こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

ロードスターキャピタル【3482】〜株主総会雑感

初投稿:2023.3.26

こんにちは!

この記事は、ロードスターキャピタル【3482】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

・不動産テックについて

リスク管理について

【目次】 

株主総会会場の東京スクエアガーデン】

                      

1 ロードスターキャピタルについて

⑴ 会社概要

都内のオフィスビルを取得、付加価値を高めて売却する事業を中心としつつクラウドファンディングも展開。

四季報の業種でな、何故か不動産ではなく証券・先物に区分され時価総額順位は48社中18位の位置付け。

比較会社としてはサンフロンティア不動産やトーセイ(株主です)が挙げられています。

売上高236億円、総資産657億円、時価総額292億円の事業規模。

四季報では【連続最高益】や【拡大】の見出しが踊りますが、株価は何故か低調です。

よって、PBRも1.51倍と市場の評価は厳しめとなっています。

企業理念 

●ビジョン

日本の不動産を変革するために

●ミッション

不動産とテクノロジーの融合が未来のマーケットを切り開く

セグメント

主要3事業の他、下記の4つにに区分されています。

●コーポレートファンディング事業

東京23区を中心とした中規模オフィス等の不動産売買、賃貸、管理

●アセットマネジメント事業

機関投資家を対象とした投資用不動産の取得・保有時の管理・売却に至るまでの戦略策定に関するアドバイス及び投資用不動産の運用

クラウドファンディング事業

クラウドファンディングを通じた一般投資家からの出資の募集、出資された金銭によるによる不動産を取得する特別目的会社への出資、または不動産をを担保とした法人への貸付、及びその管理

●その他

不動産仲介、プロパティマネジメント及びコンサルティング

⑵ 株主になったきっかけ

社長がYouTubeによく登場していたので名前だけは以前から知っていました。

不動産とITがどこまで親和性が良いのか否かを知りたく22年暮れに株主となりました。

ただし、残念ながら株価は低迷を続け現状は塩漬け状態です。

⑶ 経営分析

収益性

・売上高総利益率:40%

売上高営業利益率(10%以上は優良株):32%

高収益なビジネスモデルです。

ROEも30%を超えており儲かる経営がなされてると考えます。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):1145%

自己資本比率(30%以上が望ましい):22%

短期的には問題ありませんが、中・長期的には少し懸念が残ります。

ただし、金融機関以外の資金調達(クラウドファンディング)にも知見があるということで、リスクは補完されると考えます。

効率性 

・有形固定資産回転率:155.51

不動産を扱う会社としては異常に高い数値となっています。

おそらく証券・先物業として事業をしているためと考えます。

2021年の全業種の有形固定資産回転率の平均値が46.9であることを踏まえても回転率は高く、効率的な経営がなされているようです。

ちなみに、有形固定資産が1.52億円に対して、転売用不動産は471億円となっています。

株主総会の案内板】

2 株主総会

⑴ 株主総会

第11回定時株主総会 2023年3月23日(木)東京スクエアガーデン

広くて綺麗な会場でした。

30〜40名程度の株主が集っていました。

社長の挨拶に続き、監査報告、別の役員による事業報告、議案の上程等が続きました。

定量目標を明らかにしている姿勢は感心しました。

また、賃貸の収益で固定費を賄おうとする戦略も悪くないと感じました。

主な質疑応答

Q.低迷する株価と成長戦略について

A.株価の低迷は不安定なマーケット環境に対する懸念と当社の成長の持続性に対する疑心暗鬼が関係していると考える。

3事業をしっかりと実施してく。

また、金利上昇に伴い金融機関の体力に影響が出た際にも、クラウドファンディングによる資金調達も可能である。

Q.機関投資家の売りについて

A.機関投資家によるある種のマネーゲーム的な動きについては承知している。

ただし、直近においては大株主による当社株の売却の影響が出ていると考える。

自社株買いについては過去2回実施しており、今後も適時実施する用意はある。

Q.災害に対する備えについて

A.地震保険を活用して備えている。

併せて、津波の懸念についても注意を払っている。

Q.成長性の鈍化について

A.5%成長を掲げたのは、今後のインフレのリスクを考えて、ど真ん中のストライクゾーンを選択したため。

これまでのように15〜20%を目指しつつも海外の影響を考慮すれば保守的にならざるを得ない。

ただし、海外からのインフレの影響は新たな物件取得のチャンスである面もあると考える。

また、自社株買いはROE30%以上の現状を考えると必要性は薄いと判断している。

Q.海外IRについて

A.当社のIRの半分は外資系ファンド向け。

コロナ禍でオンライン中心となったため、「来ないでくれ」と言われている。

今後も海外IRについては証券会社を通じて適時実施していく。

Q.クラウドファンディング以外のIT化の具体的例について

A.内覧の際にヴァーチャルリアリティを活用して遠方からも物件の様子を分かりやすくしている。

また、売買に関するデータベース化を通じて社内における情報の活用を推進している。

Q.同業他社と比較した当社の強みについて

A.都心のオフィスビルに対象を特化しており情報収集と意思決定は早い。

取得した物件の付加価値の加え方が大きい。

同業他社のようなIRの派手さはないが、リスク管理をしっかりと徹底している。

Q.他の不動産会社(特に、サンフロンティア不動産)との差異について

A.サンフロンティア不動産とは大きな差はないのではないか。

サンフロンティア不動産オリックスの売買動向についてコミュニケーションをとりながら売買を実施している。

また、いろいろな事情で物件を売却せざるを得ないケースが増えており、これは当社にとっては大きなチャンスと認識している。

また、(冗談ではあるが)お金さえあればヒューリックにも負けません。

Q.配当性向について

配当性向は15%から17%に引き上げた。

今後も会社の成長スピードに応じて増配をしていきたい。

Q.STO(セキュリティ・トークン・オファリング、デジタル証券を通じた資金調達の仕組み)の進捗について

A.アナウンス的に実施するのではなく、しっかりと投資価値に見合ったものにすべく検討を実施している。

Q.採用者について

A.即戦力となる中途採用を実施している。

創業以来、新卒者の採用はない。

Q.経営リソースの配分について

A.売上の大きさだけで事業の優先順位を判断しているわけではない。

不動産テックは売上に対する貢献が少ないからといって重視していない訳ではない。

ただし、不動産テックを収益することの困難性も認識している。

また、ホテル事業についてもリソースベースで考えればやるべきではないという意見もあるが、インバウンド下のホテル事業については大きなポテンシャルを感じており、半蔵門と赤坂のホテルを購入している。

あと、物流施設も良いと考えるが規模が大きくて・・・。

決議事項

・剰余金処分の件

・取締役5名選任の件

拍手を持って賛成・可決されました。

なお、閉会時に会場から拍手が湧き上がっていました。

⑵ 株主還元    

配当

1株配当実績は下記の通りです。

増配基調が継続しています。

2022年12月期:50円

2021年12月期:32円

2020年12月期:24.5円

2019年12月期:14.5円

2018年12月期:9.5円

株主優待

なし

自社株買い 

なし  

【東京スクエアガーデン】

              

3 株主としてのコメント

⑴ 不動産テックについて

会社は不動産テックをビジョンやミッションに掲げています。

ただし、クラウドファンディングの売上高構成比は2%にも満たないのが現状です。

おそらく、不動産売買の商習慣や市場の透明性などが不動産テックの苦戦の原因と考えますが、これは一社でどうこうなるものではありません。

ただし、革新にはそれ相応な時間が必要なので、今後もさまざまなアプローチで不動産テックに注力されることを期待します。

⑵ リスク管理について

「5年で利益10倍のような派手な計画を出さない」=「リスク管理ができている」

という社長のロジックが正しいか否かは別として、会社にとっては別のリスク管理が必要なのではないかと感じました。

それは社長の発言です。

強気の発言と弱気の発言のブレ(リスク)が大きいと思いました。

具体的には

・強気発言

「5年で利益10倍の計画なんていつだって簡単に作れる!」

「お金さえあればヒューリックに負けない!」

・弱気発言

「不動産テックを収益化することの困難性を認識している・・・」

「物流施設も良いと考えるが、規模が大きくて・・・」

社長さんは正直で誠実な方だと思いますが、会社に馴染みのない投資家をびっくりさせないよう、言葉を選んだ方が良いように思いました。

⑶ 霞ヶ関キャピタルとの違いについて

何故だか、YouTubeの中では当社と霞ヶ関キャピタルが比較されることが少なくありません。

名前にキャピタルがついていることと、業種は違えども不動産を扱っていることがその理由のようですが、両社の株主としてはちょっと違和感を感じていました。

思うに、

株価=EPS(一株あたりの純利益:実力)×PER(株価収益率:評価)

であり、

霞ヶ関キャピタルは評価を高めることに積極的(5年で利益10倍の計画)

ロードスターキャピタルは評価を高めることに慎重(リスク管理の徹底)

というのが一番の違いと推測します。

よって、霞ヶ関キャピタルは株価が乱高下しやすい一方で、ロードスターキャピタルの方がそこまでのボラティリティがないと考えます。

両社ともに業績は良いので、株価のボラティリティの差異を踏まえた投資判断が望ましいと思います。

4 まとめ

ロードスターキャピタルについて述べてきました。

ビジョンは不動産テックを掲げつつも収益の柱は伝統的なオフィスビルの売買であることを踏まえ、リスク管理の意味や霞ヶ関キャピタルとの比較について考察しました。

YouTubeの情報を鵜呑みにするのではなく、株主総会などを通じて自分なりに幅広く調査し多面的に考えることの大切さを痛感しています。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

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