こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

ENEOS【5020】〜株主総会雑感

初投稿:2021.8.11、更新日:2022.7.27

こんにちは!

この記事は、ENEOS5020】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

なお、株主総会の内容を追記し、記事をアップデートしています(更新か所は青字です)。

・減収増益の理由は?

・事業転換について

★★★

【目次】 

ENEOS水素ステーション東京湾岸エリア】

f:id:cogepan20:20210810133910j:plain                     

1 ENEOSについて

⑴ 会社概要

 ガソリンスタンドでおなじみのENEOSです。

国内シェア5割の石油元売り首位。

けれども、銅などの非鉄事業、ひいては新規事業展開にも積極的に取り組んでいます。

株主総会招集通知から経営理念、体制、計画等を抜粋します。

総資産9.6兆円、売上高10.9兆円、時価総額1.6兆円の事業規模。

PBRは0.57倍とマーケットからの評価はとても低いです。

使命

地球の力を、社会の力に、そして人々のくらしの力に。

エネルギー・資源・素材における創造と革新を通じて、社会の発展と活力ある未来づくりに貢献します。

大切にしたい価値観

・高い倫理観

・安全・環境・健康

・お客様本位

・挑戦

・向上心

ENEOSグループ運営体制

・エネルギー事業:ENEOS株式会社

・石油・天然ガス開発事業:JX石油開発株式会社

・金属事業:JX金属株式会社

・その他事業:株式会社NIPPO

財務計画

・営業利益(在庫影響除き):9,700億円(2020~2022年度累計)

・設備投資/資産売却:1兆5千億円、1,500憶円(同上)

・フリーCF:1,500憶円(同上)

・ネットD/Eレシオ:0.8倍以下(資本合計ベース)

・ROE:10%以上

・総還元性向50%以上(在庫影響除き当期利益ベース)

※ネットD/Eレシオ(有利子負債比率、デットエクイティレシオ)は長期の支払い能力(安全性)を見る時に使われる指標。

・計算式
(前期末有利子負債-前期末現金同等物)÷前期末自己資本×100

事業戦略

基板事業

・石油精製販売事業:サプライチェーン改革

・石油・天然ガス開発事業:競争力強化

・銅資源・精錬事業:銅精錬事業・リサイクル事業の一体運営

成長事業

石油化学事業:ケミカルファイナリー化の推進

・素材(電子材料等)事業:高機能・高付加価値な先端素材供給

・次世代型エネルギー供給・地域サービス事業:SSネットワークの活用

・環境対応型事業:リサイクル(廃プラ・金属・EV電池)、CCS、CCUS

※CCS:二酸化炭素回収・貯蔵

 CCUS:二酸化炭素回収・有効利用・貯蔵

⑵ 株主になったきっかけ

 バリュー株(資源関連)かつ高配当なので2021年の春に購入しました。

⑶ 2022年3月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:14%

売上高営業利益率(10%以上が優良株):7%

収益性は低いですが、前期よりも営業利益率が3%上昇したことは評価できます。

なお、会社資料で3ヵ年のROEが11%となっていますが、自社株買いの影響もあるので、収益性の向上にしっかりと努めることが望ましいと思います。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):131%

自己資本比率(30%以上が望ましい):34%

資料ではネットD/Eは0.8倍を意識しているとのこと。

でもそれは短期の安全性。

中・長期的にはちょっと気になる水準

前期と比べても変化はありません。

自社株買いをしているので自己資本比率が向上しないのは当然です。

効率性

棚卸資産回転率:5.48

前期同様、市場平均を下回っています。

ちなみに、同じ資源関連銘柄のINPEXは26回を上回っています。

ENEOSの経営についての効率性には課題を抱えていると考えます。

⑷ 2021年3月期の経営分析

コロナ禍の厳しい環境下にもかかわらず、減収増益です。

■収益性

売上高営業利益率:3%

会社から、堅調な石油製品マージンと電子材料の増販等の影響とのことです。

■安全性

流動比率:114%

・負債比率:193%

自己資本比率:34%

財務基盤については盤石とまでは言えません。

しかし、財務計画でネットD/Eレシオ0.8倍を掲げていることから安全性に留意した経営がなされていると考えます。

■効率性

棚卸資産回転率:5.91

一般に平均が10程度であることを考えると、在庫が多いと言えそうです。

石油製品の販売減の影響だと考えます。

コロナ禍が長期化する前提でより効率的な経営努力が求められています。

株主総会が開催されたパレスホテル】

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2 株主総会

⑴ 2022年6月の株主総会

第12回定時株主総会2022年6月28日(火)パレスホテル「葵」

ライブ配信を視聴しました。

ビデオで事業報告、対処すべき課題、監査報告まで紹介されていました。

取締役と監査役はよほど株主の前で話をしたくないようです。

主な質疑応答

Q.ガソリンスタンド向け(B to C)IR強化について

A.検討する。

Q.水素ビジネスの展開について

A.まず素材で収益を上げ、次に再エネの一環としてCO2フリー水素を海外から輸入する予定。

Q.再エネとSAF(持続可能な航空燃料)の展開について

A.所要の技術開発を通じてCO2フリー水素を原料とするエネルギーを実用化することでカーボンニュートラルを実現する。

SAFについては2027年からの義務化を踏まえて、航空燃料の10%をSAFに置き換えるよう、三菱商事等と協力しながら対応していく。

Q.円安の影響について

A.想定為替レートは120円のところ現状は135円。

エネルギー、石油、金属の3事業ともにプラスの影響が生じている。

Q.自社株買いに比べ配当性向13%は低いのではないか?

A.総還元性向は55%。

成長性と株主還元のバランスを考慮している→自社株買いの巨額さを問題にしている株主の質問に対してズレた回答

Q.JX金属のチリ銅鉱山の状況について

A.ロイヤリティ法案による銅鉱山の国有化に伴う増税の懸念があるが、現状は上院にて審議中の状況である。

Q.JX金属敦賀リサイクル株式会社の事業の終了は、SDGsに掲げる人権尊重(地方の雇用)に矛盾する行為ではないか?

A.議案と関係ないので答えない。

決議事項

・剰余金処分の件

・定款中一部変更の件

・監査等委員でない取締役12名選任の件

・監査等委員である取締役3名選任の件

拍手を持って賛成・可決されました。

終了後に新役員の紹介があり散会となりました。

株主総会雑感

株主を軽視する株主総会だったと感じました。

理由は、質疑応答と株主還元の2つ。

例えば、自社株買いと配当のバランスが悪いという質問に対して、自社株買いのことには触れず、成長のための内部留保と株主還元の話にすり換えて回答していました。

このことは、”質疑応答の程をなしていない”ことに通じます。

しかも、社長の原稿棒読みの様子ライブ配信でも明確に伝わりました。

おそらく、ENEOSの現社長は社内のことを良く掌握していないのでしょう。

そして、株主との対話の意義を理解し、真摯に応えようとする姿勢も欠落していたように思います。

株主還元についても疑問を持ちました。

一般に自社株買いに対しては

ROEの向上

・株主構成の変化(高値で売り抜ける機会の提供)

・経営陣が株価にコミットメントしているというメッセージ

などの効果があります。

その一方で、

ROEが上がっても収益性や回転率の向上ではなく一時的な会計マジック

・長期の株主への恩恵がない

などのデメリットがあります。

よって、配当と自社株買いのバランスが大切になってきます。

自社株買いに走る会社にはENEOSの他三井物産がありますが、いずれも個人的には二流のイメージ(トップになれない)があります。

実際、株主からの自社株買いの多さについての指摘に対して、論点をすり替えて回答を避けた姿勢は二流会社であることの証左と認識しています。

⑵ 2021年6月の株主総会

第11回定時株主総会 2021年6月25日(金) パレスホテル

会場は本社横のパレスホテルでした。

珍しいです。

会社所在地が東京都千代田区大手町1丁目1番2号なので本社の横です。

ちなみに、同じ三菱グループ三菱ケミカル三菱地所株主総会場所は三菱地所系列のロイヤルパークホテルでした。

パレスホテルが選ばれたのは、大型化合併会社のため三菱グループの影響が小さいためでしょうか。

残念ながら不参加でしたが、ライブ中継を見ています。

スライドを用いて社長から事業報告と対処すべき課題等について説明がありました。

丁寧な説明だったと思います。

脱炭素時代、ENEOSのような会社は事業転換を行うとともにその姿勢を分かりやすく市場や投資家に理解してもらう必要があります。

そのことを認識した上でのプレゼンだったと思います。

主な質疑応答

(事前質問:200問の中から代表的なもの)

Q.株価対策について

A.現状の株価に満足していない。新規事業の育成等により対応する。

Q.配当について

A.減配せず、安定配当に努める。総還元性向50%を目指す。

Q.カーボンニュートラルについて

A.2040年に石油は半分(1,700万トン)になる前提で事業構造改革に取り組んでいる。

(会場から)

Q.五輪ゴールドパートナーであることのメリットとデメリットは?

A.五輪開催の趣旨に賛同し2015年からゴールドパートナーとなり、宣伝効果は得られた。ただし、コロナ禍による自粛や各種製薬の影響を受けた。

Q.ワクチンの職域接種の状況は?

A.6月24日現在、1万人分を確保し本社→東京→周辺地域の順に接種を実施。

Q.JSRからのエストラマー事業の買収についての効果は?

A.高機能の合成ゴムは競争力がある。買収前に60憶円のコスト削減を実施してもらうことになっている。当社が描く、エネルギー・素材企業となるために不可欠。

Q.水素が普及しない理由は?

A.コスト高が主な理由。自動車燃料だけでは限界。発電所などで大量に消費されれがコストが下がり普及すると思慮。

Q.知多、大阪の土地を早期売却した方がいいのでは?

A.土壌工事をして売却するか、太陽光発電用地として利活用するかなど、検討を継続する。

Q.旧モービルとENEOSの決裁システムの統合はいつ?

A.まもなく実現する。

Q.国際紛争等の地政学的影響に対する対応は?

A.リスク管理を徹底し、総合的に対応していく。

⑶ 株主還元    

配当

2022年3月期:22円

2021年3月期:22円

2020年3月期:22円

2019年3月期:21円

2018年3月期:19円

コロナ禍の厳しい期間を含め増配基調であることは評価できます。

ただし、株主還元という点では自社株買いを少なくして増配すべきだと考えます。

株主優待

なし  

自社株買い 

発行済株式総数の9.3%に相当する3億株、1,000億円の自己株式を取得するとのこと。

自社株買いには積極的。              

3 株主としてのコメント

 ⑴ 減収増益の理由は?

持株会社の中で減収増益というのは珍しいです。

売上が減っているのに利益が増えるというのは”単価”が高まっていることを意味します。

マクロ経済的に考えると、世の中にカネとモノの2種類が存在するモデルを考えると、日米欧の中央銀行が大規模金融緩和のもとで、カネを増やしている現在、相対的にモノの希少価値が上がる論理が成り立ちます。

いわゆる、貨幣数量説です。

ENEOSの減収増益も、単価=モノと考えると納得がいきます。

そして、2023年のテーパリングまではこの流れが続きますので、その意味では業績が大きく落ち込む恐れは少ないのではないかと考えます。

⑵ 事業転換について

脱炭素時代、基盤事業が石油元売りの会社と聞いただけで誰もが、会社存続に甚大な影響が出ると想像すると思います。

けれども、実際には成長事業として水素ステーションの展開、二酸化炭素の吸収・有効利用・貯蔵(CCUS)、素材など様々な試みがなされています。

同時に、株主総会を通じて会社が変わろうとしていることを市場や投資家に広くアピールする姿勢も好感が持てました。 

売上高7兆円を超える巨大企業のビジネスモデルの転換に挑戦する経営を配当を頂きながら株主として応援していきたいと思います。

4 まとめ

ENEOSについて述べてきました。

現経営陣の株主軽視の姿勢株主総会ライブ配信を通じて伝わってきました。

日本のエネルギーを考えると応援したい気もありますが、その気持ちはINPEXに注ぐことにしたいと思います。

ROEの3ヵ年平均11%と発表しつつ、巨額の自社株買いに依存しているのが現状。

優秀な人材を豊富に抱えているのなら、利益率や回転数を上げる王道によりROEの向上を目指すべき。

王道を避け会計マジックに手を染め自社株買いに走る二流の経営の末路がどのようになるかは興味がありますが、利益を確定してしばらくは距離を置きたいと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

#投資 #株式 #株主総会 #資産形成 #資産運用 #ENEOS #エネオス

  

三菱ケミカルグループ【4188】〜選択と集中

初投稿:2021.8.8、更新日:2022.1.11、2022.7.23、2023.8.19

こんにちは!

この記事は、三菱ケミカルHD【4188】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

・総合石油化学メーカーからの脱却

選択と集中

なお、2023年6月の株主総会の内容を追記し記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。

【目次】 

【パレスホテル&本社の所在地であるパレスビル

f:id:cogepan20:20210805131028j:plain                      

1 三菱ケミカルホールディングスについて

⑴ 会社概要

四季報では、総合化学首位とあります。

会社のアドレスは東京都千代田区丸の内1丁目1番1号です。

売上高4.6兆円、総資産5.7兆円、時価総額1.2兆円の事業規模。

PBRは0.71とマーケットからは昨年以上に厳しい評価。

企業理念等

企業理念等は昨年見直され、下記の3つが説明されました。

⚫️Purpose

私たちは、革新的なソリューションで、人、社会、そして地球の心地よさが続いていくKAITEKIの実現をリードしていきます。

⚫️Slogan

私たちは、Scienceの力で、人、社会、そして株主の皆様にValueを提供し、Lifeに貢献します。

⚫️私たちの将来像

革新的なソリューションをグローバルに提供し、顧客、株主、社会に優れた価値をもたらす、世界をリードするスペシャリティマテリアルグループ

経営理念

「KAITEKI」 

KAITEKI価値評価

サステナビリティ

イノベーション

・経済効率性

子会社

三菱ケミカル(株):機能商品分野、素材分野

田辺三菱製薬(株):ヘルスケア分野

生命科学インスティチュート:ヘルスケア分野

日本酸素HD(株):素材分野

新中長期経営基本戦略:KAITEKI Vision 30

・経営基盤:経営効率化・合理化、人事制度改革・働き方改革、組織改革・グローバルマネジメント

・事業基盤:ビジネスモデル変革、次世代事業の取り組みとCVC

・事業戦略:①リスク事業の再編・再構築の加速化、②社会ニーズ変化から成長が加速される分野への布石、③ヘルスケア事業の成長戦略

・財務数値:コア営業利益、ROE、資源配分

経営戦略における最重要ポイント

1 市場の成長性、競争力、サステナビリティにフォーカスしたポートフォリオ

2 分離・再編し、独立化を進める事業

3 グループ全体におけるコスト構造改革

4 戦略崇高のためのスリムな組織

5 戦略的なキャピタル・アロケーション

主要財務指標(2025年度目標)

EBITDAマージン:18〜20%→18%

コア営業利益率:11〜13% 

EPS:125〜145円→143円

ROIC:7%以上→7%

ネットD /E:0.5〜1.0

⑵ 株主になったきっかけ

コロナ禍において株を取得しました。

コロナ対策として世界に貢献できる会社と考えたからです。

株価については、1年ぐらい厳しい状況が続きました。

けれども、最近は含み益を有するようになるとともに、さらなる上昇が期待できるところまで来ています。 

⑶ 2023年3月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:27%

売上高営業利益率(10%以上が優良株):4%

前期よりも収益性が落ちている点が気になります。

資料によるとケミカルズ及びヘルスケアセグメント関連の減損損失の形状が収益性低下の一因とのこと。

課題を一つ一つクリアしていると考えます。

安全性

流動比率(100%以上が望ましい):129%

自己資本比率(30%以上が望ましい):34%

前期とほぼ同様の水準です。

ちなみネットD/ Eレシオは0.07改善とのことでした。

効率性

棚卸資産回転率:5.81%

若干の向上が見られます。

トップラインの上昇のおかげと考えます。

⑷ 2022年3月期の経営分析

増収増益黒字化です。

収益性

・売上高総利益率:28%

売上高営業利益率(10%以上が優良株):8%

高収益にはあと一歩だと思いますが、売上高営業利益率の7%の改善は素晴らしいと思います。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):140%

自己資本比率(30%以上が望ましい):33%

毎期、少しづつ改善している点が評価できます。

ちなみに会社目標のネットD/ Eレシオは0.5〜1.0としていますが、現状は1.4とのことです。

効率性

棚卸資産回転率:5.34%

まだまだ製造業の平均値に至りませんが、改善は続いているようです。

全般として規模は大きいものの、効率性にはさらなる改善の余地が多いと考えます。

⑸ 2021年3月期の経営分析

売上収益は約3.26兆円ですが、76憶円の赤字でした(コア利益では減収減益)。

収益性

売上高営業利益率:1%(昨年は4%)

※セグメント:売上収益にたいするコア営業利益率

・機能商品分野:5.9%

・素材分野(ケミカルズセグメント):1.6% 

・素材分野(産業ガスセグメント):10.5%

・ヘルスケア分野:4.6%

安全性

流動比率:119%

・負債比率:237%

自己資本比率:30%

財務的には盤石とは言えませんが、昨年よりは若干良くなっています。

効率性

棚卸資産回転率:4.56

製造業の平均が10%を超えているので、商品の売れ行きは良くないことを示しています。

特に、自動車用途等の需要の低迷が影響しているようです。  

2 株主総会

⑴ 2023年6月の株主総会

第18回定時株主総会 2023年6月27日(火)ロイヤルパークホテル

ライブ配信により参加しました。

社長の日本語の挨拶でスタート。

その後は同時通訳を頼りに総会を視聴しました。

主なポイントは

・業績は増収減益

・Purpose等を見直し

・2023年の予想は減収増益

・横浜に研究開発拠点を設置

・5つの重点戦略(市場志向の組織、コスト構造改革、分離・再編・独立化、スリム化・デジタル化、戦略的なキャピタルアロケーション

などです。

力強くわかりやすいプレゼンだったと思います。

主な質疑応答

【事前】

Q.PBR向上について

A.これは東証の要請でもあり、資本コスト、ROE、株価等に関連している。

東証の上場企業の50%はROE8%未満かつPBR1%未満が現状。

当社も昨年10%だったROEは今年は6.5%に低下。

PBRに至っては過去10年で1倍を上回ったのは一度きり。

よって、以下の4点に注力する。

・成長:投資を加速

・収益性向上:コスト削減と値上げ

・債務:キャッシュを踏まえ、成長投資と負債削減のバランスをとる

・明確性:共通性のない事業ポートフォリオを見直しコングロマリットディスカウント解消を目指す。

また、石化事業の売却を実施する。

それらによってPBR1倍未満解消を必ず実現させる!

Q.MUSE細胞を利用した再生医療等製品の開発中止について

A.残念だが、包括的かつ慎重な検討の結果である。

パイプラインの拡充のためリソースをベストな力を持つ分野に注力するため。

Q.カーボンニュートラルに向けた進捗について

A.80%が化石燃料を用いており、石炭を利用しているのが現状である。

まず、石炭使用施設のリプレイスを重点的に実施していく。

Q.プラスティックの循環について

A.設計段階、リサイクル、事業機会の3つの取り組みを継続中である。

特に、鹿島にて廃プラスティックのリサイクル事業を茨城県との協定のもと実施している。

【会場】

Q.株主総会の資料に株価チャートを掲載してほしい。

A.検討する。

ステークホルダーには、株主、従業員(7万人)、顧客、社会の4者が存在するが、従業員に比べると株主をあまり重視してこなかった。

それらステークホルダーに対してバランスを持って報いていきたい。

Q.想定為替レートについて

A.1ドル130円、1ユーロ140円である。

Q.チャイナリスクについて

A.全社的かつ統合的なリスクとして専属チームが検討している。

中国ビジネスは3000〜4000億円の事業規模で数千人が働いている。

輸入と地域生産の割合は50:50。

主に

・従業員をどのようにして守るのか?

・資産をどのようにして守るのか?そしてそれはどのようにして分かるのか?

について検討を続けている。

カップリングを踏まえつつ、商機もあると認識。

Q.石油・コークス事業の見直しについて

A.幅広い内容について明確で鋭い指摘をありがとうございます。

VE(バリューエンジニアリング)が弱いという指摘はごもっともです。

信越化学工業富士フィルムをリスペクトしつつ、

・強い商品をさらに強化

・商品群の10〜15%を新商品とする

・商品化の加速(これまで慎重すぎた)

の3つに留意し、生産技術の向上に努める。

また、事業にはサイクルがあり、石油等事業は降下段階ではあるが単に手放すのではなく、数社の統合により独立させたい。

Q.石化事業の今後について

A.ポイントは3つ。

・25〜30年前は高収益商品であったが現在は低収益商品(キャッシュフローはゼロ、だがマイナスではない)

・日本には当該アセットが多すぎるのに削減に対しては業界からの反発があった→現在ではアセット削減に理解

・今後、契約締結についての何らかの発表をする可能性が高いのでご期待ください。

Q.人材の再教育について

A.離職率は業界平均を下回る。

人の採用にも苦労していない。

当社は世界トップクラスのケミカルカンパニーと認識。

当社はトレーニングの機会が足りなかったと感じており、その必要性は感じている。

但し、本人の意欲も重要である。

Q.コロナワクチンの製造中止について

A.カナダのベンチャー企業であるメディカゴ社についてはカナダでは承認が得られていたが、商業化(量産化)の目処がたたず、タイミングを逸してしまった。

背景には大量生産が可能な企業は武田薬品工業1社のみという背景もあった。

できる限りのことはしたが、ある時期に決断しなければならなかった。

残念である。

Q.社外取締役のBSテレビでの発言は(節度を持って)慎重に

A.貴重なご意見として受け止める。

Q.値上げの効果について

A.値上げは企業の生死を決める重要事項である。

原材料価格については今回の値上げで価格転嫁を達成できた。

けれども、固定費についての上昇分については反映できていない。

追加値上げをすべきであった。

当社は長い間、値上げを忘れていた。

但し、値上げというのは需要がある時は容易だがそうでない時は極めて困難である。

従業員の給料もアップしており、今後は定期的に数%の値上げを実施していきたい。

Q.取締役の定年について

A.(指名委員長より)定年についての内記はない。

一年ごとに人物評価を実施し、ケイパビリティがあるかぎり継続していく。

Q.コロナワクチンが承認された2社について(セレンディピティ:幸運)

A.ファイザーは大企業、モデルナはスタートアップ企業だがこの分野をずっと研究してきていた。

2社に共通しているのは米国政府が莫大な資金を提供したこと。

当社もカナダ政府からの補助金によってワクチンを開発し承認を得ることができた。

Q.株主総会の午後開催を検討してほしい。

A.貴重なご意見として承った。

決議事項

・取締役8名選任の件

拍手を持って承認・可決されました。

株主総会雑感

社長が、PBR1倍割れ、チャイナリスク、久しく値上げをしてこなかったこと、商品化のスピードの欠落、コングロマリット・ディスカウントなどの問題点を積極的に説明されたことは評価できます。

化学系3社の統合の推移やベルギー出身の社長のリーダーシップなど見どころ満載。

化学というわけではありませんが、改革が進めば大化けする可能性も少なくないと期待しています。

ただ、気になったのは社員7万人に対して会社のビジョンがどこまで共有されているかということ。

Purposeを見直したとのことですが、その中核的概念たるKAITEKIについて社長からの言及が少なかったこと、株主からの社員へのビジョンへの浸透についての質問がなかったことなどが、物足りなく感じました。

ビジョンの力によって、7万人の社員のベクトルが揃い、様々なアイデアが湧き上がってくると思います。

次の株主総会ではビジョンについての議論がなされることを期待します。

⑵ 2022年6月の株主総会

第17回定時株主総会 2022年6月24日(金) ロイヤルパークホテル

迅速な議事進行を理由に議長補佐が登場。

約1時間の株主総会でした。

ビデオによる事業報告に続き社長による今後の取り組みについてのプレゼンが実施。

印象に残ったのは下記の通りです。

・ネットD/Eレシオ:1.7→1.4

・ヘルスケア部門のマイナスは研究開発費

5つの重点戦略についての説明

・原材料コストの製品価格への転換が今後のポイント

主な質疑応答

Q.石油化学と炭素事業を切り離すことについて

A.どのようなビジネスでも上向きのフェーズと下向きのフェーズがある。

下向きのフェーズにある石油化学と炭素事業は分離した上で同業他社と共に規模を追求すべきと判断。

Q.天災などの日本固有のリスクについて

A.製品の6割は日本で製造しており、ゼロリスクは難しいが安全性のプライオリティはナンバーワンと考えて対応している。

Q.リストラによる士気低下について

A.ヒューマン・リソースについては真摯に捉えている。

様々なコミュニケーションに努める。

Q.総合化学メーカーからスペシャリティへの移行について

A.ステップバイステップが重要。

まずは、ローカルなレベルでの統合から始めて力をつけてからグローバルなレベルでの統合を目指す。

Q.取締役の構成について

A.中長期的な視点で考えており、監督と執行の機能向上に努める。

Q.国家安全保障の観点からの石油化学について

A.日本ナンバーワンとして残すべき企業である。

ただし、成長分野ではなく細分化されていること、オーバーキャパシティ需要減にも対応していかなくてはならない。

そのため、統合により強固な石油化学事業とすることを目指す。

決議事項

・定款一部変更の件

・取締役9名選任の件

拍手を持って賛成・可決されました。

小林取締役の挨拶

28歳の中途入社で48年間(取締役は17年間)勤務した。

鹿島の事故があったものの、それ以外は大きな事故がなく勤務できたことに感謝。

2015年には指名委員会等設置会社への移行も果たした。

大きくなった会社から時代の流れに則った会社への流れができた。

これからは株主としてギルソン社長のパフォーマンスを見守りたい。

株主総会雑感

化学部門に対して分離・再編して独立化を進めることに対する質問が集中しました。

株主からの質問は的確かつ真摯なものが多かったと思います(英語を駆使して直接社長に質問もされる株主もいらっしゃいました)。

株主の会社に対する深い愛情を感じました。

来年以降は、もう少し総会の時間を多くして、より多くの株主からの質問・提案の機会を設けるべきだと思います。

⑶ 2021年6月の株主総会

第16回定時株主総会 2021年6月24日(木) ロイヤルパークホテル

ライブで見ました。

場所は本社隣のパレスホテルかと思いきや、三菱グループ御用達?のロイヤルパークホテルでした。

質疑応答

Q.(三菱化成OB?)から、ヘルスケア部門に対する社長の考え方は?

A.大きなパイプラインを作ることが必要。

DX推進によるコンバージョン(転換)も期待している。

Q.ケミカルズセグメントの回復は先々期のレベルを考えると物足りない?

A.MMAについて競争の優位性があり今後も投資を継続する。石化と炭素については、低炭素時代を考え自問自答しながら対応していく。

Q.1200億円の減損の内訳は?

A.医薬開発遅れと米国工場の閉鎖によるもの。

Q.配当政策は配当性向30%で良いのか(DOE(株主資本配当率)の方が妥当では)?

A.配当は重要なトピック。資本配分は①投資、②R&D、③配当、④自社株買いがあり、ご指摘を踏まえ検討する。

Q.てんかんについても取り組んでほしい。

A.前向きに検討する。

Q.外国人の社長が誕生した経緯は?

A.(指名委員長から)リーダーとしてふさわしい人物を7人選抜し、最終的にジョンマーク・ギルソン氏が選ばれた。

⑷ 株主還元    

配当

1株配当実績は下記の通りです。

増配を期待します。

・2023年3月期:30円

・2022年3月期:30円

・2021年3月期:24円

・2020年度:32円

・2019年度:40円

・2018年度:32円

株主優待

なし                    

株主総会の会場 ロイヤルパークホテル】

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3 株主としてのコメント

⑴ 外国人の新社長について

ジョンマーク・ギルソン社長のプレゼンは説得力がありました。

株主総会での社長らしさが出ていました。

三菱ケミカルは、M&Aを繰り返してきただけあって分かり難い部分が会社のネック。

明確な戦略・ビジョンを徹底的に広めることにより、市場の評価を高めることで会社のさらなる飛躍が期待できると感じました。

⑵ 売上高3兆円超の巨大企業の運営について 

この指とまれということでM&Aによって、売上高3兆円を超える、世界でも有数の企業となった三菱ケミカル

規模拡大を目指す経営を極めたと思います。

今後は、事業PFの入替を通じた 効率化を目指す経営のフェーズに入りつつあるようです。

会社の買収、工場閉鎖、本社の移転などは実行力の高さを示していると考えます。

世界的な巨大企業の経営を学ぶという意味でも、長く株主でありたいと思います。

⑶  選択と集中

三菱ケミカルHDは化学業界における時価総額順位は4位です。

これだけ大きな企業グループでも4位というのは意外でした。

では、化学業界1位はどこか?

信越化学工業です。

信越化学工業三菱ケミカルHDの違いの一つにイメージの違いがあります。

信越化学工業といえば、半導体のシリコンウエハと誰もがイメージすると思います。

では、三菱ケミカルHDと聞かれて真っ先にイメージするのは何か?

おそらく、人それぞれ大きく異なるのではないでしょうか。

その意味で、会社も事業の選択と集中に注力しているとの”株主通信”の記事に注目しました。

コークス事業と石油化学事業を切り離し、その資源を成長分野と位置付ける事業に再投資するとのことです。

さらに各セグメントのトピックスとして、

・ヘルスケアセグメント:ASL筋萎縮性側索硬化症)患者さんへ新たな治療選択肢を提供

・機能商品セグメント:半導体関連のソリューションをワンストップで提供

・産業ガスセグメント:人の命と健康を守る産業ガス

・ケミカルズセグメント:約40%の世界生産能力シェアを持つMMA(メタクリル酸メチル)

などが紹介されていました。

これらの内容は選択と集中という点で企業価値を高めることにつながり有効と考えます。

ただし、それでもまだ道半ばというのが正直な感想です。

”株主通信”には今後の展開として

1 事業ポートフォリを絞り込み成長分野に投資する

2 シンプルで無駄のない組織構造に変革する

3 グループ全体で徹底的にコスト削減する

とあります。

株価も上昇基調を維持しており、時価総額も増え続けています。

個人的には、信越化学工業のシリコンウエハのような会社を代表する商品が抜きん出てくることを期待しています。

4 まとめ

三菱ケミカルグループについて述べてきました。

大きくなった会社を時代に沿うように改革していく選択と集中の経営がなされています。

総合科学メーカーを支えてきた元従業員株主の矜持愛情を感じることができました。

引き続き株主として変革に挑戦する経営を応援したいと思います。

お読み頂き、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

#投資 #株式 #株主総会 #資産形成 #資産運用 #三菱ケミカル #三菱ケミカルグループ

  

TAC(4319)について ~株価下落の3要素~

こんにちは!

 

この記事は、TAC(4319)に関心のある方に向けた株主としてのコメントを記したものです。

 

公認会計士中小企業診断士を養成しているのに自社の経営は・・・

・株価が下がる3要素がそろっている

 

 

【目次】 

 

株主総会が実施されたホテルグランドパレス(2021.6.30営業終了)】

 

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1 TACについて

⑴ 会社概要

 ”資格の学校”として有名です。

ここの口座に通い、FPの資格を取得することが出来ました。

■セグメント

・個人教育事業:売上高112.7憶、営業損失5.6憶

・法人研修事業:売上高41.1憶、営業利益10.1億

・出版事業:売上高40億、営業利益11.4憶

・人材事業:売上4.8憶、営業利益3,500万

出版事業の売上高営業利益率が高いことは意外でした。

私事ですが、TAC出版の『大人旅プレミアム大阪』という旅行ガイドブックはコンパクトで使いやすかったです。

 

 

⑵ 株主になったきっかけ

 優待目的です。

FPの資格を取得するためにTACを利用する際の授業料割引券を頂きました。

おかげさまでFPの資格を取ることが出来ました。

株価が安かったのも理由のひとつです。

でも、さらに安くなるとは当時は思ってもみませんでした。

 

⑶ 経営分析

■収益性

売上高営業利益率:2%(昨年は1%)

収益性は低いですが、改善傾向がみられます。

■安全性

流動比率:93%

・負債比率:251%

自己資本比率:28%

全ての項目で目安と言われる数値は下回っています。
 ■効率性

・有形固定資産回転率:4.15

サービス業の有形固定資産回転率が1~2なので、平均を上回っています。

TACは通学用の校舎が全国にあるため、コロナ禍の影響を受けているかと考えていましたが、意外と効率性は悪くないようです。

 

【2年前に参加した株主総会

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2 株主総会

⑴ 株主総会

第38回定時株主総会 2021年6月25日(金) ホテルグランドパレス

参加せず。

 

2年前の第36回総会には出席しました。

活動的な株主からの批判に終始していた印象しか残っていません。

有意義な株主総会を妨害するという意味では、現代の総会屋と言っても良いかもしれません。

 

決議事項

(会社提案)

・剰余金配当の件

・定款一部変更の件

・取締役選任の件など

 

(株主提案)

・定款変更の件(上場の廃止)など

 

株主提案は、元TAC講師が解雇されたことに対する私怨に基づくような内容のようです。

 

会社提案が承認されたようです。

 

株主優待

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⑵ 株主還元    

■配当

一株につき5円の配当

株主優待

受講割引券(10%割引) 

                    

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3 株主としてのコメント

一株約300で購入した株は、150円程度にまで下落しました。

建築で社会問題を起こした会社ですら、もっと高い株価を維持していたのに、何故、株価が低迷しているのか?

TACは公認会計士中小企業診断士を養成しており、経営のプロがそろっているにもかかわらず、どうして、株価が低迷しているのかが良く分かりませんでした。

そんな時、いちごHDのスコット・キャロン会長から、株価が下がるのは3つの要因があると聞かされました。

 

1 不祥事が発生したとき

2 業績が低迷したとき 

3 将来に対する成長期待がもてなくなったとき

 

それを聞いたときに、腹落ちしました。

TACは3つとも当てはまっていたからです。

 

2年前のことですが、具体的に見てみましょう。

 

1 不祥事:一部株主(元講師)からの激しい批判、一部の書籍の回収

2 業績低迷:公務員受験者の減少により口座からの収益が大幅減少

3 成長期待:同業他社と比較し、ネット(スマホアプリ)を通じた教育に遅れ

 

それから2年が経過し、あるものは改善され株価も最悪期は脱してきつつあるように思います。

 

TACの株主として得た最大の教訓は、

・知っていることと、出来ることは違う

・出来ることと、継続することはも違う

ということです。

TACは経営のプロを育成する学校ですが、自身の経営については”あるべき姿”との間にギャップがあることは経営分析等から明らかです。

だからこそ、自分自身についても

知る→出来る→継続する

についてレビューし、継続できていること(習慣)を絶やさぬよう精進したいと思いました。

 

おつきあいいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

 

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#投資 #株式 #株主総会 #資産形成 #資産運用 #TAC  

TBS(9401)について~株主総会で感じた3つの問題点

こんにちは!

 

この記事は、TBS(9401)に関心のある方に向けた株主としてのコメントを記したものです。

 

・メディアコンテンツでは稼げない

・不動産も競争激化

 

 

【目次】 

 

株主優待のクオカード】

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1 TBSについて

⑴ 会社概要

みなさんご存じの民放キー局である放送会社です。

企業理念等は以下の通りです。

 

■企業理念

TBSグループは、時代を超えて世界の人々に愛されるコンテンツとサービスを創り出し、多様な価値観が尊重され、希望にあふれる社会の実現に貢献してまいります。

■ブランドプロミス

わたしたちは、さまざまなフィールドで心揺さぶる時を届け、社会を動かす起点を目指します。

最高の”時”で、あすの世界を作る。

 

VISION2030

Phase1:回復と種まき 2021ー2023 営業利益率:5%

Phase2:育成と成長 2024-2026 

Phase3:成長の加速と持続 2027-2030 営業利益率:7%

 

■セグメント()は売上高構成比

・メディアコンテンツ事業(77.9%)

・ライフスタイル事業(17.2%)

・不動産・その他事業(4.9%)

 

⑵ 株主になったきっかけ

10年以上前に、数年間株主をしていました。

東京エレクトロンの好業績が報じられて株価が急上昇するタイミングを見計らって利確した記憶があります。

その後、昨年の秋から今年の春にかけて、放送会社の株価が上昇基調だったのでちょっと興味があり、久しぶりに株主となりました。

⑶ 経営分析

減収減益です。

■収益性

売上高営業利益率:3%

収益性は低いです。

特にメディアコンテンツでは稼げていません。

■安全性

流動比率:221%

・負債比率:38%

・自己日本比率:72%

財務基盤は盤石のようです。

 ■効率性

 ・有形固定資産回転率:1.4

有形固定資産に着目すると不動産で稼いで入るものの、効率性はそれほど良いとは言い難いです。

 

株主総会が開催された第一ホテル】

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2 株主総会

⑴ 株主総会

第94期定時株主総会 2021年6月29日(火) 第一ホテル

 

社長のあいさつで始まりました。

事業報告のビデオに続き、社長からの対処すべき課題が説明されました。

その中で、

・「2030ビジョン」を着実に遂行する

・放送事業とそれ以外の事業の比率を40:60にする

が強調されていました。

会場前2列はスーツを着た似通った属性の男性陣が陣取っており、質疑応答の際の会社の説明の後に機械的な拍手をしていたのが印象的でした。

おそらく、会社のサクラだと思います。

10年前の総会も偏向報道に対する批判は多かったですが、ついに会社はサクラに手を染めたようです。

また、役員の答弁能力もこの10年で著しく劣化したように感じました。

 

■質疑応答

Q.サンデーモーニングをはじめとする偏向報道は何故無くならないのか?

A.偏向報道ではない。

Q.不動産に投資をするとのことだが、現状でも有形固定資産回転率は1.4%と低い。不動産投資の有効性を図る指標を意識しているのか?

A.VISION2030を着実にじっしする。

Q.修正動議:配当の増加と別の取締役の推薦

A.→議案採決の際に秘訣

 

⑵ 株主還元    

■配当

15円

株主優待

株数に応じて

オリジナルクオカード、卓上カレンダー、展覧会、番組等への招待 

 

 【TBSの放送カー】                  

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3 株主としてのコメント

⑴ 株主からの批判に対する開き直り

建設的な株主総会ではありません。

偏向報道に対する株主からの批判と最初から真摯に答える姿勢を欠いた役員の対応で終始していました。

今回、サクラの登場にはびっくりしましたが、株主の側にももう少し柔軟かつ幅広い視点からの問題点の指摘が足りないようにも感じました。

具体的には、以下の2点が挙げられます。

 

⑵ メディアコンテンツで稼げない

セグメント別に会社の稼ぎを分析してみます。

数値は、売上高構成比率 売上高 利益 売上高利益率を示しています。

 

・メディアコンテンツ事業(77.9%) 2537憶 28億 1.1%

・ライフスタイル事業(17.2%) 559憶 2億 0.3%

・不動産・その他事業(4.9%) 159憶 76憶 48%

 

TBSは金額ベースでも利益率でも不動産で儲けている会社です。

もはやメディアコンテンツでは稼げていません。

にもかかわらず、メディアコンテンツを中心としている姿勢は企業価値向上が見込めないことを意味しています。

2030年にメディア事業以外を60%にするとの目標を掲げていますが、経営のスピードが遅いのでは?

 

⑶ 赤坂再開発が収益向上につながるのか?

不動産で利益を上げているTBSですが、有形固定資産回転率でみると1.4%とそれほど高くありません。

効率性から見た経営は上手とは言えないようです。

もっとも、大手不動産会社の有形固定資産回転率は1.0以下が少なくありませんが。

ただし、2028年に向けて赤坂エンタテイメント・シティ計画が本格始動とあります。

赤坂再開発が収益向上につながるのでしょうか?

三菱地所は2027年常盤橋の東京トーチ(日本一高いビル)や丸の内地区の再開発

三井不動産は東京ドームをTOBして周辺開発、帝国ホテルも立替

東急不動産は2027年を目途に渋谷再開発を実施中

・森ビルは虎ノ門地区の再開発を実施中

など、首都圏だけでも様々な魅力的なエリアが次々と誕生する予定です。

赤坂も魅力的な街だと思いますが、集客という点で、他のエリアとの競争に勝てるのか?

そもそも、千代田線1本というアクセスを考えると集客力は限定的です。

しかも、赤坂再開発の事業としての採算性に対する質問にも役員は答えていません。

・メディア事業では稼げない。

・頼りの不動産も、再開発される他のエリアとの競争で苦戦を強いられる。

偏向報道を巡って株主からの批判が収まる兆候が見いだせない。

かつてテレビが元気だったころの遺産で財務を固めていますが、いつまで持つのか?

VISION2030で、ネットフリックスやディズニー、アマゾンプライムなどの世界レベルの競合と戦えますか?

そもそも、目標とする営業利益率が2023年に5%、2030年に7%は低くないですか?

TBSが変化する世界の中で生き残ることが出来るかどうか注視していきます。

 

おつきあいいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

 

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#投資 #株式 #株主総会 #資産形成 #資産運用 #TBS

  

2021年7月の投資のふりかえり

こんにちは!

 

7月の投資は厳しい状況でした。

 

・7月の株式投資の含み損は約78万円(本年の含み損は約35万円)

・7月の株式投資では248,800円利確(本年の確定した利益は約86万円)。

 

ご存じのように7月は日本株がさえない状態で、その影響を大きく受けています。

 

なお、エビデンスとしてスクリーンショットを掲載していますが、”参考程度”にしていてください。

ご存じの通り、”スクリーンショットはアプリを使えば容易に改ざん”できます。

スクリーンショットで儲けたという話が”事実”であると単純に信じない方が”無難”かと思います。

 

【目次】 

 

 

【お台場のオリンピック聖火台】  

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1 株式の売買 

⑴ 売却

ラクーンHD 100株

・AI CROSS 100株

・NTT データ 100 株

リクルート 100株

 

売却したのは、含み益がある銘柄の中でチャート的に勢いのない会社を選びました。

投資においては、

”先のことは分からない!”

が基本。

利確が出来るものは確実に実施することに努めました。

 

⑵ 購入

なし

 

  

【マネーフォワードからの抜粋】

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 株式については、売却を進めた結果と相場が低迷していることで先月の3,100万円をピークとして下落トレンド入りしています。

今後も、定期的に利確を進める予定です。

理由は4つ

・コアサテライト戦略(投信8割、株式2割)の実現

・生活資金の確保

・利確の習慣化

・投資力向上(チャートを用いた売時に見極め)

 試行錯誤しながら、自分なりの投資を確立していきたいと思います。

 

2 配当

東和フードサービス 300円(100株)

投資法人みらい 2,242円(200株)

ラクーンHD 900円(100株)

・ビジョナリーHD 100円(100株) 

 

  合計 3,542円

 

ビジョナリーHDの1円配当というのは、資本業務提携をして大株主となったエムスリーとの関係を重視したものと考えています。

投資法人みらいの配当を頂き、改めてリートの魅力を感じました。

今後もPFの中のリートの割合を増やしていこうと考えています。

ただし、配当の受け取り方の手続きを適切にしないと、NISA口座であっても配当に課税されてしまうので要注意です。 

 

3 株主優待

7月に届いた主な株主優待は次の通りです。

 

ビジョナリーHD:メガネレンズお仕立券11000円×2など

 

こちらも記事として取り上げていきたいと思います。

 

4 株主総会

7月に実施された持株の株主総会は以下の30社です。

 ・ラクーンHD(不参加)

・みらい(投資主総会)

・ビジョナリーHD

東和フードサービス(議決権得られず) 

 

 

株主総会に参加させていただき、有意義な時間を過ごすことが出来ました。 

総会に参加した企業を中心に、持株会社の記事を引き続きアップする予定です。

なお、東和フードHDは持株ですが、今回議決権を頂けませんでした。

理由は、決算が4月で優待の権利も4月に確定しますが、議決件を確保するためには5月末に株主である必要があるという珍しい会社だからです(SBI証券にて貸株中)。

決算、優待取得日、議決権取得日が異なる会社が存在することを初めて知りました。

同時に、疑問に思ったことは納得するまで調べることの大切さを実感しました。

 

5 投資信託等(iDeCoを除く)

 長期・積立・分散投資を実施しているのは次の8社です。

積立投資を始めた年月も表示しています。

 

・ウエルスナビ :15万円/月(月5回) 

 2019年10月~:21カ月

セゾン投信:20万円/月(毎月4日、8日)

 2020年2月?~:17カ月

SBI証券で投資信託『ひふみプラス』:万円/週(毎週金曜日)

 2020年6月~:13カ月

SBI証券投資信託『SBI・V・S&P500』:1万円/週(毎週月曜日)

 2021年7月~1か月

さわかみファンド:1万円/月(毎月1日) 

 2020年8月~:11カ月

コモンズ投信:4万円/月(毎月1日) 

 2020年9月~:10カ月

マネックス証券eMAXIS Sim米国株式(S&P500):10万円/月(毎月1日)

  2020年9月~:10ヵ月

楽天証券でiFreeNEXT NASDAQ100インデックス:2万円/月

 2020年12月~:7カ月

コインチェックビットコイン積立:1万円/月 (毎月1日)

 2020年12月~:7カ月

 

現在の積立投資は毎月約63万円です。

毎週2万円実施していたひふみ投信を1万円にして、新たにS&P500インデックスファンドを積み立てることにしました(投信の見直し)。

 

また、 下の図のポイントは2つ

・100万円程急騰しているのは、セゾンポケットで購入していた投信を手入力で追加

複利の効果が活かせる投資信託等の額が1,650万円越え

 

まだまだ、理想とするバランスには程遠いですが着実に積み上げていきたいと思います。

株式で苦戦している間も、確実に投資信託では利益を積み上げてくれています。

”お金は適切なところにおいておけば勝手に増える。”

と、尊敬するユーチューバーの方が指摘された通りです。

 

  

【マネーフォワードから抜粋】

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6 貸株金利 

SBI証券にて貸株をしています。

 

 6月の金利受取額 5,444.46円

 

ちなみに、持株の中の高金利銘柄の4月→5月→6月→7月の推移は

 

・サンアスタリスクは8.5%→10.25%→8.75%→7.5%

ペッパーフードサービスは8.0%→7%→6.25%→3.25%

 

上記2社の貸株金利が低下しています。

理由は、高い金利を払ってまで空売りして儲けようとする人が減ったののではないかと推察します。

 

一方、新たに貸株金利が高くなってきた銘柄があります。

・ニューラルポケットが4%

株が下がると考えると考える人が増えているのでしょうか?

 

7 気づき

7月の投資についての”気づき”は次の2点です。

 

⑴ 利食い千両

私事ですが、ベランダでネギを栽培しています。

最近、収穫する時期というものがあることが分かってきました。

株式投資においても、”循環物色”、”行って来い”など、旬な時期があることが意識されるようになってきました。

利食い千両を意識し、引き続き、利確を行いながら長期投資に努めたいと思います。 

 

⑵ 資産運用=資金×利回り×継続年数

”お金は適切なところにおいておけば勝手に増える!”

というツイートに腹落ちしました。

あまりPFに一喜一憂しすぎず、充実した日々を送ることも大切です。

そのため、上記の公式を意識して資産運用に努めています。

特に、投資信託では、利回りの良い金融商品に資金を投じ、長期投資を継続していきます。

そのためにも、資産の見える化を通じて、より適切なところへより多くの資金をおいておけるよう心がけます。

 

 

最後に

8月になりました。

今後の株価にとってプラスの材料は先月同様、

・ワクチン接種率の増加

・オリンピック・パラリンピックの盛り上がり

衆議院選挙

などがあ挙げられます。

 

反対にマイナスの材料は

・新型コロナ感染者の増加

・テーパリング(金融緩和の縮小)

・チャイナショック(米中対立)

などです。

 

”投資においては、先のことは分からない”

そのことを前提として、荒れる相場と上手に付き合っていきたいと思います。

 

 

おつきあいいただき、ありがとうございました。

 

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。

 

#資産形成 #資産運用 #投資 #株式 #株主総会 #配当 #株主優待 #投資信託 #ロボアドバイザー

  

三井不動産【8801】〜株主との距離感について

初投稿:2021.7.30、更新日:2022.7.11

こんにちは!

この記事は、三井不動産【8801】に関心のある方に向けた株主としてのコメントを記したものです。

なお、2022年6月の株主総会に参加した時の内容を追記し、記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。

・土地不足を背景に販売用不動産による収益拡大への期待

・株主との距離感について

★★★★

【目次】 

 【ららぽーと豊洲

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1 三井不動産について

⑴ 会社概要

総合不動産の大手でビル賃貸が主力です。

三菱地所と双璧をなしています。

総資産8.2兆円、売上高2.1兆円、時価総額2.7兆円という事業規模です。

PBRは0.99倍で解散価値をわずかに下回っています。

長期経営方針「VISION2025」

・営業利益:3,500億円程度

・EPS成長率:7%/年以上

ROA:5%以上

ROE:8%以上

・D /Eレシオ:1.2〜1.5程度

セグメント

・賃貸事業:31%

・分譲事業:35.6%

・マネジメント事業:20.1%

・その他の事業:13.3%

⑵ 株主になったきっかけ

コロナ収束後の不動産の値上がり期待で2020年2月に株を購入しました。

⑶ 2022年3月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:21%

売上高営業利益率:12%

営業利益率も10%を超えており、優良株と考えます。

三菱地所に比べると若干負けている感もありますが、販売用不動産を多く抱えていることから今後、収益の飛躍的な拡大が期待されます。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):201%

自己資本比率(30%以上が望ましい):35%

短期的にも中・長期的にも問題ないレベルです。

効率性

棚卸資産回転率:1.04

週刊ダイヤモンド」の記事では棚卸資産回転率が低いため販売不振で商品が売れ残りやすいという指摘がありました。

実際、三菱商事棚卸資産回転率は、3.95であり三井不動産より約4倍効率的な経営がなされています。

ただし、土地不足を背景として販売用不動産の多さは「仕込み力」として逆に評価されるようになってきているとも言われています。

⑷ 2021年3月期の経営分析

 増収減益です。

収益性

売上高営業利益率:10%

収益性は高いと思いますが、三菱地所の約半分です。

逆に、売上高は三菱地所の1.2兆円に対して2兆円と大きく上回っています。

安全性

流動比率:245%

・負債比率:191%

自己資本比率:34%

不動産会社としては悪くはないと思います。

三菱地所と同レベルです。

 効率性

・有形固定資産回転率:0.54

三菱地所が0.29であることと比較すると、効率性が良く、三井地所が保有する土地や建物が効率的に売上を生んでいると言えます。

株主総会会場となった帝国ホテル孔雀の間】

2 株主総会

⑴ 2022年6月の株主総会

第110回定時株主総会 2022年6月29日(水) 帝国ホテル東京 孔雀の間

入口にてお茶をいただきました。

社長からの説明のポイントは下記の通りです。

・営業利益3000億円、自社株買い149億円

・総還元性向を35%→45%

・地方における環境対策に注力

質疑応答

【事前】

Q.三井不動産レジデンスのサービスについて

A.ゴールは無いが、一人一人のニーズに応えるよう徹底していく。

Q.会長、社長の報酬(約2億円)について

A.報酬委員会から妥当との判断を受けている。

個人的にも満足している。

Q.女性取締役について

A.登用すべく努めている。

Q.社員による建替反対運動について

A.そのようなことはない。

【会場】

Q.ららぽーと事業の今後の展開と地震対策について

A.テナントへの社会的責任として地震対策、新耐震基準等のリスク管理は徹底している。

なお、上海はロックダウンの影響を受けたが8割復帰の状態。

Q.三井不動産レジデンシャルサービスの契約トラブルについて

A.子会社管理を徹底していく。

Q.女性管理職の障壁について

A.男性社員の意識の問題もある。

子供の二人目を作るかどうかと夫の残業時間との間に相関関係があることが分かっている。

Q.まちづくりについて

A.コンクリートとガラスの高層建築物だけではまちづくりにならない。

緑による潤い、スポーツやエンターテイメント、歴史と文化も欠かせない。

福徳神社のような核となる場所を中心としたコミュニティが大切。

Q.空き家対策(ごみ対策)について

A.空き家は需要と供給のミスマッチによる。

ゴミの管理は適切に実施している。

Q.配当政策について

A.配当性向は20%から30%に拡充した。

その上で、15%を自社株に充て、総還元性向を45%としている。

自社株買いには経営者が株価を意識しているというメッセージを発する効果もある。

Q.上野→入谷の高速道路の地下化について

A.国、首都高と共に適切に利益応分の負担をしていく。

Q.三井不動産の歴史ビデオの活用について

A.提案を検討し、社員教育に利用し会社のブランド意識の高揚に努める。

Q.女性の社会進出を阻む男性の意識について

A.男性の意識が変わらないという株主の指摘は当たらない。

社内での取り組みで男性の意識が変わってきていることへの手応えを感じている。

Q.シニアレジデンス事業について

A.成長戦略の柱の一つである。

国立がんセンターとの提携を踏まえ、上質で健康長寿のための住まいの提供を目指す。

Q.経営陣に求められる資質について

A.専門性の他、共通するのは、進むべき方向の明示、リーダーシップ、コミュニケーション能力

また、一枚岩になる施策も大切ではあるが、金太郎飴ではないことが重要。

そのためにはしっかりとしたプロセスを踏むことは必要である。

決議事項

・剰余金処分の件

・定款一部変更の件

・取締役1名選任の件

・取締役賞与支給の件

拍手を持って賛成・可決されました。

⑵ 2021年6月の株主総会

第109回定時株主総会 2021年6月29日(火) 帝国ホテル東京

参加できなかったので、HPからビデオを視聴しました。

リンクは下記の通りです。

https://c-hotline.net/Viewer/Default/188821036f3e4de147683d5bdf75c486e8a0

 

ビデオを活用した事業報告と社長からの対処すべき課題について説明がありました。

ポイントは2点。

・コロナ禍の厳しい状況を耐える。

・ポストコロナにおいてしっかりと事業を展開する

特に、”リアルエステイト・アズ・ア・サービス”という言葉が印象的でした。

質疑応答

(事前の質問) 

社内取締役8名や取締役報酬の減額8%の妥当性についての質問に対し、総合的に考えて決定したことの説明がありました。

(会場からの質問)

Q.社内女性取締役の登用について?

A.30年ほど前に入社した女性社員の母集団が少ないが、今は新入社員の1/3、中途採用の半分が女性なので今後は増加する。

Q.東京ドームの子会社化の理由は?

A.当社としては横浜、神宮など各地で再開発を進めている。東京ドーム周辺も魅力的な土地であるとともに、東京ドームのスタジアム運営能力や読売グループの顧客層も併せて魅力的と考える。

⑶ 株主還元    

配当

配当の推移は下記の通りです。

2022年3月期:55円

2021年3月期:44円

2020年3月期:44円

2019年3月期:44円

2018年3月期:40円

安定的に増配基調が続いています。

なお、総還元性向は45%が基準です。                    

株主優待

なし 

自社株買い

~2022年3月31日

上限150億円

なお、今後も

配当:自社株買い=2:1

のバランスをとりながら株主還元を実施するとのことでした。

【三井ガーデンパーク神宮外苑の杜プレミア】

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3 株主としてのコメント

⑴ 実生活と三井不動産の関係

 株主になったきっかけは、不動産の値上がり期待からでした。

しかし、それに加えて

・街づくりを応援したい!

・よく利用するららぽーとダイバーシティになじみがある!

三井不動産の子会社が運営するホテルにも気に入っている!

という気持ちが強くなってきました。

写真は、宿泊した時のものですがとても気持ちの良い時間を過ごすことが出来ました。

また、資産運用という点では不動産は魅力的だと思いますが、自分のような素人ではなかなか手が出しにくいのも事実です。

不動産のプロ集団である三井不動産を通じて間接的に不動産投資をしているという認識もあります。

長期保有の予定です。

⑵ 株主との距離感について

初めて株主総会に参加し、三井不動産は株主との距離を長めにとっている会社のような印象を持ちました。

理由は

・役員席に名札が無かった。

・横長に利用することが多い帝国ホテルの孔雀の間を縦長に使用し文字通り距離を保っていた。

・ライブ中継が実施されていない。

・一般に不動産会社の株主総会では住民からのクレームが多い傾向がある。

などによります。

けれども、社長の質疑応答における対応は反対でした。

誠実かつ真摯的で、沢山の質問に積極的に回答しようとしているようでした。

少なくとも社長からは、株主との距離を取ろうという雰囲気はあまりなかった印象です。

会社は株主との距離を置きたいのか?縮めたいのか?・・・よく分からなくなってきました。

そこで、最後に総会を後にする際に何人かの社員の人に会場のレイアウトなどについて質問してみました。

すると、やはり事務的でやや冷たい反応が返ってきました(そうで無い社員もいました)。

結論としては、

「伝統的かつ全社的に株主との距離を取りたいということが基本だが、社長を筆頭に説明責任を果たしつつブランド力向上(ステークホルダーとの距離の短縮化)の試みの兆しがある。」

というものに落ち着きました。

ちなみにJAL株主総会では散開後、余ったお茶を社員の方が笑顔で株主に差し出していました。

今後、三井不動産の社員さんにも同様のサービスを期待するのは、ちょっと求め過ぎかもしれませんが、株主との程よい距離感を大切にされることを期待します。

【三井ガーデンパーク神宮外苑の杜プレミア】

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4 まとめ

三井不動産について述べてきました。

販売表不動産の多さによる今後の収益拡大が期待されています。

また、株主総会に参加し、社長の丁寧に回答する姿勢に好感を持ちました。

おそらく遠かったであろう株主との距離が徐々に縮まる兆候だと感じています。

引き続き、三井不動産の展開に注目していきます。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

#投資 #株式 #株主総会 #資産形成 #資産運用 #三井不動産 #三井ガーデンパーク #帝国ホテル

  

イー・ギャランティ【8771】~株主総会雑感(株価低迷について)

初投稿:2021.7.29、更新日:2023.8.22

こんにちは!

この記事は、イー・ギャランティ【8771】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

なお、2023年6月の株主総会の内容を追記し、記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。

・信用リスク受託サービスとは

・11月ピークからの株価の低迷

【目次】 

 【株主総会の会場となったエクセルホテル東急】

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1 イー・ギャランティについて

⑴ 会社概要

「信用リスク受託のイー・ギャランティとネット上では紹介されています。

企業の売掛債権保障で急成長する会社です。

売上高約84億円、総資産279億円、時価総額920億円の事業規模。

会社の付加価値(ブランド力、のれん)を示すPBRは4.74倍と高い評価。

高収益のビジネスモデルと21期連続の増収増益と業績は絶好調です。

企業理念等

企業理念等は下記の通りです。

ちょっと難しいですが良く練られていると思います。

⚫️VISION

目指すのは、社会課題を解決する新しいビジネスが生まれ続ける社会

⚫️MISSION

企業の本質を見ることでもっと多くの企業に信用供与を広げる

⚫️VALUE

国内最大規模の企業間取引情報ビックデータ

強み

・高額なリスク引き受け

・低い料率設定

・柔軟な商品設計

セグメント

・事業法人向け保証サービス(97.5%)

売掛債権を主とした売買契約や請負契約等、事業会社間に生じる商取引上の債券未回収リスクを受託するサービス

・金融法人向け保証サービス(2.5%)

金融機関等の保有する各種再建における信用リスクを受託するサービス

 ⑵ 株主になったきっかけ

数年前にマネー雑誌の推奨を読んでNISA口座で購入。

数年放置状態でしたが、改めて調べてみると良い会社であることが理解できてきました。

⑶ 2023年3月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:80%

売上高営業利益率:49%

高収益なビジネスモデルです。

かつ、2期前に比べて収益性がアップしている点も評価できます。

安全性

流動比率(100%以上が望ましい):324%

・負債比率(100%以下が望ましい):27%

自己資本比率(30%以上が望ましい):79%

財務的にも問題ない水準を維持しています。

むしろ、資産効率の点で懸念されるかもしれません。

効率性

・売上債権回転率:104.10

2期前と同様高い数値となっています。

債券回収までの期間が短く、資金の効率性が極めて高いと言えます。

効率的な経営がなされていると考えます。

⑷ 2021年3月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:75%

売上高営業利益率:43%

高収益なビジネスモデルです。

安全性

流動比率:324%

・負債比率:31%

自己資本比率:76%

財務も問題ありません。

効率性

・売上債権回転率:109.95

債券回収までの期間が短く、資金の効率性が極めて高いと言えます。

さすが、売掛債権を保証する会社です。

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2 株主総会

⑴ 2023年6月の株主総会

ライブ配信を視聴しました。

画面右下にスライドが表示されていて、議事進行状況が分かりやすかったです。

主なポイントは下記の通り。

・21期連続の増収増益

・倒産件数は増加中(コロナ禍の支援金の返済不能

・リスクをヘッジしたい顧客とリスクを引き受けたい顧客の間の市場(いちば)としての機能(マーケットメイク)を重視

・保証料率の値付けをより正確にしていく

ストックビジネスとして9割の顧客が更新するが、取引先等の情報提供が強み

・営業強化(属人的な営業からパターン化された営業へ)

・株主還元としての配当(4円は保証残高1兆円達成記念配当)

主な質疑応答

Q.株価がピークの2400円から1900円へ下落したのはストックオプションの影響ではないか?

A.ストックオプションは当社の成長期において株主としての共通認識を醸成するために実施したものである。

権利行使価格が高いことから株価下落はストックオプションの影響ではないと考える。

ただし、ネットの掲示板等でそのようなコメントがあることは承知しているので、丁寧な説明に努める。

併せて、今後のストックオプションについてはタイミングと方法についてよく検討していく。

Q.自社株買いについて

A.株式の希薄化対策についてはあらゆる方法を考えていく。

Q.周辺事業についての言及がないことについて

A.信用保証ビジネス以外の周辺事業についてはクロスセル(顧客が購入しようとする商品と別の商品の提案・提供)が発生している。

例えば、法人向けビジネスとして法人カードや後払い事業等があるが、顧客からはもっと裏方的な要望をいただいている。

そのようなことを背景として、個別の周辺事業の記載を削除した。

Q.取締役の増加と定款への規定について

A.取締役を増加させる際には、ガバナンス強化の観点から社外取締役を考えている。

その際、男女の区別なく能力に応じて登用することとしたい。

なお、定款に取締役について社内か社外かや男女についてを規定することは一般的ではないと考える。

Q.社内データのAIやIT技術の活用について

A.社内データの活用については現在は統計を用いて反復計算しながら対応している。

チャンスがあればAI等を活用していきたい。

ただし、社内データはコアなものであるので、AI活用し際しては外注はしないで内製で対応したい。

Q.馬渕磨理子氏の社外取締役に至る経緯と認識している当社の課題について

A.社長が金融経済研究所の所長である馬渕氏の記事を拝見し、その前向きさを評価し、知り合いを通じて社外取締役をお願いしたところ引き受けていただいた。

(馬渕氏より)、2015年の取材を通じて当社との接点があった。

個人投資家へのアピールについて伸び代があるように認識している。

金融経済研究所にはIR成功の研究事例を多数有しているので活かしていきたい。

Q.社長の後継者について

A.私自身、あと5〜10年は頑張っていきたいと考えている。

求心力を維持するためには内部からの経営思想を持った人材が必要と認識。

よって、

・現在の社員の中からのジョブローテーションをへて育成

・社外から所要の人材を中途採用

の2本立てで後継者育成に努める。

Q.海外進出について

A.現状はコロナ禍で中止している。

けれども、日本から海外企業の信用保証、反対に海外から日本企業の信用保証のニーズも大きい。

リスクを考えながらチャンスを見ながら取り組んでいきたい。

Q.保証料率の上昇について

A.しばらく下落傾向にあったが、上昇に反転している。

これはコロナ禍後の返済期間において倒産件数が上昇し続けていることによるものである。

なお、既存の顧客についてはそのままであるが、新規の顧客については上昇した料金で対応している。

決議事項

拍手を持って承認・可決されました。

なお、終了に際して新任取締役として改めて馬渕氏が紹介され拍手がありました。

なぜ、株価が低迷しているのか?

21期連続で増収増益、過去最高益なのに株価は冴えません。

株価が低迷している理由が二つあると考えます。

【そもそも株価が高騰しすぎた】

2021年11月に2845円のピークをつけた後下落

2022年11月に2556円のピークをつけた後下落

というチャートとなっています。

現在は1900円前後で底ばい中です。

元々、プライム市場の上場銘柄の半分はPBR1倍未満であり、その中心に金融機関の銘柄があります。

当社もその他金融業に業種分類されますが、PBRは下落後であっても4倍以上を維持しています。

これは、当社の市場からの評価が高いことを意味しています。

それだけ高い評価を得ているので、ちょっとしたことでも株価はネガティブに反応するのはやむを得ない面もあると思います。

株主としては企業評価の高さに伴う株価のボラティリティを覚悟しておいた方が良いかもしれません。

【倒産件数の増加】

成長ストーリーに懸念があるように思います。

具体的には、倒産件数の増加です。

倒産が増加することで売掛債権を保証している当社の”コスト増”という懸念です。

単純ですがそれゆえ力強い説得力を投資家にもたらすのではないでしょうか。

経営陣にとっては倒産件数の業績に与える影響が限定的と考えているのかもしれませんが、当社の細部について詳しくない投資家にとっては、そのような懸念を払拭するようなIRは重要さを増していると考えます。

IRの拡充に期待します。

また、毎年11月にピークをつけるアノマリーがありますが、今年の11月もピークをつけるのかどうかをハラハラして見守りたいと思います!

⑵ 2021年6月の株主総会

第21回定時株主総会 2021年6月28日(月) 渋谷エクセルホテル東急

40代ですが貫禄のある社長のあいさつで始まりました。

19期連続の増収増益達成等の事業報告がありました。

■対処すべき課題

リスクを回避したい企業からの信用リスクを受託し、信用リスクを引き受けて利益を得たい金融機関等に対して流動化(リスク移転)によって投資機会を提供するマーケットメイク機能の強化が必要。

このため具体的に以下8つの課題に取り組むとのことです。

①信用リスク受託規模拡大のための既存提携先との関係強化及び販売網拡充

②企業の信用情報データベースを活用した事業展開に関する取組み強化

③金融法人及びフィンテクを活用した金融さび酢を提供する企業に向けた保証サービスの強化

④契約更改率の維持向上

⑤審査情報データベースの拡充による審査力強化

⑥流動化手法の多様化

⑦リスク受託プロセスの高度化

⑧信用リスク受託規模を見据えたWebの活用による各種契約事務の省力化及びバックオフィス業務のスリム化

主な質疑応答

Q.フィンテック企業の台頭によりデータ取得の先行性が失われるのではないか?

A.当社は年間、2500~3000社の審査を2%のコストで実施。他社は6%を超える高いリスクを中心にビジネスを展開しており顧客対象が異なる。

Q.流動負債の前受け金が巨額なのは?

A.1年分の保証料を先に頂くため。

Q.ユニークなビジネスモデルだが差別化は?

A.商社系で生き残ったのは(伊藤忠系)当社のみ。

Q.業界の規模とその中での目指すシェアについて教えてほしい。

A.売掛債権については約200兆円の規模でありそれに対して10%程度の保障の需要(20兆円)があると考える。その中で7割程度のシェア確保(10~15兆円)を目指す。

Q.会社四季報には同業他社としてラクーンHDが掲げられているが?

A.ラクーンHDさんとはビジネスモデルが異なるため同業とは考えていない。むしろ銀行系が同業。

Q.株主の情報格差を解消するために株主総会のライブ中継を検討しては?

A.検討する。

Q.ITに力を注ぐということだが取締役レベルを含め人材の確保は如何に?

A.取締レベルについてはスキルマップを含めて検討する。子会社でシステム開発を実施してきた実績、大株主にNTTデータがいることなどの強みを生かす。

Q.配当性向を挙げるよりは成長投資に力をそいだ方がいいのでは?

A.実質無借金経営であることを踏まえ、総合的に検討する。

Q.中期経営計画を出すのはいつか?

A.検討中であるが、売り上げは上下しても利益は確保できるよう努める。

Q.営業を増やすに際しての具体的人数は?

A.60名を90名にする。

決議事項

・剰余金処分の件

・取締役選任の件

・取締役の報酬等の額改定の件

については滞りなく承認されました。

⑶ 株主還元    

配当

1株配当実績は下記の通りです。

2019年からの増配基調がありがたいです。

・2023年3月期:34円

・2022年3月期:26円

・2021年3月期:22円

・2020年3月期:14円

・2019年3月期:13円

株主優待

廃止されて現在はありません。

3月末の100株以上の株主に対してクオカード1500円分

 写真の通りです。

3 株主としてのコメント

 総会を終了後、非常に有意義な時間を過ごせたと感じました。

それは、社長の丁寧な説明や回答を通じて会社のことや金融のことを広く深く知ることが出来たからです。

同時に、金融や数字に強い株主の方が多く的確な質問をされている姿にも大いに感化されました。

このイー・ギャランティのように、株主と経営陣の間の丁寧なコミュニケーションが行われる総会がより多く増えることを望みます。

また、会社は今後IT分野にも力を入れるとのこと。

一般的には、業者に丸投げした新規導入システムは9割がたうまくいかないと言われています。

技術サイドに運用上のニーズを正しく伝えることが肝要。

株主との上手なコミュニケーションと同様、ITシステム導入側に対しても上手なコミュニケーションを通じて実用なシステムを導入し、飛躍的な発展をされることを祈念しています。 

4まとめ

イー・ギャランティについて述べてきました。

21期連続増収増益の素晴らしい会社で、PBRも4.74倍の市場からの高い評価。

著名な経済アナリストの馬渕氏を社外取締役に連れてくるなど今後の経営も期待できます。

さらに、毎年11月に株価のピークをつけるアノマリーも注目しています。

ただし、IT化のスピードの遅れや株価のボラティリティの高さは要注意。

時々、利益を確定しつつ長期で付き合っていくのも良いかもしれません。

お読みいただき、ありがとうございました。

 

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

#投資 #株式 #株主総会 #資産形成 #資産運用 #イー・ギャランティ