初投稿:2021.3.15、更新日:2022.2.25、2023.2.22、2024.3.5
こんにちは!
この記事は、スターマイカ【2975】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
・リノベーション業界ナンバーワン
・長期投資家に支えられた会社
なお、2024年2月の株主総会に参加したこと等を追記し記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。
【目次】
1 スターマイカについて
⑴ 会社概要
不動産会社でありリノベーションマンションのリーディングカンパニーです。
売上高488億円、総資産949億円、時価総額178億円の事業規模。
会社の無形資産(のれん、ブランド力)を示すPBRは0.76倍であり昨年よりも低下しています。
企業理念
「”作る”から”活かす”社会を実現します」
セグメント
3つの事業を展開しています。
リノベーション事業
リノベーション事業は、多数の賃貸中の分譲中古マンションを取得し、ポートフォーリオとして賃貸運用しながら、退去したから物件を1室ずつ順次リノベーションして居住物件として販売する事業。
安定的な賃料収入が得られる特徴があります。
インベストメント事業
インベストメント事業は、分譲中古マンション以外の収益不動産について、賃貸又は販売目的で投資運用を行う事業。
市況の変化を受けて、前連結会計年度までに全保有物件の売却を完了していたそうです。
アドバイザリー事業
アドバイザリー事業は、不動産の売買仲介、賃貸管理等の「フィー(手数料)ビジネス」を行う事業。
⑵ 株主となったきっかけ
株主となったのは5年以上前です。
テレビ東京の番組を通じて、リノベーション事業のユニークなビジネスモデルに将来性を感じたのが購入したきっかけ。
NISA口座で購入し、価格は買値の倍以上になり分割。
このため、一株を売り利益を確定。
残りの一株を恩株としてそのまま特定口座へ移管して保有し続けています。
【第25回株主総会の案内板】
⑶ 2023年11月期の経営分析
当期は増収減益と元気がありませんでした。
収益性
・売上高総利益率:17%
・売上高営業利益率:10%
前期よりも収益性はそれぞれ3%程度低下しています。
株価はそのことを素直に反映していると考えます。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):412%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):30%
短期的には問題ありません。
中・長期的には前期よりも向上して30%を達成している点は評価できると思います。
効率性
・有形固定資産回転率:995
昨年より向上し、極めて高い数値となっています。
ただし、有形固定資産、棚卸資産、売上債権については概ね昨年と同じ水準を保っています。
⑷ 2022年11月期の経営分析
当期については増収・増益となっています。
収益性
・売上高総利益率:20%
・売上高営業利益率:13%
前期よりも収益性は高まっています。
一般的に営業利益率が10%を超えると優良株と言われますが、そのレベルに至っています。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):719%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):24%
短期的には問題ありませんが、中・長期的には懸念される数値となっています。
なお、財務ひいては安全性については昨年と同レベルと見なすことができます。
効率性
・有形固定資産回転率:784.7
昨年よりは低下しているものの、高い数値となっています。
有形固定資産については約6,100万円程度しかないためです。
この点については効率的な経営がなされていると考えられます。
⑸ 2021年11月期の経営分析
今期は減収増益
前期は増収減益
収益性
・売上高総利益率:15%
・売上高営業利益率:8%
不動産会社としては頑張っていると思います。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):745%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):25%
短期的には安全性は問題ありません。
ただし、中・長期的には懸念があります。
資本増強のための資金調達の話も招集通知に掲載されていました。
効率性
・有形固定資産回転率:907.77
ちょっと桁違いに良い数値が出ています。
不動産会社なのに有形固定資産が小さいためですが、ビジネスモデルと関係があるように考えます。
ちなみに、流動資産に占める販売表不動産の金額が極めて大きいです。
2 株主総会等
⑴ 2023年2月の株主総会
第26回定時株主総会 2024年2月22日(木) ホテルオークラ
会場が程よく埋まるくらい(数十人)の株主が集っていました。
報告事項の省略が続き、総会開始後7分後から質疑応答が始まっています。
主な質疑応答
Q.IRの活性化が必要ではないか?
A.全般的にIRを見直しており、開示の量は増やした。
IRの拡充についてはリソースを考えつつ検討する。
Q.中期経営計画の動画について
A.コストもかかるので検討していきたい。
Q.PBR1倍割れ対策について(WAC2%はいかがなものか)
A.株価については満足していない。
自己株式の取得等で対応する。
資金調達については、エクイティが6%、デットが1%と考えている。
Q.中期経営計画に数値がないことについて
A.数値ありきという姿勢はとっていない。
Q.IRの現状について
A.機関投資家からの多い質問は?
・含み益の活用法
・PBR1倍割れ対策
・株価が冴えないが問題があるのか?
など。
機関からの”買い”は入っている。
Q.契約期間の短縮について
A.現状は145日(約5ヶ月)だが1〜2ヶ月は短縮可能。
Q.株価が冴えないことについて(機関からの売り)
A.当社株を保有していた海外の機関のファンドマネージャーの交代に伴う大量の売りがあった。
Q.マーケットからスポイルされていることについて
A.株価が冴えないのに凡庸な数値目標しか出していないことについての指摘は承った。
ただし、バブルに踊って退場した会社のようにならないような慎重さも必要。
Q.当社の強みについて
A.リノベーション事業そのものでは大きな差別化は期待できない。
当社の強みはコスト競争力。
リノベーションする会社にアウトソースすることはあり得る。
Q.中計で意味するところは成熟(成長を諦めた)ということか?
A.安定的な成長を目指している。
Q.新規事業がないことについて
A.既存事業とかけ離れたことはしない。
Q.勤続年数が長くなることに伴う高齢化の懸念について
A.当社は土日が休みの不動産会社という点が社員から評価されており、そのことが勤続年数の長さに繋がっていると考える。
Q.外国人プレーヤーの影響について
A.埼玉県川口市のように中国人が強いエリアはあるが影響は限定的。
Q.「販売単価の上昇を意識した経営戦略を実行」した結果、増収減益となったことについて
A.価格が上がりやすい物件を仕入れることに注力したという意味である。
会社は
成長→安定→成長
というサイクルを繰り返す者と認識。
当社はリーマンショック時でも黒字を出すとともに、これまでサバイバルしてきたことを見てほしい。
Q.自社株買いについて
A.流動性が低下することは懸念材料
Q.経営説明会をこの場で開催しては?
A.会場の時間の都合で困難。
Q.冴えない株価にも関わらず10年単位の長期株主が多いことは、期待されていることだと思う。自信を持って経営に当たってほしい!
A.ありがとうございます。
決議事項
・取締役1名選任の件
・監査役会設置会社である取締役1名選任の件
拍手をもって承認・可決されました。
なお、2号議案で選出された女性取締役は、社長とはコンサル時代からの知人であり、”お飾りでない女性取締役”と紹介していた社長の言葉が印象的でした。
多分、お疲れ気味の社長を精神面で支えることが期待できる方だと感じました。
株主総会雑感
2月は3社の株主総会に足を運びました。
それぞれのざっくりとした印象は下記の通り。
・トーセイ:株価は元気、社長も元気(口が上手い)
・エスプール:株価は低迷、社長は元気(社員や株主にも信者が多数)
・スターマイカ:株価は低迷、社長もお疲れ
今回の株主総会の1時間半の間で、社長が説明したのは最初の7分間のみ。
あとは、株主からの質問対する回答タイムがずっと続きました。
相変わらず丁寧に回答していたものの、明らかに疲労困憊のご様子。
最後の株主からの、
”自信を持って経営に取り組んでください。”
が全てを物語っていました。
冴えない株価に”モンク(建設的な提言を含む)”を言いながらも、長期間株を持ち続ける株主の愛に支えられた会社だと感じました。
自分もその中の一人として株主を続けたいと思います。
【株主総会会場の1階ロビーにて】
⑵ 2023年2月の株主総会
第25回定時株主総会 2023年2月22日(水) ホテルオークラ
昨年同様、ホテルオークラのお水を頂きました。
社長から中古マンション市場全般についての説明がありました。
具体的には新築マンショの供給不足による中古マンション市場が拡大とのことでした。
さらに、次回から株主総会招集通知等の資料を書面で交付請求する方法についても言及がありました。
社長の説明はいつも丁寧で好感が持てます。
主な質疑応答
A.コスト等の問題もあるが、検討していきたい。
Q.広告宣伝戦略について
A.今までは小さな会社小さなリノベ市場であったが、会社や市場の成長につれて広告の必要性を認識している。
ただし、TVのCMまでは考えていない。
A.金利のヘッジ手段として実施している。
金利についてては(ヘッジ可能なものは)7〜8年の固定を中心として一部は変動としている。
ヘッジを通じて儲けることは考えていない。
Q.中古マンションの購入価格帯について
A.従来からの顧客層である3000万円台のマンションに加え、新築マンションの価格高騰に連れてそれ以上の価格帯帯のマンショのも売れている。
ただし、買うことも難しくなってきている。
Q.ホテル事業への進出について
A.様々な新規事業について検討しているが、社員数が200名であることを踏まえ、好調なリノベ事業に注力していきたい。
なお、中古マンションの価格が天井に近い可能性があるので慎重に事業を実施していく。
Q.EVチャージについて
A.駐車場の管理でありリノベとは直接関係ないが、働きかけはしていきたい。
Q.金利上昇について
A.現状は長期固定金利が上昇しているが変動金利も今後は上昇すると見込んでいる。
また、金利上昇局面における駆け込み需要で上半期の売れ行きは好調である。
ただし、下期については売れ行きが下がるの懸念もある。
Q.一棟買いについて
A.現需要のリノベ事業に注力していきたい。
決議事項
・定款一部変更の件
・取締役1名選任の件
・監査等委員である取締役3名選任の件
・補欠の監査等委員である取締役1名選任の件
拍手を持って賛成・可決されました。
最後に新役員(女性)の紹介があり散会となっています。
⑶ 2021年2月24日(木)オークラプレステージタワー7階 メイプル
場所は昨年の上層階から下層階へ変更になりましたが、相変わらずのプレステージタワーでテンション上がります!
会場入り口でホテルオークラのお水をありがたくいただきました。
そして、会場内は30名程度の方がいらっしゃいました。
質疑応答
Q.株主総会の配信について
A.積極的に検討する。
Q.障害者雇用について
A.バリアフリー商品への意見を反映させる等、知見の活用を図っている。
Q.HPのつくりが上手な新しい会社との競争について
A.ユニークなビジネスモデル、21年間のビジネスの知見などの強みを活かす。
Q.中古マンションの事故物件などを含めたコンプライアンスについて
A.コンプライアンスについては十分気をつけて行く。
なお、これまで赤字になったこともなく、厳しいノルマを課してブラック化せざるを得ない状況になったこともない。
Q.アフターコロナの競争戦略について
A.3000個以上の取扱実績(ボリューム)によるスケールオブエコノミーを活かす。
Q.株価が低いのはIRの努力不足では?
A.IRについては過去に外国人に対して実施して効果があったことが確認されている。
個人のみならず、コロナ収束と共に外国人に対する積極的なIR活動を展開していきたい。
Q.過去10年の会社の成長について
A.東日本大震災の頃から今日の「踊り場戦略」までについて社長から説明
Q.ツクルバとの業務提携について
A.ネットを通じた顧客獲得という点での業務提携。
今後も、ネットとリアルのバランスをとりながら、業務提携を相手を精査しつつ業務提携を積極的に継続していく。
Q.リノベーション物件の売買の意思決定について
A.社長によるトップダウンの意思決定の”読み”が外れること自分自身良く自覚している。
このため、社外取締役(大学教授、官公庁出身者)、現場の営業や財務担当と毎日のようにディスカションして戦略的な意思決定に努めている。
Q.マンションリノベーション事業の規模について
A.リノベーションマンションの市場規模は、全国で約6万個(首都圏で4万個)であり、会社が扱うのは1200〜1500個である。
よって、まだ数パーセントでありこれからの成長余地は膨大と認識(まだまだ、個人間の取引が多い)。
決議事項
取締役選任の件
4回目の拍手を持って承認
なお、株主総会終了時の拍手はありませんでした。
⑷ 2021年2月の株主総会
2021年2月24日(金) オークラ プレステージタワー41階 エトワール
新しいホテルにテンション上がりました。
素晴らしい会場でした。
総会の進め方も丁寧。
例えば、株主の承諾を得るための拍手の機会が3回ありました。
これは、出席者とのコミュニケーションを大切にする姿勢ととらえました。
質疑応答
主なものは下記の通り。
Q.新株予約権の行使状況は?
A.行使せず。
Q. 今期の利益率が前期と比べて低下した理由は?
A.コロナ禍の不動産市況を踏まえ保有不動産の換金化を急ぐため値引きして売却したため。
Q.ビジネスモデルは維持されるのか?
A.そのとおり。ビジネスモデルの優位性は変化していない。チューニングをしつつ規模の利益を追求していく。
Q.不動テックについての取り組みは?
A.今後、力を注ぎたい。
Q. 販売価格帯に変化はあるのか?
A.3000~4000万円のボリュームゾーンを中心としつつ、5000~6000万円の良い物件にも対象を増やしていく。
けれども億ションは不況に弱いため手を出さない。
決議事項
・取締役選任の件 3件
でした。
4回目の拍手をもって滞りなく承認されました。
総会終了後、会場のブラインドが開けられて素晴らしい眺望が現れました。
⑸ 株主還元
配当
一株配当実績は下記のとおり。
当期は減配です。
配当を出してからずっと増配基調だっただけに残念です。
2023年11月期:20円
2022年11月期:39円
2021年11月期:33円
2020年11月期:32円
2019年11月期:16円
2018年11月期:0円
株主優待
なし(廃止)
【株主総会の会場からの眺望】
3 株主としてのコメント
⑴ 株式の保有方針
引き続き、長期で持ち続けたいと考えています。
理由は2つ。
世界の主要な中央銀行が通貨を大量供給しているので、モノの価格は上がります。
その際、モノには債券、株式、不動産、金、暗号資産等があり、不動産会社の株は、不動産と株式の両方の恩恵を得られると考えるのが理由の一つ目。
ただしモノの価格の上昇にはタイムラグがあります。
よって、会社が末永く存続していかなければならいません。
その意味で、慎重な経営をしつつ株主に対する説明責任を丁寧に果たそうとする社長の真摯な態度に信頼感を感じたことが2つ目の理由です。
ちなみに、株主優待を廃止し配当による株主還元に力を注ぐとのこと。
会社の決断を理解するとともに、これまで毎年クオカードを頂いたことに感謝します。
⑵ 気になったこと
資金調達
株主総会招集通知の「対処すべき課題」の中で財務基盤の強化が挙げられていました。
その中で「多様な調達手法の模索を行う必要があると考えております。」との気になる記述を発見。
自己資本比率が小さいので公募増資などもあるかもしれません。
短期的な株価の乱高下は覚悟したいと思います。
DXへの取り組み
DXに取り組む方向性は良いと思います。
そのためのツクルバとの業務提携と認識しています。
ただし、せっかくリノベマンション事業についての多くの一次データを自社で活かせないのはもったいない気がします。
将来的には、ITに強い社員の育成・役員の選任、あるいはIT企業のM&Aも視野に入れてみても良いのではないかと気になりました。
【廃止された株主優待】
4 まとめ
スターマイカについて述べてきました。
リノベマンション業界のリーディングカンパニー、ユニークなビジネスモデル、株主総会における社長の丁寧な対応、そしてSDGsの追い風など心強い点が多くあります。
そして株チューバーにあまり取り上げられていないことも安心です。
このまま静かな環境下で株主を続けていきたいと願っています。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。