こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

デンカ(4061)について~中期経営計画と新社長について考える

こんにちは!

 

この記事は、デンカ(4061)に関心のある方に向けた株主としてのコメントを記したものです。

 

・B to B 企業と認知度

・中期経営計画と新社長

 

 

【目次】 

 

 

 

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1 デンカについて

⑴ 会社概要

化学の会社です。

特殊合成ゴムや機能樹脂などを生産しており、電子先端分野が急成長中。

コロナ禍において、ワクチンや検査試薬なども手掛けています。

 

企業理念(The Denka Value

化学の未知なる可能性に挑戦し、新たな価値を創造(つくる)ことで、社会発展に貢献する企業となる

 

■3つの成長ビジョン

 スペシャリティーの融合体」

 「持続的成長」

 「健全な成長」

 

■5か年の経営計画「Denka Vakue‐Up」

 2つの成長戦略

 「事業ポートフォリオの変革」

 「革新的プロセスの導入」

 

■部門

主に下記6部門から構成されています。

エラストマー・機能樹脂部門

・インフラ・ソリューション部門

・電子・先端プロダクツ部門

・生活・環境プロダクツ部門

・ライフイノベーション部門

・その他部門

 

⑵ 株主になったきっかけ

昨年のコロナ禍においてアビガンの原料を製造しているということでこの会社を知りました。

応援する意味でNISA口座で購入しました。

 

⑶ 経営分析

減収増益です。

固定費の削減等、頑張ったとのこと。

 ■収益性

売上高営業利益率:10%

老舗企業ですが、高い成長性を有しています。

 

■安全性

流動比率:129%

・負債比率:95%

自己資本比率:51%

創業以来、100年以上生き残っているだけあり、良好な財務状況だと思います。

 

■効率性

・有形固定資産回転率:1.4

投資効率の代表として有形固定資産を取り上げましたが、それほど高くはありません。

日本橋の綺麗なオフィス等にお金をかけた割には、売上がそこまで追いついていないと見なすことが出来ます。

 

株主総会会場となった日本橋三井ホール

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2 株主総会等 

⑴ 株主総会

第162回定時株主総会 2021年6月22日(火) 日本橋三井ホール

 

社長がこの春に交代したばかりとうい事で緊張気味でした。

また、5か年の経営計画「Denka Vakue‐Up」をしっかり守ることが重要であるということを社長が強調されていました。

ある意味、自分を社長に指名してくれた会長に気を遣っているようにも見えてしまいました。

 

主な質疑応答は下記の通り

Q.カーボンニュートラル(2030年に50%削減、2050年に実質ゼロ)をどのように実現するのか?

A.①北陸電力のように火力発電所の高効率化を図る。

 ②CO₂の固体化技術にチャレンジする。

 ③CO₂ポートフォリオの変革を図る。

Q.会社の成長性や発展性を信じているが、6月3日に株価が急落した。対策は?

A.事業計画を着実に達成していくことで市場からも評価されると考える。

Q.B to Bの企業として企業価値向上に注力する方向性は理解したが、B to Cの分野にも注力して認知度を高め、企業存続に努めることも必要ではないか?

A.B to Cの分野では”コロナ”迅速診断キッドを通じて一般消費者にアピールを継続する。

Q.積極的なアピールを通じて株価向上に努めてほしい。

A.貴重な意見として承った。

 

議案

・剰余金処分の件

・取締役選任の件

・監査当委員会の取締役選任の件

承認

 

拍手にて閉会

 

⑵ 株主還元

■配当

期末配当は1株につき65円、年間125円

配当性向は47%

安定した配当はありがたいです。

 

株主優待

ヤフーファイナンスでは紹介されていませんが

URUOIというスキンケア商品の株主優待販売券が送られてきました。

悪くない商品だとは思いますが、今の状態では中途半端

デンカコスメティクスが中核となってアイデアを絞り、例えば株主に対してサンプル品を付けるなどして、ほかの企業並みのアピールをした方がいいと思います。

                     

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3 株主としてのコメント

⑴ B to B企業の認知度向上

 B to B企業の中には個人を対象とした広告は考えていないと割り切るところもあります。

デンカの場合もB to B事業が収益の大きな柱ですが、それでも対処すべき課題の中に、認知度の向上が謳われています。

上手くいっているか否かは別として、100年以上続く企業として認知度の大切さを認識していることはさすがだと思いました。

目先の収益にこだわるあまり、認知度向上にカギを握るB to C事業の安易なリストラをしないことを願っています。

 

⑵ 中期経営計画と新社長 

その他に気になったこととして2つ。

一つ目は総会会場の前で、米国におけるデンカの子会社が環境に悪いことをしているとビラを配ったり垂れ幕を掲げている活動家がいたことです。

どのような集団なのか明らかにしていない人達の主張をそのまま鵜呑みにするわけにはいきませんが、問題があるなら早期に断固とした対応をした方がいいと感じています。

 

もう一つは、コロナ禍とその収束など、大きく環境化する中で柔軟な対応が遅れる懸念

何を言っているのかというと、交代した新社長が会長に恩義を強く感じるあまり、会長が策定に深くかかわった中期経営計画の見直しに躊躇することで、劇的に変化する環境に対応できないという事態に陥るのではないかという懸念です。

前社長にとって一番面白くないことは、それまで自分が頑張ったことやその方向性が新社長によって否定されることです。

それを防ぐためには、後任たる新社長に中期経営計画を守らせることが有効となります。

このことは珍しいことではなく、多くの会社において行われていることです。

もちろん、新社長が実力を発揮するまでは”態勢の円滑な継承”ということで中期経営計画を遵守することはとても重要なことであることには異論はありません。

けれども、例えば、自分の持株会社の中にブレインパッド(3655)という会社があり、新社長が会長が策定した期経営計画をコロナ禍において見直すことが出来ず、結果として業績が低迷しているという事例があります。

そして、環境の変化が速い時には同じような現実に直面している会社も少なくないのではと危惧しています。

その一方で、コロワイド(7616)のように、何かと世間から注目を浴びる蔵人金男会長に対してもあまり気兼ねせず、大戸屋買収をほぼ自分ひとりの力で成し遂げた野尻社長のようなケースも有ります(蔵人金男会長は、大戸屋買収において大戸屋経営陣と顔を合わせたことも無く、全て事後報告だったと明言してました。)。

 

デンカの場合も緊張気味の社長のご様子から一部そのような雰囲気を感じました。

よって、新社長に対しては中期経営計画を踏まえつつも、会長との意思疎通を密にしつつ、自分の権限で対応できるところは時代の変化をとらえながら柔軟に対応する勇気ある経営を期待します。

コロナ禍で困っている人を優れた技術を駆使して助けている会社です。

これからも応援していきたいと思います。

 

 

おつきあいいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

 

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#投資 #株式 #株主総会 #資産形成 #資産運用 #デンカ #ブレインパッド #コロワイド

  

JR東日本【9020】について~ヒト起点による変革へ

投稿日:2021.6.21、更新日:2021.11.24

こんにちは!

この記事は、JR東日本(9020)に関心のある方に向けた株主としてのコメントを記したものです。

・「鉄道のインフラ起点」⇒「ヒト起点」

・ホテルフォルクローロ高畠宿泊記

なお、更新日にホテルフォルクローロ高畠宿泊記を追記しています。

【目次】 

 

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1 JR東日本について

⑴ 会社概要

ご存じのとおり関東・東北地方の1都16県を営業エリアとする国内最大の鉄道会社です。

でも、鉄道部門と非鉄道部門の営業収益の比率は現在6:4ですが、グループ経営ビジョン「変革2027」を掲げ、将来これを5:5にすることを目指しているそうです。

■経営の基本方針(グループ理念)

・私たちは「究極の安全」を第一に行動し、グループ一体でお客様の信頼に応えます。

・技術と情報を中心にネットワークの力を高め、全ての人の心豊かな生活を実現します。

「変革2027」

このグループ経営ビジョンは、「鉄道インフラ等起点」を「ヒト起点」に変革し、非鉄道部門の売上比率50%を目指すものです。

ヒトを起点として、「生活」に焦点を当てた”豊かさ”と「安全」にフォーカスした”信頼”という価値創造をしていくという全体像が描かれています。

この「変革2027」は中身の濃いパワーポイント39枚で構成されており理解するのは大変ですが、鉄道中心の会社から脱却しようとする巨大企業の姿勢は良く分かりました。

・安全

・収益力向上(成長・イノベーション戦略の再構築)

 「新しい暮らしの提案」(「JRE POINT」、「Beyond Station構想」、MaaS)、

 「新領域への挑戦」(不動産アアセットマネジメント、スタートアップ企業等との協業、5Gアンテナインフラシェア)

構造改革(経営体質の抜本的強化)

 チケットレス、ドライバレス運転やスマートメンテナンスをはじめとしたDX加速

・「ESG経営」の実践

 2030年度までに東北地区のCO₂排出量ゼロ、2050全体で「実質ゼロ」

■セグメント

以下の4区分です。

運輸事業:62.1%

・流通・サービス事業:18%

・不動産・ホテル事業:15.4%

・その他:4.5%

⑵ 株主になったきっかけ

2020年のNISA口座で100株購入しました。

コロナ禍の終息に連れて業績が回復すると見込んでのことです。

⑶ 経営分析(2021年3月期)

2021年4月28日に、2021年度の連結業績予想は下方修正されています。

■収益性

約5,780憶円の赤字です。

ただし、コロナ禍の終息とともに黒字化するのは間違いないと思います。

■安全性

流動比率:44%

・負債比率:249%

自己資本比率:29%

と悪い数値を示しています。

会社がつぶれることはないにしても、財務基盤がぜい弱なのは意外でした。

■効率性

売上債権回転率:3.75

棚卸資産回転率:21.1

有形固定資産回転率:0.25

とお金の使い方も上手ではありません。

「改革2027」を必要とする理由を垣間見た気がします。

 

【表紙写真は横須賀・総武快速線E235系とNEWoMan横浜】

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2 株主総会等 

⑴ 株主総会

第34回定時株主総会 2021年6月22日(火) ホテルニューオータニ 

主な質疑応答は以下の通り

Q.コロナ対応・告知策は

A.消毒、換気、せきエチケット、空調、窓開け、オフピークポイントなど徹底。HP、アプリ、CM、SNS、車内放送などで告知

Q.Suica共通基盤化の取り組み状況

A.20年の歴史を持ち8500万枚発行されているSuicaの簡単さやスピードを活かし、デジタル化、キャッシュレス化を加速していく。Suica1枚で何凸できるように所要の外部提携、デジタルキー、ポイントプログラムなどに取り組む。

Q.東京オリンピックパラリンピックのオフィシャルパートナーとしての契約金は?

A.守秘義務があるので答えられない。

Q.羽田空港アクセス線の進捗状況は?

A.現在環境アセスメント中(約3年)でその後工事に7年を見込む。事業採算性の確保を図りつつ2029年開業を目指している。

Q.社員教育、技術承継の状況は?

A.中期経営計画に基づき、グループの人材に対して教育機関を設置し、所要の教育・技術承継を実施している。

Q.新型車両の車いすのスペースが多すぎる

A.国のバリアフリーの方針に従っている。

Q.生活サービス事業の黒字化等の見込みは

A.西部HDとの連携などを通じて、保有資産の価値向上に努めている。

Q.内部留保が1兆7600億円あるのでこれを社員の処遇向上に充てるるべき。

A.修正動議として取り扱う。

Q.社外取締役役員報酬を自主返納しないのか?

A.社外取締役から申し出があったが、会社から趣旨を説明して受け取ってもらった。

Q.駅の将来はどうなるのか?

A.高齢者に配慮しつつも、チケットレス化やみどりの窓口を減らしつつきめ細やかなサービス提供に努める。

■議案

・剰余金の処分の件

・取締役選任の件

監査役選任の件

採決の結果賛成多数で可決

⑵ 株主還元

ア 配当 

一株当たり50円 

悪くない配当だと思います。

ちなみに、総還元性向40%、配当性向30%とのことです。

イ 株主優待 

・運賃・料金40%割引券

・株主サービス券

ウ その他 

第35期中間報告書に、JEXERの3000円のビジター料金が800円となる利用券が掲載されていました。

フィットネスはそれほど利用しませんが、興味があるので利用したいと思います。

また、その際の体験談は本ブログに追記する予定です。

【JEXERのビジター料金が800円となる利用券】

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3 ホテルフォルクローロ高畠宿泊

⑴ ホテルフォルクローロについて

ホテルフォルクローロとは、JR東日本ホテルズの長期滞在型ホテルのブランドのひとつ。

駅へ隣接・併設されたB&B(Bed and Breakfasst)スタイルが特徴です。

現在東北地方で5店舗が展開中。

ちなみに、フォルクローロとはエスペラント語で民話を意味するとのことです。

【JR高畠駅 後ろの建物はホテルフォルクローロ】

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⑵ ホテルフォルクローロ高畠宿泊記

2021年8月、山形旅行の際に宿泊しました。

高畠駅併設で温泉焼き肉屋も一緒になっている個性的なホテル。

特に、ここで食べた焼肉は今でも忘れられないくらい美味しく、焼肉を目当てにもう一度訪れてもいいとさえ思ったほどです。

部屋は広くて使いやすかったですが、Wi-Fiが通じないなどの設備面の懸念がありました。

逆に考えれば、ポテンシャルが高く発展する余地が大きいということなので今後のホテルオペレーションに期待します。

ちなみに、旅行中に東北新幹線山形新幹線を利用しましたが、スマホアプリの「えきねっと」を通じてeチケットを利用したため料金は半額でした。

【宿泊したホテルフォルクローロの広々とした室内】

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【駅直結の温泉】

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4 株主としてのコメント

⑴ 株主総会について

株主総会「私からの質問は・・・」という前置きを述べる方が半分近くいました。

ちょっと違和感を感じました。

まるで何かの集団が質問内容を分担しているかのように感じました。

労働組合のような集団なのかもしれませんが、高圧的な物言いなど、ちょっと懸念される存在だと思います。

また、事前の質問があったのにも関わらずそれについて回答しない会社の姿勢も問題だと思います。

穿った見方をすれば、事前の質問を受け付けておいてその答えを事前に準備し、それを会場からの質問ということで処理しているとすれば、会場に足を運び会社の事業説明を聞いた上で新たに生じた疑問についての質問をする株主の機会を奪うことになるからです。

「私からの質問は・・・」集団と会社が裏で繋がっていることはないと思いますが、総会の議事進行については改善の余地があると感じました。

一方で、Suica1枚で何でもできるサービス提供を目指すという話もありました。

現在進行形のビックデータ革命とも言える状況を踏まえると、JR東日本保有するSuicaを通じて得られた膨大な一次データの価値は想像を超えるものがあると考えます。

そのような夢のある話がこれからもっと株主総会で取り上げられることを祈念致します。

⑵ JR東日本とのかかわりについて

これまでの人生で、通勤を含め移動手段としてお世話になってきました。

でも、考えてみればSuicaは最もよく使う電子マネーですし、エキナカの買い物もよくします。

さらに、ホテルフォルクローロ高畠のようにホテルにも利用させてもらいましたし、フィットネスであるJEXERも期待しています。

eチケットを駆使すればオトクに旅行できることも実感しました。

JR東日本とのかかわりを通じて、利用者として安全ベースでよりいっそうの豊かさを享受できればありがたいと考えます。

 

お読みいただき、ありがとうございました。 

 

【表紙写真はKAWASAKI DELTA】

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※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

 

#投資 #株式 #株主総会 #資産形成 #資産運用 #JR東日本

  

NTTデータ【9613】~株主総会雑感(3年間の組織改変の結果・・・)

初投稿:2021.6.4、更新日:2022.12.29、2023.6.23

こんにちは!

この記事は、NTTデータ【9613】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

なお、2023年6月の株主総会の内容を追記し、記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。

・3年間の組織再編の結果

クラウドからエッジの時代へ  

【目次】 

NTTデータの自社ビル@豊洲

f:id:cogepan20:20210621084547j:plain                      

1 NTTデータについて

⑴ 会社概要

NTTグループのSI専業最大手で、官公庁や金融機関に強みを持っています。

⑵ 株主になったきっかけ

昨年NTTがドコモを買収した際に、6Gで飛躍を目指すNTTとともに応援する意味で購入しました。

株価はその後、順調に推移して含み益を抱えています。

⑶ 2023年3月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:26%

売上高営業利益率:7%

収益性は苦戦していると考えます。

会社の中期経営計画目標の中で連結営業利益率は10%となっています。

ただし、M&A・構造改革とうの一時的なコストは除くとの記述あり。

どのようなプロセスを経て目標を達成するのか期待します。

安全性

流動比率(100%以上が望ましい):125%

自己資本比率(30%以上が望ましい):39%

安全性のついては短期的にも中・長期的にもギリギリ安心というレベルです。

指標についての変化はここ数年あまりありません。

効率性

・有形固定資産回転率:2.54

IT企業ですが、意外と有形固定資産は重いようです。

回転率そのものも2年前より落ちています。

吸収合併の過程で有形固定資産が増加したとため推測します。

⑷ 2021年3月期の経営分析

32期連続増収とのこと。

上場してからずっと売上増の状態が続いています。

 招集通知の計算書類から簡単な分析をしてみます。

収益性

売上高営業利益率:6%

あまり高いとは言えません。

安全性

流動比率:120%

・負債比率:157%

自己資本比率:39%

財務については思ったよりは良くない数値です。

効率性

・売上債権回収率:3.85

サービス業の平均より低めです。

規模はデカイですが、収益性、安全性、効率性の点で特に優れた経営がなされているとはいいがたい状況と分析します。

【まだまだ開発が続く豊洲地区】

2 株主総会

⑴ 2023年6月の株主総会

第35回定時株主総会2023年6月20日(火)NTTデータ品川ビル(アレア品川)

オンラインで視聴しましたが、途中で中座しています。

主な質疑応答

【事前】

Q.持株会社移行の狙いについて

A.さらなる事業拡大を図るための移行である。

3社のうちNTTデータグループについては、グローバル戦略構築に注力する。

NTTデータについてはコンサルに強みがあり、国内で1.6兆円の売上がある。

NTTリミテッドについてはデータセンタをはじめとするインフラに強みを持つ。

それぞれの会社の持ち味を活かし事業に専念する。

Q.海外事業統合の進捗と今後の見通しについて

A.統合後の半年間で、200億円の契約と2000億円の営業活動を実施している。

BMWのDX支援を例として、工場内の自動運転の実績もある。

子会社2社の良い点を活かした結果である。

Q.データセンター事業の収益性と財務健全性について

A.世界第3位の地位にあるが、競合他社との競争も激しさを増していく。

収益性と財務健全性を考慮して事業を推進する。

その際、収益性についてはROICの向上、財務健全性についてはNet Debt EBITDA倍率2.0を目途としている。

Q.サステナビリティ経営について

of ITにより電力削減に努め、by ITによりCDP(英国の環境関連NGO)やTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)から高い評価を得ている。

Q.株主還元、配当について

A.まずは、成長投資を重視していくことで株主に報いたい。

その上で、配当については安定性を重視し、5年平均の配当性向の維持を基準としていきたい。

Q.コンプライアンス、ハラスメント対策について

A.グループでの行動規範を定めるとともに、コンプライアンス意識を高める組織文化醸成に努めている。

第3者に通じる相談窓口の対応も実施中である。

Q.取締役の女性比率の向上について

A.東証が指導する2030年の女性取締役比率30%を目指している。

現状は23%となっている。

Q.為替の影響について

A.当社の売上の6割は海外であり為替対策は極めて重要。

”外貨建て資産と負債のバランス”や”オフショア取引”によってヘッジを行いマネジメントを実施している(金融専門の知識が乏しくて理解が及ばすすみません)。

・・・・

A.リミテッドの構造改革については、不採算事業や低採算事業からの撤退等を着実に実施している。

データとリミテッドのシナジー効果につてはパイプラインの増加などから効果が明らかである。

データセンター事業については多額の有利子負債(先行投資)を伴うが財務と収益のバランスを考えて実施している。

Q.25年の経営数値目標の見通しについて

現状の利益率は4.3%であるが、強い領域を徹底的に強くすることで10%の利益率の達成は前倒しで可能と見込んでいる。

Q.5Gが人体に与える影響について

A.人や生物に影響を与えないような調査・研究を継続する。

Q.日本経済新聞等には当社が良く書かれないことについて

A.IRやマスコミ発信に力を注いでいく。

Q.リミテッドについて金利負担が大きいことや海外の不採算事業が多いことなどから、合併は押し付けられた(早すぎた)のではないか?

A.ご存知の通り工場やイベントホールでのIOTは急速に普及している。

リミテッドはデータを安全に集めてその場で活用(エッジ)するとともに、クラウドに送信することに強みを有している。

技術動向としてクラウド中心からエッジへのシフトが見込まれる中でリミテッドとの統合は必要だった。

なお、リミテッドの稼ぐ力は直近で高くなってきている。

Q.6Gの進捗について

A.現在は5Gが普及が中心であり、工場等でのプライベート5Gが海外を中心に盛んに実施されている。

6Gについてはまだ、事業化の目処は立っていないが、技術陣と年に4回ミーティングしながら技術を事業に活かせる努力を実施している。

決議事項

・剰余金処分の件

・吸収分割契約承認の件

・定款一部変更の件

・会社説明でない取締役9名選任の件

・会社説明である取締役1名選任の件

拍手を持って承認・可決されました。

株主総会雑感

全部ではありませんが、株主総会丁寧な質疑応答は好感を持ちました。

株主からの質問も企業価値向上に資するものが多く勉強になりました。

3年前に株主になった時には、いい加減な経営陣と思って一旦は売却

その後、NTTによるTOB期待で再度保有

でも、3年ぶりに株主総会を拝見すると、いい会社になっていていたのでTOBに関わらず長期保有も良いかと感じました。

組織改変の過程で、磨きがかかったのではないかと推察します。

特に、クラウドの時代からエッジの時代を見越してグローバルトップ5を目指す事業姿勢を応援していきたいと感じました。

⑵ 2022年12月のオンライン会社説明会

2022年12月16日(金) 19:00〜19:50

オンラインを視聴しました。

専門用語が多く盛りだくさんの内容で理解するのに一苦労でしたが、色々と刺激を受けました。

リンクは下記のとおりです。

https://c-hotline.net/Viewer/Default/32491db931f3431b455a59496f9bc37dcc01

主なポイント

●会社紹介

・情報技術で新しい『しくみ』や『価値』を創造し、より豊で調和のとれた社会を実現する

・56カ国で事業展開、19万人の従業員

・売上高は33期連続増収

・受注高・売上高・営業利益等で過去最高益

・売上高増の中心は4段階変化(公共→法人→海外→DX)

・海外事業を伸ばすことに注力(23カ国でシェア2%(ビジネスチャンス拡大の可能性大)を確保)

・国内:金融1位、公共:2位、法人:2位

・NTT Ltd.との事業統合の効果に期待

●成長戦略(新中期経営計画2022〜2025年)

・Global 3rd Stage

・Global Top5として世界のお客様から信頼される企業を目指す

・戦略1:ITとConnectibityの融合による新たなサービスの創出

・戦略2:Foresight起点(将来のあるべき姿)のコンサルティング力強化

・戦略3:アセットベースのビジネスモデルへの進化

・戦略4:先進技術活用力とシステム開発技術力の強化

・戦略5:人財・組織力の最大化

・連結売上高:4兆円超(現状:2.55兆円)

・顧客基盤:120社(現状:82社)

・連結営業利益率:10%超(現状:8.3%)

・海外EBITA率:10%(現状:6.5%)

・2022年10月に海外事業統合、2023年7月に持ち株会社

サステナビリティ経営

・Realizing a Sustainable Future

・つくる力×つなぐ力

旭化成のカーボンフットプリントの可視化の実例紹介

主な質疑応答

Q.IT人材不足の影響について

A.一般的には2030年にIT人材が45万人不足すると言われている。

当社では4万人の人材と全世界に160社の取引先がある。

さらに、毎年400〜500名の新卒者応募者が競争力の源泉となっている。

Q.配当金の少なさについて

A.現在は1株あたり21円を配当している。

配当金はキャッシュに応じて分配するものであるが、現状では事業投資を重視。

また、当社の株主構成は親会社(NTT)5割、機関投資家2割、海外2割の比率であることを考慮し、さまざまな株主還元策を検討・実施していく。

Q.人材確保について

A.採用コストは上昇傾向にあるが、当社では毎年300名程度が入社している。

海外(北米)においては大学との連携やM&Aを重視、欧州は知名度を活かした採用活動を継続している。

Q.円安の影響について

A.業績見通しについては据え置いている。

Q.親子上場について

A.親会社のNTTの行こうとして、当社のグローバル展開のため上場が維持されていると理解。

ただし、共通株主にして利益相反等にならないように取締役を増やしてガバナンスを強化している。

Q.統合バンキングクラウドについて

A.SLA(サービス総合品質保証契約)に基づき稼働率、安心・安全・安価な銀行専用クラウドを投入していくもの。

Q.営業利益低下の原因について

A.不採算案件の増加と戦略的投資による。

Q.CAFIS(日本最大のキャッシュレス決済プラットフォーム)の料金値下げについて

A.CAFISは当社が提供する日本最大のキャッシュレス決済プラットフォームである。

これまで1000円以下の料金を値下げしていたが、今後は2000円以下の決済の料金も値下げすることとした。

業績への影響はないと考える。

株主としての雑感

一番刺激を受けたのは、IT人材の不足が叫ばれる中数百人の新卒者を採用しているという強み。

流石に日本を代表する会社だと感心しました。

ただし、それらの優秀な人材を活かしきれているのかという点が気になりました。

具体的には不採算事業の増加による利益の減少。

今後の、優秀な人材を海外事業で通用する戦力への育成に期待します。

⑶ 2021年6月の株主総会

第33回定時株主総会 2021年6月17日 NTTデータ品川ビル(アレア品川)

 ライブ中継を見ました。

役員全員がマスクスている姿に違和感を感じました。

質疑応答

Q.NTTがNTTドコモTOBしたことの影響は?

A.上々を維持し、2025年までにグローバルトップ5になるという目標を目指し、ITサービス業界で強くなる。

Q.デジタル庁設置の影響は?

A.デジタル庁設置を追い風として、イノベーションを通じて価値を提供し続けることにより、Society5.0の実現を目指す。

Q.グローバル事業の収益性改善の展望は?

A.人材拡充、スキル向上、リソースの最適化を通じて利益を出せるようにする!

Q.取締役の報酬制度の変更について分かりやすく説明してほしい。

A.業績連動報酬を30%から50%に変更する。更に20%は非金銭(株式)とする。そうする事で、モチベーションのアップと株主との一体感を醸成できるようになる。

Q.総務省幹部との会食について?

A.特別調査委員会を設置して調査を実施した。岩本相談役が2回会食を行った。贈賄の事実はなかったが、社内規定違反のため減額処分とした。更に、コンプライアンス研修やチェックの強化を通じて再発防止に努める。

以上、事前の質問に対する回答

出席者からの質問

Q.NTTが進める6Gにどのような貢献ができるのか?

A.アイオン推進室とソーシャルデザイン推進室を設置し6G推進に貢献している。

Q.海外事業は十数年間で7〜8、000億円投じて営業利益0とは異常ではないか?

A.2005年をグローバル元年とし今年で16年目となる。今期は結果を出す。北米はEBITDA7%、ヨーロッパはEBITDA5%を目指す。

⑷ 株主還元

配当

1株配当実績は下記の通りです。

2023年3月期:22円

2022年3月期:21円

2021年3月期:18円

2020年3月期:18円

2019年3月期:17円

2018年3月期:15円

安定配当と増配基調はありがたいです。

株主優待 

なし

自社株買い 

なし

なお、2022年5月に親会社のNTTが1000億円もしくは6000万株を上限としてNTTデータの株式を取得すると報じられています。                      

3 株価が北米で苦戦していることの理由について

32期連続増収というのは、上場以来ずっと増収を続けているということを意味します。

また、写真にあるように、豊洲駅直結の立派な自社ビルを抱えています。

IT企業としても代表的な企業のひとつとして誰もが認める大会社です。

そして、グローバルトップ5を目指して総力を結集しています。

にもかかわらず、海外では苦戦しています。

北米では十数年間7000億円以上を投じて営業利益が出ないのは何故か?

自分の仮説は、

NTTデータのサービスは海外等では通用しない

というものです。

官公庁金融機関に強いということは、言葉は乱暴ですが、ド文系の高級官僚やド素人の銀行マン相手のゆるい仕事なら何とかやりくりできると思います。

しかし、ICTリテラシーの高い海外ユーザーの要求を満足するサービスを提供できなくて不採算事業が積みあがっているのではないかというのがその理由です。

マイナポータルを提供しているのもNTTデータということですが、みなさん、マイナポータルって使いづらくありませんか?

私事ですが、昨年、マイナンバーカード関連でマイナポータルを使った時には原因不明のエラーが連発した記憶しかありません。

そのことは、ゆるいB to Bなら通用しても、私達一般ユーザーが使うよりユーザーフレンドリーなアプリの提供であるB to Cになるとぼろが出るというということを意味します。

さらに、招集通知を読むと、専門用語、カタカナ、略語のオンパレードで読んで頂くという姿勢、読み手の負担を少なくするといった気遣いに欠けていることも、高いレベルを要求される海外のサービスを満足することが出来ない現実と符合します。

NTTデータの強みというのは高い技術力というよりは、お金があって技術に疎いド文系やド素人の顧客に恵まれているということにあるのではないかと考えます。

【ニュースでよく見るメガバンクの看板はNTTデータ本社前にあります!】

4 株主としてのコメント

 DXと緩い顧客に恵まれて、これからも株価はそれなりに堅調に推移すると予想します。

けれども、何をどう考えても、2025年にグローバルトップ5になれるとは思えません。

株主からの質問に対しても、

頑張ります!

の一点張りでは説得力がありません。

もちろん、自分の勉強不足もありますし、会社は何か秘策を用意しているかもしれません。

でも、一般論ですが、十数年間海外事業が上手くいかなかったのには原因があるはずです。

その原因が何かを突き止めて、排除して初めて次のステップに進むことが出来ると考えるのが”ふつう”の考えだと思います。

残念ながら、社長の説明からは何が海外不振の原因だったかを今回の株主総会では聞くことが出来ませんでした。

またNTTの6Gを支援するために推進室を設置したと説明がありました。

推進室をつくるということは、

「6Gは推進室に任せればいい」

という雰囲気を社内全体に蔓延させることに通じます。

そして結果的に、全社レベルのリソースを活かした支援が出来できず、親会社NTTの期待を裏切ることが目に見えています。

そういった点からも、グローバル化は難しいのでは?

本間社長、悪いことは言いません。

グローバルトップ5など目指さず、まず、マイナポータルをより使い勝手の良いアプリにに改善するなどの実績を積みながら、顧客満足を高める組織文化の醸成から手を付けたほうが無難だと思います。

5 まとめ

NTTデータについて述べてきました。

多くの株主の関心はNTTドコモのようにNTTによる完全子会社化がいつになるのかということだと推察します。

もちろん買収による株価高騰は期待しています。

けれどもその前にNTT LID.との事業統合による相乗効果によるサプライズでの株価高騰も期待できるのではないかと、オンライン会社説明会を視聴して感じました。

その一方で、絶えることのない不採算事業についても、その真の原因を究明し、除去し、対策し、再発防止を徹底することの必要性も見逃せません。

今後の展開と奮起を期待しています。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

#投資 #株式 #株主総会 #資産運用 #NTTデータ #CAFIS

  

日本航空(JAL)【9201】について〜株主総会雑感(少しずつ収束へ)

初投稿:2021.6.22、更新日:2022.3.11、2022.6.22、2023.6.24

こんにちは!

この記事は、JAL9201】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

なお、2023年3月期の株主総会に参加したことを追記し記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。

・『沈まぬ太陽』の世界が徐々に収束へ

・黒字化と復配

【目次 】

f:id:cogepan20:20210618122800j:plain                      

1 日本航空について

⑴ 会社概要

ご存じの通り日本を代表する航空会社です。

2010年の経営破綻後は公的資金投入とリストラで更生法終結

国内線、国際線ともにANAに次ぐ2位。

業績は2022年に”コロナ”前の水準への回復を目指しています。

売上高1.3兆円、総資産2.5兆円、時価総額約1.3兆円の事業規模です。

PBRは1.64倍で割高でなく割安でもない水準です。

⑵ 株主になったきっかけ

2020年11月に公募増資をして株価が下落した際に株式を購入。

価値に比べて価格が低いとの判断は今のところ正しく、株価は買値の1.5倍を超えています。

含み益があることに加え、自分の株価はすぐに回復するだろうという予測が的中しました。

JALとは相性がいいのかもしれません。

⑶ 2023年3月期の経営分析

赤字脱却です!

しかも約束通りの復配!

まずは、一安心しつつも冷静に数値を持って経営状態を確認してみます。

収益性

売上高営業利益率:5%

久しぶりの営業黒字です。

コロナ禍後の通常化を通じて収益性は高まると予想します。

安全性

流動比率(100%以上が望ましい):138%

自己資本比率(30%以上が望ましい):34%

短期的にも中・長期的にも直ちに問題が生じるレベルでは無いと考えます。

ただし、前期よりも低下している点が気になります。

効率性 

・有形固定資産回転率:1.34

前期よりも良くなっています。

これは売上が大幅に伸びたことに対して有形固定資産の金額が減少したことによります。

機材等への投資の伸びがいっぷくしたのではないかと推測します。

⑷ 2022年3月期の経営分析

残念ながら2期連続の赤字です。

細部は下記の通り。

収益性

2347億円の営業損失です。

昨年よりは損失額が少なくなっているのが救いです。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):160%

自己資本比率(30%以上が望ましい):36%

短期的にも中・長期的にも直ちに問題が生じるレベルでは無いと考えます。

過去の経営破綻から教訓を得た対応がなされていると推測します。

効率性 

・有形固定資産回転率:0.65

売上高に比べると有形固定資産が効率的に生かされていないと考えます。

ちなみに有形固定資産の約8割が航空機であるとともに、「航空機建設仮勘定」も700億円が計上されており、将来への成長投資もしっかりとなされているようです。

⑸ 2021年3月期の経営分析

収益性

コロナ禍の直撃により赤字です。

安全性

2010年に経営破綻した経験からか、コロナ禍にもかかわらず財務基盤は思った以上に良かったです。

流動比率:119%

・負債比率:115%

自己資本比率:47%

効率性

・有形固定資産回転率:0.46

有形固定資産のなかでも最新鋭機エアバスA350を購入していることから、有形固定資産回転率は極めて低い数値が出ていました。

ただし、燃費がいいことや脱炭素などを考え合わせると長期的な視点では必要な有形固定資産への投資と言えるかもしれません。

【2022年6月開催の株主総会のストラップ】

2 株主総会

⑴ 2023年6月の株主総会

主な質疑応答

【事前】

Q.国内線の新しい運賃体系について

A.シンプルに分かりやすくするように改善した。

後から予約した方が安くなる場合については、直前の受給の影響によるものである。

株主優待でファーストクラスを取りにくいのは、席数の上限による。

特典航空券で予約変更をする場合は、取り消してから実施して欲しい。

Q.新しいステータスプログラムについて

A.買い物でもステータスプログラムの向上につながるようになる。

詳細は秋に発表する。

【会場】

Q.JAL123便の事故について

A.個別案件については訴訟で対応させていただきたい。

Q.チェックインシステムの共同利用の進捗について

A.山形空港パイロット運用を実施しており、その実績を踏まえて本格運用とした。

なお、JALカードによるタッチアンドゴーは継続する予定。

Q.インド便におけるスペシャルミール等の対応について

A.インド人の宗教上の問題やスペシャルミールによって普通食の提供が遅れる等の混乱については承知している。

ただし、多様性に対応する必要性もあり、しっかりと対応していきたい。

Q.鹿児島便で普通席よりもファーストクラスの方が安かったことについて

A.空席状態により稀にそのようなことになるケースはある。

Q.パソコンやスマホからの予約時のシステムエラーについて

A.システムエラーについては大きな問題として捉えています。

申し訳ありません。

現在、改修に時間を要していますが、全力で取り組んでおります。

Q.人材育成と男性社員の採用について

新卒、中途採用者、外国人の採用にそれぞれ注力している。

経験者比率50%、外国人を国内で勤務させるなど様々な取り組みを実施している。

男性についても積極的に採用をしている。

なお、生産性向上、価値創造性を高めるための賃金上昇の重要性も認識している。

Q.みんなが元気になるようなイベントを企画してほしい。

A.同感である。

販売促進においても様々なイベントを立ち上げていきたい。

Q.株価においてANAに勝つためには?

A.現在4つの事業領域で、機材の更新等で頑張っている。

ポストコロナを見据えてこれまでに培ってきたことを実施する。

Q.動議(弁護士を取締役にして社員の疲弊を解消せよ?)

A.同義を承った。

Q.為替変動の影響について

A.外貨の収入と費用がバランスするよう、機械的にヘッジしている。

円安は燃料の高騰を招く反面、インバウンドの取り込みのチャンスという面もある。

Q.コロナ禍の研修の成果について

A.例えば、エアボビリティなど新規領域に派遣した人材が所要の知見を習得してきている。

また、一番問題となったのはパイロットの飛行時間の確保であるが、シミュレータやモックアップを用いて対応してきた。

リソースの維持はしっかりしてきたつもりなので、今後の反転攻勢に期待してほしい。

Q.2050に向けたCO2廃止の取り組みの具体例は

A.抽象的な話で申し訳ない。

具体的には、A-350を用いることでCO2排出量が約2割削減となる。

また、SAF(持続可能な航空燃料)の活用も進んでいる。

Q.航空機搭乗の際の宇宙線とうの健康被害について

A.搭乗時の被曝量は基準値よりはるかに低い数値でマネジメントされている。

健康被害も報告されていない。

安心してご利用ください。

Q.動議(社長の報酬をパイロットに充当しろ?)

A.同義として承った。

なお、役員報酬については基本報酬と業績連動型報酬から成立しており、過去の実績に応じて支払われる。

Q.貨物事業の展開について

A.ANA日本郵政貨物の事業譲渡を受けて業務拡張することは承知している。

当社としては、eコマース事業やトラック運転手不足という新たな需要に応じて採算性を考慮しながらビジネスを展開していく予定である。

また、新たな貨物航空機についてはアライアンスの中で活用を計っていく。

ご期待下さい。

Q.動議(整理解雇者は苦しんでいるので社長は辞任しろ?)

A.動議として承った。

決議事項

・剰余金処分の件

・取締役9名選任の件

監査役1名選任の件

拍手を持って原案が賛成・可決されました。

⑵ 2022年6月の株主総会

昨年同様、厳重なチェックを受けての株主総会参加でした。

入口にてお茶をいただきました。

社長から、2期連続の赤字および無配についての陳謝がありました。

ビデオによる業績報告、スライドを用いた対処すべき課題について社長の説明がなされました。

その中で、2023年3月期にEBIT(経常利益+支払利息ー受取利息(事業活動の利益))800億円、黒字化、復配を目指すとのことでした。

特にマイレージの高い評価を活用したビジネスを強化する方針を強調されていました。

その一環として、非航空領域の中核会社となるJALUX連結子会社しています。

主な質疑応答

【事前の質問】

Q.役員報酬の仕組みと現状と見直しについて

A.役員報酬=基本報酬+賞与+株式報酬となっているが、基本報酬は10%カット賞与と株式報酬は不支給とのことでした。

また賞与や株式報酬については財務、事業、ESG等と連動するように見直しを行った。

Q.株主優待について

A.今後も続けるので安心してほしい。

マイル・航空以外の優待については、企業価値向上に必ずしも資さないため実施しない。

なお、期間限定商品を株主専用サイトで用意しているのでご活用いただきたい。

Q.旅客事業について

国内:DX、スマートエアポート、A350の運行、航空サブスクサービスなどに注力中。

海外:回復基調、来年にはA350を投入予定、インバウンドの取り込みに全力を尽くす。

【会場からの質問】

Q.整理解雇された人達について

A.2010年の経営破綻に伴い約16,000名がJALを去った。

その中に整理解雇された人は165名。

整理解雇された人が裁判で訴えたが整理解雇は法的に有効であるとの判決が出ている。

JALはその後、会社を離れた社員を約100名を再雇用(整理解雇者は11名)している。

ただし、2つの労働組合が会社に対して未だに金銭解決を要求している。

Q.整理解雇についての社長の見解について

A.コロナ禍の厳しい環境の中、数千名の社員が社外出向中で頑張っている。

整理解雇された人達だけを特別扱いすることは妥当ではない。

解決金は払わない!

Q.海外の航空会社との業務提携について(例えばアイスランド航空)

A.提携可能な企業のリサーチを継続していく。

Q.6月10日に整理解雇者が提出した声明について

A.読んだ。整理解雇は法的に有効であり引き続き人権を尊重した経営を続ける。

Q.旅客事業の展望について

A.国内:ほぼ回復

海外:65%程度回復、戻り切らない需要については観光事業等で盛り上げていく。

Q.取締役選任(社長)についての動議

A.承知した。

Q.非航空機分野の拡充によるリスク回避について

A.金銭的な効果は試算していないが将来パンデミックが生じた際のリスク回避効果は期待できる。

Q.スカイマークの救済について

A.JALも経営再建中で救済する余裕はなかった。

Q.質疑応答のインターネット中継について

A.個人株主との丁寧な質疑応答を心掛けているので、透明性を踏まえ、株主の個人情報に配慮しつつオンデマンドでの株主配信を検討していく。

Q.女性の管理職の登用について

A.3年間で女性の管理職が37名から78名と倍増している。

現在、管理職の19.4%が女性であり、今後も外国人や女性の積極的な登用に努める。

Q.JALのアプリの評価の低さについて

A.運賃についてのシステム開発が昨年度終了した。本年度中に、モバイル搭乗券、チャット機能搭載などにより使い勝手の良いアプリを実現させる。

Q.リニア新幹線宇宙旅行について

A.リニア新幹線の影響は少ないと試算。

むしろ協業できると考えている。

月旅行、サブオービタル(地上から高度100kmまで)飛行への事業展開を考え当該会社に出資をしている。

Q.営業所の統廃合について

A.市内と空港に分かれていた営業所を統廃合しオフィススペースの削減に努めている。飛行場のない京都の営業所は営業活動の拠点として従来から活動を実施している。

決議事項

・定款一部変更の件

・取締役9名選任の件

監査役1名選任の件

修正動議は否決され、会社が提案した議案が多くの株主の賛成により可決されました。

ちなみに、帰り際に”売れ残ったおーいお茶”を再度頂いています。

【2021年6月の株主総会入口付近の様子】

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⑶ 2021年6月の株主総会

500名が参加するという久々の大きな株主総会

・議決権交付書の確認が3回

・持ち物検査が1回

という物々しい受付。

総会そのものは約2時間近く中身の濃い議論がなされました。

自分の中での主なポイントは3点

・素晴らしい議事進行

 有明の東京ガーデンシアターという新しい会場、スクリーンに表示される字幕など

山崎豊子著『沈まぬ太陽』の世界の継続

 経営破綻時に整理解雇された165名(労働組合?)関係者による金銭要求

・マイルのブランド価値、収益源

  コロナ禍の渦中にも関わらず収益を上げるJALのマイルのブランド価値

株主からの質問の半分は整理解雇に関するもの。

動議も有りました。

「役員が報酬を自主返納してその金銭を整理解雇された者への慰謝料にしろ!」

というスーツ姿の男性の主張には、思わず耳を疑いました。

・ここまで人は卑しくなってしまうのか!

という驚きと

・このような人は人の安全にかかわる仕事に絶対に就かせてはならない!

と感じました。

こうした理不尽な”整理解雇者”の主張とは反対に、会社側は極めて冷静かつ真摯な対応だったと思います。

同時に、会場の多くの株主も会社側の説明の後に惜しみない拍手を送っていました。

”整理解雇者”を除く多くの株主と感覚を共有出来て安心しました。

質疑応答

Q.株主優待の是非について

A.優待の期間の延長を実施している。株主優待は販売促進に貢献しており収益改善に不可欠。

Q.国際線ネットワークの進捗について

A.独占禁止法の特例許可を得るよう努力中。

Q.役員ダイバーシティ(女性取締役)について

A.女性役員が回答。現在役員数は5名。管理職比率を19.5%から30%に引き上げるべく努力中。ご期待ください。

以上、事前質問

Q.マイレージ事業について

A.航空機座席(ファーストクラス等)で償還でき、キャッシュアウトが少ないので利益が出しやすい。引き続き、ブランド価値向上に努める。

Q.航空機整備員の減少によりミスを防げるのか?

A.ハイテク機器を駆使し、壊れる前の兆候をつかんで予防整備により事故防止の徹底を図る。

Q.再度の新株発行は?

A.コミットメントライン(負債)もあり、新株発行は考えていない。増資による希薄化を打ち返すべく努力するので、ご期待ください。

Q.整理解雇者165名の労働争議が解決しない理由は?

A.最高裁で判決も出ているので金銭要求には応じない。

  再雇用という形で対応していく。

 ※2010年の経営破綻に伴い、3割(16,000)名がJALを去った。

  2018年から整理解雇者、早期退職者、希望退職者の経験者採用を開始し、約100名が再雇用。

  整理解雇者の身を特別扱いはしない

  なお、165名の整理解雇者からは7名が採用済み。

Q.JAL”グループ”にしないのか?

A.考えていない。グループ化しなくても出向や社内異動の形で人材のマルチタスク力向上は履かれている。

Q.役員報酬について

A.役員報酬は基礎報酬50%、業績連動報酬50%となっている。

  現状は、業績連動報酬0%、基礎報酬10%カットの45/100となっている。

Q.超音速機の導入について

A.ブーム者については出資もしており注視していく。導入の検討はこれから。

最後の株主の質問は、厳しい環境にもかかわらず頑張っている現場の職員への温かいねぎらいの言葉であり、それに対する赤坂社長のお礼の回答でした。

ホッとしました。

議案は採択され、新役員が紹介され拍手で迎えられました。  

株主総会

総会後に、ボーイング777とエアバスA350の違いについてJALの社員とみられる方に質問してみました。

答えは、燃費が25%もA350の方がいいという回答でした。

それなら、機種変更もやむを得ないと納得。

スッキリした気持ちで総会会場を後にすることが出来ました。

⑷ 株主還元                        

配当

2023年3月期:40円

復配、ありがたいです。

株主優待 

優待券を頂きました。

はじめての人にJALの商品やサービスを知ってもらうきっかけと位置付けているようです。

【総会会場となった東京ガーデンシアター前】

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3 株主としてのコメント

⑴ 2023年の株主総会雑感

ここ3年間では、一番”落ち着いた”総会だったと思います。

それでも、動議が3件発生しました。

多くの株主が質問したい中で、「動議」と叫んで優先的に発言の機会をゲットするのはどうかと感じました。

株主総会は会社の企業価値向上に資する審議をする所

訴訟やクレームについては、裁判所やカスタマーサポートでお願いします。

不条理や理不尽な思い或いは絶望というのは特別な人にだけ生じるものではありません。

みんな、大なり小なり辛い思いを抱えて生きています。

その意味で考えるなら、人生(命)は時間なので、動議を通じて多くの株主の時間を奪うということは、その人達の命の犠牲にしていることにも通じます。

今回の総会では、インド便で疲弊するCAさんを気遣うなどの心ある質問が多く、そのことについての審議は多くの株主にとっても意味のあることと考えます。

3年間で総会の荒れ具合が収束に向かっていると思いますが、それが加速し、

来てよかった

と思えるような有意義な株主総会になるよう一人の株主として注力したいと思います。

⑵ 2022年の株主総会雑感

総会終了後、”整理解雇フレンズ”の人達が集まって大きな声ではしゃいでいる姿が目に付きました。

整理解雇された苦難を大勢の株主の前で訴えることができて満足されたのでしょうか?

それにしても、何が楽しくては子供みたいにしゃいでいるのか理解に苦しみます。

労働組合の問題の根の深さを改めて痛感しました。

残念ながら彼らが現実的な対応をすることは期待できないと思います。

問題解決には「全ては時が解決する」くらいの覚悟が必要だと感じました。

沈まぬ太陽とは会社と労組の攻守が逆ですが、複雑な気持ちでいっぱいです。

話は変わりますが、2期練続の赤字なのにJALの株価はあまり下がらないですね。

過去最高益を更新中のSBIホールディングスの株価が下落中なのとは対照的です(株主の7割が機関投資家)。

PBRが1倍程度で割高ではないことと、優待目当ての多くの個人株主に支えられているためでしょうか。

JALは個人株主の愛を決して忘れてはならないと思います。

そこさえ外さなければ引き続きJALの株主を続けるつもりでいます。

⑶ 2021年の株主総会雑感

 航空機の運航という人の命を預かる会社

理不尽な”整理解雇者”の粘着質な主張にして毅然たる対応を貫いた経営サイドとそれを拍手をもって支持する多くの株主に囲まれ、会社の素晴らしい株主総会の運営力を実感しました。

安心してJALの飛行機に乗れそうです。

一方で中国系の春秋航空日本を6月に子会社化して訪日需要を取り込もうとしているが、対中国でG7が厳しい態度で臨んでいる今日、中国ビジネスや中国人インバウンドがはたして、会社の思惑通りいくのか?懸念点も少なくありません。

全体として、総会の対応については、個人の資質も高いと思われますが、組織力の底力のなせる業と考えます。

その背景には、経営破綻という地獄、そして『沈まぬ太陽』のような労働組合による陰湿ないじめとそれに対する対応など、血のにじむような運営力なしではここまで復活することが出来なかった事情があったように推察します。

株主の発言が、リアルタイムで字幕として表示されているスクリーンを見て、

そんなことが出来るのか!

と、株主総会では初めての経験でもあり、思わず感動してしまいました。

そもそも、東京ガーデンシアターはコンサート会場

音楽活動はありませんでしたが、株主総会にもかかわらず、それと同等以上の感動を頂けました。

この感動をもとに、株主としてJALの復活を末永く注視していきたいと思います。

【2022年6月の株主総会で頂いたおーいお茶】

4 まとめ

JALについて述べてきました。

JALを利用する機会は少なかったですが、公募増資をきっかけに株主となって以来、旅行でJALを頻繁に利用(クリスタル会員)するようになりました。

一方、3年前の株主総会の一部の株主の(『沈まぬ太陽』の世界のような)”特異さ”はここ3年で収束の兆候が見えてきましたが余談を許しません。

利用者として株主としてJALとは長い時間軸で付き合っていきたいと考えています。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

#株式 #投資 #株主総会 #株主優待 #資産運用 #JAL #日本航空

  

ランド【8918】について

初投稿:2021.6.20、更新日:2022.5.

こんにちは!

この記事は、ランド【8918】に関心のある方に向けた株主としてのコメントを記したものです。

リーマンショックを生き残ったランド

・会社経営に伴う様々な問題を学ぶ

★★★

【目次】

 【株主総会の会場となった高島屋ローズホールの入り口】

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1 ランドについて

⑴ 会社概要

マンション開発業者としてスタート後、リーマンショックを生き抜き、開発からは手を引き(大手不動産に任せ)、権利関係が複雑な物件の調整と再生可能エネルギー投資を柱に事業展開している不動産会社。

企業理念

「豊かで快適な暮らしの創造」

セグメント

●不動産投資事業

再生可能エネルギー関連投資事業

●リノベーション事業

なんとなく、いちご(2377)と似通ったセグメントだと感じました。

⑵ 株主になったきっかけ

株価が十数円だったため、NISA口座の端数処理のため購入。

株主総会に参加し、9年連続の赤字をへて黒字化に至った経緯など、いろいろ貴重な話が聴けたためホールドしているうちに特定口座入り。

⑶ 2021年2月期の経営分析

招集通知をもとに経営分析を試みます。

収益性

売上高11億円に対して28億円を超える営業損失となっており、赤字です。

再生可能エネルギー関連投資事業の協議に時間を要しており棚卸資産評価損が計上された影響とされています。

安全性

流動比率:501%

当座比率:462%

・負債比率:31%

自己資本比率:76%

意外といっては失礼ですが、安全性については問題が見つかりませんでした。

むしろ、良好と言えそうです。

リーマンショックを生き抜いただけあって、財務基盤のしっかりした守りの固い経営だと考えます。

効率性

棚卸資産回転率:0.27

悪い数値が出ています。

棚卸資産が膨れ上がっているということは、”商品”が売れていないことを意味します。

リーマンショックで破綻した新興不動産企業の多くが、流動資産(特に、棚卸資産)の異常な増加によるものとされています。

11億円の売り上げに対して41億円の棚卸資産の額はやはり異常だと考えます。

難航している行政との調整を突破やコロナ禍の終息を契機として、回復への正念場が続きそうです。 

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2 株主総会

⑴ 株主総会

第25回定時株主総会 2021年5月27日(金)横浜タカシマヤローズホール

不参加

第24回定時株主総会 不参加

第23回定時株主総会 参加

第22回定時株主総会 参加

■総評

過去に2回参加しましたが、株主との間の活発な質疑が大変勉強になりました。

・約40社のカタカナ不動産企業がリーマンショックで壊滅(2008年8月にアーバンコーポレイション倒産など)

・不動産は半額以下で処分せざるを得なかった

・銀行からの支援なしに生き延びるすべとパートナーの存在

・10回に及ぶ増資

・債券交渉

・ビジネスモデルを転換し開発許可までしかやらない

・不動産の価値を創造し、収益を高め大手に渡す

・膨れ上がった株数

株主からの「事業は楽しいですか?」の問いに、「楽しいです!」と答えた社長の笑顔が印象に残っています。

⑵  株主還元

配当

株主総会会場となった高島屋ローズホール】                        

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3 株主としてのコメント

いちご(2377)もかつてはアセットマネージャーズを名乗っており、リーマンショックを生き延びたカタカナ不動産会社のひとつと認識しています。

どちらかと言えば、いちごの方が大企業に成長していますが、少数精鋭のランドのしぶとさからもいろいろなことを学ぶことが出来ます。

むしろ課題山積のランドの経営からは下町ロケットのような”ドラマチックさ”さえ感じます。

社長が総会で語る、苦労話や失敗談は鉄板ネタ化している様子。

他の不動産会社ではなかなか聞けない正直ベースの話。

2回しか参加していませんが、リーマンショックの悲劇を聞いて、「今年も頑張るぞ!」という勇気が湧いてくるなんとも不思議な感覚が得られた総会でした。

微力ながらこれからもランドの復活を信じて株主を続けたいと思います。

4 まとめ

ランドについて述べてきました。

 

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

#投資 #株式 #株主総会 #資産形成 #資産運用 #ランド

 

  

乃村工藝社【9716】について

初投稿:2021.6.18、更新日:2021.12.31

こんにちは!

この記事は、乃村工藝社【9716】に関心のある方に向けた株主としてのコメントを記したものです。

丹青社との比較

・アフターコロナ

なお、2021年度第2四半期の報告書が届いたことで、会社四季報を参考に内容を更新しています(更新か所は青字です)。

 【目次】

【東京お台場にある本社ビル】

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1 乃村工藝社について

⑴ 会社概要

創業は明治25年、設立は昭和17年の伝統ある会社です。

主な事業内容は、集客環境づくりの調査・企画・コンサルティング、デザイン・設計、製作・施工ならびに各種施設・イベントの活性化、運営管理とあります。

決算は2月末、グループ全従業員数は契約社員を含め約2600名の会社です。

グループ経営理念

われわれは、人間尊重に立脚し新しい価値の創造によって豊かな人間環境づくりに貢献する

ブランドステートメント

Properity Partner

ノムラが提供する価値

お客様に歓びと感動を提供する

ノムラが目指す姿

社会から選ばれるノムラへ

⑵ 株主になったきっかけ

知人が社員だった関係で関心を持っていました。

五輪関連でも有望かと思っていましたが、コロナ禍で含み損。

同じ理由で買っていた同業の丹青社は株価が回復してやれやれ売りできましたが、乃村工藝社とはもう少し長い付き合いになりそうです。

⑶ 経営分析

収益性

・売上高総利益率:20%

 丹青社と同じ

売上高営業利益率:5%

 丹青社は7%

丹青社と比較した場合、売上高はノムラが大幅に上回っていますが、収益性は丹青社のほうが良いようです。

安全性

流動比率:227%

当座比率:187%

・負債比率:73%

自己資本比率:58%

安全性についての問題は見つかりません。

ただし、丹青社の方がすべての指標でノムラを上回っているようです。

 効率性

・有形固定資産回転率:14

特に問題はありませんが、丹青社の有形固定資産回転率:86に比べてノムラの指標が低いのは立派な自社ビルのコストの影響かもしれません。

2 株主総会

⑴ 株主総会

2021年

第84回定時株主総会 2021年5月27日(金) 乃村工藝社本社ビル

他の総会との競合により不参加

2020年

参加しました。

「お客様に歓びと感動を提供する」というのがノムラの価値感ということでしたが、株主にはそのような感動するような話は総会ではありませんでした(自社ビルの立派さを除く)。

ポイントは次の通り。

・自社ビルでの開催のため株主の数が少なかった。

・質問は1問程度でそれに対する回答も抽象的な一般論に終始。

・関連会社と思われる人が数人、サクラのように出席していた。

なお、2021年4月の丹青社株主総会では参加者が多数かつ和気あいあいとしたムードでした。

昨年のノムラの株主総会とは対照的でした。

⑵ 株主還元

 今期は25円

配当性向は90.6%

過去の配当性向が40%代であったことを考えると、今期は株主への感謝の気持ちを行動で示したような気がいが感じられます。

  

【数年前のライトアップされた本社ビルの写真】                        

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3 株主としてのコメント

⑴ 丹青社との比較

同じ業界でよく比較されるノムラと丹青社

・会社の規模ではノムラ、経営の巧みさでは丹青社

・総会の活気では丹青社、クールさではノムラ

・やれやれ売りできた丹青社、含み損を抱えたノムラ

というおおざっぱなイメージです。

⑵ アフターコロナ

EPSの推移は以下の通りです。

2020年2月:70.1円

2021年2月:27.6円

2022年2月:18.0円(四季報予想)

コロナ終息後も回復は緩やかになりそうです。

それでも、海外アパレル改装やオフィスの在宅勤務対応案件のニーズが堅調のようです。

株主通信には、

・LOQUAT西伊豆

重要文化財である旧函館区公会堂

の改修工事の完成が紹介されていました。

今後の業績は、課題解決型営業を強化してより良い案件を数多く受注することにかかっていると思います。

アフターコロナにおける活動に期待します。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

 

#投資 #株式 #株主総会 #資産形成 #資産運用 #乃村工藝社

  

ワイズテーブル【2798】について〜株主総会雑感

初投稿:2021.6.17、更新日:2022.5.30

こんにちは!

この記事は、ワイズテーブル【2798】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

・企業継続の前提に対する注意疑義とそれに対する対策

・2021年5月の株主総会での会長のいきなお取り計らい

★★★

【目次】

愛宕ヒルズのXEXにて】

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1 ワイズテーブルについて

⑴  会社概要

高級レストラン『ZEX』『サルバトーレクオモ』等を直営・FC展開しています。

ブランド

●ZEX:8店舗

●カジュアルレストラン:直営43店舗、FC30店舗

⑵ 株主になったきっかけ

10年以上前から株主です。

レストランの雰囲気と美味しい料理がお気に入りです。

当時はキャピタルゲインも狙っていましたが、今は優待が魅力なのでホールドしています。

⑶ 2022年2月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:3%

売上高営業利益率:−18%

営業赤字です。

外食産業は原価3割、つまり、売上高総利益率が70%が基本と言われています。

原価にコストがかかりすぎです。

そこからさらに、販管費もかかるので大幅な営業赤字。

助成金のおかげで利益は出ていますが、収益性の改善が課題と考えます。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):107%

自己資本比率(30%以上が望ましい):−2%

債務超過の状態なので財務的には厳しい状況です。

自分の持株の中でも最も安全性の問題のある銘柄となっています。

来年の2月までに解消されなければ上場廃止となるようです。

効率性 

・有形固定資産回転率:7.55

数値としては悪くない値です。

八重洲愛宕の高層ビルの上層階にレストラン(XEX)がありますが、そのことを考えると比較的効率的にお金を使っていると思います。

そして、有形固定資産の内訳は大部分が「建物及び構築物」で約9億円。

「土地」の勘定科目がないことが特徴かもしれません。

また、改修費用でしょうか?「建設借勘定」として13万円も計上されています。

⑷ 2021年2月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:3%

売上高営業利益率:−18%

外食産業の場合、原価3割が基本と言われます。

そのように考えると、売上高総利益率は70%程度とな理ます。

粗利率3%というのは原価が高いことを意味します。

また、営業損失を出していますが、コロナ禍に伴う助成金により経常黒字となっています。

アフターコロナにおいていかにしてお客様に足を運んでいただくかという正念場を迎えることになりそうです。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):107%

自己資本比率(30%以上が望ましい):−3%

自己資本債務超過状態にあり、中・長期的な安全性を示す自己資本比率の数値がマイナスとなっています。

株主総会招集通知に記載されている通り、増資が必要な状況です。

効率性 

・有形固定資産回転率:7.55

10億円を超える有形固定資産を有しており、その中で9億円が「建物及び構築物」となっています。

有形固定資産回転率の数値からは効率的な投資がなさていると考えます。

立地の良い場所に店舗を多く持つことからその強みを活かすことが大切だと思います。

⑷ GC注記

財務的には厳しい状況です。

債務超過(9億7800万円)で上場廃止にかかる猶予期間入り

猶予期間は2021年3月1日から2023年2月28日

継続企業の前提に関する注記に対する対策

①収益構造の改善

・事業環境の変化に応じた売上構造の見直し

・店舗の数値管理強化

仕入れコストの削減

・本社コストの見直し

②資金の確保

 メインバンクとの緊密な関係を維持しながら継続的な支援を得ていくようです。

③資本の増強

 第三者増資ということで会長(約3億円)社長(約1億円)が引き受けていました(資金の調達額約6億円)。

コロナ禍の影響が経営を直撃したことは間違いありませんが、数年前から赤字体質になっていたのも事実。

災い転じて福となすようにこの際、企業の赤字体質改善にまで踏み込んだ改革を期待します

【XEXカード】

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2 株主総会

⑴ 2022年5月の株主総会

第23期定時株主総会 2022年5月26日(木) 六本木ヒルズアカデミー

質疑応答

Q.株を持っていない役員がいることは如何なものか?(毎年の質問のようでした)

A.提言ありがとうございます。社長自身は株式を多く保有している。役員も3年前から業績不振の責任を取って報酬10%カットで頑張っている。

Q.上場の維持について(GC注記、債務超過に対する説明)

A.現在は、9400万円の債務超過状態だが、今期は5億円の予算を見込んでいる。内訳は、助成金2億円と利益3億円。これにより高い確率で債務超過状況を解消できると考える。

Q.女性取締役候補の抱負について

A.女性ということを特に意識したわけではないが、女性が働きやすい職場づくりに寄与できればと考えている。管理部門担当(CFO?)として職務に取り組みます。

会長からの挨拶

現場を回っている。

XEXやサルバトーレクオモのブランド力を実感するとともに、さらにブランド力を磨くことを目指す。

現場にはしっかりとした人材が残っている。

XEXのランチを3500円から5000円に値上げさせていただいているが、商品やサービスを高めているためお客様にも喜んでいただいていると思う。

財務的な仕打ち目標は達成できると考えており、来期はさらに儲かる会社になると予想する。

”よろしく!”

⑵ 2021年5月の株主総会

第22期定時株主総会 2021年5月27日(木) 六本木ヒルズ

出席した人の話によると会長から

・会社はお金を貯めることをしてこなかった。

・無駄なお金の使い方も多々あった。

・各店舗を回って指導をしていきたい。

・お土産は郵送します。

とのことでした。

債務超過になった原因はもちろん経営者にありますが、過去の株主総会でもほとんど発言をしてこなかった自分を含めた株主側の姿勢も残念に感じられます。

⑶ 2020年株主総会の様子

 2020年7月29日(水) 六本木ヒルズ森タワー59階のアカデミーヒルズ

で行われました。

 社長が自己資本を確保するため、無配となってしまうことを申し訳なさそうに説明されていました。

また、経営に関してご自分の管理が甘かったかもしれないと総括されているのが印象的でした。

元社員で外での勉強を経てワイズテーブルに復帰する後継者が新社長に指名され、本総会は締めくくられました。

お疲れさまでした。

前社長は新社長に対しては、「儲かる会社にしてほしい!」と要望されたとのこと。

新しい社長は、挨拶の中でまず、「社員は宝」とおっしゃっていました。

その上で、コスト管理リスク管理を徹底しコロナ禍をしのぎ、その後はZEX等のブランドの持つ営業力を活かし、売り上げを作る力を伸ばしていきたいとのことでした。

財務的に厳しい状況で、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していますが、それを乗り越えてこうとする意気込みが感じられました。

⑷ 株主還元

配当

なし

株主優待

2月末日と8月末日に100株以上の株主に対して

食事券1,000円×5枚

がいただけます。

また、3年以上継続保有の株主に対しては

「XEX MEMBERS CLUB」

がいただけます。

お土産

今回の総会出席者に配られたピザは久しぶりの豪勢なお土産でした。

株主総会参加者に後日配達されたお土産のピザ2枚】

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3 レストランにて

XEXについては愛宕グリーンヒルズでランチ(天ぷら定食)を頂きました。

お客さんはそれほど多くはありませんでしたが、常連さんらしい方が何人かいらっしゃっていたようでした。

それよりも、メニューの更新がずいぶん滞っていることの方が気になります。

サルバトーレクオモは六本木と豊洲にてランチを楽しみました。

どちらもほぼ満席。

料理も美味しかったです。

店員さんの”不慣れ”な部分もご愛敬。

コロナの終息とともにお店は活気を取り戻すだろうと感じました。 

 

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4 株主としてのコメント

話は飛びますが、同じく継続企業の前提に疑義のついたペッパーフードサービスの総会にも行きましたが、あちらの債務超過は約60億。

ワイズテーブルは1億弱。

比較することに意味はありませんが、ペッパーフードの株価は上昇トレンドを継続しており、自分の持ち株もダブルバーガーになっています。

飲食業界にも追い風が吹いています。

経営危機に陥った会社については、そのお店や料理のファンがどれだけいるかが最終的に会社の存続を左右すると思います。

「いきなりステーキのお肉が一番おいしい!」

という名古屋から出席した株主が印象に残っていますが、

「XEXやサルバトーレクオモでのイタリアン料理が一番おいしい!」

と自分も同じくらい思っています。

期待できる要素を列挙します。

・ファン(常連客)がいる

・コロナ禍終焉

・株価のV字回復

コロワイドからの取締役の参加(食材の共通化によるコスト削減)

はらはらしつつも、末永く株主として応援していきたいと思います。

4 まとめ

ワイズテーブルについて述べてきました。

GC注記解消のため、頑張っていることがよくわかりました。

商品やサービスを値上げする一方で、付加価値をより多く提供することで客離れを防ぎつつ収益を上げる戦略がどうなるか期待しています。

会長の”よろしく!”の一言に頼もしさを感じました。

ワイズテーブルのブランド力が試されています。

お読み頂き、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

#投資 #株式 #株主総会 #資産形成 #資産運用 #ワイズテーブル