初投稿:2021.3.18、更新日:2022.3.1
こんにちは!
この記事は、ファーストブラザーズ【3454】に関心のある方に向けた株主のコメントをまとめたものです。
なお、2022年1月に実施された株主総会等の内容を追記し、記事を更新しています(更新箇所は青字です)。
・不動産業ではなく証券・先物業(四季報)
・無形資産を通じた企業価値向上の必要性
【目次】
【株主総会会場 JPタワー・KITTE】
1 ファーストブラザーズについて
⑴ 会社概要
丸の内に本社をを持つ証券・先物業の会社です。
企業理念は資産運用ビジネスの分野において、「最高のプロフェッショナルであり続ける」です。
行動規範は、「クライアントファースト」、「パフォーマンスファースト」、「コンプライアンスファースト」とのこと。
この3つの行動規範はどこまで実践できているか・・・。
セグメント
2つのセグメント別の業績は次の通り
・投資銀行業務
新規にアセットマネジメント業務を受託したことによるフィー増加による増収増益。
・投資運用業務
不動産の売却期間が長期化したことによる減収減益
⑵ 株主となったきっかけ
マネー雑誌の紹介で関心を持ち、11月決算と高配当、優待に惹かれて株主となりました(その後の優待改変で対象外となってしまいましたが・・。)。
⑶ 経営分析
2020年11月期:減収減益
2021年11月期:増収増益
収益性
については、売上高営業利益率をみると
・売上高総利益率:25%
・売上高営業利益率:16%
ちなみに、売上高営業利益率は前期よりも1%低下しています。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):1196%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):25%
流動比率から短期の安全性については問題は見出せません。
けれども、自己資本比率については前期の56%から大幅に悪化しているとともに、中・長期的な安全の基準と言われる30%を下回っています。
効率性
・棚卸資産回転率(数値が大きいほど効率的):0.28
前期が0.39だったことと比較すると、こちらも効率が落ちています。
よって、収益性、安全性、効率性において前期よりも今期の方が冴えなく、かつ、平均的な数値を下回っていると考えます。
2 株主総会等
⑴ 2022年2月の株主総会
第18回定時株主総会 2022年2月25日(金) JPタワー・KITTE
社長の「おはようございます」の第一声で始まりました。
ビデオによる事業報告があり、不動産投資案件に対する目利きを活かした資産運用ビジネスをアピールしていました。
また、対処すべき課題にも触れられていましたがこちらは株主総会招集通知と同じ内容でした。
質疑応答
一人1問ということで二人から2件の質問がありました。
Q.PBRが0.5程度であり投資家の評価が低い。エーザイはPBR向上作を発表しているが、取締役候補者の中でPBRを上げることとを通じて企業価値向上するアイデアを持つ人はいるのか?
A.今は収益向上に注力しており、PBR向上については今後検討していく。
Q.成長性が落ちているのではないか?
A.そのようなことはない。賃貸収益と物件売却を長期的にバランスよく成長性に結びつけていく予定である。
決議事項
取締役6名選任の件
監査役3名選任の件
補欠監査役1名選任の件
資本金の減少の件
拍手を持って承認されました。
なお、新任取締役の挨拶があり閉会。
その際株主からの拍手がありました。
⑵ 2021年2月の株主総会
第17回定時株主総会 2021年2月25日(木) JPタワー・KITTE 4階
活気が感じられない株主総会でした。
参加者も少人数。
質問は1件
調達した資金をどのような不動産に投資をしているのか具体的に教えてほしいというものでした。
これに対する回答は、会社はオフィスビルに4割、商業施設に4割、ホテルに2割投資しており、物件は主に郊外の駅前が中心のこじんまりとした物件とのことでした。
このような基本的な質問を、社長自身ではなく、担当者に応えさせるという姿勢が低迷する会社の現状を象徴しているように感じました。
そして、取締役選任の件に関する議案は粛々と可決されました。
また、総会全体を通じて拍手が少なかったです。
⑶ 株主還元
株主優待
株主1年目
クオカード(1000円)が届きました。
高級感ある厚紙にオリジナルのクオカードは、同じクオカードでも差別化を図っており、評価できます。広告効果も狙っているのかもしれません。
株主2年目
長期株主優待制度によって200株を1年以上保有すことにより、オリジナルクオカードが4000円を頂きました。
来年以降
株主優待を変更し、プレミアム優待倶楽部となってしまったため、500株以上でないと優待は頂けなくなりました。
現在の持株は200株。
残念ながら、現在の業績を考えると残り300株を買い足す気にはなれません。
【以前の長期株主優待制度で頂いたクオカード2,000円×2枚】
配当
一株あたりの配当の推移は下記の通りです。
2018年11月期:18円
2019年11月期:21円
2020年11月期:24円
2021年11月期:27円
業績低迷期も含め、連続増配というのはありがたいことです。
3 株主としてのコメント
⑴ 気になったこと
社内外の評価の低さ
PBR(株価純資産倍率)=時価総額÷純資産
で計算されます。
PBRが低いということは時価総額が低いということで投資家からあまり買われていない、つまり、市場の評価が低いことを物語っています。
また、対処すべき課題の中に、
「優秀な人材の確保と社内育成、流出の防止について」
という項目があります。
このことは、社員からの評価も低いということを意味しています。
ではなぜ、社員からも市場からもファーストブラザーズは評価が低いのでしょうか?
結局は大株主である社長に魅力を感じない人が多いことに尽きると考えます。
よく、組織が活性化しそこで働くする人が生きがいを持って仕事する要件として3Cが大切だと言われます。
3Cとは
コンピテンス:能力
コミュニティ:組織
キャラクター:人柄
の3つであり、どれ一つ欠けてもうまくいきません。
能力が高い社員が集まり、組織が整備されていても、そこで働く人の人柄・評判などが芳しくなければ物事はうまく回りません。
もう少し、社長は明るく振る舞い投資家には希望を、社員には生きがいを感じさせる配慮があっても良いと思います。
人材流出防止について
人材流出の防止は大切だと思います。
ただし、離職率がゼロになればいいというものではありません。
離職率ゼロというのは正しい人事評価がなされていないということですし、組織の活性化の点からも良いことではありません。
そのように考えると、単に「人材流出防止」を課題として上げるだけでは不十分です。
組織に必要な人材は残し、そうでない人には別な道を歩んでもらうことを考えた妥当な離職率という数値(範囲)が見えてくるはずです。
そのようなことも考えての人材流出防止策を考えているのかどうか、気になりました。
⑵ 今後の方針
過去に読んだ雑誌の中ではこのファーストブラザーズが大化けする銘柄として紹介されていたこともあります。
けれども、数年間株主でいてそのようなことの実現可能性は低いと感じています。
もちろん、株主となったタイミングにもよると思います。
ただし、業績不振の根源は、社長が発行済み株の過半数を握っていることの安心感にあるのなら、長期的な時間軸において大きな成長を期待するのは難しいと考えます。
社長の活気の無さはそこに起因しているように思えてなりません。
そう考えると、過去、減収減益にもかかわらず増配したことや株主優待制度の改悪も理解できます。
社名はブラザーズとなっていて金融と不動産のプロフェッショナル集団を名乗っていますが、実際は社長が株式の過半数を握る”オーナー経営”の会社です。
ある意味、社名が会社の本質の隠れ蓑のようになっているようにも思えます。
もちろん、オーナー経営の会社でも立派な会社はたくさんあります。
権八やラボエムなどを展開するグローバルダイニングの社長も会社の株式の過半数を握っていますが、コロナ禍における経営には共感することが多々あります。
投資をする際、経営者の人となりを見ることの大切さを痛感しています。
【株主総会会場となったJPタワー・KITTEからの眺望】
4 まとめ
ファーストブラザーズについて述べてきました。
企業価値は有形の資産と無形の資産の2面があり、PBRを通じて、のれん、企業のブランド力、成長ストーリー、戦略力、社員のモチベーションなどの無形資産の重要性に焦点を当て、社内外の評価の低さを指摘しました。
不動産業のように思いがちですが証券・先物業の会社であり、ファーストブラザーズという社名で経営陣の強固な団結を謳っている一方で社長一人が株式の過半数を握っていたりと不思議の一面もある会社。
高配当や優待の魅力もありますが、不思議なところを見つけることに楽しみを見出す方には興味深い会社だと考えます。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。