こんにちは!
この記事は、日本FP協会が主催するFPフェアin東京2022に参加した時のことをまとめたものです。
【目次】
1 全般
日本FP協会の会員の方を対象とした講演会等のイベントです。
参加費は5500円と安くはありませんが、FP会員維持に必要な単位がいただけるとあって多くの会員が毎年参加しています。
コロナ前は2日間に及ぶ盛大なイベント(セミナー、懇親会)が東京国際フォーラムで実施されていましたが、現在は規模が大幅に縮小されて東京ビックサイトでの開催となっています。
自分の場合、非金融のキャリアだったこともあり知見を高めるためにFPになった約5年ほど前からこのイベントには毎年参加しています。
2 『コロナ恐慌と世界経済の今後』
基調講演は京都大学の柴山圭太氏でした。
ちなみに副題は
〜ウクライナ戦争で拡大する危機〜
でした。
⑴ 主な内容
・世界はデフレからインフレの世の中に
・米国の景気後退は2023年
・インフレの原因は、需給ギャップ、世界的な供給網の機能不全、人手不足
・コロナ禍→日米欧の中央銀行が2020年に2500兆円の資金を供給→インフレ→利上げ(現在)
・中国バブルの崩壊(日本のバブル時、家は年収の19倍、中国では57倍)
・象チャート〜先進国の人の富が中国・インド・メキシコと一部の超富裕層に流出
・世界の分断〜民主主義VS権威主義、地方VS都市部、エリートVS非エリート
⑵ コメント
聞いたことのある話が8割。
聞いたことのなかった話の中で、象チャートを用いた富の移動の話は興味深かったです。
全体として分断の話など不安を煽る内容が多かったように思います。
例えば、米国のウクライナへの対応が中国の台湾侵略を促す誤ったメッセージとなっていると講師は主張します。
本当でしょうか?
そもそも、ウクライナは米国とは同盟関係になく、最初から軍隊を派遣しないと言っているに過ぎません。
これに対して、台湾に対しては「台湾関係法」に基づく防衛の根拠があり、米国海兵隊が秘密裏に巡回しており、大統領も「台湾を守る」と明言しています。
さらに、大統領の態度が甘い、ということで議会を代表してペロシ議長が台湾を訪問。
国際関係についての講師の見解はイマイチ。
不安を煽って商品やサービスを購入させる”金融界のスタンダード”に講演の内容が馴染んだから、基調講演に選ばれたのかと感じました。
3 『FPのための行動経済学』
FPの実務に役立つ内容でした。
⑴ 主な内容
・(ライフサイクル仮説として)良いと分かっていても出来ない投資の原因
・貯蓄目的の変遷〜教育費→病気・まさかへの備え→老後資金
・行動経済学を用いて顧客を投資に導くステップ
・先延ばしの原因としての「現在バイアス」(何よりも今を大切に生きる)
・「損失回避」〜利得よりも損失を2.5倍大きく感じる(プロスペックと理論)
・「確実性効果」〜人は不確実なものには魅力を感じない
・ナッジ(注意を聞く、肘で人を軽く押す)の活用
・コミットメントの有効性
⑵ コメント
聞き手がFPであることを意識した講演内容であり色々と参考になりました。
「貯蓄から投資へ」の流れが冴えないことは何となく分かっていることでも、行動経済学を用いて分析して対応策に繋げているロジックは納得できるものでした。
また、午後の眠い時間を踏まえ、聞き手に対してYES、NO質問をしていたのは良かったと思います。
そして行動経済学と人類史の研究が結びつくと、例えば、「現在バイアス」(今を大切にすること)私たちの特性がどのようにして身についたのかなどが解明されるのではないかと期待してしまいました。
4 『会計情報からビジネスモデルを読み解く』
3番目は慶應義塾大学の村上裕太郎氏からの講演でした。
普段、持株のことについて当ブログで記事をアップしていることもあり、今回の会計の話は、ここ数年の間で受講した中では最も興味深く拝聴しました。
⑴ 主な内容
・会計は難しすぎる(情報量が多い)ので箱を書いて大きな箱に注目(競争優位性)
・バランスシート(BS)と損益計算書(PL)を読み解けるようになることが大切
・総資産回転率はビジネスのスピードを表すもので日本企業の平均は1
・企業のBSはストックがフロー(現金)を生み出すが、家計のBSはストック(持家)がフローを生み出さない違いがある
・ソフトバンクの株価の乱高下からコロナの損失と恩恵が垣間見れる
・百貨店の多角化(三越伊勢丹やJFRは不動産に注力、丸井はフィンテック会社)
・ANAの方が積極投資が裏目に出て赤字が拡大したが、貨物部門を持っているため物流の活性化の恩恵を受けている(JALは貨物部門を売却?)。
・オリエンタルランドの損失の小ささは原価に占める変動の割合が大きいため(人件費(変動費)、アトラクションの減価償却費(固定費)、ロイヤルティ(変動費))
・任天堂はハードウエアを赤字で販売しソフトウエアで稼ぐ粗利の大きなビジネスモデル。
・任天堂のソフトのパッケージ販売では利益は6割、ダウンロード販売では100%。
・Netflixのコンテンツの賞味期限(償却)は4年。
・東宝は製作委員会により映画制作のリスクに対応。
・Amazonの手数料は34%と高額だがAmazonを使わなければ物が売れない
・トヨタは関連会社の株式を保有することによって系列を維持、今後はモビリティやまちづくりに活路を模索
・日本企業は利益率が低く、労働生産性の低さが原因(解雇規制もその一因)
・選択と集中の見直しが始まった!
・関連多角化による経営により企業がゴーイングコンサーンとして生き残ることが重要
・企業が生き残ることは人材の育成や企業文化の醸成に不可欠
⑵ コメント
時間があっという間でした。
具体的な企業分析についてもっと知りたかったです。
でもJALは貨物部門売却と講師はおっしゃっていましたが、株主通信の内容では航空貨物の機能が存在していたような・・・。
何事も、自分で頑張って調査し、さまざまな角度から分析して結論に導くことが大切ですね。
5 まとめ
FPフェアin東京(2022年)について述べてきました。
知識は行動を伴わなければ意味がないという指摘もあります。
せっかく5500円も出した知識なので、将来行動に結びつけられるようにと、まず、自分なりにまとめてみました。
改めて、マクロ経済の分析、FPとしての業務、企業分析等に役立つ講演だったと思います。
早速、持株についての記事に活かしていく予定です。
お読み意いただき、ありがとうございました。