2020.8.20初投稿
2021.6.19更新
こんにちは!
この記事は、コムチュア(3844)の株式に関心のある方に対して、個人投資家としての所感をまとめたものです。
【目次】
1 コムチュア について
⑴ 会社概要
クラウド事業を中心とし、デジタル・トランスフォーメーション(AIやRPA)にも力を注ぐソフトウエア会社です。
朝のテレビ東京のニュース番組の中で流れるCM、ラジオ日経での「コムチュアIR特集」その他IRイベントでもおなじみの方も多いと思います。
■株主総会招集通知および株牛通信から
売上高11期連続増収
営業利益10期連続増益
創業以来、年平均成長率15%を達成!
ROE:17.7%達成(目標20%)
配当性向:47.4%(目標45%以上)
■グループ事業は次の5区分。
昨年の4つから5つに変更されています。
①クラウドソリューション事業
②デジタルソリューション事業
③ビジネスソリューション事業
④プラットフォーム・運用サービス事業
⑤デジタルラーニング事業
業界に詳しい方でないとビジネス内容を理解するのは大変だと思います。
株主総会でも、会社の事業内容が分かりずらいという意見がありました。社長から説明がされていましたが、残念ながら良く分かったという気持ちにはなりませんでした。
⑵ 株主になったきっかけ
ラジオ日経のマネー番組を愛聴していたため、かなり前から知っている会社で売買も数回行ってきました。
今後、デジタル・トランスフォーメーションが続くと思い昨年NISA口座で購入しました。
コムチュア他、IT系企業の株価はボラティリティが高いと思います。
この1年をみても
・高値3295円
・安値2147円
と乱高下しています。
含み益の期間も有りましたが、今は塩漬け状態。
⑶ 経営分析
株主総会の招集通知の財務諸表をもとに分析しています。
■収益性
2020年3月期と2021年3月期の推移を示します。
・売上高総利益率は22→23%
・売上高営業利益率は14→15%
コロナ禍において収益性は向上しています。
■安全性
・流動比率約393%→354%(目安として200%以上が安全)
・負債比率32%→33%(目安として100%以下が安全)
・自己資本比率は76%→67(目安として30%以上が安全)
昨年より若干数値は悪くなってはいますが、財務基盤にも問題は見られません。
■効率性
売上債権、棚卸資産、有形固定資産の回転率については問題はなく、効率的な経営をしているようです。
2 株主還元等
⑴ 配当
1株あたりの配当は7円75銭
年間31円となります。
配当性向45%以上は株主としてはありがたい目標です。
四半期ごとに配当をしている会社は珍しいです。
株価のボラティリティが高いことへの対策なのか、長期株主を優遇する姿勢が見受けられます。
⑵ 株主優待
300株 クオカード1000円分×2回(3、9月)
300株で優待が得られる会社も少なくありません。
自分の持株の中ではヒューリック(3003)のグルメギフト、ヨシムラフードサービス(2884)の自社製品、サムティ(3224)の無料宿泊券2枚(最近は200株1枚もあり)などがあります。
ボラティリティが高いので、下がった時に買い増してほしいと会社が考えていると思うのは深読みのしすぎでしょうか・・・。
3 株主総会
⑴ 2021年3月期
第37期定時株主総会 2021年6月15日(火) ゲートシティ大崎
都合がつかず不参加・・・残念です
⑵ 2020年3月期
第36期定時株主総会 2020年6月23日(火)
総会に参加するのははじめてでした。
社長が緊張気味だったのが印象的でした。
会長は終始無言。
IRに力を注ぐ会社のひとつにぺプチドリームがありますが、株主総会でも積極的に”IR活動”されており、それがふつうだと思っていました。
ということで、コムチュアの”IR活動”の無いクールな総会は意外でした。
株主総会とIR活動は別物と考えているようです。
また、中期的な会社の経営戦略として
①成長戦略、②顧客戦略、③人材戦略、④イノベーション戦略、⑤品質戦略、⑥財務戦略、⑦提携戦略
が挙げられています。
株主からの質問で③人材戦略中で記載されている「採用を科学する」ことの説明について、リクルートのSPI試験で社員の適性を見極めているとの答えには、正直、拍子抜けしました。
ITの力を借りて顧客企業の成長をサポートしようとしている会社が、肝心かなめの自社の人材戦略をアウトソーシングに依存しているとは!
しかもあのリクルートとは・・・(リクルート関連の方、ごめんなさい。ちなみに、自分はリクルートの株主でもあります。)
4 株価低迷の要因
⑴ IRの在り方について
成長企業の株価には市場の期待に届かなくて暴落することは良くあります。
しかし、IRに力を注いでいたにもかかわらず何故、決算短信を受けた大暴落が生じたのか?ということが株主としての疑問点です。
というのも、IRの目的の一つに資本コストの最小化というものがあるからです。
資本コストは株主資本コストと負債コストの加重平均(WACC)で算出されます。
この中で株式コストはCAPM理論(投資家はリスク(ブレ)が高いほど、期待(要求)するリターンが高い)によって下記の式で算出されます。
株主資本コスト=リスクフリーレート+β×マーケットリスクプレミアム
ここでβ(ベータ)は株式のボラティリティを示す指標で、βが高いほど当該株式はハイリスクハイリターンと認識され、株式コストも高くなります。
コムチュアはIR活動に熱心に取り組んでいたにもかかわらず資本コストの最小化に失敗したと言わざるを得ません。
では、何故IR活動に失敗したのか?
良い情報の説明に比べ、悪い情報の説明&対応策の説明が少なかったからではないかと考えています。
株式市場や投資家を甘く見たんだと思います。
2020年7月の決算短信発表直後に下落トレンド入りしたり、株主総会で感じた、熱意の無いというか萎縮した雰囲気もそのことと一致します。
IRについては、良い情報だけでなく悪い情報にも注目するとともに、何について語られていないかについても洞察することが大切だと痛感しました。
⑵ IT業界全体の下落トレンド
さえない株価の2つ目の要因としてIT系企業全体のトレンドがあるように思います。
コムチュアの株価は昨年の11月に天井をつけてから下落トレンドに入っています。
ちなみに、関連銘柄とされるチェンジやテラスカイなど同じように秋をピークに下落トレンド入りしている銘柄が少なくありません。
また、マザーズ指数も昨年の10月がピークでその後はさえない展開が続いています。
もちろん、コムチュアは立派な東証1部上場企業ですが、IT系企業が多いマザーズ指数の動きに連動してもおかしいことはありません。
大きな流れとして、コロナ銘柄として買われたIT系企業の株はしばらくは調整する時期なのかもしれません。
5 今後の方針
NISA口座で保有しているのでいつかは売らなければなりません。
当面は、含み損を抱えているので当面はホールドです。
けれども、理由はそのような消極的なものだけではありません。
IRに積極的なコムチュアが今後、株価暴落を抑え、株主資本コストの最小化に成功し、企業価値の向上をなしうるかどうかについても興味があります。
ちなみに、株主通信には業界の
メインフレーム時代
→クライアントサーバー時代
→Webコンピューティング時代
→クラウド・コンピューティング時代&デジタルトランスフォーメーション時代
変遷が記されています。
これはIT業界のことですね。
ではコムチュアの変遷については?
話はずれますが、ナポレオンの時代にフランスは勢力を落としていきました。
ナポレオンは戦に強かったのですが、ナポレオンがいない戦場で負け続けたからです。
そのことを研究したプロイセンは参謀本部(指揮官を補佐するスタッフ部門)を発明し戦での強さを発揮し台頭していきます。
個人への能力依存から組織的な総合力の発揮へ
組織文化の中に明朗闊達な雰囲気が育ち、トップダウンのリーダーシップとボトムアップの組織力がうまくかみ合ってコムチュアの経営の進化に期待します。
最後に、昨年の株主通信に掲載されていた
時価総額1000憶円起業を目指します!
の記述が今年は消えており寂しく感じています(現在の時価総額は約760億円)。
テーパリング議論が始まりましたが、世界の中央銀行が量的緩和を続けているので株価は上がります。
経営陣の皆さんが、自信をもって企業価値の向上に邁進されることを祈念致します。
おつきあいいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。