初投稿:2021.3.23、更新日:2023.11.14、2024.3.20
こんにちは!
この記事は、マネーフォワード【3994】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
なお、2024年2月の株主総会及び雑誌「東洋経済」の記載内容を追記し、記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。
・今期、EBITDA黒字化へ
・株価が安定しないのは投資家が”良い赤字”を理解しないためというのは・・・?
【会社が所在する msb Tamachi 田町ステーションタワー】
1 マネーフォワードについて
⑴ 会社の概要
四季報では中小企業向け業務ソフトのSaaS、決済等のフィンテックに注力とあります。
個人的には、家計簿アプリ「マネーフォワードME」を長年愛用しておりそのイメージが強いです。
売上高303億円、総資産882億円、時価総額3320億円の事業規模。
会社の付加価値(ブランド力やのれん)を示すPBRは11.87倍と高い評価を得ています。
●ミッション(追い求め続ける社会への指名)
お金を前へ。人生をもっと前へ。
●ビジョン(ミッションを達成するために目指すべき未来)
すべての人の、「お金のプラットフォーム」になる。
●バリュー(社会に約束する行動指針)
ユーザー・フォーカス
フェアネス
野心的かつ抽象的な印象を持ちました。
セグメント
法人向けサービスの提供
個人向けサービスの提供
金融機関のお客様向けにサービスを開発
新たなソリューションの開発
⑵ 株主となったきっかけ
会社を知るきっかけとなったのは、約5年ほど前から
・家計簿アプリ『マネーフォワードME』
を使うようになってから。
有料会員にもかかわらず、しばらく放置状態にしていましたが、改めてしっかりと使いこなすようになると、それなりに便利。
そのこともあって、昨年から株主となりました。
⑶ 2023年11月期の経営分析
収益性
・売上高総利益率:65%
・売上高営業利益率(10%以上が優良株):営業赤字
粗利率が高く、「東洋経済」の記事にあるように収益性の高いビジネスモデルは確立されていると思います。
営業赤字なのは、成長投資としての販管費が高いため。
社長も赤字を掘ってまで販管費(広告費や人件費等)を増やしたのは、
”思った以上に市場が大きいことがわかってきたため、成長投資を追加した!”
とのことだったと思います。
安全性
・流動比率(100%以上が望ましい):179%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):39%
短期的にも、中・長期的にもとりあえず懸念があるとは言えない数値です。
ただし、自己資本比率は3年前の47%からは低下しています。
資本の効率化と会社の存続のバランスをとりながらの資本政策が求められています。
効率性
・棚卸資産回転率:2530.03
・有形固定資産回転率:26.3
棚卸資産の回転率が極めて高いということは、商品(サービス)の売れ残りがすないと考えます。
この点では効率的な経営がなされています。
一方で有形固定資産については情報通信業界の平均が26であること考えると、”ふつう”な水準と考えられます。
なお、有形固定資産の内訳は金額順に「建物」、「工具、器具及び備品」となっており、「土地」はありませんでした。
【株主総会時に控え席にて】
2 株主総会等
⑴ 2024年2月の株主総会
バーチャル株主総会でした。
3年ぶりの参加です。
主なポイント
・成長の軌跡:2012年に創業、2017年に上場し時価総額は10倍、ユーザー数は3倍になって約1500万人で、そのうち約52万人が課金者。
・”ユーザー”、”タレント”、”ソサエティ”の3つについてのフォワードを推進中。
・2023年11月期のハイライト:数値目標は全て達成し順調!
・2024年11月期の展望:EBITDA黒字化
・2028年(中長期の展望):売上高1000億円以上
・潜在市場規模はバックオフィスSaaS関連は2.2兆円、それ以外の関連市場を含めると6.5兆円で伸び代は大きい!
主な質疑応答
Q.定款一部変更の件について(なぜ、今になって?)
A.電気通信事業をより一層、明確にするため。
Q.HiTTOの吸収合併差損について
A.(CFO)より、単体では差損が生じるた、連結では影響はない。
なお、正確な差損額については2月末に判明する。
Q.女性の社外取締役の岡島さんから菊間さんへの変更について
A.岡島さんの退任は以前からの本人の希望に沿ったもの。
菊間さんについては、さまざまな会社での社外取締役をされていることを考慮した。
Q.個人株主向けの利用料金を優遇する株主優待について
A.現在は、株価を上げることに注力することが株主に最も報いることと認識している。
従って、株主優待については決まったものは何もない。
貴重なご意見、ありがとうございます。
Q.黒字化の見通しについて
A.今期のEBITDAにつてはプラスを予想している。
ただし、当期純利益の黒字化については非開示だが、将来達成できると確信している。
なお、当社はこれまで開示したガイダンスは全て達成してきたので、長期で成長し続けるよう尽力していく。
決議事項
・資本金準備がくの減少及び剰余金処分の件
・定款一部変更の件
・取締役10名選任の件
・吸収合併契約承認の件
投票の結果、賛成多数で承認・可決されました。
株主総会雑感
市場規模(6.5兆円)を把握し、その中で目標(28年に売上高1000億円)の達成を成長ストーリーとして語る社長は優秀だと感じました。
特に、これまでの開示したことを全て達成してきたことに対しては力強さを感じます。
一方で物足りないこともあります。
2月24日号の東洋経済『もうけの仕組み』で当社のビジネスモデルの良さが取り上げられている一方、株価の乱高下の問題が指摘されています。
その理由が、
”赤字を嫌う投資家がなかなか株を買わないため”
と記事ではされています。
果たして、株価の乱高下はそれだけでしょうか?
”一歩前へ”考えてみると他にも要因がたくさんありそうです。
例えば、当社は株主総会への株主の参加が色々制限されてきましたし、ついにバーチャルオンリーになってしまいました。
そもそも、全社的な課題の中で、ユーザー、タレント、ソサエティについては考慮するものの、シェアホルダー(株主)については何の言及もありません。
”株主優待については何も決めていない!”、と堂々と発言する取締役のマインドも株主軽視の証左だと考えます。
”株価を上げることが株主に報いること”
と一方的に発言されていましたが、
”株主は株価の安定も株価の上昇と同じかそれ以上に求めている”
と考えます。
プロスペクト理論によると、
”人は株価が上昇する喜びよりも株価が下落する苦痛の方を強く感じるもの”
はこの世界の共通認識です。
サイバーエージェントもSBIホールディングスも配当や優待に力を入れつつ多くの株主との対話の機会を定期的に設けています。
当社の場合、やるべきことが山積しているように感じられます。
株価の乱高下を本気で何とかしようとするならば、経営陣には、行動経済学の基礎を踏まえて丁寧に取り組む姿勢が不可欠でだと思います。
【当社のビジネスモデルを取り上げた「東洋経済」】
⑵ 2021年2月の株主総会
2021年2月26日(金) 田町ステーションタワー 本社会議室
コロナ禍を理由に、参加者を20人に絞ったハイブリッド総会でした。
なぜ、このような形式にしたのか理解に苦しみます。
実は、自分の持株にユーグレナという会社があり、その会社のやり方をパクったような形式だったからです。
ユーグレナについては、長年の業績不振から社長が株主から手厳しい指摘を受けてきたので、コロナを理由に参加者を絞り込むという手を打ったのだろうと推察できます。
けれども、マネフォの場合、株主数を増やすと言っておきながら、株主の総会への出席に制限を設けるという姿勢は矛盾しているように思えました。
会社のバリューの中のフェアネスにも反するように思えます。
主な質疑応答
Q.育休の取得状況は?
A.約30名取得中(うち、男性13名、副社長の滝を含む。)
Q.個人投資家を増やす施策は?
A.IRメール、説明会、分割等
Q.ユーザー兼株主を増やす方法は?
A.SHIP(アプリユーザーの交流会)や説明会の強化
Q.経営上、着目している指標は?
A.売上高成長率 30~40%
EBITDA 黒字化
決議事項
・資本準備金の額の減少及び剰余金の処分の件
・定款一部変更の件
・取締役等の選任の件
で、滞りなく承認・可決されました。
【SHIPでの話題】
3 ユーザー交流会SHIPについて
4 まとめ
マネーフォワードについて述べてきました。
家計簿アプリを利用しているとともに、毎月のように開催されるSHIP(ユーザー交流会)でお金についてユーザー間で話し合える機会はありがたいと感じています。
ただし、株価は乱高下し続けているので株主になるのはそれなりの覚悟と忍耐が必要だと考えます。
資金効率やリスク管理を踏まえつつ、当社の成長を応援していきたいと思います。
お読み頂き、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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