの商業地区、②新宿東口はみずほ銀行の店舗跡地でもありビジネスチャンスがある、③渋谷から青山にかけては回遊性があるとともにIT企業があるポテンシャルが高い、④浅草は観光名所。これらの重点地区を設定することで有益な情報が入りやすくなるともにビジネスのレスポンスが速くなるという好循環が形成されている。
Q.他の大手財閥系不動産会社の社員の年収が1,200万程度なのに、御社の場合は1,700万円なのは何故?
A.当社は180人という少数精鋭でビジネスをしており、一人当たりの経常利益は5億円である。高い利益率をもって成長し続けてきたことを踏まえた給与体系となっている。
決議事項は拍手をもって承認され、承認された後も拍手がされました(通常の2倍)。
持論として、拍手の多い会社はいい会社と考えています。
その意味でヒューリックは株主からの支持の厚い会社だと感じました。
⑷ 株主還元
配当
1株配当実績は下記の通りです。
増配基調でありがたいです。
2022年12月期:42.0円
2021年12月期:39.0円
2020年12月期:36.0円
2019年12月期:31.5円
2018年12月期:25.5円
株主優待
300株以上の株主に対してはカタログギフト3000円相当の株主優待もあります。
しかも3年以上の株主に対しては、6000円(3000円×2)相当にアップします。
このため特定口座で株式を保有しています。
【2021年12月期の株主優待のクッキー 2回目】
【2020年12月期の株主優待のデメルのザッハトルテ 1回目】
3 株主としてのコメント
⑴ 気に入っていること
株主優待
カタログギフト目的で株主となりました。
その狙い通り、2月に届いた優待を使って3月のホワイトデーを家族で楽しむことが出来ました。
今後も家族の恒例イベントにしていきたいと考えています。
選択と集中
”ヒューリックは駅前のみずほ銀行跡地の入手が容易だから安泰”
と安易に考えていました。
けれども4大重点地域(浅草、銀座、渋谷、新宿)を儲けて情報の入手から契約締結までの効率化を追求し続けているという姿勢は目から鱗でした。
自分の強みに安住することなくさらに強みを磨き続ける姿勢はさまざまなことにも通用するものと考えます。
好循環
過去の株主総会にて、”好循環”という言葉も多く耳にしました。
さまざまな活動の中で、PDCAサイクルを確立してその回転数を上げていくことに注力していると理解しました。
今期の好業績も、ポートフォーリオの入替によるとのこと。
好循環の一環と考えます。
そしてその好循環は、高年俸の社員、浅草等の地元からの支持、魅力的な株主還元等に象徴されるように、ステークホルダーとの関係にも当てはまっているように感じました。
⑵ 気になっていること
本社での株主総会
ここ数年は本社で株主総会が実施されているそうです。
今年も、コロナ禍にも関わらずおそらく100名を超える株主が総会会場に足を運んだようです。
コロナ後はさらに参加者が増えると予想されるので、近い将来、本社以外の総会会場がどこになるのか気になります。
業績の推移
毎年の利益の推移を見ると綺麗な右肩上がりとなっています。
あまりにも綺麗すぎてちょっと怖くなります。
同じような綺麗な右肩上がりの利益を出していた日本M&Aセンター、アウトソーシング、アルベルトなど持ち株会社が”不適切な会計”事案を引き起こしているので、その点、ちょっと気になっています。
入場票
下記の写真の通り入場票にさりげなく介護付き有料老人ホームの紹介がなされていました。
考えすぎかもしれませんが、総会に参加した株主を将来の顧客とみなしているのでしょうか?
ちょっと気になりました。
【株主会場でいただいたお水】
4 まとめ
ヒューリックについて述べてきました。
ヒューリックは、持株である不動産会社の中でも業績・株価共に上位にあり、他の不動産会社との間に大きな違いがあります。
その違いを生む違いが何かを深掘りするため末永く株主であり続けたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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