初投稿:2021.9.9、更新日:2021.12.20
こんにちは!
この記事は、SBIホールディングス【8473】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
2021年冬に第24期中間報告書が届いたことをきっかけにSBIの業績・事業活動を更新しています(更新か所は青自です)。
報告書のポイントは3点。
まずは、
「創業以来、上半期業績として過去最高の収益(売上高)及び利益を達成」したこと。
次に、報道でご存じの通り、新生銀行のTOBすることの意義についての説明。
NTTがドコモの社長を更迭して企業グループの価値を高めました
SBIも新生銀行の社長を交代させ業績の拡大につなげることを期待します。
SBIは
・フィンテック1.0:IT×金融
・フィンテック1.5:オンライン金融生態系×AI・ビックデータ・IoT等
・フィンテック2.0:ブロックチェーンを中核としたデジタル金融生態系×AI等
と定義づけ、ブロックチェーンを中心とした金融商品やサービスの拡充に努めています(ただし、フィンテックのバージョンについてはいろいろな定義があるようです)。
具体的には、
セキュリティトークンにより資金を調達するスキームであるセキュリティ・トークン・オファリング(STO)
美術品にブロックチェーン証明書を発行する非代替性トークン(Non-Fungible Token:NFT)
分散型台帳技術(Distributed Ledger Technology:DLT)を駆使したデジタル通貨発行支援
などが紹介されていました。
他方、違和感を感じた表現はM&Aについてです。
11社ほどM&Aの記事の中で紹介されています。
持分法適用会社(議決権保有率が20%以上50%未満の非連結子会社等)としてメディカルデータビジョンやアルベルトなどの企業が紹介されていますが、これらの企業の株主として資本業務提携は承知していますが、M&Aという認識は・・・?
何より、SBIとつながりを持ってもMDVもアルベルトも株価には良い影響は出ていません。
先程の、フィンテック2.0の定義もそうですが、SBIは独自の定義とロジックで説明する傾向が強いので注意が必要です(不祥事が絶えないことも含む)。
株価については、新生銀行の件が決着するまでは不透明感から低迷してましたが、TOB成功後は上昇トレンドとなっています。
引き続き、ブロックチェーン技術を駆使した金融商品・サービスと拡大する業績を中心にモニタを続けたいと思います。
・投資対象としてのSBI
・論語と経営
【目次】
【本社のある泉ガーデンタワー】
1 SBIホールディングスについて
⑴ 会社概要
大手ネット証券であり、証券口座首位の金融グループです。
企業理念等
・正しい倫理的価値観を持つ
・金融イノベーターたれ
・新産業クリエイターを目指す
・セルフエボリューションの継続
・社会的責任を全うする
新中期ビジョン(2021年4月から3~5年間)
・連結税引き前利益3000憶円
・新事業の税引前利益の総額が連結税引き前利益に占める割合が20%
・ROEは10%以上
数値を用いた野心的な成長ストーリーが明らかにされています。
特に、2項目目が特徴的でここまで大企業化してもさらなる成長を続けようとする硬い意志が感じられます。
持続的成長目標(抜粋)
・オープンアライアンス戦略の進展とパートナーとのシナジーを効率的に生み出す生態系の構築。→地方創生
・革新的技術を持つベンチャーへの積極的投資と新技術を通じた有機的結合・シナジーの極大化を目指す。→技術革新
・デジタル金融分野への積極的かつ多角的に進出し、新たな事業拡大を図る。→暗号資産
・グループ運用資産残高を現在の4.4兆円から10兆円兆を目指す。→SPAC
セグメント(収益構成比率)
・金融サービス事業(59.3%)
・アセットマネジメント事業(39.6%)
・バイオヘルスケア&メディカルインフォマティックス事業(1.1%)
・その他
⑵ 株主になったきっかけ
2020年に、約10年ぶりくらいにSBI株を購入しました。
ちょうど、チャートが上向きかつ3月末の権利確定日前でした。
ネット証券大手であり、知っている会社でもあるので今度は末永くホールドする予定です。
⑶ 経営分析
収益性
・売上高税引き前利益率:26%
一般的には高収益と言えると思います。
ちなみにマネックスグループも27%でした。
安全性
・自己資本比率:10%
一般的には低いように見えますが、金融業界ではこのレベルが妥当なのかもしれません。
ちなみにマネックスグループは6%でした。
効率性
・有形固定資産回転率:8.42%
金融業のためか、不動産にはそれほど多く投資されていないようです。
参考として、マネックスグループは16%を超えており、SBIグループよりもさらに不動産投資の割合が低くなっています。
【株主優待】
2 株主総会等
⑴ 株主総会
第23期定時株主総会 2021年6月29日(火) The Okura Tokyo
ライブ中継を見ました。
30分足らずで終了。
質問は、竹中平蔵氏のこととHIPER SBIの使い勝手についてのものでした。
総会後の事業報告の中で様々な質疑応答がなされたと想像しますが、残念ながら今回はその中継はありませんでした。
⑵ 株主還元
配当
・一株当たりの配当金の推移
2017年3月期:50円
2018年3月期:85円
2019年3月期:100円
2020年3月期:100円
2021年3月期:120円
当期利益の40%を下限として株主還元を実施するとのことです。
安定して増配を続けており高配当も魅力です。
なお、2022年3月期の中間配当は、10円増配して30円となっています。
株主優待
株数と保有期間に応じて暗号資産(7月末時点換算で2,000円相当)、健康補助食品、化粧品等が選べます。
今回は、アプラスゴールドEX(60粒)11,880円等を頂きました。
3 株主としてのコメント
⑴ 投資対象としてのSBI
SBI証券についてネットで検索してみると、
・口座開設をいかにお得にするか?
・キャンペーンのお知らせ
・IPOや仮想通貨関連の裏技
・iDeCo口座・・・
などがありますが、意外と投資対象とての記事は少ないように思います。
投資対象としての主なプラスの材料とマイナスの材料は下記の通りです。
●プラス材料
・量的緩和を背景とした金融相場の継続(日米株式)
・菅政権終了に伴う総裁選と衆議院選挙(選挙に伴う株高→アベノミクス相場の再来の可能性)
・600万口座という証券業界ナンバーワンの地位
・「新規事業の税引き前利益の総額が連結税引前利益に占める割合が20%程度」という新中期ビジョンに基づく成長性
・暗号資産の飛躍的発展
・バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティックス事業の収益化
●マイナス材料
・北尾社長の高齢化(70歳)
・SBIソーシャルレンディングの廃業に象徴される不祥事の多発
・定期的に生じ続けている金融庁の政処分
・SOR(スマート・オーダー・ルーティング)注文を巡る先回り取引による不適切な利益
まとめると、優秀な人が必死に稼いでくれる一方、必死さゆえに不祥事を起こし続けてきた会社と見なすことが出来そうです。
長期的には成長し続けると予想しますが、不祥事による株価下落や企業価値の棄損のリスクは覚悟しておく必要があると思います。
リスクと言えば、カリスマ経営者の北尾社長の年齢も挙げられます。
同業のマネックスグループは松本大さんが50代で会長となり40代の清明祐子さんに社長を譲ったのとは対照的です。
もちろん北尾会長の元気さは株主総会のライブ中継からもか確認しています。
けれども、トップの交代が未経験という組織のリスクはやはりそれなりのインパクトの要因になると思います。
株式の売買において馴染みのある会社であり、かつ、株価も上昇基調であり、配当・優待も魅力的ですが投資対象として長く付き合うなら、お行儀の悪さや北尾社長依存のリスクをしっかりと認識しておくことが無難だと思います。
ちなみに、自分は投資対処としてのSBIに魅力を感じ、長期保有の予定です。
⑵ 論語と経営
企業経営に論語を活かす経営者は少なくありません。
新一万円札で注目を浴びている渋沢栄一に始まり、その子孫の方もコモンズ投信において論語の大切さを唱えています。
北尾社長もその一人です。
いままで、
「それほど反響が無いのに北尾社長が論語に関する著書やSNSで発信をし続けるのは何故なんだろう?」
と疑問に思っていました。
むしろ、マイナス材料で述べたような不祥事がずっと続いていることから
「論語の効果はそれほどでもないのでは?」
とさえ感じていました。
けれども、よくよく考えれば、論語の重要性を社内外に発信し続けてきたのはご自身のためなのかもしれないと最近考えるようになってきました。
49歳で野村証券を飛び出し、野村證券を凌駕する会社を作ることは並大抵のことではありません。
きわどい判断を迫られることも数えきれないほどあったと思います。
それでも、創業以来ずっと社長として会社をここまで大きくできたのは、論語によって社長自身がその方向性を誤らなかったことが大きいと考えます。
定期的に不祥事が続いているものの、致命傷に至っていないことが論語のおかげなのかもしれません。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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