こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

コロワイド【7616】~4年連続株主総会雑感

初投稿:2020.8.25、更新日:2021.7.26、2022.7.10

こんにちは!

この記事は、コロワイド【7616】に関心のある方に対して、株主としてのコメントをまとめたものです。

なお、2022年6月の株主総会の内容を追記し記事をアップデートしています(更新箇所は青地です)。

コロワイドとは勇気・愛・知恵・決断

・会長の面白い話

★★★★★

【目次】

【2020年の株主総会が開かれたパシフィコ横浜

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1 コロワイド について

⑴ 会社概要

神奈川県逗子市が発祥地で、M&Aを駆使して居酒屋事業からレストラン事業へフィールドを広げ、「外食日本一企業」を目指すグループです。

「居酒屋甘太郎」、「焼肉 牛角」、「しゃぶしゃぶ温野菜」、「かっぱ寿司」等のなじみのあるレストラン等を国内外に展開しています。

総資産2676億円、売上高1918億円、時価総額1585円の事業規模です。

PBRが4.55倍と高めの評価。

おそらく年4万円相当の株主優待がブランド価値を支えていると推察します。

主要な事業内容

●(株)コロワイドMD:各種食料品の商品開発・調達・製造・物流のマーチャンダイジング全般

(株)アトム:にぎりの徳兵衛、ステーキ宮などの飲食店の経営

(株)レインズインターナショナル牛角、温野菜、土間土間、かまどか、・・・などのレストラン及び居酒屋業態のフランチャイズ加盟店の募集、加盟店の経営指導、商品の企画販売・食材等の供給及び直営店舗の運営

(株)カッパ・クリエイトかっぱ寿司などの回転ずしの直営店の運営及び寿司・調理パンなどのデリカ事業

●(株)大戸屋ホールディングス大戸屋ごはん処などレストラン業態

コロワイド全国各地に工場及びセントラルキッチン保有していることが特徴です。

ここのことは、グループ規模を活用した販売力と食材加工の内製化を推進するマーチャンダイジング(商品化計画)戦略によるものであり、大戸屋を買収に動いていることもその一環です。

現在の大戸屋の食材~高い料金を払って外注業者に手作りで用意

買収後の大戸屋の食材~安い料金でコロワイドのセントラルキッチンで用意

⑵ 株主になったきっかけ

優待目当てで、10年ほど前から株主を続けています。

株価は、買値の約2倍程度の株価で推移。

もしものことがあっても、これまでの毎年4万円の優待を使わせていただいたので十分株主としての恩恵は享受できたと思います。

また、総会での会長の話を楽しみにしている株主の一人でもあります。

⑶ 2022年3月期の経営分析

2期連続の赤字からの黒字化です。

収益性

・売上高総利益率:55%

売上高営業利益率:3%

粗利率は前期と同様でした。

飲食店の”原価3割”の原則を考えると改善の余地はあるように推測します。

収益性はまだまだ低いですが、コロナ収束に伴い業績回復が期待で来ます。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい)90%

自己資本比率は(30%以上が望ましい)22%

財務的には懸念の残る数値が示されています。

ただし、公募増資の効果もあり、短期的にも中・長期的にも昨年よりは大幅に改善しています。

引き続き注視することが必要です。

効率性

棚卸資産回転率:62.63

高い数値だと考えます。

商品の売れ行きが好調で在庫が少ないのはMDが機能しているためと推測します。

ただし、自分が株主である他の会社と比較するとWDIの2倍クリエイトレストランツHDの半分というレベルであることを付言します。

⑷ 2021年3月期の経営分析

株主総会の招集通知の財務諸表をもとに分析しています。

収益性

・売上高総利益率は55%

約97億円の赤字(2年連続)です。

であり、コロナ禍に加え、外食産業における人件費や物流費の上昇、食材価格の高騰などの影響がでているようです。

安全性

・負債比率598%(目安として100%以下が安全)

流動比率60%(目安として200%以上が安全)

自己資本比率は14%(目安として30%以上が安全)

財務基盤も厳しいものがあります。

けれども、1年前(流動比率はマイナス)と比べて流動比率は改善されたました。

  効率性

棚卸資産回転率が約60と昨年に引き続き比較的高いことが挙げられます。

これは、マーチャンダイジング戦略が機能した結果、食材等の有効活用が図られたためではないかと考えます。

3 株主総会

⑴ 2022年6月の株主総会

第60期定時株主総会 2022年6月28日(火) 神奈川県民ホール

総会開始前はコロワイドの事業紹介のビデオが流れていました。

そんな中、野尻社長へお土産を渡す株主がいらっしゃいました。

株主総会が始まり、事業報告がなされました。

主なポイントは以下の通りです。

・中食との競合におけるテイクアウトやデリバリーの拡充

損益分岐点の引き下げ

・物流最適化

・公募増資によって資本剰余金が増加

・インフレやwithコロナ対応に注力

主な質疑応答

Q.不祥事(他社の売上データ持ち出し)を起こしたカッパ・クリエイトの社長の扱いにつて

A.大手弁護士事務所及び自社による調査を継続中。

捜査の進展や司法の判断を持って対応する予定。

Q.社外取締役の対応について

A.捜査に全面協力しつつ7回の公式な会議で議論した。

内部情報についての同意書など再発防止に万全を期す。

Q.業績向上について

A.会長の話

・他社の売上データは見ていない(興味がない)、数字ではなく人を見ること!

・1年を通じてどのように戦うかがが重要

吉野家のM&Aは買った後の判断、意思決定が上手ではない。

・業者間の勝ち負けではなく、お客さまにいかに喜んでもらえるかを忘れるな

カッパ・クリエイトの社長は貴重な人材!

ゼンショーワタミドトールは人材紹介会社が紹介しない会社

・自由で明るく闊達な雰囲気が大事

・奪うことばかり考えるのはダメ、与えることが大切!

Q.子会社の展望について

A.各子会社の社長の話

大戸屋:トップラインを上げるために出店、FCに注力

・レインズ:居酒屋の事業を拡大

・アトム:専門性を磨き込む

・かっぱ:ご心配をおかけして申し訳ない。コロワイドは人間愛のある温かい会社

     商品力(新鮮なネタ)と営業力(CM)の2本柱で事業展開

・MD:インフレ対応として食材統合の迅速な推進と物流センターがポイント

Q.清水の会社であるばんのう水産のM&Aについて

A.マグロのブローカー業務を実施しておりMDの中に統合される予定。

Q.1号議案(定款一部変更)の議長について

A.取締役会の透明性強化を趣旨としている。

状況によっては社長も審議に集中したい場合もあり、議長を柔軟に指名できる仕組みは大切。

Q.ゼンショーコロワイドの違いについて

A.ゼンショーは管理がしっかりしている、コロワイドは子会社の自主性尊重コロワイドもしっかりと管理している)

Q.レインズで株主優待が使えないことについて

A.直営とフランチャイズの区別がつかない。ご理解いただきたい。

ちなみに、株主優待には35億円のコストをかけている。

決議事項

・定款一部変更の件

・取締役6名専任の件

拍手を持って賛成・可決されました。

その後、退任役員と新任役員の紹介があり、拍手を持って閉会となりました。

株主総会雑感

今回もコンパクトな総会でしたが、近い将来、以前のようなお土産&質問会付きの株主総会を予定しているとのこと。

その情報を聞けただけでも足を運んで良かったと思います。

去年は大戸屋TOB、今年はカッパ・クリエイトの社長の不祥事と”摩擦”が絶えいない会社。

おそらくその原因は会長のM&A好きにあるのだと思います。

ただし、M&Aに伴う財務的な処置は社長が実施する役割分担になっているようです。

そして、その役割分担(チームワーク)が機能するためにはそれぞれの自主性が重んじられる自由闊達な雰囲気が不可欠

コロワイドのこれまでのM&Aによる成長を支える構造を垣間見た気がしました。

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⑵ 2021年6月の株主総会

第59期定時株主総会 2021年6月24日(水) 神奈川県民ホール

社長と会長が一番初めに役員席に着席。

その後、他の役員が適時着席。

監査報告に続き、ビデオを用いた事業報告。

その後、対処すべき課題の説明が行われ、コスト削減に取り組んでおり、損益分岐点を17.6%改善し、277億円の効果を上げたとのこと。

主な質疑応答

Q.(TOBに応じた大戸屋の旧株主)コロワイドの株では大戸屋が使えず損した気分

A.優待は直営店ではしか使えず、現状3分の1がフランチャイズなのでレインズと同様に使用は難しい。また、コロワイドの株主約41万人、大戸屋の株主は約1万人なのでコロワイドの株主が大戸屋で優待を利用すれば利益が飛んでしまうという問題もある。

Q.日本フード協会等を利用した政治力を発揮して、自粛要請に対抗することは考えていないのか?

A.日本フード協会に要望を出したことはない。が、必要な際には要望する準備はしている。

Q.現在の大戸屋の状況は如何に?

A.(大戸屋の社長から)全体として、やりたいことの20%程度しかできていない。

けれども、コミュニケーションに関しては、当初、会社と社員の壁が厚かったが、現在は業務を自分事と出来てるようになり80%程度改善できたと考える。

Q.株主優待カードが経年劣化している。この対策として、株主の負担でカードを更新させるのはおかしいのでは?

A.現状を把握し、検討する。

Q.会長の話が聴きたい!

A.皆さんの厳しい言葉の裏には愛がある!

20年前のコロワイドは人材がいなく、お金を盗まれることも常態化していた。

今は素晴らしい人材に恵まれている。

40年前に2年間通ったビジネススクールで、栗栖元統幕議長の人間というものに対する教え(寝る、食べる、セックス)が役立った。

うぬぼれてはいけない!

日経は結論ありきのストーリーで記事を書いているから話をしても無駄。

大戸屋の経営陣を私が締め上げたと報じられているが、大戸屋の経営者とはあったことも無い。

年商300億の会社が年商2500億の会社の知恵にかなうわけがない。

大戸屋M&Aの勝負は最初からついていた!

酒は社員としか飲まないし、その際、説教と自慢は厳禁。

酒代を部下に払わせたことは一度もない。

今のコロワイドには美人がいないのがいちばんの問題点・・・。

Q.海外店舗の状況は?

A.米国は改善が進んでいるが、東南アジアは悪化している。

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⑶ 2020年6月の株主総会

2020年6月30日(火) パシフィコ横浜 会議センター1階メインホール

総会に参加するの昨年に引き続き2回目。

今回は土砂降りの中の参加。

冒頭、社長が68億円の赤字を陳謝

出店40店舗、閉店92店舗と現存会計で一定の区切りをつけた旨の報告。

質問として、議案に挙げられていた第3回優先株式の追加に関するものがありました。

主な質疑応答

Q.借入金、社債普通株式でなく、何故、優先株なのか?

A.会社からの回答は、これ以上バランスシートが膨れ上がり自己資本比率が低下することを避けるために自己資本の増強が必要。

その際、ダイリューションによる既存株主への影響を回避するために優先株を発行することにした。

Q.信託銀行を通じて新たに発行される種類株式を購入するのはどのような”人”か?

A.主に企業が購入すると想定される。

また、大戸屋買収に関する件につての質問が相次ぎましたがその件についての会長の発言は

・M&Aは優勝劣敗

・再建にはお金をかける、根性と汗では債券は出来ない

・ウィンウインの関係でなければならない

・経営者は感情的になったら負ける

大戸屋の料理が出てくるのは遅い

など、蔵人節がさく裂していました。

印象に残ったのは、会長の

会社は何のために大きくなるのか?

という問い立てです。

会長が語ったコロワイドの自慢は福利厚生の良さです。

社員のためを考えたら福利厚生(社会保障)の充実は不可欠であり、会社が大きくなればなるほど福利厚生が良くなるとのこと。

人間とその本能を洞察し続けた”生き残るための答え”がM&Aなのかもしれません。

⑷ 株主還元

配当

2022年3月期:5円

2021年3月期:5円

2020年3月期:5円

調べたところ少なくとも2013年からずっと5円配当を継続しています。

同じ金額とはいえ、業績に左右されずに毎年5円配当を出し続けることに経営の一貫性を感じます。

株主優待

500株以上で 3月末株主:6月及び9月

        9月末株主:12月及び3月

一律 1回につき1万円相当の優待お食事ポイント

年間4万円相当の優待を受けられておりありがたいです。

神奈川県民ホール

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3 株主としてのコメント

⑴ コロワイドの意味する経営

コロワイドという言葉は勇気、愛、知恵、決断の英語の頭文字から成り立っています。

それは、お客さんに対する姿勢を象徴していると思っていました。

けれども、従業員の心構えでもあるのではないかと今回の総会で感じました。

具体的には

・勇気:大戸屋TOBに応じた株主が優待が使えず騙された気持ちだと主張したことに対して、優待については事前にしっかりと説明しており、騙されたと言われるのは心外だと毅然とした対応を貫く勇気。

・愛:株主からの厳しい指摘にも愛があると語る会長。

・知恵:年商300憶円の会社ではかなわない知恵がコロワイドにはあると語る会長。

・決断:日経が繰り返し批判記事を書こうとも、ぶれずに粛々とM&Aを貫く決断力。

3年連続で株主総会に参加していますが、外食産業という枠を超えて経営や人間の本質についても考えさせられます。

ある意味、エグさも含めてコロワイドの経営に着目していきたいと思います。

⑵ 持株について

引き続き、持株はホールドです。 

理由は3点

株主重視の姿勢:年間4万円相当の優待、赤字でも配当

・M&Aを武器に外食産業日本一を目指す会長や社長の経営から目が離せない!

・ラパウザをはじめ、「楽しかった、美味しかった」とおもうお店のお世話になってる。

テレビの報道では、”悪者扱い”されることが多いコロワイドですが、本当のところはどうなのかを自分なりに調べ、考え、食べたり飲んだりしながら今後も追及していきたいと思います。

⑶ 批判的な報道VS経営陣

コロワイドについての”記事”には批判的なものが目立ちます。

例えば、蔵人金男会長については、ワンマン、パワハラ事案、30億円詐欺に引っかかったなど。

しかし、コロワイドをこれだけの大企業に成長させた経営者としての手腕は並大抵のものではありません。

特に、

後継者を息子にしなかったこと(某Dの創業者の息子は1年で社長交代)。

・現野尻社長が、会長に忖度せず主導的に会社経営を実施していること(某Cの社長は創業者の会長の前で萎縮気味)

など、ゴーイングコンサーンとしての企業の在り方に大きな道筋を開いたことも経営者としてもっと評価されてしかるべきだと考えます。

ちなみに、息子さんが取締役になっていますが会長曰く、「それは野尻社長が決めたこと」だそうです。

野尻社長については、会長と異なりおとなしいタイプかと思っていましたが、過去の総会で

「命を懸けて外食産業世界一を目指しています。」

という発言を聞いて以来、頼もしく感じています。

人前で「命を懸けて・・・」というセリフ言う機会の少なさを考えると、半端ない熱意で経営に専心している姿勢が伺えます。

2021年6月の株主総会でも、大戸屋買収についての質疑応答から煮えたぎる感情を垣間見ることが出来ました。

4 まとめ

コロワイドについて述べてきました。

会長の話を楽しみに4年連続して株主総会に参加し続けています。

もちろん、会長の”本音トーク?”も興味深いですが、会社の成長を支えるM&Aを明るい雰囲気の中でチームワークで実現している経営についても興味深く感じています。

今後もいろいろな”摩擦”があると思いますがそれらの克服も含めて株主として応援し続けたいと思っています。

お読みいただき、ありがとうございました。

 

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。

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