投稿日:2021.12.28
こんにちは!
この記事は、東証マザーズに上場しているオークファン【3674】に関心のある方に向けた株主としてのコメントを記したものです。
・株価大幅下落の理由
・良い顧客を得るためには良いサービス・商品を提供すること
【目次】
1 オークファンについて
⑴ 会社概要
オークション等の情報分析サイトからスタートし、M&Aを通じて商品在庫管理や再流通ECサービス等様々なビジネスを展開中。
ただし、一部サービスを終了しているものもあります。
オークファンのことを、物流のお医者さんのような表現をする人もいるようです。
企業理念
コーポレーションアイデンティティについては
「RE-INFRA COMPANY」
”SDGsに資する再流通インフラを確立し、拡大するB to B流通市場のDX化に挑みます”
とあります。
「RE」に関わるサービスで事業を拡大している会社です。
セグメント
セグメントは下記の通り3つあります。
インキュベーションとは”ふ化”という意味があり、創業支援という意味があるようです。
よって、注目すべき事業は在庫価値ソリューション事業と流通商品プラットフォーム事業の2つになります。
・在庫価値ソリューション事業
データを基にAI技術を活用し在庫の価値を可視化し、企業が保有する在庫価値の可視化・最適化等を推進するソリューション事業。
なお、小売業の経営課題を解決する在庫管理AIソリューション『zaicoban(ざいこばん)』はサービス終了。
・流通商品プラットフォーム事業
企業の在庫・対流商品等の流通を支援しており、複数のマーケットプレイスの運営や流通を加速させる人材育成スクールの運営等を実施する事業。
なお、寄付型ショッピングサイト「Otameshi(オタメシ)」はサービス運営終了。
・インキュベーション事業
営業投資有価証券の売却、投資先企業へのコンサルティング及び新規事業の開発等を実施する事業。
⑵ 株主になったきっかけ
9月決算銘柄ということで数年前に購入。
少し前にテンバーガー候補と取り上げるユーチューバーさんもいましたが(今は候補から外したようです)それ以前から株主でした。
⑶ 経営分析
連続営業減益と四季報で報じられています。
収益性
・売上高総利益率:42%
売上原価の小さい高収益なビジネスモデルだと考えられます。
・売上高営業利益率:7%
業利益率は高いとは言えません。
10%以上が優良株とうい人もいるそうですがそのレベルには至らず。
販管費が多いためと考えます。
ちなみに、SBI証券の企業スコアで収益性を評価すると
・業界平均値(インターネットサービス):4.1
・オークファン:0
となっており、”評価”されていません。
安全性
・流動比率(200%以上が望ましい):341%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):64%
短期の安全性を見る流動比率も中・長期の安全性を判断する自己資本比率も望ましい基準をクリアしています。
安全性に懸念は見当たりません。
効率性
・有形固定資産回転率:1約113
不動産等のコストは比較的小さく、資金を効率的に使用していると考えます。
【株主総会実施の案内板 最上列をご覧下さい】
2 株主総会等
⑴ 株主総会
第15回定時株主総会 2021年12月22日(水)ホテル雅叙園東京
少し遅れて10時18分に到着した際、もう総会は終了していて退室する人たちとすれ違いました。
こんなに早く終了する株主総会も久しぶりです。
ただし、雅叙園東京ないの散策は楽しめました。
⑵ 株主還元
配当
なし
株主優待
300株以上の株主に対して
廃棄ロス削減セット又はNETSEAクーポン5000円相当が持株数に応じてもらえます。
【雅叙園内の庭】
3 株主としてのコメント
⑴ 株価大幅下落の原因
株価=EPS(一株当たり当期純利益)×PER(株価収益率)
となります。
オークファンのEPSの推移は下記の通りです。
2018年9月期:22.72円
2019年9月期:32.54円
2020年9月期:41.81円
2021年9月期:14.67円
2020年をピークに稼ぐ力が大幅に落ちてることが明らかです。
それは、SBI証券のオークファンの収益性の評価結果が0であることと一致します。
よって、株価下落は稼ぎが悪くなったことによる必然の結果と考えて良いでしょう。
では、何故稼げなくなったのか?
稼ぐ力を損ねた原因を3点指摘します。
・大企業向け等のサービス終了
「ざいこばん」と「オタメシ」の2つの主要サービスが終了しています。
特に、「ざいこばん」については大企業への導入にリードタイムを要し売り上げ見込みが遅延していることから撤退したとあります。
会社は、SMB(中小企業・個人事業主)に注力するとしていますが、要は、大企業向けのサービス提供には至らなかったということです。
このことは、オークファンのサービスのクオリティを示しています。
同時に、大企業相手の大きな取引の見込みが立っていないことを物語っています(会社もその予定はないとのこと)。
・株主の関心の薄さ
オークファンの大株主は、社長とその資産管理会社と続きこの2者で約半数になります。
さらに、株主総会が15分程度で終了したことから、株主との熱意ある議論(意見の交換)が皆無であったと推察されます。
これでは、コンプライアンスや業績について社長を叱咤激励することは期待できません。
現状では、緊張感を持った経営はちょっと難しいと思われます。
・PDCAサイクルの機能不全
オークファンをある時期”テンバーガー候補銘柄”として見なしていた人気ユーチューバーさんも、”オークファンの説明資料は毎回分かりずらくなっている”と繰り返し嘆いていました。
同感です。
2021年9月期の株主通信にはたくさんのグラフが載っていますが、業績を示す縦軸については数値がありません。
ビジネスにおいて数値を示さなければ相手は説得できません。
また、IRに大企業サービス終了の原因を照会しましたが、回答に1週間近くかかるとともに、原因については招集通知の文言がコピペされていただけでした。
残念かつ納得には程遠い回答です。
そもそも世の中にない商品やサービスを創造するのが会社なので、失敗はあって当然。
大切なのは、失敗の原因を特定してそれを取り除き次に活かすこと。
それをおろそかにして、会社の強みである中小企業に経営資源を投入すると強弁しても、その程度のクオリティで中小企業がいつまでも満足するのでしょうか?
その意味で、PDCAサイクルがオークファンでは回っていないようです。
大企業が相手にしないのも納得です。
⑵ 類は友を呼ぶ
良い商品や良いサービスは良い顧客に通じます。
株主として望むのは、クオリティの高いサービスに注力することです。
2021年12月の権利付売買最終日の本日、年初来安値を更新つづけている現実を直視し、良い点は伸ばしつつも、悪い点を改める勇気が必要です。
本人はうまくごまかしたつもりでも、市場や心ある投資家は見抜いています(そもそも時価総額が63.1億円(四季報)では機関によるまとまった買いは入りずらいですが)。
【雅叙園内の広い通路】
4 まとめ
オークファンについて述べてきました。
年初来安値を更新し続けている株価は稼ぐ力たるEPSの低下が原因であると指摘しました。
その根拠として、
・大企業ビジネスからの撤退
・株主の関心の薄さ
・PDCAサイクルの機能不全
を挙げました。
この先、会社が復活するのか、あるいは、ジリ貧の末路に向かうのモニタし続けます。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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