こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

三井不動産【8801】〜株主との距離感について

初投稿:2021.7.30、更新日:2022.7.11

こんにちは!

この記事は、三井不動産【8801】に関心のある方に向けた株主としてのコメントを記したものです。

なお、2022年6月の株主総会に参加した時の内容を追記し、記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。

・土地不足を背景に販売用不動産による収益拡大への期待

・株主との距離感について

★★★★

【目次】 

 【ららぽーと豊洲

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1 三井不動産について

⑴ 会社概要

総合不動産の大手でビル賃貸が主力です。

三菱地所と双璧をなしています。

総資産8.2兆円、売上高2.1兆円、時価総額2.7兆円という事業規模です。

PBRは0.99倍で解散価値をわずかに下回っています。

長期経営方針「VISION2025」

・営業利益:3,500億円程度

・EPS成長率:7%/年以上

ROA:5%以上

ROE:8%以上

・D /Eレシオ:1.2〜1.5程度

セグメント

・賃貸事業:31%

・分譲事業:35.6%

・マネジメント事業:20.1%

・その他の事業:13.3%

⑵ 株主になったきっかけ

コロナ収束後の不動産の値上がり期待で2020年2月に株を購入しました。

⑶ 2022年3月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:21%

売上高営業利益率:12%

営業利益率も10%を超えており、優良株と考えます。

三菱地所に比べると若干負けている感もありますが、販売用不動産を多く抱えていることから今後、収益の飛躍的な拡大が期待されます。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):201%

自己資本比率(30%以上が望ましい):35%

短期的にも中・長期的にも問題ないレベルです。

効率性

棚卸資産回転率:1.04

週刊ダイヤモンド」の記事では棚卸資産回転率が低いため販売不振で商品が売れ残りやすいという指摘がありました。

実際、三菱商事棚卸資産回転率は、3.95であり三井不動産より約4倍効率的な経営がなされています。

ただし、土地不足を背景として販売用不動産の多さは「仕込み力」として逆に評価されるようになってきているとも言われています。

⑷ 2021年3月期の経営分析

 増収減益です。

収益性

売上高営業利益率:10%

収益性は高いと思いますが、三菱地所の約半分です。

逆に、売上高は三菱地所の1.2兆円に対して2兆円と大きく上回っています。

安全性

流動比率:245%

・負債比率:191%

自己資本比率:34%

不動産会社としては悪くはないと思います。

三菱地所と同レベルです。

 効率性

・有形固定資産回転率:0.54

三菱地所が0.29であることと比較すると、効率性が良く、三井地所が保有する土地や建物が効率的に売上を生んでいると言えます。

株主総会会場となった帝国ホテル孔雀の間】

2 株主総会

⑴ 2022年6月の株主総会

第110回定時株主総会 2022年6月29日(水) 帝国ホテル東京 孔雀の間

入口にてお茶をいただきました。

社長からの説明のポイントは下記の通りです。

・営業利益3000億円、自社株買い149億円

・総還元性向を35%→45%

・地方における環境対策に注力

質疑応答

【事前】

Q.三井不動産レジデンスのサービスについて

A.ゴールは無いが、一人一人のニーズに応えるよう徹底していく。

Q.会長、社長の報酬(約2億円)について

A.報酬委員会から妥当との判断を受けている。

個人的にも満足している。

Q.女性取締役について

A.登用すべく努めている。

Q.社員による建替反対運動について

A.そのようなことはない。

【会場】

Q.ららぽーと事業の今後の展開と地震対策について

A.テナントへの社会的責任として地震対策、新耐震基準等のリスク管理は徹底している。

なお、上海はロックダウンの影響を受けたが8割復帰の状態。

Q.三井不動産レジデンシャルサービスの契約トラブルについて

A.子会社管理を徹底していく。

Q.女性管理職の障壁について

A.男性社員の意識の問題もある。

子供の二人目を作るかどうかと夫の残業時間との間に相関関係があることが分かっている。

Q.まちづくりについて

A.コンクリートとガラスの高層建築物だけではまちづくりにならない。

緑による潤い、スポーツやエンターテイメント、歴史と文化も欠かせない。

福徳神社のような核となる場所を中心としたコミュニティが大切。

Q.空き家対策(ごみ対策)について

A.空き家は需要と供給のミスマッチによる。

ゴミの管理は適切に実施している。

Q.配当政策について

A.配当性向は20%から30%に拡充した。

その上で、15%を自社株に充て、総還元性向を45%としている。

自社株買いには経営者が株価を意識しているというメッセージを発する効果もある。

Q.上野→入谷の高速道路の地下化について

A.国、首都高と共に適切に利益応分の負担をしていく。

Q.三井不動産の歴史ビデオの活用について

A.提案を検討し、社員教育に利用し会社のブランド意識の高揚に努める。

Q.女性の社会進出を阻む男性の意識について

A.男性の意識が変わらないという株主の指摘は当たらない。

社内での取り組みで男性の意識が変わってきていることへの手応えを感じている。

Q.シニアレジデンス事業について

A.成長戦略の柱の一つである。

国立がんセンターとの提携を踏まえ、上質で健康長寿のための住まいの提供を目指す。

Q.経営陣に求められる資質について

A.専門性の他、共通するのは、進むべき方向の明示、リーダーシップ、コミュニケーション能力

また、一枚岩になる施策も大切ではあるが、金太郎飴ではないことが重要。

そのためにはしっかりとしたプロセスを踏むことは必要である。

決議事項

・剰余金処分の件

・定款一部変更の件

・取締役1名選任の件

・取締役賞与支給の件

拍手を持って賛成・可決されました。

⑵ 2021年6月の株主総会

第109回定時株主総会 2021年6月29日(火) 帝国ホテル東京

参加できなかったので、HPからビデオを視聴しました。

リンクは下記の通りです。

https://c-hotline.net/Viewer/Default/188821036f3e4de147683d5bdf75c486e8a0

 

ビデオを活用した事業報告と社長からの対処すべき課題について説明がありました。

ポイントは2点。

・コロナ禍の厳しい状況を耐える。

・ポストコロナにおいてしっかりと事業を展開する

特に、”リアルエステイト・アズ・ア・サービス”という言葉が印象的でした。

質疑応答

(事前の質問) 

社内取締役8名や取締役報酬の減額8%の妥当性についての質問に対し、総合的に考えて決定したことの説明がありました。

(会場からの質問)

Q.社内女性取締役の登用について?

A.30年ほど前に入社した女性社員の母集団が少ないが、今は新入社員の1/3、中途採用の半分が女性なので今後は増加する。

Q.東京ドームの子会社化の理由は?

A.当社としては横浜、神宮など各地で再開発を進めている。東京ドーム周辺も魅力的な土地であるとともに、東京ドームのスタジアム運営能力や読売グループの顧客層も併せて魅力的と考える。

⑶ 株主還元    

配当

配当の推移は下記の通りです。

2022年3月期:55円

2021年3月期:44円

2020年3月期:44円

2019年3月期:44円

2018年3月期:40円

安定的に増配基調が続いています。

なお、総還元性向は45%が基準です。                    

株主優待

なし 

自社株買い

~2022年3月31日

上限150億円

なお、今後も

配当:自社株買い=2:1

のバランスをとりながら株主還元を実施するとのことでした。

【三井ガーデンパーク神宮外苑の杜プレミア】

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3 株主としてのコメント

⑴ 実生活と三井不動産の関係

 株主になったきっかけは、不動産の値上がり期待からでした。

しかし、それに加えて

・街づくりを応援したい!

・よく利用するららぽーとダイバーシティになじみがある!

三井不動産の子会社が運営するホテルにも気に入っている!

という気持ちが強くなってきました。

写真は、宿泊した時のものですがとても気持ちの良い時間を過ごすことが出来ました。

また、資産運用という点では不動産は魅力的だと思いますが、自分のような素人ではなかなか手が出しにくいのも事実です。

不動産のプロ集団である三井不動産を通じて間接的に不動産投資をしているという認識もあります。

長期保有の予定です。

⑵ 株主との距離感について

初めて株主総会に参加し、三井不動産は株主との距離を長めにとっている会社のような印象を持ちました。

理由は

・役員席に名札が無かった。

・横長に利用することが多い帝国ホテルの孔雀の間を縦長に使用し文字通り距離を保っていた。

・ライブ中継が実施されていない。

・一般に不動産会社の株主総会では住民からのクレームが多い傾向がある。

などによります。

けれども、社長の質疑応答における対応は反対でした。

誠実かつ真摯的で、沢山の質問に積極的に回答しようとしているようでした。

少なくとも社長からは、株主との距離を取ろうという雰囲気はあまりなかった印象です。

会社は株主との距離を置きたいのか?縮めたいのか?・・・よく分からなくなってきました。

そこで、最後に総会を後にする際に何人かの社員の人に会場のレイアウトなどについて質問してみました。

すると、やはり事務的でやや冷たい反応が返ってきました(そうで無い社員もいました)。

結論としては、

「伝統的かつ全社的に株主との距離を取りたいということが基本だが、社長を筆頭に説明責任を果たしつつブランド力向上(ステークホルダーとの距離の短縮化)の試みの兆しがある。」

というものに落ち着きました。

ちなみにJAL株主総会では散開後、余ったお茶を社員の方が笑顔で株主に差し出していました。

今後、三井不動産の社員さんにも同様のサービスを期待するのは、ちょっと求め過ぎかもしれませんが、株主との程よい距離感を大切にされることを期待します。

【三井ガーデンパーク神宮外苑の杜プレミア】

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4 まとめ

三井不動産について述べてきました。

販売表不動産の多さによる今後の収益拡大が期待されています。

また、株主総会に参加し、社長の丁寧に回答する姿勢に好感を持ちました。

おそらく遠かったであろう株主との距離が徐々に縮まる兆候だと感じています。

引き続き、三井不動産の展開に注目していきます。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

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