初投稿:2021.7.21、更新日:2021.12.21
こんにちは!
この記事は、菱地所【8802】に関心のある方に向けた株主としてのコメントを記したものです。
2021年度(中間期)の株主通信を頂いたことをきっかけとして、
3 不動産業界の将来と三菱地所
を追記して更新しています(更新か所は青字です)。
・街づくりを通じて社会に貢献すること
・さえない株価の要因は
【目次】
【2021年7月21日にオープンした常盤橋タワー】
1 三菱地所について
⑴ 会社概要
三菱グループの総合不動産会社で、賃貸は東京丸の内が基盤(丸の内の大家さん)。
大手町の再開発展開中。
基本使命
「街づくりを通じて社会に貢献すること」
長期経営計画2030
社会価値向上戦略と株主価値向上戦略を両輪に据えた経営
・社会的価値向上戦略:ESG目標の実現
・株主価値向上戦略:「”長期的視点での街づくり”と”時代を先取りするDNA”」
と「”膨大なエンドユーザーとの接点”と”膨大な不動産への関与”」を活かし、①国内アセット事業、②海外アセット事業、③ノンアセット事業における成長実現と高効率で市況変化に強い事業ポートフォリオの構築を目指す。
数値目標(2030年)
・ROA:5%:【利益成長】事業利益3,500~4,000憶円
・ROE:10%:【株主還元】配当性向30%+自社株買い
・EPS:200円:【財務健全性】現状の格付け水準の持続可能な財務健全性の維持
セグメント(営業収益構成比)
・コマーシャル不動産(54.4%)
大手町・丸の内・有楽町(丸の内エリア)の再構築を実施している。
特に、東京駅北側の常盤橋で大規模複合再開発「TOKYO TORCH」をすすめている。
2021年6月に高さ212mのA棟「常盤橋タワー」竣工。
2027年に高さ390mのB棟「Torch Tower」竣工予定。
その他、「みずほ丸の内タワー・銀行会館・丸の内テラス」2020年9月竣工。
さらに、ザ ロイヤルパークホテル の運営にも力を注いでいるようです。
・住宅事業(29.3%)
ザ パークハウスの名でマンション事業を展開中。
・海外事業(9.3%)
・投資マネジメント事業(1.8%)
リート等の運用を実施している。
・設計監理・不動産サービス事業(4.5%)
オフィスビル、複合施設等やリノベーションに係る設計監理、コンサルティング業務を実施。
⑵ 株主になったきっかけ
株1000さんの著書での推奨や、東京の不動産は安いと主張する村上世明氏の記事から気になっていました。
成長株が低迷していたこととバリュー株が見直されたことをきっかけとして2021年2月に購入しました。
⑶ 経営分析
収益性
減収減益です。
売上高は約1.2兆円で三井不動産の2兆円には及びませんが収益性では勝っています。
・売上高営業利益率19%
巨大不動産業ですが非常に高収益です。
安全性
・流動比率:176%
・負債比率:195%
・自己資本比率:34%
特に問題となる指標はありませんでした。
というより、社長の話では同業他社に比べて強固な財務基盤という認識とのことです。
効率性
・有形固定資産回転率0.29
一般的には、効率的とは言えないと思いますが、不動産業では有形固定資産回転率が1以下が少なくありません。
資金効率はいいとは言えませんが、問題とまでは言えないと考えます。
【株主総会の会場となったロイヤルパークホテル】
2 株主総会等
⑴ 株主総会
第122回定時株主総会 2021年6月29日(火)
決議事項
・剰余金処分の件
・取締役15名選任の件
質疑応答(動画より)
Q.豊洲開発系価格について
A.住民の意見をしっかりと聞きながら事業を進める。
Q.回転型事業について
A.不動産の売り時、買い時は難しいが、平素の顧客とのコミュニケーションを密にとることにより互いがウイン・ウインの関係になるような売買を目指す。
Q.有形固定資産のきさいについて
A.連結と単体の違い
質問が少なかったので、社長から低迷する株価対策と今後の意気込みについての話がありました。
ポイントは
・財務の健全性は同業他社に比べて良い
・コロナ禍によるオフィス需要低迷については顧客のニーズを踏まえて対応
・プライム立地を有する強みを活かし、単独ではない様々な機能を織り込んだ再開発を通じて収益性向上を目指す。
⑵ 株主還元
配当
2円減配です。
一株当たり年間31円の配当
株主優待
なし
自社株買い
会社四季報によりますと
300億円を上限に22年3月まで自社株買いをするとのことでした。
3 不動産業の将来と三菱地所
⑴ 国土交通省が発表した「不動産業ビジョン2030参考資料集」より
不動産業の将来について考えるに当たり、国土交通省が発表した不動産ビジョン2030参考資料集から参考となるスライドを抜粋しました。
下の左の緑のグラフは、過去30年間不動産業の売上高が40兆円を中心にほとんど横ばいであることを示しています。
これに対して、右の橙のグラフは不動産業の法人数が20万人から32万人へと、1.6倍に増えていることを表しています。
このことは、不動産業の収益性が下がっていることを物語っています。
不動産については、古くは耐震偽装建築問題、最近では”カボチャの馬車事件”、レオパレスの施工不良問題など不祥事が後を絶たないのも、不動産業界の儲かっていない現実が関係しているように思います。
もちろん、それらに対しては、行政が指導し、場合によっては司法の力で解決する場合もあると思います。
けれども、事業を良く知る不動産業界の中で、不祥事が起こらないような活動がもっと活発になってもいいのではないかと考えています。
きれいごとですが、三菱地所には不動産業界のリーダーとして、協会活動などを通じて、全体の収益の向上、ガバナンスの徹底などを活躍を期待します。
⑵ 株主通信より
大丸有(大手町、丸の内、有楽町)の開発が常盤橋のトーキョートーチが完成する2027年以降どうなってしまうのかが気になっていました。
株主通信によると、大丸有を中心として「繋がり・拡がり」を目指し、周辺開発を続けるとのこと。
具体例として、「(仮称)内神田一丁目計画」が紹介されていました。
そのなかで「仲通り」を丸の内、大手町、神田へと延伸する計画もあるようです。
個人的には、東京マラソンを完走した経験もあるので、フィニッシュ直前の丸の内仲通りには思い入れがあり、その道がさらに拡張され賑わいにつながることに明るい将来性を感じています。
引き続き、日本の繁栄が実感できる街づくりを期待します。
4 株主としてのコメント
⑴ 感心した点
株主になって日も浅いのですが良いと思った点を列挙します。
・10年という長期経営計画の存在
・長期経営計画における数値目標の明記
・株主総会の動画配信(この時期は総会が集中するのでライブより助かります。)
・株主総会時の”さえない株価”を何とかしようとする社長の意気込みコメント
・何といっても東京トーチをはじめとする東京再開発の中核企業
⑵ 株価低迷について
株価が低迷しています。
私事ですが、同じ時期に購入した三井不動産と比較してみます。
株価は
株価=EPS×PER
で算出されるので、両社ともPERが約16倍とすると、EPS(一株当たりの利益)の差で株価は決まります。
三井不動産は1株当たり200円弱の利益があるのに
三菱地所は一株当たり100円強の利益しかありません。
それが株価の差となっていることは理解できます。
併せて、会社が2030年にEPS200を目指すことも納得できます。
問題はトレンドだと思います。
三井不動産が緩やかな上昇トレンドなのに対して三菱地所は下落トレンドとなっています。
例えば、2020年度の売上高営業利益率を比較すると
・三井不動産が10%
・三菱地所は19%
と高い収益性があるのに株価では負けています。
何故なのでしょうか?
いろいろな要因があると思います。
例えば、
・EPSの伸び率が三井不動産に比べて低い
・有形固定資産は三菱地所の方が大きいのに売り上げが小さく効率性で負けている
などがあると思います。
いずれにしても、
・東京再開発を応援する意味で長期株主を目指す
・会社も自社株買いなど株主還元に積極的に取り組んでいる
ことなどから、あまり株価を気にせず長くかかわっていきたいと思っています。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
#投資 #株式 #株主総会 #資産形成 #資産運用 #三菱地所