初投稿2020.12.15、更新日:2021.5.8、2021.12.23、2023.1.1、2023.12.
こんにちは!
この記事は、ストライク【6196】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
2023年12月の株主総会参加の内容等を追記して記事を更新しています(更新部分は青字です)。
・バランス感覚の良さ
・中計の先を見据えた成長ストーリー(成長型M&A、ベンチャー育成など)
【目次】
【ストライク本社が入る三井物産ビル】
1 ストライクについて
⑴ 会社概要
M&A仲介企業です。
売上高138億円、総資産182億円、時価総額192億円という事業規模。
会社の付加価値(のれん、ブランド力)を示すPBRは6.3倍と前期よりも低下していますが市場からの評価は維持されています。
⑵ 株主になったきっかけ
中小企業のM&A仲介企業に着目していたので、当然当社の株主にもなりました。
5年以上も前から売買を繰り返しながら細く長く株主を続けていまます。
なお、競合他社の株主でもあるので個人的な見解を次項でまとめてみました(何らかの参考になれば幸いです。)
⑶ 主なM&A仲介企業とその状況
上場している主なM&A仲介企業でこれまで株主総会に足を運んだことのあることがある会社は以下の通りです。
⚫️日本M&Aセンターホールディングス【2127】
・業界ナンバーワンで中小企業のM&A仲介業界をつくってきた
・質の高いサービスだが手数料は高め
・不適切な会計(期ズレ)で役員9名を処分した後、営業部門から100名が抜けて時価総額は1/3に減少
・不祥事に際して株を売却した欧州の機関投資家が禊を経て買いに転じているとのこと(ラジオ日経の解説者より)
⚫️M&Aキャピタルパートナーズ【6080】
・ライオンのCM
・社員の高額報酬で有名
・訴訟がないことが強み
・大型のM&Aも得意
⚫️ストライク【6196】
・当初はネットを駆使した経営に特徴
・公認会計士・税理士の経営陣
・医療関係に強み
⚫️M&A総研ホールディングス【9552】
・経営陣が若く、社長がエンジニア
・M&Aマッチングアプリなどに強み
・M&A成立までの期間の短縮(半年)&手数料の明確化(成功報酬型)が売り文句
⑷ 2023年9月期の経営分析
収益性
●売上高総利益率:67%
●売上高営業利益率:38%
前期に引き続き高収益性を維持していると考えます。
安全性
●流動比率:424%
●自己資本比率:79%
前期よりも数値は低下していますが、短期的にも中・長期的にも安全性に問題はありません。
むしろ株主からの質問があったように預貯金の多さが目立ちます。
社長からは、新しい事業を考えているとのことでしたので、期待したいと思います。
効率性
●有形固定資産回転率:12.77
前期に比べて数値は半減しています。
これは、東京オフィスの増床等に伴う有形固定資産の増加によるものと考えます。
瑣末な話ですが、上記位の他の企業が八重洲に集中(鉄鋼ビルディング、東京ミッドタウン八重洲、丸の内トラストタワーN館)しているのに当社は大手町が本社(三井物産ビル)となっています。
M&A仲介企業をハシゴするであろう顧客獲得という観点から、オフィスが地理的に少し離れていることのメリットとデメリットがどうなのか気になります。
⑸ 2022年9月記の経営分析
収益性
●売上高総利益率:67%
●売上高営業利益率:39%
非常に高収益なビジネスと考えます。
ただし、業界2位で同じく9月決算のM&Aキャピタルパートナーズの営業利益率は57%とさらに高収益です。
安全性
●流動比率:696%
●自己資本比率:88%
短期的にも中・長期的にも安全性に問題はありません。
というより、主要M&A仲介業者はキャッシュリッチな会社ばかりです。
おそらくM&Aのチャンスを活かすために現金を多く保有していると会社は説明すると推察します。
でも、意外と多くの経営リスクを抱えており”そのための備え”ということも高すぎる安全性の背景と考えます(日本M&Aセンターは不適切な会計で時価総額が一時期、1/3に減少)。
効率性
●有形固定資産回転率:28.7
比較的高い数値であり、有形固定資産については効率的な経営がなされていると思います。
有形固定資産の勘定科目は「建物」、「工具、器具及び備品」、「その他」となっており主にオフィスのコストと考えます。
ちなみに、有形固定資産の金額はM&Aキャピタルパートナーズの3倍となっています。
そのことは、M&Aキャピタルパートナーズがオフィスを東京に集中さているのに対して、ストライクは全国に展開しているためと推察します。
【メトロ大手町駅直結の総会会場のOTEMACHI ONE】
2 株主総会等
⑴ 2023年12月の株主総会
第27回定時株主総会 2023年12月26日(火) Otemachi One
数十名程度の株主が集っていました。
総会の様子は質疑応答を除いて後日配信されるということでした。
社長からの報告で印象に残ったことを列挙します。
・事業承継のためのM&Aはあと5年ぐらいは勢いがある
・成長のためのM&Aが官(中小企業庁)民ともに取り組まれている
・監査等委員会設置会社への移行(執行と監督を分離)
・スタートアップに注力していく
主な質疑応答
Q.役員による不適切な発言防止について
A.細かい規定は無いが、人選の中でそのようなことのない人物と判断している。
なお、公での発言についての注意喚起はしている。
Q.採用は新人にシフトしているのか?
A.新人も中途も共に強化している。
中途は即戦力、新人は企業文化の育成という点で期待している。
Q.Sベンチャーラボの成果について
A.収益化には直結していないが、スタートアップ(売り手)のみでなく大企業(買い手)とのつながりが持てた事が大きな成果と認識している。
Q.株価対策について
A.業績を上げることに加え、投資家に知ってもらうことが重要と認識。
そのため、機関投資家を含めたIRに注力していく。
なお、前期は1/四半期で躓いたが、今期は落ち込みを減らすよう努めている。
Q.マイクのスイッチが入っていない
A.申し訳ない
Q.競合他社との選別化について
A.中小企業のM&A仲介業は参入障壁が低く差別化は難しいが、得意分野を作ることが重要と考える(事業承継のM&Aはあと5年は伸びると予想)。
当社の場合、ヘルスケア・医療分野が強く特化チームが対応している。
さらに、新しい企業や産業の育成という国策の観点から専門の部署を立ち上げて注力中である。
Q.140億円の現預金について
A.当社はこれまでM&Aの一本足打法でやってきたが中計の先となる次のビジネス(ストック?)も考えている。
そこに資する現預金ではあるが、140億円では心許ない。
Q.(AI)マッチングの今後の展開について
A.M&Aはソーシング(営業)、マッチング、エクスキューション(実行)の3段階からなるが、マッチングはそのコア部分である。
現状、月に2回のマッチング会議をしているがアナログ方式ではあるが成果は上がっている。
ITを駆使したマッチングも当社は早くから対応してきており、社長自身がシステムに関与してきた。
AIの活用については大学との共同研究を実施しており、他社に負けないように頑張る!
Q.当社のCMの成果について
A.成果は上がっていると認識。
当社の売り上げの6割が事業承継(高齢者)であり、テレビをよく見る世代であるからである。
また、競合他社はM&Aが社名にあるが当社にはそれがない。
その意味でも、CMを通じた認知度向上は大切と考える。
WEBサイトを通じた申し込みも増えている。
来年もCMを流すのでご期待ください。
Q.離職率について
A.10%強である。
Q.9月決算のM&A企業が多いことの合理的な理由は?
M&Aキャピタルパートナーズ、当社、M&A総研ホールディングスが9月決算となっている。
当社は3の倍数の月がキリが良いということで8月から9月に変更した。
9月決算がたまたま重なっただけなのか、不思議であり、分からない・・・。
決議事項
・剰余金処分の件
・定款一部変更の件
・取締役(監査等委員である取締役を除く)5名選任の件
・監査等委員である取締役4名選任の件
・取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬額設定の件
・監査等委員である取締役の報酬額設定の件
拍手を持って承認・可決されました。
なお、総会終了後に新任者3名から挨拶がありました。
また、散会時に会場から拍手が湧き上がっていました(拍手がある会社は良い会社だと個人的には思っています)。
株主総会雑感
当社のイメージは、先行企業の良い部分を取りいれたバランス感覚が強みだと思っていました。
けれども今回、事業承継型M&Aの賞味期限や中計後の新たな事業の検討について言及されたり、ベンチャー育成事業への取組やAI・DXについての大学との共同研究などの成長ストーリーを伺うことができたのは想定外でした。
来て良かったです。
【2023年12月の株主総会の案内板】
⑵ 2022年12月の株主総会
第26回定時株主総会 2022年12月23日(金) Otemachi One
参加せず。
ただし、ホームペーにからアーカイブ配信がされています。
株主総会雑感
M&Aキャピタルパートナーズと比較すると株主還元の点では
M:QUOカード3000円分(現在は廃止)、配当40円/株
ス:QUOカード1000円分、配当51円/株
ストライクの方が積極的だと思います。
ありがたいことです。
ただし、株主総会の配信については
M:ライブ配信
ス:アーカイブ配信(質疑応答カット)
という違いがあります。
M&Aキャピタルパートナーズの社長はリアルタイムで明快にかつ自信を持って株主総会の議事進行を行いました。
説明責任を果たしつつ安心感を株主にもたらしたと考えます。
これに対して、ストライクの社長は、編集後の配信であり肝心の質疑応答がカットされています。
参加した人の話では、業績や株価についての質問がありましたが、あまり上手に回答できていなかったとのこと→2023年の株主総会ではいろいろな株主がいる中でしっかりとした議事進行ができているとともに真摯に株主からの質問にも回答していたと思います。
なお、ビジネスレポートでは
・中部・近畿・九州エリアで税理団体との業務提携を拡大
・デロイト・トーマスグループとともにM&A業務を支援
というトピックスが強調されていました。
⑶ 2021年12月の株主総会
第25回定時株主総会 2021年12月23日(木) Otemachi One
社長のおはようございますに対して、株主からもおはようございますの声が聞こえました。
映像とナレーションにより事業報告、対処すべき課題が説明されました。
増収増益であったこと、決算月が8月から9月に変更されたこ、本社移転などが社長から説明されました。
質疑応答
Q.ストライクが考える良き人材とは?
A.明るく、前向きで、協調性のある人。
仕事は入社後に覚えれば良く、入社時には性格や素養を重視している。
Q.案件の進捗管理について、過去に”期ずれ”は生じたことはあるのか、また、その時何か問題があったのか?
A.経営者としては、適切に経営していく使命がある。
20年8月期にありふがいない結果で大変であった。
他社において期ずれに対する不適切な会計問題が生じていることなどを考慮しながらしっかりと進捗管理に取り組む。
決議事項
・剰余金処分の件
・取締役6名選任の件
滞りなく可決されました。
総会終了時
総会終了時に拍手のある会社は良い会社だと思います。
今回のストライクの総会終了の際には拍手がありました!
また、さりげなく社長ひとりが、会場を後にする株主を見送られている姿が印象的でした。
⑷ 第24回定時株主総会
2020年11月25日(水)にOtemachi Oneにて株主総化が実施されました。
株主総会参加は2回目。
前回も少人数でしたが、今回も出席者は十数人ほど。
会社のホームページから動画を見ることが出来ますが、何故か、質疑応答はカットされていました。
ということもあり、主な質疑について紹介します。
・Q.招集通知に示される成約組数の目標値が高いのでは?
A.コンサルタントも増員しており十分達成可能。
・Q.株価上昇した。分割の予定は?
A.株主に報いる努力を今後も継続する。
・Q.数カ月前に経済雑誌でM&A業界についネガティブな記事(両手勘定に伴う利益相反、過剰接待)が報じられたが、それに対するリスクの有無は?
A.報道に該当するものはなく、中小企業庁のガイドラインの変更もない。
基本的に安定した経営が続いているので粛々と議事が進んでいきました。
ただし残念だったのは、総会終了時に拍手が無かったこと。
小人数ということもありますが、気持ちよく総会が終了した時には自然と拍手が沸き上がるもの。
次回参加時にそうなることを期待します。
⑸ 2021年9月期の中間報告書について
中間決算を終え、ビジネスレポートVol.10を頂きました。
一読した感想は以下の通りです。
〇良かった点
①配当性向を20%から25%に引き上げ。
その結果一株当たりの配当金の推移は次の通り。
2017年:8円
2018年:9円
2019年:14.5円
2020年:24円
株主還元としてありがたいと思います。
②M&Aについての社員の声
社員の”生の声”をすることが出来るのは株主としても有益です。
「アドバイザーは売り手と買い手の間に立ち仲介する仕事になります・・・」
との記載がありました。
そのことから、やはり利益相反の懸念はあることが伺えました。
×気になった点
①ストライクのビジネス
一面にM&A仲介フローの図が載っています。
昨年12月に河野太郎大臣が、両手勘定の仲介ビジネスに関する売り手と買い手の利益相反について懸念を表明して以来株価は低迷を続けています。
それに対する、反論なり誤解を解くような説得力のある説明にはなっていない点が残念でした(例えば、売り手と買い手の部署が異なる、仲介する会社の規模等)。
②業績ハイライト
第2四半期を終了し、
・新規受託件数
・成約組数
・成約件数
・売上高
・経常利益
全ての進捗率が50%以下です。
昨年同期比を上回っているのは
・売上高
オンリーでした。
苦戦していますね。
また、期ずれを言い訳にするのでしょうか?
M&Aキャピタルマネジメント(6080)は少数精鋭でビジネスを展開しているので業績の波はある意味やむを得ない面があると思います。
ストライクの場合、公認会計士が中心となっておりしかも採用人員を増やしています。
もう少し、頑張りを期待したいと思います。
また、株価は一時期1株7000円を超えていましたが、今は4500円を割り込んでいます。
株価の低迷は業績の進捗の遅れを織り込んでいるように思います。
さらに押す場面もあらば買い増しも考えています。
配当も株主優待もあり後継者がいない会社を廃業から救うという意味ではSDGsにもつながる大切なビジネス。
約5年ぐらい株主を続けていますが、引き続きモニターを続けます。
⑹ 株主還元について
配当
1株配当実績は下記のとおりです。
2023年9月期:51円
2022年9月期:40円
2021年9月期:32円
2020年8月期:24円
2019年8月期:14.5円
2018年8月記:9円
増配が続いており感謝しています。
株主優待
2023年もクオカード1000円がいただけました。
ありがたいことです。
【株主優待 クオカード1000円】
3 株主としてのコメント
⑴ 今後の保有方針について
NISA口座で保有してきたため、分割を利用した利益確定を繰り返してきました。
”資産株”にしてもいいと考えているので、特定口座での保有も併せて行っていきたいと考えています。
ただし、M&A市場は競争激化や価格競争、或いは行政指導などの懸念材料もあります。
それらの課題を解決することも含め、会社の取り組みを注視していきたいと思います。
⑵ 安定感
日本M&AセンターホールディングスやM&Aキャピタルパートナーズの”いいとこどり”や”反面教師”を意識しているであろう経営に安定感を感じています。
具体例は下記の通りです。
・仲介手数料の廃止
・人員を増強して案件数を増やすことによる計画的な事業の進捗
・成約組数、成約件数、新規受託についての定義と説明の明記
・スタートアップ企業支援
4 まとめ
ストライクについて、競合他社と比較をしつつ述べてきました。
株主還元も積極的な反面(インカムゲイン:良好)、株主からは株価(キャピタルゲイン:苦戦)についての懸念もありました。
ただし、株主総会についてはライブ配信を含め改善の余地があると感じました。
好業績に加え、配当や株主優待等の株主還元も積極的なことに加え、将来への成長ストーリーにつても期待できると思えたので、引き続き株主をしていきたいと思っています。
お読みいただき、ありがとうございました。
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