初投稿:2021.8.30、更新日2022.2.8、2022.8.27
こんにちは!
この記事は、TAKARA&COMPANY【7921】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
なお、2022年8月の株主総会の内容を追記して、記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。
・株価低迷について~EPS、PER
・トップライン(売上高)拡大による成長の大切さ
【目次】
【株主総会の会場@メトロポリタンホテル】
1 TAKARA&COMPANYについて
⑴ 会社概要
ディスクロージャー関連事業の宝印刷と通訳・翻訳老舗のサイマルをグループ内に持つ。
5月決算企業。
総資産309億円、売上高253億円、時価総額264億円の事業規模です。
PBRは1.15という低水準。
経営理念等
■グループ企業理念等
社会の公器としての使命を果たす
■目指す姿
グループ各社の専門性を磨き、お客様の企業価値拡大に貢献し、社会になくてはならないグローバル企業であり続ける
■行動指針
1 顧客とともに新たな価値を創造する
2 倫理と道義を重んじる
3 専門能力を高め、顧客とともに成長する
4 お互いを認め合い、高め合う
5 社会の公器として正しいかどうかを判断基準とする
”公器”という言葉から銀行をイメージしてしまいます。
金融サービスという業種なので大枠では正しいのかもしれませんが、この会社はB to Bの会社なので、一般消費者としての感覚ではピンときません。
また、お客様や顧客という言葉はありますが、株主についての文言がないことも気になります。
今は、従業員、債権者、株主、社会等さまざまなステークホルダーを意識することが当たり前の時代。
創業70周年を迎えたことは良いことですが、今後のさらなる発展のためには見直しが必要なのではないかと感じました。
セグメント
●ディスクロージャー関連事業
・金融商品取引法:有価証券報告書、四半期報告書、決算短信の英訳、目論見書作成支援
・会社法:招集通知作成支援、ネットで招集のツール提供、ハイブリッド型バーチャル株主総会の動画撮影等
・IR:事業報告/株主通信、株主優待品の支援、統合報告書
・その他
●通訳・翻訳事業
⑵ 株主になったきっかけ
5月決算企業で配当・株主優待もありディスクロージャー関連という希少性も魅力なため2021年にNISA口座で購入しました。
⑶ 2022年5月期の経営分析
収益性
・売上高総利益率:43%
・売上高営業利益率:14%
収益性は高く優良株(営業利益率10%以上)です。
しかも、前期よりも改善しています。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):268%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):76%
短期的にも中・長期的にも問題ないレベルです。
効率性
・売上債権回転率:5.79%
B to Bビジネスが基本なので債権の割合は多いと思います。
売上債権回転率が高いことからその回収も短期間で行われており効率性の向上が続いていると考えます。
⑷ 2021年5月期の経営分析
収益性
・売上高営業利益率:11%
比較的高収益であり、優良株と考えて良いと思います。
安全性
株主総会の招集通知の連結計算書類から
・流動比率:231%
・負債比率:38%
・自己資本比率:73%
経営上の目安をすべてクリアしています。
財務的には問題なさそうです。
また、会社四季報2021年夏号から
・ROEも10%
であることから、いたずらに資本をため込んでいるのではなく、投資に対してミニマムの利益は上げられていると考えます。
効率性
・売上債権回転率:5.62
少し低いように感じます。
財務面に強い役員がどれだけいるか分かりませんが、効率性を高める余地はまだまだあると考えます。
【株主総会の案内看板 3F 富士】
2 株主総会等
⑴ 2022年8月の株主総会
第85回定時株主総会 2022年8月26日(金) メトロポリタンホテル
受付にてメトロポリタンホテルのお水を頂きました。
豪華で広いホテルの会場に数十人の株主が集っていました。
社長からの説明で、業績は増収・増益、配当は安定配当を意識して58円としたい旨がありました。
事業報告についてはビデオで実施。
対処すべき課題としてグループ経営の強化、新規事業の開拓と育成などが挙げられていました。
主な質疑応答
Q.印刷から電子化へのシフトに対応した人材教育について
A.株主総会招集通知の電子化に伴う印刷事業のシュリンクのスピードを見極めながら判断する。
教育については「ネットで召集」等コンテンツ作りに資する人材育成を意識して実施。
Q.株主優待について
A.株主の住所とは異なる場所(親類の住所)に送付は可能。
また、配送料の関係で株主優待の内容に制約があるので、更なる魅力的な株主優待については検討中である。
Q.退職慰労金制度の廃止について
A.当社がまだ小さな会社だった時からの制度であり時代にそぐわなくなってきた。
外部からの役員と社内の役員の待遇を合わせる効果が期待できる。
譲渡制限付き株式(RS)につては今後検討する。
Q.ディスクロージャー関連事業と通訳・翻訳事業の割合について(現在3:1)
A.ディスクロージャー関連業務についてはシュリンクの度合いを見つつ、業容を少しずつ変化させて収益向上を模索していく。
通訳・翻訳事業につては伸びしろが大きいと考える。
Q.買収防衛策の是非について
A.特定株主の割合が少ないため実施せざるを得ないと認識。
企業価値向上の必要性についてはその通りと考える。
Q.株式分割について
A.現在は時価総額が小さいため実施できないが、以前のように定期的に実施し得るよう努める。
Q.社員に株を持たせることについて
A.持株会は存在する。
現状、若い社員はある程度の持株を持つと車等の購入のために換金してしまっている。
検討課題とて取り組んでいく。
Q.音声認識技術について
A.音声認識技術を用いたアプリがあることは承知しているが、グローバルな会議(G7等)では役に立つレベルには至っていない。
音声認識技術についても引き続き、状況を注視していく。
決議事項
・定款一部変更の件
・取締役6名選任の件
・当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)継続の件
・退任取締役に対し退職慰労金贈呈の件
・退職慰労金制度廃止に伴う打ち切り支給の件
・拍手を持って賛成・可決となりました。
また、役員紹介時と散会時の2回会場から拍手があり、株主の愛を感じました。
株主総会雑感
質疑応答において経営陣から真摯な態度で回答していただきました。
会場の安全対策やサービスも申し分ありませんでした。
また、会場からの拍手も多く、株主から大切にされていることが感じられました。
初めての総会ですが、来てよかったです。
ただし、創業70年という伝統ある会社であるにも関わらず、比較的、時価総額が小さいのは、長年に渡る成長戦略がイマイチだったのではないかと考えます。
収益性も高く、おそらく、商品やサービスのクオリティは高いものと思慮しますが、それだけでは企業価値(時価総額)の拡大には十分寄与し得なかったのかもしれません。
トップラインを伸ばして成長を持続することの企業における重要性と難しさを実感しました。
⑵ 2021年8月の株主総会
第84回定時株主総会 2021年8月27日(金)メトロポリタン
参加できませんでした。
ただし、決議事項の中に
「退任取締役に対し退職慰労金贈呈の件」
というものがあり、創業70周年の”重み”を感じさせられました。
【株主優待】
⑶ 株主還元
配当
中間株主通信及び四季報より
一株あたりの配当の推移
・2022年5月:58円
・2021年5月:54円
・2020年5月:54円
・2019年5月:50円
・2018年5月:50円
なお、22年5月期は創業70周年記念配当2.0円が含まれているとのこと。
現在の配当利回りは3.48%と高配当です。
株主優待
株数と保有期間に応じたカタログギフトを頂けます。
100株で数カ月の株主として1500円相当のかれー&スープのセットを頂きました。
注文してから優待が届くまでは短期間で好感が持てました。
ただし、ウイルズのようなプレミアム優待倶楽部と比較すると商品選択の幅が小さくどうしても見劣りしてしまいます。
ディスクロージャー関連事業のIR関連の商品については競争力確保が必要だと思います。
【グループ企業のロゴマーク】
(会社HPより引用)
舵輪、羅針盤、盾がをモチーフとしたデザインだそうです。
3 株主としてのコメント
⑴ 株価低迷について~EPS
TAKARA&COMPANYの株価は低迷しています。
株価はEPS×PERで決まります。
EPSの推移は
2019年5月:110.5円
2020年5月:139.0円
2021年5月:130.1円
2022年5月:129.5円(予想)
となっており、昨年5月をピークに低下しています。
EPS低下の理由として2点考えられます。
・コロナ禍の影響:国際会議の減少に伴う通訳事業への影響
・M&Aの影響(PMI):昨年3月に買収した通訳・翻訳事業のサイマルインターナショナル社を始めとして積極的な買収を行っています。
PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)には
経営統合→業務統合→意識統合
の3段階に分かれると言われています。
まだまだ、M&Aの成果が表れるまでには何年もかかると考えます。
M&Aに積極的なクリエイトレストランツホールディングスもM&Aに伴うPMIコストによりEPSの低迷が数年続きました。
少なくとも、ライザップのように負ののれんをねらったM&Aの大失敗にだけはならないように祈っています。
業績面からみてもM&Aに伴うさまざまなコストにより上昇の効果はまだまだ先だと考えます。
⑵ 株価の低迷について~PER
2021年5月:PERは15倍
ほぼ日経平均株価と同レベル(少し高い)のように考えます。
TAKARA&COMPANYの比較会社として会社四季報ではプロネクサスを挙げています。
両者を比較したところ、チャートもなだらかな右肩下がり、時価総額も200~300憶円程度と大枠でとらえた場合には、顕著な差異は見出せませんでした。
そのことから、業界全体が飛躍的に伸びるような評価がマーケットから得られていないように考えます。
むしろ、ディスクロージャー業務の中でも、株主優待に関して「プレミアム優待倶楽部」を運用するウイルズの方が激しい値動きをしており、テンバーガー候補としているユーチューバーもいるほどです。
基本的にB to Bの会社なのでB to Cの会社のように”大きな風”が吹くことも望めず、技術革新による飛躍的な発展が起こる可能性も少ないと思います。
当面、PER(人気)という面から見ても株価の上昇には時間がかかると予想します。
⑶ 効率的なIRと効果的なIR
株価低迷をEPSとPERの面から分析しました。
EPSは低迷していますが、四季報では【最高益】の見出しもあり回復基調と考えます。
問題はPERです。
そもそも論として、PERは市場の評価を意味しIRがその評価を大きく左右します。
この会社はIR支援ソフトを提供する会社です。
まず、自社のIRを通じてPERを上げることが、商品(IR支援ソフト)の最大のアピールになるのではないでしょうか。
人手や属人性を省くWizLaboシリーズによる効率的なIR支援が今後の収益を支える大きな柱となっているのは承知しています。
けれども、市場や投資家の投資意欲を掻き立てるような効果的なIR支援も取り組むべき価値は十分にあると考えます。
社会の公器として「なくてはならない会社」であり続けるためには、企業が求める効果的なIR支援は避けて通れない道なのではないかと思います。
【総会会場にて頂いたお水】
4 まとめ
TAKARA&COMPANYについて述べてきました。
創業70周年記念配当により高配当株であり、かつ、乱高下する日本株の中にあって株価は比較的安定しています。
株主優待もいただけ、含み益もあるありがたい銘柄です。
ちょっと欲張りかもしれませんが、今後は効率的なIRソフトウエアの提供のみなず、市場や投資家の心に響くような効果的な自社のIRとIR支援ソフトの継続的な改善についても取り組むことを期待しています。
お読み頂き、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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