こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

メディカルデータビジョン【3902】〜株主総会雑感

初投稿:2021.3.31、更新日:2022.4.21、2023.5.4

こんにちは!

この記事は、メディカルデータビジョン【3902】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

なお、2023年3月に実施された株主総会の内容等を追記し、記事を更新しています(更新箇所は青字です)。

・高収益なビジネスモデル

・会社のビジョンに共感するもオペレーションで苦戦

★★★

【目次】

【2020年12月期の事業報告書】

f:id:cogepan20:20210331213838j:plain

1 会社概要

⑴ メディカルデータビジョンについて

医療データ活用のパイオニアであり、病院製薬会社を顧客としてB to Bビジネスを中心に展開しています。

売上高61億円、総資産48億円、時価総額350億円の事業規模。

PBRは8.87倍と高い評価を得ています。

四季報ではヘルスケア製品・サービスに区分され時価総額順位は51/135社という位置付け。

・信頼関係の上に構築された日本全国の病院との顧客基盤

・日本最大級である3,400万人超の診療データベース

・医療ビックデータ構築・利活用のためのノウハウ

などが強みです。

また、国が掲げるPHR(パーソナルヘルスレコード)についてPHRサービス(アプリ)「カルテコ」の知見・ノウハウを活かして貢献しているとのこと。

個人的にも、自分にカルテ情報を自分で管理管理できる社会の実現には賛同します。

⑵ 株主となったきっかけ

昨年のNISA枠に収まる株価で、医療分野におけるDXやビックデータ革命の現代において医療データという1次データを保有している強みに惹かれたことが株を買うきっかけとなりました。

⑶ 2022年12月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:82%

売上高営業利益率(10%異常が優良株):29%

高収益なビジネスモデルです。

しかも前期よりも向上しています。

株価が上がらないのが不思議なくらいです。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):292%

自己資本比率(30%以上が望ましい):74%

短期的にも中・長期て気にも懸念は認められません。

そもそも、SBIグループに入っているということも安全な要素と考えられます。

効率性

・有形固定資産回転率:44.31

昨年よりも数値が高まっているのは、固定資産についての減価償却が進んだためと推察します。

⑷ 2021年12月期の経営分析

業績については増収増益です。

収益性

・売上高総利益率:82%

売上高営業利益率:28%

高収益なビジネスモデルであることが数値から明らかです。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):364%

自己資本比率(30%以上が望ましい):76%

短期的にも、中・長期的にも安全性に問題はないと考えます。

効率性 

・売上債権回転率:5.36

・有形固定資産回転率:40.5

売上債権回転率については、”サービス業界”の平均値が約30であることを考えると、苦戦しているように考えます。

相手が病院・お医者さんだとちょっと立場的に弱いところがあるのでしょうか?

有形固定資産回転率については比較的高い数値が出ています。

有形固定資産の内訳は「建物付属設備」と「工具、器具及び備品」がそれぞれ約7千万円で大半を占めています。

有形固定資産への投資には無駄が少なく、効率的な経営がなされていると考えます。

株主総会の会場となったベルサール神田】

2 株主総会

⑴ 2023年3月の株主総会

第20期定時株主総会 2023年3月28日(火) ベルサール神田

ハイブリッド開催でしたので、ライブ配信を視聴しました。

ビジネスモデルの紹介に始まり、事業報告、対処すべき課題についてビデオで分かりやすく説明されていました。

主な質疑応答

Q.カルテコのリニューアルについて

A.当初のカルテコの役目はカルテを患者に返すことであったが、これについては達成したと認識。

今後は、誰でも使えて、1日に何回もアクセスしたくなるようなアプリを目指してリニューアルした。

本人のみならず、家族やペットの健康情報などとも関連付けられるような工夫をしており、将来は月に数百円程度の課金によるサブスクとしての収益が期待される。

Q.”積み上げ方式のビジネスの見直し”の意味は?

ビジネスが行き詰まりに直面しているというのではなく、むしろ会員数は過去最大である。

商品としてのパッケージソフトというのは寿命があるもので会員数も減る傾向にある。

今まではDPC制度(急性期入院医療を対象とした診療報酬の包括評価制度)の病院中心であったが、DPC制度の病院病院以外にも対象を広げていきたい。

Q.外資のコストカットの影響について

A.営業の人員整理やコロナ禍の影響による外資のコストカットが実施されてきた。

ただし、当社の扱う病院からの直接データと健保等からのデータでは明らかに質の差がある。

そのようなことから、当社の有するデータの重要は変わらないと認識。

Q.次の感染症を念頭としたコロナ禍で得られた教訓について

A.当社の顧客との調整については

・病院:来院禁止

・製薬会社:Webによる調整

という状態であった。

ただし、MDV Actを提供した病院については、機能のアップデートを通じた営業が可能であった。

訪問しなくても売れる商品を得ることができたと認識している。

さらに、病院に行く患者を基幹病院かクリニックかを分離して効率化に貢献することの必要性を強く感じている。

Q.海外展開について

A.海外における当社の認知度がないことが問題と認識している。

また、当社の商品で海外でそのまま使えるパッケージがないかを模索しているが苦戦している。

ただし、カルテコについては海外のニーズ等の点から有望と考えている。

決議事項

・剰余金処分の件

・取締役6名選任の件

拍手を持って賛成・可決されました。

株主総会雑感

株主総会でカルテコリニューアルの話を聞いて、早速、久しぶりにアプリを起動してみましたが、以前とあまり変わらなかったです・・・。

ただし、当社の株主になってからは医療データの重要性の認識は高まりました。

具体的には、

献血に積極的になった結果、十数年前からの血液検査のデータが献血アプリでいつでもどこからでもアクセスできるようになりました。

・スマートウオッチ(ガーミン)により、毎日の運動量、睡眠時間と質、ストレス状況等の蓄積。

タニタの体脂肪計による、体重や体脂肪率、筋肉スコア、基礎代謝、体内年齢などの把握。

など、健康維持に役立っています。

カルテコも色々と進化を続けているとのことなので、今後、これらのデータを取り込めるようになることを期待します。

株価低迷について

業績は増収・減益であり、一般的に株が売られるので、株価低迷はやむを得ないと考えます。

ただし、減益の中身が大切です。

将来への成長のための販管費の増大なら楽しみもありますが、当社の場合は減損損失によるもの。

当該損失会社が買収した会社かどうかは分かりません。

けれども、今後M&Aを積極的に実施する上で、

「うまくやっていけるのか?」

と、気になりました。

M&Aの半分は上手く行かないと言われています。

失敗しないよう会社としてどのような姿勢でM&Aに取り組むのか?要注目です。

⑵ 2022年3月の株主総会

第19期定時株主総会 2022年3月29日(火) ベルサール神田

ライブ中継を視聴しました。

主な質疑応答

Q.JMDCに負けている理由は?

A.他社のことで細部は不明だが、コンサルとしての事業が高い利益を生んでいるのではないか?

Q.業績面について

A.満足できない成長性の要因は社内にある。新規事業に社長自ら参画してコンサルテーション海外に強い人材の育成にも注力していく。

Q.データセンターの運用(セキュリティ)について

A.シーサート(SCIRT)という専門家チームの活用、社員教育の徹底、セキュリティソフトの活表等により徹底している。

Q.シミック社が大株主から抜けた経緯は

A.(株式は売却されたが)業務においては良好な関係を維持している。

Q.子会社の利益貢献度について

A.Doctorbook(歯科関連)は増収増益、システムビー・アルファ(健診関連)は売上高3億円、利益1千万円程度。

Q.MDVトライアル(治験関連)について

A.成長はしているが、商習慣等によるビジネスの難しさゆえ、単独ではなく大手と組みつつ事業を継続していく。

Q.連動型報酬の決め方について(KPIは株主目線と合っているか)

A.2021年12月期の場合、経常利益が15億6千万円を超えた場合、その超過額の15%を報酬総額とするとしている。

Q.15%の枠の中で役員の中で割り振りはあるのか?

A.各役員に対しては指名報酬委員会を通じて個別に対応している。

Q.筆頭株主であるSBIホールディングスとの関係について

SBIとの業務において、保険商品の開発にデータを活用を実施している。併せて、ブロックチェーン技術を駆使して共通のインフラ構築に着手した。SBIの子会社間とここにタグを組めており、将来に期待が持てる状況と認識。

Q.子会社の状況の開示について

A.慎重に進めていきたいので引き続き非開示としたい

Q.株主還元方針について

A.連結配当性向20%、長期に配当することを方針としている。

Q.20%を超えて昨年は自社株買を2回実施している理由は?

A.”配当性向は20%以上”ということで実施した。

決議事項

・剰余金処分の件

・定款一部変更の件

・取締役6名選任の件

監査役4名選任の件

滞りなく賛成・可決されました。

なお、新役員紹介時に会場から拍手が湧き上がっていたことが印象的でした。

⑶ 2021年3月の株主総会

18回定時株主総会 2021年3月23日(火) ベルサール神田

決議事項は、

・剰余金処分の件

・定款一部変更の件

・取締役選任の件

で、滞りなく決議されました。

なお、ライブ配信によって間接的に一部を確認できた情報は以下の通りです。

Q.カルテコの売り上げはいつ立つのか?カードボックスはどうなるのか?

A.下半期を予定している。病院への営業が受け付けられる状況にないので、現在はソフトのブラッシアップ中。将来的には、自治体を含めた地域連携を模索する。

Q.アドホックのデータ一括提供による機会損失のリスクは?

A.当初はそのような懸念もあった。しかし、現実にはデータの一括提供では全体の確認にとどまっている。そして、細部の分析は手間と時間がかかるのでそこで追加の注文を得ている。

Q.海外展開のリスク管理は?

A.これまでの実績を踏まえつつ、SBIとの協業を視野に検討を続ける。

Q.M&Aの方針は?

A.健康診断の結果をオンラインシステムにつなぐためのM&Aを模索している。

  健康診断では70%所見が次ぐがほとんどが放置されているためそのまま慢性的な疾患に通じてしまう場合が多い。(検診の所見をオンラインを通じて活用することで)そこを改善するのが狙い。

Q.ケアネット社との業務提携後の展開は?

A.17万人の医師とのつながりによって何ができるかを検討中。

Q.元大株主だった富士フイルムとの現在の関係は?

A.喧嘩別れしたわけではないので良好な関係を維持している。

Q.SBIが新たな大株主になった経緯は?

A.SBIが医療分野日本ック参入するに当たり、医療データが不可欠との認識に基づきMDVの筆頭株主となった。

  今後のSBIとの協業が楽しみ。

Q.配当政策は?

A.データ入手経路を確保できるようになった段階で配当すと約束した通り。

  配当性向20%以上を基準に頑張る。

Q.製薬以外の営業展開は?

A.生保等を検討中。

Q.社長の退任の予定は?

A.まだまだやるべきことが山積しているので現職にて頑張らせていただく!

株主からの活発な質問とそれに対する経営陣の丁寧な説明は、今後のさらなる事業拡大を予感させるものでした。

⑷ 株主還元

配当

一株配当実績は下記の通り。

2022年12月期:6円

2021年12月期:5.6円

2020年12月期:3.6円

〜2019年12月期:0円

有配となってから増配が続いています。

株主優待

なし

自社株買い

2021年12月期は2回実施したとのことです。

ベルサール神田の1階付近の様子】

3 株主としてのコメント

⑴ カルテコについて

昨年、株主総会を視聴して会社のビジョンに賛同し、カルテコ(スマホアプリ)を利用することにしました。

けれども、1年経ってほとんど使っていないことに気づきました。

久しぶりにアプリを立ち上げると、ワクチン接種についてのメモ書き機能が追加されていましたが、他は・・・。

個人的にはガーミンというスマートウオッチを使っており、睡眠時間、睡眠の質、心拍数、歩数などのデータを保有しています。

また、献血をしていることから”ラブラッド”というアプリに10年以上前からの献血時の血液検査結果のデータもキープしています。

それらをカルテコで取り込むことはできないのでしょうか?

まだまだ、カルテコについては課題山積です。

⑵ 気になっていること

株価の低迷について

株価は下記の計算式で求められます。

株価=PER(株価収益率)×EPS(一株当たりの純資産倍率)

では、EPSの推移はどうでしょうか?

一株当たりの当期純利益(EPS)の推移

・2018年12月期:7.09円

・2019年12月期:14.97円

・2020年12月期:16.89円

・2021年12月期:26.76円

毎期、EPSは伸びています。

EPSが伸びているのにも関わらず株価が下がるということは、PERが大きく下がっていることを意味します。

PERは投資家の評価を表していることから、毎年、評価が低下していることがわかります。

現在のPERは約30倍程度

まだ高めです。

また、会社の”のれん”や無形の価値等を表すPBRも約9倍程度

こちらも低くありません。

要は、2〜3年前の評価(期待)が高すぎたと考えられます。

株価の下落トレンドはまだまだ続いているので、トレンド転換まではもう少し忍耐がいるように感じております。

SBIの子会社であることについて

メディカルデータビジョンはSBIの子会社となっています。

アルベルトというAIの会社もSBIの子会社ですが、やはり株価は低迷しています。

そして、両社の共通点は株価が安定(底ばい)しているということと、経営者がそれ以前に比べて元気がないということを感じています。

何かと親会社であるSBIを気にしているのでしょうか?

あまり関係はないかもしれませんが、ちょっと気になります。

⑶ 今後の方針

昨年NISA口座で購入しました。

株価は含み損を抱えていますが、残り3年の間に上昇することを望んでいます。

なお、

カルテコで「医療を選択できる社会」を実現する

という会社の趣旨に賛同し、興味を覚えたため、さっそくカルテコのアプリを使うことにしました。

自分の写真と運転免許書の情報を登録。

オムロンの体脂肪計のとリンクできるようですが、残念ながら我が家はタニタでした。

すぐにできることはあまりありませんでしたが、まずはアプリに習熟しその理解を深めるとともに、今後の進化についいていきたいと考えています。

4 まとめ

メディカルデータビジョンについて述べてきました。

社名の通り優れたビジョンを持つ会社と評価しています。

けれども、社長が会社のさらなる成長の為には社内の態勢の拡充が必要と言及されているようにオペレーション(実務)レベルでの苦戦が続いています。

限られた経営リソースで、優れたビジョンを追求していく為には戦略(目的と手段の関係)が必要です。

コンサル業務海外に強い人材育成を戦略的に推進していく様子を見守りたいと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。

#株式 #投資 #資産運用 #株主総会 #ディカルデータビジョン  #カルテコ