こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

イー・ギャランティ【8771】~株主総会雑感(株価低迷について)

初投稿:2021.7.29、更新日:2023.8.22

こんにちは!

この記事は、イー・ギャランティ【8771】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

なお、2023年6月の株主総会の内容を追記し、記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。

・信用リスク受託サービスとは

・11月ピークからの株価の低迷

【目次】 

 【株主総会の会場となったエクセルホテル東急】

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1 イー・ギャランティについて

⑴ 会社概要

「信用リスク受託のイー・ギャランティとネット上では紹介されています。

企業の売掛債権保障で急成長する会社です。

売上高約84億円、総資産279億円、時価総額920億円の事業規模。

会社の付加価値(ブランド力、のれん)を示すPBRは4.74倍と高い評価。

高収益のビジネスモデルと21期連続の増収増益と業績は絶好調です。

企業理念等

企業理念等は下記の通りです。

ちょっと難しいですが良く練られていると思います。

⚫️VISION

目指すのは、社会課題を解決する新しいビジネスが生まれ続ける社会

⚫️MISSION

企業の本質を見ることでもっと多くの企業に信用供与を広げる

⚫️VALUE

国内最大規模の企業間取引情報ビックデータ

強み

・高額なリスク引き受け

・低い料率設定

・柔軟な商品設計

セグメント

・事業法人向け保証サービス(97.5%)

売掛債権を主とした売買契約や請負契約等、事業会社間に生じる商取引上の債券未回収リスクを受託するサービス

・金融法人向け保証サービス(2.5%)

金融機関等の保有する各種再建における信用リスクを受託するサービス

 ⑵ 株主になったきっかけ

数年前にマネー雑誌の推奨を読んでNISA口座で購入。

数年放置状態でしたが、改めて調べてみると良い会社であることが理解できてきました。

⑶ 2023年3月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:80%

売上高営業利益率:49%

高収益なビジネスモデルです。

かつ、2期前に比べて収益性がアップしている点も評価できます。

安全性

流動比率(100%以上が望ましい):324%

・負債比率(100%以下が望ましい):27%

自己資本比率(30%以上が望ましい):79%

財務的にも問題ない水準を維持しています。

むしろ、資産効率の点で懸念されるかもしれません。

効率性

・売上債権回転率:104.10

2期前と同様高い数値となっています。

債券回収までの期間が短く、資金の効率性が極めて高いと言えます。

効率的な経営がなされていると考えます。

⑷ 2021年3月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:75%

売上高営業利益率:43%

高収益なビジネスモデルです。

安全性

流動比率:324%

・負債比率:31%

自己資本比率:76%

財務も問題ありません。

効率性

・売上債権回転率:109.95

債券回収までの期間が短く、資金の効率性が極めて高いと言えます。

さすが、売掛債権を保証する会社です。

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2 株主総会

⑴ 2023年6月の株主総会

ライブ配信を視聴しました。

画面右下にスライドが表示されていて、議事進行状況が分かりやすかったです。

主なポイントは下記の通り。

・21期連続の増収増益

・倒産件数は増加中(コロナ禍の支援金の返済不能

・リスクをヘッジしたい顧客とリスクを引き受けたい顧客の間の市場(いちば)としての機能(マーケットメイク)を重視

・保証料率の値付けをより正確にしていく

ストックビジネスとして9割の顧客が更新するが、取引先等の情報提供が強み

・営業強化(属人的な営業からパターン化された営業へ)

・株主還元としての配当(4円は保証残高1兆円達成記念配当)

主な質疑応答

Q.株価がピークの2400円から1900円へ下落したのはストックオプションの影響ではないか?

A.ストックオプションは当社の成長期において株主としての共通認識を醸成するために実施したものである。

権利行使価格が高いことから株価下落はストックオプションの影響ではないと考える。

ただし、ネットの掲示板等でそのようなコメントがあることは承知しているので、丁寧な説明に努める。

併せて、今後のストックオプションについてはタイミングと方法についてよく検討していく。

Q.自社株買いについて

A.株式の希薄化対策についてはあらゆる方法を考えていく。

Q.周辺事業についての言及がないことについて

A.信用保証ビジネス以外の周辺事業についてはクロスセル(顧客が購入しようとする商品と別の商品の提案・提供)が発生している。

例えば、法人向けビジネスとして法人カードや後払い事業等があるが、顧客からはもっと裏方的な要望をいただいている。

そのようなことを背景として、個別の周辺事業の記載を削除した。

Q.取締役の増加と定款への規定について

A.取締役を増加させる際には、ガバナンス強化の観点から社外取締役を考えている。

その際、男女の区別なく能力に応じて登用することとしたい。

なお、定款に取締役について社内か社外かや男女についてを規定することは一般的ではないと考える。

Q.社内データのAIやIT技術の活用について

A.社内データの活用については現在は統計を用いて反復計算しながら対応している。

チャンスがあればAI等を活用していきたい。

ただし、社内データはコアなものであるので、AI活用し際しては外注はしないで内製で対応したい。

Q.馬渕磨理子氏の社外取締役に至る経緯と認識している当社の課題について

A.社長が金融経済研究所の所長である馬渕氏の記事を拝見し、その前向きさを評価し、知り合いを通じて社外取締役をお願いしたところ引き受けていただいた。

(馬渕氏より)、2015年の取材を通じて当社との接点があった。

個人投資家へのアピールについて伸び代があるように認識している。

金融経済研究所にはIR成功の研究事例を多数有しているので活かしていきたい。

Q.社長の後継者について

A.私自身、あと5〜10年は頑張っていきたいと考えている。

求心力を維持するためには内部からの経営思想を持った人材が必要と認識。

よって、

・現在の社員の中からのジョブローテーションをへて育成

・社外から所要の人材を中途採用

の2本立てで後継者育成に努める。

Q.海外進出について

A.現状はコロナ禍で中止している。

けれども、日本から海外企業の信用保証、反対に海外から日本企業の信用保証のニーズも大きい。

リスクを考えながらチャンスを見ながら取り組んでいきたい。

Q.保証料率の上昇について

A.しばらく下落傾向にあったが、上昇に反転している。

これはコロナ禍後の返済期間において倒産件数が上昇し続けていることによるものである。

なお、既存の顧客についてはそのままであるが、新規の顧客については上昇した料金で対応している。

決議事項

拍手を持って承認・可決されました。

なお、終了に際して新任取締役として改めて馬渕氏が紹介され拍手がありました。

なぜ、株価が低迷しているのか?

21期連続で増収増益、過去最高益なのに株価は冴えません。

株価が低迷している理由が二つあると考えます。

【そもそも株価が高騰しすぎた】

2021年11月に2845円のピークをつけた後下落

2022年11月に2556円のピークをつけた後下落

というチャートとなっています。

現在は1900円前後で底ばい中です。

元々、プライム市場の上場銘柄の半分はPBR1倍未満であり、その中心に金融機関の銘柄があります。

当社もその他金融業に業種分類されますが、PBRは下落後であっても4倍以上を維持しています。

これは、当社の市場からの評価が高いことを意味しています。

それだけ高い評価を得ているので、ちょっとしたことでも株価はネガティブに反応するのはやむを得ない面もあると思います。

株主としては企業評価の高さに伴う株価のボラティリティを覚悟しておいた方が良いかもしれません。

【倒産件数の増加】

成長ストーリーに懸念があるように思います。

具体的には、倒産件数の増加です。

倒産が増加することで売掛債権を保証している当社の”コスト増”という懸念です。

単純ですがそれゆえ力強い説得力を投資家にもたらすのではないでしょうか。

経営陣にとっては倒産件数の業績に与える影響が限定的と考えているのかもしれませんが、当社の細部について詳しくない投資家にとっては、そのような懸念を払拭するようなIRは重要さを増していると考えます。

IRの拡充に期待します。

また、毎年11月にピークをつけるアノマリーがありますが、今年の11月もピークをつけるのかどうかをハラハラして見守りたいと思います!

⑵ 2021年6月の株主総会

第21回定時株主総会 2021年6月28日(月) 渋谷エクセルホテル東急

40代ですが貫禄のある社長のあいさつで始まりました。

19期連続の増収増益達成等の事業報告がありました。

■対処すべき課題

リスクを回避したい企業からの信用リスクを受託し、信用リスクを引き受けて利益を得たい金融機関等に対して流動化(リスク移転)によって投資機会を提供するマーケットメイク機能の強化が必要。

このため具体的に以下8つの課題に取り組むとのことです。

①信用リスク受託規模拡大のための既存提携先との関係強化及び販売網拡充

②企業の信用情報データベースを活用した事業展開に関する取組み強化

③金融法人及びフィンテクを活用した金融さび酢を提供する企業に向けた保証サービスの強化

④契約更改率の維持向上

⑤審査情報データベースの拡充による審査力強化

⑥流動化手法の多様化

⑦リスク受託プロセスの高度化

⑧信用リスク受託規模を見据えたWebの活用による各種契約事務の省力化及びバックオフィス業務のスリム化

主な質疑応答

Q.フィンテック企業の台頭によりデータ取得の先行性が失われるのではないか?

A.当社は年間、2500~3000社の審査を2%のコストで実施。他社は6%を超える高いリスクを中心にビジネスを展開しており顧客対象が異なる。

Q.流動負債の前受け金が巨額なのは?

A.1年分の保証料を先に頂くため。

Q.ユニークなビジネスモデルだが差別化は?

A.商社系で生き残ったのは(伊藤忠系)当社のみ。

Q.業界の規模とその中での目指すシェアについて教えてほしい。

A.売掛債権については約200兆円の規模でありそれに対して10%程度の保障の需要(20兆円)があると考える。その中で7割程度のシェア確保(10~15兆円)を目指す。

Q.会社四季報には同業他社としてラクーンHDが掲げられているが?

A.ラクーンHDさんとはビジネスモデルが異なるため同業とは考えていない。むしろ銀行系が同業。

Q.株主の情報格差を解消するために株主総会のライブ中継を検討しては?

A.検討する。

Q.ITに力を注ぐということだが取締役レベルを含め人材の確保は如何に?

A.取締レベルについてはスキルマップを含めて検討する。子会社でシステム開発を実施してきた実績、大株主にNTTデータがいることなどの強みを生かす。

Q.配当性向を挙げるよりは成長投資に力をそいだ方がいいのでは?

A.実質無借金経営であることを踏まえ、総合的に検討する。

Q.中期経営計画を出すのはいつか?

A.検討中であるが、売り上げは上下しても利益は確保できるよう努める。

Q.営業を増やすに際しての具体的人数は?

A.60名を90名にする。

決議事項

・剰余金処分の件

・取締役選任の件

・取締役の報酬等の額改定の件

については滞りなく承認されました。

⑶ 株主還元    

配当

1株配当実績は下記の通りです。

2019年からの増配基調がありがたいです。

・2023年3月期:34円

・2022年3月期:26円

・2021年3月期:22円

・2020年3月期:14円

・2019年3月期:13円

株主優待

廃止されて現在はありません。

3月末の100株以上の株主に対してクオカード1500円分

 写真の通りです。

3 株主としてのコメント

 総会を終了後、非常に有意義な時間を過ごせたと感じました。

それは、社長の丁寧な説明や回答を通じて会社のことや金融のことを広く深く知ることが出来たからです。

同時に、金融や数字に強い株主の方が多く的確な質問をされている姿にも大いに感化されました。

このイー・ギャランティのように、株主と経営陣の間の丁寧なコミュニケーションが行われる総会がより多く増えることを望みます。

また、会社は今後IT分野にも力を入れるとのこと。

一般的には、業者に丸投げした新規導入システムは9割がたうまくいかないと言われています。

技術サイドに運用上のニーズを正しく伝えることが肝要。

株主との上手なコミュニケーションと同様、ITシステム導入側に対しても上手なコミュニケーションを通じて実用なシステムを導入し、飛躍的な発展をされることを祈念しています。 

4まとめ

イー・ギャランティについて述べてきました。

21期連続増収増益の素晴らしい会社で、PBRも4.74倍の市場からの高い評価。

著名な経済アナリストの馬渕氏を社外取締役に連れてくるなど今後の経営も期待できます。

さらに、毎年11月に株価のピークをつけるアノマリーも注目しています。

ただし、IT化のスピードの遅れや株価のボラティリティの高さは要注意。

時々、利益を確定しつつ長期で付き合っていくのも良いかもしれません。

お読みいただき、ありがとうございました。

 

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

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