こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

三越伊勢丹ホールディングス【3099】〜株主総会雑感(順調)

初投稿:2021.10.8、更新日:2021.12.21、2022.7.、2023.7.11

こんにちは!

この記事は、三越伊勢丹ホールディングス【3099】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

なお、2023年の株主総会の内容(質疑応答を除く)を追記し、記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。

・V字回復の業績

・ビジョン・戦略の良さ

★★★★★

【目次】 

【2022年6月の株主総会の会場となったヒルトン東京お台場】 

                    

1 三越伊勢丹ホールディングスについて

⑴ 会社概要

ご存じの通り、三越伊勢丹を傘下に持つ百貨店の会社です。

売上高4874億円、総資産時1.2兆円、時価総額5759億円の事業規模。

PBRは1.01倍で前期よりも向上&1倍割れ回復!

企業理念等 

・私達の考え方

 人と時代をつなぐ三越伊勢丹グループ

 変化せよ。

 1.データが自分を作る。

 2.時代より先に変わろう。

 3.他者が私を新しくする。

 be a newone

ちょっと、抽象的な印象を感じます。

社員さんはこの考え方でどうやって、同じ方向にベクトルをそろえて力を合わせているのか?気になります。

セグメント(売上高構成比)

・百貨店業(85.8%)

・クレジット・金融・友の会業(3.7%)

・不動産業(3.7%)

・その他(7.3%)

ざっくりと大丸や松坂屋を傘下に持つJFRと比較すると、

・百貨店業・・・三越伊勢丹:JFR=8割超:5割弱

・不動産業・・・三越伊勢丹:JFR=1割弱:5割弱(パルコも不動産業と見なす)

という違いが際立っています。

あくまで、百貨店業を中心に事業を展開する三越伊勢丹HDと百貨店業と不動産業を中心にコングロマリット化を推進するJFRの今後の展開に注目しています。

⑵ 株主になったきっかけ

10年以上も前に株主優待目的で株式を取得しました。

子供の学校の制服BOSEのスピーカーなどの高額商品が1割引きで買えて助かっています。

もちろん、デパ地下での買い物でも大助かりです。

コロナ禍も収束に向かい含み益状態です。

”元は引けている”と思いますので今後もホールド予定です。

⑶ 2023年3月期の経営分析

新中期経営計画の初年度は売上高、営業利益ともに当初計画を大幅に上回ったとのことです。

V字回復と言っても良いかもしれません。

収益性

・売上高総利益率:59%

売上高営業利益率:6%

粗利率は前期と同レベルですが、営業利益率が大きく向上しました。

今後の収益性拡大に期待します。

安全性

流動比率(100%以上が望ましい):71%

自己資本比率(30%以上が望ましい):45%

短期的及び中・長期的な安定性は前期とほぼかわっていません。

おそらく、財務的にはこの辺りで良いと経営陣は考えているのかもしれません。

ただし、金利が上昇した時の借入金の返済額の影響など、少し気になります。

効率性

・有形固定資産回転率:0.69

昨年よりも若干上昇しています。

設備投資で203億円投資していますが、それでも回転率が向上しているというのは売り上げがそれ以上に伸びたと推察します。

⑷ 2022年3月期の経営分析

減収にもかかわらず、2期連続の赤字からの黒字化を達成。

会社四季報でも【急回復】という見出しが出ています。

収益性

・売上高総利益率:58%

売上高営業利益率:1%

まず、2期連続の赤字からの脱却ということで評価されると思います。

また、原価が著しく低下している点も注目です。

まだまだ収益性は高くはありませんが、今後の回復に期待します。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):69%

自己資本比率(30%以上が望ましい):44%

前期よりも、短期的及び中・長期的な安定性は若干悪い数値となっています。

効率性

・有形固定資産回転率:0.53

昨年よりも低下しています。

それは有形固定資産の減少以上に売上高の低下が著しかったためと判断します。

なお、有形固定資産7000億円の内訳は「土地」5274億円「建物及び構築物」1559億円の順になっており、価値の高い土地・建物等を保有していることが分かります。

⑸ 2021年3月期の経営分析

2期連続の赤字です。

収益性

・売上高総利益率:28%

原価は”それなり”にかかっていますが、販管費で大きくマイナスとなります。

コロナ禍が売り上げにダメージを与えているためと考えます。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):75%

自己資本比率(30%以上が望ましい):46%

短期の安全性を見る流動比率には若干の懸念があるレベルです。

効率性 

・有形固定資産回転率:1.15

低いです。

コロナ禍により、都内の一等地等に不動産をもっている良さが活かされていないことが、ここからも分かります。

逆に考えると、コロナ終息ごの活動に期待が持てそうです。

株主総会会場でいただいたオリジナルの天然水】

2 株主総会

⑴ 2023年6月の株主総会

第15回定時株主総会 2023年6月20日(火) ヒルトンお台場

参加できず。

アーカイブ配信(質疑応答はカット)を視聴しました。

ビデオに続き、社長から力強い補足説明がありました。

はじめに、下記の環境与件を踏まえた今後の事業展開について。

・インバウンドのV字回復

・富裕層の増加い

・デジタルデバイスによる情報感度の向上

これらを踏まえて、

マスから個へ

という認識の重要性が強調されていました。

その結果、中期経営計画の主要戦略として

・好感度上質戦略

・個客とつながるCRM戦略

・連邦戦略

・まち化(CRE)戦略

を通じて今期は、過去最高の営業利益350億円の達成を目指すとのことでした。

決議事項

IRを通じて下記の事項が承認・可決されたことを確認しました。

・剰余金処分の件

・取締役9名選任の件

コメント

他の百貨店(JFR、丸井等)に比べた三越伊勢丹の特徴は百貨店に経営リソースを集中的に投入しているということだと思います。

JFRは不動産が約50%、丸井はクレジット業務が約90%を占めます。

その意味で、インフレの世の中になりつつあり、高級品が売れるようになってきた昨今は、当社にとって追い風が吹いていると認識しています。

会社のIRを見ても、【事業説明会】三越日本橋本店について というタイトルのPDF資料、動画、質疑応答の一覧が掲載されていました。

当社としても、事業の方向性に手応えを感じていると推察します。

できれば、株主総会における質疑応答の動画配信または文書による要約の掲載を望みます。

今回は株主総会に参加できませんでしたが、結論としては

当社の調子は良さそうだ!

と認識しています。

【2023年3月期の株主優待カードと前年のカード】

⑵ 2022年6月の株主総会

第14回定時株主総会 2022年6月27日(月)ヒルトン東京お台場

受付にてオリジナルの天然水を頂きました。

また、会場には数多くの株主が集まっていました。

社長からの事業報告と新しくなった中期経営計画についての熱のこもった説明があった後、審議の時間へ。

主な質疑応答

Q.日本橋三越新宿高島屋を改築する際の歴史的建造物への影響について

A.歴史的建造物はしっかりと守っていく。

Q.ハイタッチ・ハイエンドの方針と個別の店舗展開の整合性について

A.”お客様とつながりたい!”という想いで、外商による富裕層のお客様、アプリによる幅広いお客様とのつながりに注力している。

店舗展開については、一部閉店もあるが場所を移して営業を継続している。

Q.オンラインストアのシステム障害について

A.イベント時のシステム障害をきっかけに再点検を実施している。

ゆっくりと着実にシステム構築を進める。

Q.店舗内のWi-Fiがつながりにくく化粧室の清掃が徹底されていない

A.ご指摘いただいた点についてしっかりと対応する。

Q.エスコヤマの長時間残業や残業代不払等の労働基準法違反について

A.エスコヤマの数千人の従業員の雇用を確保しつつ、調達方針をしっかりと伝達し、労働基準法違反の再発防止に努める。

Q.化粧品販売のルールについて

A.化粧品には事実であれば使える言葉(効能効果)が56個決められている。

反対に、自社で使ってはいけない言葉を210個ピックアップして社員に対して周知を図っている。

一方、SNSの発達によりグレーな表現がネット上に出回っているのが現状。

誤解のない表現の使用に努める。

Q.優待の上限について

A.高島屋はリミッターがないが、当社はスーパーやレストランで利用できる良さがある。

リミッターを外す予定は今の所ない。

Q.駐車料金について

(新宿の小田急は駐車料金が5000円なのに対して、新宿伊勢丹は10000円)

A.状況を見ながら適切に設定している。

Q.”まちづくり”における自社不動産部門活用やディベロッパーとの協業について

A.”まちづくり”についてはコンセプトの発表を含め、慎重かつタイムリに実施していく。

Q.百貨店の科学について

A.百貨店の科学という言葉は、前例踏襲という百貨店の常識を打ち破りたいという社長の想いによる造語である。

改革に期待してほしい。

また、データに基づく経営をするための人材は子会社に存在する。

Q.まちづくりは単独ではできないのでは?

A.まず、自分達でできることから始めることに意味があると考える。

Q.MIカードの申し込み用紙の年収の項目はいらないのでは?

A.貴重なご意見として検討する。

決議事項

・剰余金処分の件

・定款一部変更の件

・取締役10名選任の件

拍手を持って賛成・可決されました。

ちなみに、社長の

「賛成の方は”何卒”拍手をお願いいたします。」

という何卒という一言が接客業のプロらしく感じられました。

株主総会雑感

百貨店業界では、Fフロントリテーリングが「百貨店と不動産」丸井が「百貨店と金融」というように収益構造の変革を進めています。

これに対して三越伊勢丹は相変わらずの百貨店中心ということで革新性がない会社ではないかと懸念していました。

けれども、今回の総会に参加して、「グループ連邦」、「まちづくり」、「百貨店の科学」など新しいコンセプトを打ち出して社長を筆頭に改革していこうとする取り組みの一端を知ることができました。

その一方で、前例踏襲の旧態依然とした態勢が存在することも現実です。

ならば企業価値向上を願う株主としては、

「そのような改革の兆候をより一層揺るぎない流れとなるよう応援することも必要ではないか?」

という気持ちになりました。

総会会場に足を運んでよかったです。

蛇足ですが、大丸東京店のデパ地下では2022年5月からタイムセール中の株主優待カードの使用が禁止され失望しましたが、銀座三越店は今のところ従来通りでありるので大丸の分も利用させていただいています。

【以前の株主総会の会場となったグランドニッコー東京 台場】

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⑶ 2021年6月の株主総会

第13回定時株主総会 2021年6月25日(金) グランドニッコー東京 台場

今回は参加できず。

過去に参加した際は、

・お土産を頂けたこと

・株主が消費者としてのクレームをぶつけるような質疑応答が多かった

三越伊勢丹の統合に関すること

についての質問が多かったように記憶しています。

⑷ 株主還元    

配当

一株配当の実績は下記のとおりです。

・2023年3月期:14円

・2022年3月期:10円

・2021年3月期:9円

・2020年3月期:12円

増配基調が続いており嬉しいです。

株主優待

 優待カード(10%割引)

持株数に応じて割引額の上限が変わります。

株主優待カード】

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3 株主としてのコメント

⑴ 発表された中期経営計画(2022~2024)年について

以下、主要なキーワードを抜粋します。

・長期に目指す姿

 お客様のくらしを豊かにする”特別な”百貨店を中核とした小売りグループ

・基本戦略

 好感度上質消費の拡大・石鹸、最高の顧客体験の提供

・重点戦略

 ”好感度上質”戦略

 ”顧客とつながる”CRM(カスタマーリレーションシップマネージメント)戦略

 ”連邦”戦略

・グループ基盤

・経営基盤

・・・・etc

株主通信とホームページ9頁分を読みましたが、正直、腹落ちするまでには至りませんでした。

コメントは3点ほど。

・動画の活用

中期経営計画について動画で社長に語っていただきたい。

三越伊勢丹YouTubeチャンネルも開設したようですが、専門業者に作らせたようなありきたりのものでなく、社長が社員に対して熱意をもって語るような動画を要望します。

・JFR(大丸松坂屋)に比べると

JFRは百貨店と不動産の2本立てで生き残りを図るという非常に分かりやすくかつ納得感の高い戦略を取っています。

そのために、不動産業であるパルコを完全子会社化しそのノウハウを全社で生かし、セグメント別の売り上げでは、百貨店と不動産がほぼ同額という収益構造を確立しています。

財務や顧客に関するKPIも記載されていましたが、その数値の算定根拠や意味するところも説明が不足しています。

ビフォーアフターのように今までとこれからで何をどう変えていくのかを分かりやすく説明する必要があるように感じます。

自分が今まで調べた結果、

JFR(大丸松坂屋):脱百貨店

三越伊勢丹:百貨店を立て直す

と理解しています。

⑵ 見直し中の中期経営計画について

会社で中期経営経計画を見直しています。

株主総会招集通知の対処祖すべき課題では、

重点戦略①「”好感度上質”戦略」

重点戦略②「個客との”つながり”戦略」

重点戦略③「グループ間連携強化」

が掲載されています。

ここからわかることは、会社は

百貨店として今後も頑張る!

ということです。

JFRがパルコを完全子会社化しその不動産としてのノウハウを活かし、百貨店と不動産の2本柱で生き残りを懸ける経営とは対照的です。

個人的にはJFRの方が良い戦略のような気がします。

けれども、伊勢丹新宿店のような高額なサービスや商品を売ることのできるノウハウを上手に活かせれば、そこに活路を見出すこともできると考えます。

株主として要注目です。

⑶ 総資産、売上高、時価総額から分かること

成長する会社というのは

総資産:売上高:時価総額=1:1:1

と言われています。

三越伊勢丹HDの場合はどうでしょうか?

会社の総資産は、1兆1千億円あります。

これに対して、売上高は8千億円強で、あまり稼げていません。

その結果、時価総額は3千億円弱であり投資家からの評価が低く株価低迷が明らかです。

総資産、売上高、時価総額から分かることは、会社が債権者や投資家から集めた巨額な資産が有効活用されず(売上高の低迷)、投資家の評価低い(時価総額が小さい)という悪い流れとなっていることです。

アフターコロナ時代になりつつあります。

見直された中期経営計画も発表になると思います。

売上高は上昇することが予想されます。

三越伊勢丹HDが生き残るために、その上昇の流れを生き残りのためのより力強いものにできるかどうか?

be a newone

”私達の考え方”がどこまで社内で広く深く浸透しているかが試される時です。

株主として、会社の変革を暖かく見守りたいと思います。

銀座三越前にて】

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4 まとめ

三越伊勢丹ホールディングスについて述べてきました。

百貨店中心の戦略ですが、その中に変革への兆候もあることからしっかりと応援したいと思います。

一方で、百貨店中心であることはアフターコロナにおける消費拡大の恩恵を最も享受し得る可能性もあります。

厳しい状況下で生き残りを模索する各百貨店と共に今後の三越伊勢丹HDの活動を見守りたいと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

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