こんにちは!
この記事は、NTTデータ(9613)に関心のある方に向けた株主としてのコメントを記したものです。
・32期連続増収
・海外事業で苦戦する理由は
【目次】
1 NTTデータについて
⑴ 会社概要
NTTグループのSI専業最大手で、官公庁や金融機関に強みを持っています。
⑵ 株主になったきっかけ
昨年NTTがドコモを買収した際に、6Gで飛躍を目指すNTTとともに応援する意味で購入しました。
株価はその後、順調に推移して含み益を抱えています。
⑶ 経営分析
32期連続増収とのこと。
上場してからずっと売上増の状態が続いています。
招集通知の計算書類から簡単な分析をしてみます。
■収益性
・売上高営業利益率:6%
あまり高いとは言えません。
■安全性
・流動比率:120%
・負債比率:157%
・自己資本比率:39%
財務については思ったよりは良くない数値です。
■効率性
・売上債権回収率:3.85
サービス業の平均より低めです。
規模はデカイですが、収益性、安全性、効率性の点で特に優れた経営がなされているとはいいがたい状況と分析します。
2 株主総会等
⑴ 株主総会
第33回定時株主総会 2021年6月17日 NTTデータ品川ビル(アレア品川)
ライブ中継を見ました。
役員全員がマスクスている姿に違和感を感じました。
質疑応答
A.上々を維持し、2025年までにグローバルトップ5になるという目標を目指し、ITサービス業界で強くなる。
Q.デジタル庁設置の影響は?
A.デジタル庁設置を追い風として、イノベーションを通じて価値を提供し続けることにより、Society5.0の実現を目指す。
Q.グローバル事業の収益性改善の展望は?
A.人材拡充、スキル向上、リソースの最適化を通じて利益を出せるようにする!
Q.取締役の報酬制度の変更について分かりやすく説明してほしい。
A.業績連動報酬を30%から50%に変更する。更に20%は非金銭(株式)とする。そうする事で、モチベーションのアップと株主との一体感を醸成できるようになる。
Q.総務省幹部との会食について?
A.特別調査委員会を設置して調査を実施した。岩本相談役が2回会食を行った。贈賄の事実はなかったが、社内規定違反のため減額処分とした。更に、コンプライアンス研修やチェックの強化を通じて再発防止に努める。
以上、事前の質問に対する回答
出席者からの質問
Q.NTTが進める6Gにどのような貢献ができるのか?
A.アイオン推進室とソーシャルデザイン推進室を設置し6G推進に貢献している。
Q.海外事業は十数年間で7〜8、000億円投じて営業利益0とは異常ではないか?
A.2005年をグローバル元年とし今年で16年目となる。今期は結果を出す。北米はEBITDA7%、ヨーロッパはEBITDA5%を目指す。
⑵ 株主還元
配当は一株当たり18円で前期と同じです。
3 株価が北米で苦戦することの理由について
32期連続増収というのは、上場以来ずっと増収を続けているということを意味します。
また、写真にあるように、豊洲駅直結の立派な自社ビルを抱えています。
IT企業としても代表的な企業のひとつとして誰もが認める大会社です。
そして、グローバルトップ5を目指して総力を結集しています。
にもかかわらず、海外では苦戦しています。
北米では十数年間7000億円以上を投じて営業利益が出ないのは何故か?
自分の仮説は、
NTTデータのサービスは海外等では通用しない
というものです。
官公庁や金融機関に強いということは、言葉は乱暴ですが、ド文系の高級官僚やド素人の銀行マン相手のゆるい仕事なら何とかやりくりできると思います。
しかし、ICTリテラシーの高い海外ユーザーの要求を満足するサービスを提供できなくて不採算事業が積みあがっているのではないかというのがその理由です。
マイナポータルを提供しているのもNTTデータということですが、みなさん、マイナポータルって使いづらくありませんか?
私事ですが、昨年、マイナンバーカード関連でマイナポータルを使った時には原因不明のエラーが連発した記憶しかありません。
そのことは、ゆるいB to Bなら通用しても、私達一般ユーザーが使うよりユーザーフレンドリーなアプリの提供であるB to Cになるとぼろが出るというということを意味します。
さらに、招集通知を読むと、専門用語、カタカナ、略語のオンパレードで読んで頂くという姿勢、読み手の負担を少なくするといった気遣いに欠けていることも、高いレベルを要求される海外のサービスを満足することが出来ない現実と符合します。
NTTデータの強みというのは高い技術力というよりは、お金があって技術に疎いド文系やド素人の顧客に恵まれているということにあるのではないかと考えます。
4 株主としてのコメント
DXと緩い顧客に恵まれて、これからも株価はそれなりに堅調に推移すると予想します。
けれども、何をどう考えても、2025年にグローバルトップ5になれるとは思えません。
株主からの質問に対しても、
頑張ります!
の一点張りでは説得力がありません。
もちろん、自分の勉強不足もありますし、会社は何か秘策を用意しているかもしれません。
でも、一般論ですが、十数年間海外事業が上手くいかなかったのには原因があるはずです。
その原因が何かを突き止めて、排除して初めて次のステップに進むことが出来ると考えるのが”ふつう”の考えだと思います。
残念ながら、社長の説明からは何が海外不振の原因だったかを今回の株主総会では聞くことが出来ませんでした。
またNTTの6Gを支援するために推進室を設置したと説明がありました。
推進室をつくるということは、
「6Gは推進室に任せればいい」
という雰囲気を社内全体に蔓延させることに通じます。
そして結果的に、全社レベルのリソースを活かした支援が出来できず、親会社NTTの期待を裏切ることが目に見えています。
そういった点からも、グローバル化は難しいのでは?
本間社長、悪いことは言いません。
グローバルトップ5など目指さず、まず、マイナポータルをより使い勝手の良いアプリにに改善するなどの実績を積みながら、顧客満足を高める組織文化の醸成から手を付けたほうが無難だと思いますよ。
おつきあいいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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