こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

アバント【3836】〜株主総会雑感(株価向上を意識した経営&スポーツ)

初投稿:2022.9.28、更新日:2023.10.4&22

こんにちは!

この記事は、アバント【3836】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

なお、2023年9月の株主総会日本山岳耐久レース(ハセツネ)についてのコメントを追記して記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。

★★★★

企業価値の向上のための事業再編

・世界に通用するソフトウエア企業と外国人取締役

【目次】 

株主総会が実施された経団連会館

                      

1 アバントについて

⑴ 会社概要

会社四季報によるとパッケージソフト業種に区分されるソフトウエア会社。

売上高214億円、総資産187億円、時価総額486億の事業規模。

会社の付加価値(ブランド力やのれん)を示すPBRは3.94倍と高い評価。

ただし、時価総額やPBRは前期に比べて低下しています。

企業理念等

下記の通りで、多少分かりずらさはありますが、よく考えられていると思います。

●ビジョン

Be Global

〜世界に通用するソフトウエア会社〜

●ミッション

経営情報の大衆化

〜経営情報を未来の地図に変えていく〜

●企業理念

100年企業の創造

〜価値創造に全員が燃える会社〜

●企業理念を支える価値観

・OPEN:開かれた精神を基礎となす。

VALUE:価値創造への情熱を育てる。

・STRETCH:最善への挑戦を続ける。

セグメント

2022年6月30日現在では「株式会社アバント」として下記の3つに区分されています。

●グループ・ガバナンス事業

●デジタルトランスフォーメーション推進事業

アウトソーシング事業

なお、2022年10月1日以降、組織再編により「株式会社アバントグループ」に再編されるとのこと。

セグメント区分の変更はわかりませんが、

⚫️株式会社ディーバ(創造的開示を支える連結会計・開示ソフトウエアとBPO

⚫️株式会社アバント(企業価値向上に役立つ経営コンテンツの実装・運用)

⚫️株式会社ジール(経営情報DX基盤の整備・運用)

となっています。

⑵ 株主になったきっかけ

6月決算銘柄で配当をしている成長企業を探していて発見しました。

NISA口座で保有しており概ね含み益で推移しています。

⑶ 2023年6月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:44%

売上高営業利益率(10%以上は優良株):15%

収益性は高いですが、前期に比べて数値が落ちているのが気になります。

M&A中心からオーガニック成長への方針転換の影響でしょうか。

来期に回復するのかこのままズルズルいってしまうのか注目です。

安全性

流動比率(100%以上が望ましい):251%

自己資本比率(30%以上が望ましい):66%

短期的にも中・長期的にも財務的に懸念のない経営がなされていると考えます。

前期と比べてもさらに数値の向上が見られます。

手堅い経営が伺えます。

効率性 

・有形固定資産回転率:43.95

前期と同様に比較的高い数値です。

有形固定資産については効率的な経営がなされていると考えます。

⑷ 2022年6月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:48%

売上高営業利益率(10%以上は優良株):17%

高収益なビジネスモデルです。

会社はROEは20%以上を目標値としています。

今後も高収益が持続することを期待します。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):236%

自己資本比率(30%以上が望ましい):65%

短期的にも中・長期的にも財務的に懸念のない経営がなされていると考えます。

効率性 

・有形固定資産回転率:46.98

IT企業らしく、有形固定資産については効率的な経営がなされていると考えます。

株主総会が実施された経団連会館2階のカンファレンス】

2 株主総会

⑴ 2023年9月の株主総会

第27期定時株主総会 2023年9月27日(水) 経団連会館

主な質疑応答

【事前】

Q.「世界に通用するソフトウエア会社」というビジョンについて

A.日本の製造業が強かった30年前に、海外のソフトウエア会社が3倍の強さを持っていたことの衝撃と危機感が創業の原点。

Q.ストック(ソフトウエアの保守料等継続的に発生する売上?)比率について

A.初志と成長のどちらを選択するかといえば、初志が重要と考える。

ストック比率の前段階に注力していきたい。

Q.3号議案の報酬改定について

A.役員の株価向上への意識を高める趣旨である。

TSR(株式総利回り)の向上にもつながると考える。

【会場】

Q.CAGR(年平均成長率)25%のイメージについて

A.計画はリニアで作成しているが、実際にはばらつきの大きい成長を予想している。

Q.M&Aからオーガニック成長への変更がビジネスモデルの転換に与える影響について

A.M&Aによるのれんの償却等のリスクで破綻した会社をたくさん見てきた。

ご指摘の通りオーガニック成長では時間を要すると考えるが、5年、10年単位でビジネスモデルの転換が図られると予想する。

Q.3号議案により役員のやる気は向上するのか?

A.売上・利益のみならず株価を意識した経営につながると思料する。

(補足)これまで、ファウンダーである社長が株をもらうことに意味はあるのか?と考えてきたが、次世代の経営を考えることで等議案の意味があると考える。

Q.5年後の売上高2倍、利益3倍の達成について

A.M1市場(既存顧客)に新しい製品(ソフトウエア)を購入していただくよう努める。

継続的に情報を整理して丁寧に説明していく。

決議事項

・剰余金処分の件

・取締役4名選任の件

・取締役に対する業績連動型株式報酬制度の改訂の件

拍手を持って承認・可決されました。

株主総会雑感

株主総会参加は2回目ですが、お土産統合報告書を毎回頂いています。

総会では増収増益、増配、そして当社の成長ストーリーについて丁寧に報告されていたことはありがたく感じています。

ただし、少し抽象的で話の内容についていけない部分もありました。

さらに、統合報告書を一読し、正直、半分くらいしか理解でませんでしたが、株価を上げることにしっかりと取り組む姿勢は期待できると感じました。

特に、NSR(株主純利回り)を最上位のKPIとしたバリューツリーに示された

NSR(株主純利回り)=TSR(株主総利回り)ー株主資本コスト】

という考え方は非常に勉強になりました。

企業の経営戦略や財務会計についての知見を高めるには、総会に参加しつつ統合報告書を読み込むことが有益だと感じました。

⑵ 2022年9月の株主総会

第26期定時株主総会 2022年9月27日(火) 経団連会館

お水お土産をいただいて会場へ入室しました。

広い会場で、感染症対策もしっかりとなされ付き。

株主への配慮が伺えて感心しました。

前の2列はスーツを着た方が着席されていました。

おそらく会社関係者と思いますが、TBSの株主総会のように不自然な拍手をするわけでもなく”ふつう”でした。

社長からは、事業再編を中心に熱のこもった説明を聞くことができました。 

また、質疑応答に際しては社長は真摯に対応されているご様子でしたが、微妙に答弁のずれを感じました。

下の写真にある「統合報告書」で書かれていますが、「対話力不足」なのかもしれません。

ちなみに、自分の中で質疑応答で”会話の成立度”が最も高かった社長は、アウトソーシング【2427】の社長さんです。

主な質疑応答

【事前】

Q.組織再編と企業成長の関係について

A.オーバーラップしている部分を省き顧客により一層寄り添える体制にするため。

Q.ディーバがアバントになったりして顧客に混乱を生じさせるのでは?

A.懸念はあるものの、顧客との関係の再構築への良き機会と捉えている。

Q.M&Aの考え方について

A.単に売り上げを上げるためでは意味がない。何のために行うかということまでしっかりと検討することが重要。

【会場】

Q.サイバーセキュリティについて

A.過去に攻撃を受けたことはあるが、顧客に大きな影響を及ぼすレベルではなかった。

また、米国でもサイバーセキュリティに注力しており、当社も同様の姿勢で臨んでいる。

Q.キラーソフトウエアについて

A.(集める、整える、意味付ける、届ける)のサプライチェーンを実現する上で重要なソフト。

Q.ROE、DOEの目標値は自社株買いを前提としているのか?

A.自社株買いをせず、収益性と配当性向を上げることで実現を目指す。

Q.クラウドサービスへの取り組みについて

A.当社は、ソフトウエアas a BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシングを目指しており、業務の部分に応じてパッケージやクラウドを適用しサービスの最適化を図っている。

Q.Go-Global、Be-Globalの次は?

A.世界を見据えつつ日本の顧客に最適なものを目指す。

決議事項

・剰余金処分の件

・定款の一部変更の件

・取締役4名選任の件

・監査等委員である取締役3名選任の件

・取締役の報酬額設定及び業績連動型株式報酬に係る報酬決定の件

・監査等委員である取締役の報酬額設定の件

拍手を持って賛成可決されました。

⑶ 株主還元    

配当

一株あたりの配当の推移は下記の通りです。

2022年6月期:15円

2022年6月期:13円

2021年6月期:11円

2020年6月期:9円

2019年6月期:15円

2018年6月期:12円

増減はあるものの一貫して配当していることは評価できると思います。

株主優待

なし

自社株買い 

なし

なお、写真のようなお土産を頂きました。

株主総会でいただいた”お土産”】

                

3 株主としてのコメント

⑴ 気に入っていること

下記については気に入っています。

・株価向上を意識した経営

・野心的な数値目標(CAGR20%、ROE20%、DOE5〜8%)を掲げる経営

・社内及び社外の外国人取締役の活躍

・お土産を含む株主を重視する姿勢(個人投資家が4割)

特に、”統合報告書”にて、株価を上げることが企業価値向上ひいては社会貢献(みんながハッピーになる)に通じると外国人の社外取締役が社長に力説されたと記載されています。

世界に通用するソフトウエア会社を目指す上で外国人取締役の活躍が期待されます。

⑵ 気になったこと

2022年9月の株主総会にリモートで参加していた外国人取締役の方が、議案採決の際に拍手していたのがお茶目で良かったです。

ただ、散会直前の新役員紹介の際、選任対象外だった二人の社外取締役の方が紹介されなかったのがちょっと不自然にも感じられました。

あと、グループの理念体系のピラミッドが少し分かりにくく感じています。

というのも、同様のピラミッドの図の場合、大半は「戦略の階層」のようにトップが抽象的で下に行くほど具体的になるような階層であることが多いのに対して、当社の場合はそれが当てはまらないからです。

ビラミッドの下から時系列的(あるいは、目的と手段の関係)に頂点に向かうような図だと推察しますが、いずれにしても(自分にとっては)脳内変換が必要です。

また、「戦略の階層」の視点で当社を見ると、ビジョンレベルや戦略レベルの話が株主総会や統合報告書で埋め尽くされており、オペレーションレベルの実態が良くわからないことが気になりました。

統合報告書で、

「グループレベルのバリューツリーは持株会社から始めて採取的にはグループ社員一人ひとりにまで落とし込まれたKPIへとつなげていくことが目指す姿」

と言及されているよに、現場レベルのオペレーショナルな事例や数値がもう少し紹介されると良いと感じました。

余談ですが、株主通信のクイズは昨年、時間をかけて一生懸命に回答したのにスルーされたので、今後は無視することにしています。

【読みやすくかつ読みごたえのあるアバントの統合報告書】

【経営戦略や財務会計の勉強にもなる統合報告書】

4 まとめ

アバントについて述べてきました。

最初は、業績好調なIT企業ぐらいの認識しかありませんでした。

けれども、株主総会に出席したり統合報告書を読む中で、世界に通用する企業への成長ストーリーへの期待が高まってきました。

株主総会へのお土産に象徴されるように、株主を大切にする姿勢もありがたいです。

今後の飛躍を期待しています。

お読みいただき、ありがとうございました。

 

5 追伸

私事ですが、日本山岳耐久レース(ハセツネ)を2023年に完走しました。

2022年は第2関門にてリタイアしましたが、2回目の挑戦での完走です。

”やり切る力”があれば、”叶う夢”もあります。

次の統合報告書でもスポーツについての記述(富士登山競走など)を楽しみにしています。

日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走Tシャツ】

   

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

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