初投稿:2023.4.25
こんにちは!
この記事は、アサヒグローバルホールディングス【2502】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
・ブランド力がもたらす高い粗利率と株主の愛
・ウエルビーイングとビールの関係は?
【目次】
【株主総会会場となったホテルニューオータニ(会場は奥の建物)】
1 アサヒビールについて
⑴ 会社概要
売上高2兆5千万円、総資産4兆8千万円、時価総額2兆5千万円の事業規模。
PBRは1.25倍と高くは無いものの頑張っていると思います。
企業理念
●Our Mission
期待を超えるおいしさ、新しい生活文化の創造
●Our Vision
高付加価値ブランドを核として成長する”グローカルな価値創造企業”を目指す
●Our Value
・挑戦と革新
・最高の品質
・感動の共有
セグメント
ビールだけではなく、飲料や食品など様々な馴染みのあるブランドを抱えています。
・種類事業
・飲料事業
・食品事業
⑵ 株主になったきっかけ
馴染みのあるビール会社でしたので一度総会に出たいと思い、2022年末に株主になりました。
⑶ 経営分析
収益性
・売上高総利益率:37%
・売上高営業利益率(10%以上は優良株):9%
大企業にも関わらず、収益性が高いと感じました。
特に比較的粗利率が高いことから原価が安いことが分かります。
このことは、経営方針(バリュー)で掲げる高付加価値バリューとも付合します。
良いビジネスモデルだと考えます。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):58%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):43%
短期的には安全性が悪い数値です。
流動資産よりも流動負債が大きい会社というのは珍しいと思います。
大企業ゆえ、致命的な事には至らないと考えますが財務に対する取り組みにはちょっと懸念が残ります。
株主総会でも財務の健全化という話がありましたので、経営陣は危機感を持って取り組んでいると推察します。
効率性
・有形固定資産回転率:3.01
低い数値です。
有形固定資産の内訳は分かりませんが、昨年よりも金額も増加しています。
有形固定資産回転率のみならず、売上債権回転率や棚卸資産回転率も低い数値です。
それら3つの指標について低い効率性がさらに悪くなっているのは気になります。
2 株主総会等
⑴ 株主総会
第99回定時株主総会2023年3月28日(火)午後1時〜 ホテルニューオータニ
会場参加は抽選制でした。
運良く当選。
広い会場がほぼ満席なくらい株主が集っていました。
そもそも、午後に開催するということで株主に足を運んで頂きたいという姿勢に好感が持てました。
さらに社長のプレゼント質疑応答時の対応はエネルギッシュ!
主な質疑応答
【事前】
Q.市場縮小を踏まえた今後の事業戦略について
A.バリュー経営を踏まえ、ボリュームより価値に重点を置いていく。
新ブランド、新エリアの開拓と、話題化に着目する。
プレミアムな領域としてニッカブランドやエノテカブランド(ワイン)を活用する。
スマドリ(スマートドリンク)として飲みの場をより楽しくしていきたい。
Q.海外事業の展開について
A.スポーツ(ラグビーワールドカップ2023フランス大会)を通じてブランド力を強化する。
欧州は有望である。
北米もダイナミックな市場と認識しており、スタートアップ企業への出資を実施している。
Q.株主還元について
A.利益の35%程度を配当の目安としており、今期は113円(34.6%)とした。
今後も、財務健全化を踏まえて配当を実施する。
Q.ダイバシティ経営について
2030年までにグループ経営層における女性比率40%を目標に掲げている。
マイルストーンを2024年、2027年と設けながら頑張って行きたい。
【会場】
Q.ダイバシティ経営について
A.消費者の半分は女性でありそのことを踏まえて、女性の意見を取り入れた経営の重要性を認識している。
今後の取り組みにご期待下さい。
Q.サステナビリティ経営について
A.人権侵害の恐れのある太陽光パネルやウイグル綿をしようした作業着などを利用していないかという事についてはトレーサビリティを含めて万全を期して対応している。
Q.グローバルブランド戦略いついて
A.例えば、スーパードライの売り上げは90%は日本であり海外は10%程度。
モダンジャパンのプレミアム化を通じて日本と海外のブランドを合わせて行きたい。
Q.社員の待遇について
A.5%の賃上げを実施するとともに、初任給も12500円アップしている。
Q.ネット時代の広告宣伝費について
A.具体的なことは申し上げられないが、バランスをとりつつも、ネットやデジタル化も活用して顧客ひとりひとりに対して最適な広告宣伝に努める。
Q.2026年の酒税一本化の影響について
A.一本化後もある程度の価格差は残るのでは無いかと予想している。
若い人にも楽しんでもらえるように新ジャンル、ノンアルコール等にも力を注ぎつつトータルで取り組んでいく。
Q.新規事業である酵母(ヘルスケア)について
A.カルピスが有する酵母エキスを活用する事によりL −92のような免疫に良い商品が提供できるようになる。
Q.大企業の不祥事について
A.そのような事にならないよう十分留意する。
Q.財務健全化について
A.各事業部門を横断的に実施していく。
Q.株主総会のお土産の廃止の見直しについて
A.100周年の株主総会に相応しい取り組みについて検討したい。
Q.取締役のITリテラシーについて
A.取締役候補のスキルマトリックスでは分かりにくいが、DXの重要性を認識し勉強続けながら知見を蓄積している。
会社としてはデジタルネイティブな組織を目指して取り組んでいる。
Q.株主分割について
A.東証は単位株の価格5〜50万円を基準として推奨している。
現在の株価はその中に含まれているが、将来、大幅に上昇した際には分割も検討する。
Q.株主優待の継続いついて
A.株主優待は株主還元という意味ではなく、株主に商品を知ってもらうための施策であり今後も継続していく。
Q.(20年間株主総会に参加している株主から)最近の株主総会は硬いのではないか?
A.同意です。
以前のような賑やかで、アサヒビールの美味しさや感動を体現したような楽しい総会に留意して行きたい。
Q.(10年以上の株主から)フリーズドドライの味噌汁はとても美味しい!
A.通販も含め販路拡大に努めて手軽にお求めいただけるよう頑張ります!
決議事項
・剰余金処分の件
・取締役8名選任の件
拍手を持って賛成・可決されました。
⑵ 株主還元
配当
1株配当実績は下記の通り。
・2022年12月期:113円
・2021年12月期:109円
・2020年12月期:106円
・2019年12月期:100円
・2018年12月期:99円
増益が続いていることはありがたいことです。
株主優待
持株数に応じた優待品。
3 株主としてのコメント
⑴ ブランド力の強さ
株主となって当社のブランド力の強さを実感しました。
その一つは、粗利率が約4割という高さ。
付加価値の高さと言えば製造業ですが、三菱重工業やIHIも粗利率は2割にも届きません。
それを考えると、原材料費ベースで考えればアサヒビールのブランド力が価格に反映されているのだと推察します。
もう一つは、株主の愛。
抽選で選ばれた株主で埋め尽くされたホテルニューオータニの会場。
しかも、10年単位で株主をしている方の発言もありました。
当社のファン(岩盤の固定客)に支えられての会社だと感じました。
その意味で”高付加価値ブランド核として成長する・・・”というビジョンが経営活動と一致していると考えます。
⑵ 気になったこと
事業報告のプレゼンの中に”ウェルビーイング”という説明がありました。
ビールというのは基本的に”一時の快楽”と考えているので、持続可能なウェルビーイングという概念とは上手く結びつきません。
むしろ、節酒(断酒)をしている時の方が、朝の目覚めが良く、財布にも健康にも優しいのでそちらの方がウェルビーイングだと考えています。
”とりあえず生”と言って毎月宴会代に数万円を投じてきた自分の経験からも、酒は飲む楽しみだけでなく、飲まない楽しみも実感しています。
流行のウェルビーイングという概念をアナウンス的に言及しただけなのか?
会社はどこまで深く考えているのか?
ちょっと、気になりました。
【香りが良くて美味しかった株主優待ビール】
4 まとめ
アサヒビールについて述べてきました。
株主総会に足を運んで、株主の愛に支えられた会社であることを実感しました。
株主からの建設的な意見にエネルギッシュに回答する経営陣の姿は見ていて気持ちが良かったです。
財務問題等懸念があるものの、ブランド力を活かした今後の展開に期待します。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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