初投稿:2023.8.17
こんにちは!
この記事は、武田薬品工業【4502】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
・グローバル化の最先端企業
・社長のリーダーシップ
【目次】
【大阪駅】
1 武田薬品工業について
⑴ 会社概要
四季報によると、
・国内製薬会社首位
・がん、中枢神経、消化器、希少疾患等に重点
・巨額買収で世界売上上位10強入り
とあります。
売上高4兆円、総資産13兆円、時価総額6.9兆円の事業規模。
ただし、会社の付加価値(ブランド力、のれん)を示すPBRは0.98倍と市場からはやや厳しい評価を受けています。
企業理念
⚫️私たちの存在意義
タケダは、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献するために存在します。
⚫️私たちが目指す未来
すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、命を育む地球のために。
私たちはこの約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続けます。
⚫️私たちの価値観:タケダイズム
タケダイズムとは、まず誠実であること。
それは公正・正直・不屈の精神で支えられた、私たちが大切にしている価値観です。
セグメント
セグメントは下記の5つの分野から成り立っています。
専門ではありませんが、強い競争力を有する事業だと推測します。
⚫️消化器系疾患
⚫️希少疾患
⚫️免疫疾患
⚫️オンコロジー
⚫️ニューサイエンス
⑵ 株主になったきっかけ
基本的には、株主総会に参加できる東京の会社を選びます。
ただし、当社の場合はネットの推奨記事がきっかけで2022年にNISA口座で購入しています。
今の所、含み益を維持し続けています。
⑶ 経営分析
収益性
・売上高総利益率:69%
・売上高営業利益率(10%以上は優良株):12%
収益性は高いです。
特に、粗利率の高さは意外でした。
原価は少なくて済む業界なのかと思います。
営業利益率も悪くありません。
外国人社長の手腕によるものかと推測します。
安全性
・流動比率(100%以上が望ましい):184%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):47%
短期的にも中・長期的にも心配するレベルではありません。
株主総会の中でも負債の返済がひと段落ついて格付も向上したとのことでした。
効率性
・有形固定資産回転率:2.38
製薬会社だけに設備投資は大きいものと推察します。
その結果、このようなあまり高くない数値となっていると考えます。
【アベノハルカスからの眺望】
2 株主総会等
⑴ 株主総会
第147回定時株主総会 2023年6月28日(水) 帝国ホテル大阪
ライブ配信を視聴しました。
同時通訳である程度理解できたと思います。
ポイントは下記の通り。
・業績は増収・増益
・主要5分野の事業報告
・研究開発を強化し競争力を確保する
・有利子負債の返済が進み格付が向上
・2023年は特許切れ等でチャレンジングな年になる
・累積配当の実施&今期は188円/株
・株価は18ヶ月で上昇をしておりトピックスを上回る
・従業員と脱炭素にもコミットメント
・取締役は10カ国、30〜60代、39%は女性という多様性
など。
日本担当役員の前任者(岩崎取締役)と後任者(吉田取締役)の挨拶が続き、会場の株主から拍手が送られていました。
主な質疑応答
Q.日本の会社として日本人に一言願います。
A.10回目の株主総会だが日本語がうまくならないことについては申し訳ありません。
ただし、当社がグローバル企業になったことについては誇りを持っている。
これは世界市場に占める日本の割合が4%であり96%の市場に目をむけることで競争力を確保するためには必要なことだったと考える。
当社でも9割は国外で働いている。
今後も当社の成功にコミットしていく。
なお、フランス人ではあるが日本は大好きである!
(会場から拍手)
Q.中国製品の太陽光パネルの仕様について
A.当社はカーボンニュートラルは達成し、ネットゼロを目指している。
その際、人権憲章に基づきサプライヤーを含めて取引を調査し、問題のないことを確認している。
Q.負債について
A.ご指摘のとおり当社はヒストリカルに負債のない経営を実施してきた。
けれども、負債はうまくコントロールできれば問題はない。
負債を利用することでシャイアーを買収し、大きく成長することができた。
(CFOより)シャイアー買収時のD/Eレシオは5倍程度であったが、現在は2倍台に低下している(2.6倍、ニンバス買収を除くと2.3倍)。
また、負債については100%固定金利(金利2%)としており、インフレによる金利上昇のリスクはない。
さらに負債についてもドル50%、円30%、ユーロ20%としており為替の影響も考慮している。
Q.ノババックス社のコロナワクチンについて
A.厚労省の注文に基づき生産している。
来年度以降も厚労省と相談しながら対応していく。
Q.株価に対する認識について
A.まず、日本市場はビジネスが難しい市場であると考える。
理由は、厚労省の指導により毎年薬価が切り下げられるからである。
このような状況下では、イノベーションによる成長が重要と認識している。
そのような認識のもと、株価については勢いがついてきたと考える。
まだまだ、望んだ水準には至っていないが業界平均を上回るEBITDAの向上を目指しつつ、株価向上に努める。
Q.外国人と日本人の給与の違いや日本人の給与が上がらないことについて
A.当社はグローバル企業であり、80カ国に拠点を持つ。
よって、各国の税制や報酬状況に合わせて賃金を決めている。
また、日本人ん給与が上がらないことについては経済が伸びていないことが問題である。
けれども、最近では経済が伸びてきていると思う。
Q.5.5万人の従業員の業績を称える具体的な方法について
A.社長としての目標は各部門のトップ300〜500人に会うことである。
レコグニション(賞賛)とは聴くことと認識している。
全従業員とのミーティングに努めていく。
引き続き、アイデアに耳を傾け、チームの表彰等も実施していきたい。
Q.グローバル企業らしく社名を変更しては?
A.(コーポレートブランド担当より)Takedaはすでに世界で浸透しているので、社名変更は考えていない。
Q.配当よりも成長投資を重視しては?
A.当社は強力なキャッシュフローを有しており、成長ドライバーへの投資をした上で、無理のない配当性向に基づき配当を実施している(配当利回りは4.3%)。
A.取締役については譲渡制限付き株式報酬制度を採用している(すみません、あまりよく理解できませんでした。)
また、NY株式市場に上場して知名度アップに努めている。
さらに、従業員については10%、20%のディスカウントで当社の株式を取得できるような仕組みとなっている。
Q.武田一族が壇上にいないことについて
A.武田家とは年間を通じて定期的にやり取りしている。
位置付けとしては株式の5%を占める機関であり独立取締役と認識している。
Q.ビジネスポートフォリオの入れ替えは終了したのか?
A.シャイアー買収でほぼ整理は済んだ。
Q.研究開発拠点について
A.米国に2つ日本の湘南に1つの計3拠点体制でやっている。
湘南イノベーションヘルスパーク(湘南アイパーク)では不動産は有していないが、管理は実施しており、成功していると認識。
Q.アビガンやイベルメクチンが承認されなかったことについて
A.米国とドイツが承認されたが、早急に判断すべきではない。
日本の製薬会社においてもイノベーションが進んでいる。
大切なことはトップ3位以内の企業であること。
現在新しい化合物の80%は米国製であるが、これはユニークなエコシステム(研究開発拠点)のおかげ。
その意味で、日本のアイパークも期待できる。
Q.業種との提携について
Q.社長の趣味について
時間があれば読書をしている。
フランスのアルプス育ち(アナシー出身)なので、夏山・冬山も楽しんだ。
日本の山も数多く登った。
ただし、股関節の打貫手術の影響もあり無理はしていない。
Q.今後、重視していくマーケットについて
現在の収益はが米国:50%、日本:10%、中国:3%程度である。
けれども、中国については国を挙げて医療に注力するので今後の成長が見込まれる。
ただし、地政学的リスクを伴うので拠点を置くことはない。
インドについても同様に成長すると予想するが、中国よりも時間がかかると思う。
決議事項
・剰余金処分の件
・取締役11名選任の件
・取締役賞与の支給の件
拍手を持って承認・可決されました。
なお、新役員の紹介と社長の挨拶で閉会となりました。
株主総会雑感
分かりにくかったが、分かりやすい総会だったと思います。
【わかりにくかった点】
・医療に関する専門用語が多数
・英語を同時通訳
・ライブ配信(会場へ足を運べず)
・そもそも病院に行く機会が少ない(逆に健康でありがたい)
【分かりやすかった点】
・成長ストーリーが明確
→国内では稼げないので海外企業を買収して成長
→M&A時の負債の返済が一服し格付が向上
→強力なフリーキャッシュフローの確保
→FCFにより成長ドライバーへの投資と累積配当による株主還元
→株価も弾みがついてきた
・株主総会における建設的な審議
→株主還元の拡充
→良き株主に恵まれた経営
→企業価値の向上&持続的な成長
⑵ 株主還元
配当
1株配当の推移は下記の通りですが、ずっと180円配当が続いていました。
次期は188円となり、累進配当制になると思われます。
ありがたいことです。
・2023年3月期:180円
・2022年3月期:180円
・2021年3月期:180円
株主優待
なし
【アベノハルカスからの夕暮れ】
3 株主としてのコメント
⑴ 気に入っていること
取締役がここまで多国籍化した企業の株主総会は初めてです。
その意味で、グローバル化の最先端に位置づけられると思います。
チャイナリスクについて懸念される企業が多い中、地政学的なリスクを踏まえた腹積りをしているところも評価できます。
事業ポートフォリオの見直し等の改革が進んだのも社長のリーダーシップのおかげだと感じました。
⑵ 気になっていること
フランス人の社長ということで、あの逃亡中のゴーン氏のようになることはないのかとちょっと気になったりしています。
優秀で強いリーダーシップを持っている点も共通します。
当社の機関設計が指名委員会等設置会社でガバナンスがしっかりしていることやゴーン事案から多くのことを私たちも学んでいる点を考えると同じような背任事案が起こる可能性は少ないとは思います。
ただし、先のことは誰にも分からないので、タケダイズムである誠実であることを常に意識することが必要なのではないでしょうか。
【伊丹空港離陸直後の大阪の夜景】
4 まとめ
武田薬品工業について述べてきました。
株主総会のライブ配信を視聴して株主になって良かったと思いました。
グローバル化、イノベーション企業、株主還元の拡充、株価の弾みなど今後も楽しみなことがたくさん詰まっていると思います。
株主総会は大阪ですが、いつの日か会場に足を運んでみたくなりました。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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