初投稿:2021.9.9、更新日:2021.12.20、2022.6.15、2022.8.23、2022.12.5
こんにちは!
この記事は、SBIホールディングス【8473】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
インフォメーションミーティング(東京)の内容を追記し、記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。
★★★
・投資対象としてのSBI
・論語と経営
【目次】
【本社のある泉ガーデンタワー】
1 SBIホールディングスについて
⑴ 会社概要
大手ネット証券であり、証券口座首位の金融グループです。
企業理念等
・正しい倫理的価値観を持つ
・金融イノベーターたれ
・新産業クリエイターを目指す
・セルフエボリューションの継続
・社会的責任を全うする
新中期ビジョン(2021年4月から3~5年間)
・連結税引き前利益3000憶円
・新事業の税引前利益の総額が連結税引き前利益に占める割合が20%
・ROEは10%以上
数値を用いた野心的な成長ストーリーが明らかにされています。
特に、2項目目が特徴的でここまで大企業化してもさらなる成長を続けようとする硬い意志が感じられます。
持続的成長目標(抜粋)
・オープンアライアンス戦略の進展とパートナーとのシナジーを効率的に生み出す生態系の構築。→地方創生
・革新的技術を持つベンチャーへの積極的投資と新技術を通じた有機的結合・シナジーの極大化を目指す。→技術革新
・デジタル金融分野への積極的かつ多角的に進出し、新たな事業拡大を図る。→暗号資産
・グループ運用資産残高を現在の4.4兆円から10兆円兆を目指す。→SPAC
セグメント(収益構成比率)
・金融サービス事業(59.3%)
・アセットマネジメント事業(39.6%)
・バイオヘルスケア&メディカルインフォマティックス事業(1.1%)
・その他
⑵ 株主になったきっかけ
2020年に、約10年ぶりくらいにSBI株を購入しました。
ちょうど、チャートが上向きかつ3月末の権利確定日前でした。
ネット証券大手であり、知っている会社でもあるので今度は末永くホールドする予定です。
⑶ 2022年3月期の経営分析
新生銀行買収の効果も加わり、過去最高益とのことです。
収益性
・売上高税引き前利益率:23%
昨年より若干数値は下がっていますが、高収益です。
安全性
・自己資本比率:10%
昨年と変化なく、安定しています。
効率性
・有形固定資産回転率:4.37
昨年よりも効率性が下がっています。
有形固定資産の金額がほぼ倍増したことが要因です。
新生銀行の完全子会社化の影響かもしれません。
⑷ 2021年3月期の経営分析
収益性
・売上高税引き前利益率:26%
一般的には高収益と言えると思います。
ちなみにマネックスグループも27%でした。
安全性
・自己資本比率:10%
一般的には低いように見えますが、金融業界ではこのレベルが妥当なのかもしれません。
ちなみにマネックスグループは6%でした。
効率性
・有形固定資産回転率:8.42%
金融業のためか、不動産にはそれほど多く投資されていないようです。
参考として、マネックスグループは16%を超えており、SBIグループよりもさらに不動産投資の割合が低くなっています。
【株主優待】
2 株主総会等
⑴ 2022年12月のインフォメーションミーティング(東京)
2022年12月5日(月) The Okura Tokyo 1300〜1500
結論から言えば、北尾会長が2時間、元気で話を全うされたことに尽きると思います。
細部のポイントについては下記の通りです。
主なポイント
●上半期の業績について
・増収・減益だがたの金融会社との比較から、”善戦した”と考える。
●新生銀行の完全子会社化について
・組織再編や人事交流により一体化を推進中。
・シナジー効果は既に発揮されている(SBIラップ等の例より)。
・今後はトライアングル戦略(SBI、新生銀行、地銀)を推進する。
・特に、ノンバンク事業(不動産の小口化商品)に注力する。
・新生銀行の貸出残高や預金残高も大幅上昇中。
・顧客基盤は新生銀行800万人強、SBI HD3500万人強で合計4400万人弱
・これまでは、SBI HDの経営資源をギブしてきたが、今後はテイクもしていく。
●ネオ証券化について
・証券業界のゼロコミッション(手数料ゼロ)
・2024年3月期の上半期に実施したい。
・収益の十数%の手数料がなくなっても、お客様から他の金融商品を利用していただければ問題ない
・FX事業の収益はトップレベル
・ネット証券はSBI1強
・野村證券は預かり資産高が大きいが、60歳以上の顧客中心でありいずれは60歳未満の顧客中心の当社に資産がシフトすると予想
・NISA、iDeCoに注力
・直接上場の仕組みを作る
●地方創生について
・地銀の問題点は勘定系基幹システムの膨大なコスト
・SaaSを用いた次世代バンキングシステムでコストを固定費から変動費へ
・地方もリージョナルからネーション化へ
・地銀、地域住民、地域産業、地方自治体の4つの連携が大切
・道の駅にEVインフラを整備する(防災対策としても有望)。
・日本酒は地域そのもの
・地方の酒屋は規模が小さくブランドの保証等に課題
・バルニバービとの連携
・企業版ふるさと納税
●下半期の事業環境
・金利は上がる
・FTX破綻の影響はほとんどない
・デジタル通貨の可能性(規制強化は安心できる金融商品への第一歩)
・Ripple裁判の行方(証券か?通貨か?)
・NFTを利用したデジタルアート
質疑応答
Q.日本郵船の配当政策について
Q.配当しないグロース企業について
A.成長してるのに内部留保オンリーで配当しないのはおかしい。主幹事として所要の働きかけを行う。
Q.保険事業について
A.ゼロから進出したので基盤作りに時間を要した。
保険で伸びているのは海外という厳しい現実を踏まえ、配当可能であればするよう指導している。
Q.後継者問題について
A.外部からの登用は考えられない。
社内で後継者が見つかるかもしれない。
全体統治ができる人はなかなかいないので、分割統治ができる人材育成に注力している。
Q.AIを用いた分身による経営について
A.難しいのではないか、また、分身ではない方が良いと思う。
Q.企業価値と株価の関係について
A.株主の75%は機関投資家であり、パーツの価値を合計してバリューを出すと割安であることが理解してもらえる。
20%未満である個人投資家に価値を理解していただくことが重要。
バフェット氏に買っていただくようお願いしましょうか(笑)
インフォメーションミーティング雑感
会長の本3冊と健康サプリメントをいただき、2時間中身の濃いお話を聞かせていただきました。
たくさんの元気をいただきました。
併せて、株価が割安であることがよくわかりました。
SBIのみならず、金融や最新のデジタル業界、ひいては世の中の仕組みに関する様々な刺激をいただきました。
引き続き、株主を続けます。
⑵ 2022年6月の株主総会
第24期定時株主総会 2022年6月29日(水) The Okura Tokyo
ライブ配信を視聴しました(約30分)。
業績については増収増益(過去最高)、増配とのこと。
合わせてSBIソーシャルレンディング関連の損失についての陳謝がありました。
質疑応答
Q.竹中平蔵氏の当社に対する印象について
A.経営近況報告会にて回答する。
Q.ハイパーツールの改善の体制について
A.改善要望は全てトップにまで上がる体制になっている。
要望については個別の案件として対応する。
決議事項
・取締役15名専任の件等
拍手を持って賛成・可決されました。
なお、計算書類については新生銀行買収に伴い一部が間に合わなかったいうことで、2022年7月27日(水)に泉ガーデンタワー22階のSBIHD会議室にて第24期定時株主総会継続会が開催さてています。
株主総会雑感
けれども、経営近況報告会は配信されませんでした。
昨年と同様です。
理由は分かりませんが、ちょっと隠蔽体質なとこをを感じます。
SBIソーシャルレンディングが社会問題を起こして会社の企業価値を毀損しています。
もう少し、ステークホルダーとの情報共有を蜜にする姿勢が必要なのではないか?とちょっと残念な気持ちです。
⑵ インフォメーションミーティングについて
2022年6月15日(水) 帝国ホテル孔雀の間
数百人の株主が集っていました。
北尾社長が2時間休憩なしに80枚のパワーポイントを用いながら、業績や今後の戦略について語って続けていました。
その後、30分間の質疑応答にもしっかりと対応されていました。
説明のポイント
株価急落の原因
増収増益増配にも関わらず株価が冴えません。
アナリストの評価を平均すると40%程度もSBIの株価はディスカウントされているとのこと。
コロナ禍、米国の利上げ、ウクライナ情勢の三重苦に加え、大株主だったJOHambroが865万株を売却したとの影響も大きかったようです。
そもそも、SBIの株主構成においては個人投資家が2割未満しかなく、機関投資家が7割以上(5割は海外機関投資家)ということが背景にあるようです。
今後は個人投資家の割合を増やすとのこと。
株主として期待しています。
新生銀行のTOBについて
米国を筆頭に今後世界的に金利が上昇することが見込まれます。
これはノーマライゼーション(正常化)の一環と捉えているようです。
金利上昇で儲かるのは銀行。
新生銀行の完全子会社化もこの世界的な潮流に沿ったものと考えます。
SBIとしては今後は経営資源を銀行やノンバンクに投入していく戦略。
その一方で証券については”ネオ証券化”を推進するそうです。
”ネオ証券化”とは顧客第一主義に基づき、売買手数料等の無料化を推し進めるというもの。
これにより今後数年間で、証券会社の淘汰・再編が生じるとのこと。
銀行業により儲けたお金で証券業の手数料無料かにより顧客獲得を加速していくというある意味、”弱肉強食”の世界観を垣間見たような気がしました。
金融を核に金融を超える
今後はMUSTとWANTのカテゴライズをしっかりとしながら事業展開をしていくとのことでした。
ブロックチェーン技術を用いた暗号資産やNFTを拡充を図るとのことでした。
また、アフリカで中古車販売等を実施するなど幅広い事業展開も興味深く感じています。
主な質疑応答
Q.岸田政権の金融政策について
A.木原官房副長官について間違いを指摘した。
いうべきことは今後もしっかりと発言していく!
Q.借入金の増加について
A.新生銀行買収に伴うもの。
Q.JO Hambroの株式売却について
A.事前に連絡はなかった。
Q.日本と海外の売上の比率について
A.比率は考えていない。個々の案件についてリスクとリターンを評価しプロフィッタブルかどうかで判断している。
Q.日本のGDPが伸びない理由について
A.日本が成熟したきたため。多様性と大きな世界観を持った若者に期待している!
【インフォメーションミーティングの看板@帝国ホテル】
⑶ 第24期中間報告書について
2021年冬に第24期中間報告書が届きました。
報告書のポイントは3点。
まずは、
「創業以来、上半期業績として過去最高の収益(売上高)及び利益を達成」したこと。
次に、報道でご存じの通り、新生銀行のTOBすることの意義についての説明。
NTTがドコモの社長を更迭して企業グループの価値を高めました
SBIも新生銀行の社長を交代させ業績の拡大につなげることを期待します。
SBIは
・フィンテック1.0:IT×金融
・フィンテック1.5:オンライン金融生態系×AI・ビックデータ・IoT等
・フィンテック2.0:ブロックチェーンを中核としたデジタル金融生態系×AI等
と定義づけ、ブロックチェーンを中心とした金融商品やサービスの拡充に努めています(ただし、フィンテックのバージョンについてはいろいろな定義があるようです)。
具体的には、
セキュリティトークンにより資金を調達するスキームであるセキュリティ・トークン・オファリング(STO)
美術品にブロックチェーン証明書を発行する非代替性トークン(Non-Fungible Token:NFT)
分散型台帳技術(Distributed Ledger Technology:DLT)を駆使したデジタル通貨発行支援
などが紹介されていました。
他方、違和感を感じた表現はM&Aについてです。
11社ほどM&Aの記事の中で紹介されています。
持分法適用会社(議決権保有率が20%以上50%未満の非連結子会社等)としてメディカルデータビジョンやアルベルトなどの企業が紹介されていますが、これらの企業の株主として資本業務提携は承知していますが、M&Aという認識は・・・?
何より、SBIとつながりを持ってもMDVもアルベルトも株価には良い影響は出ていません。
先程の、フィンテック2.0の定義もそうですが、SBIは独自の定義とロジックで説明する傾向が強いので注意が必要です(不祥事が絶えないことも含む)。
株価については、新生銀行の件が決着するまでは不透明感から低迷してましたが、TOB成功後は上昇トレンドとなっています。
引き続き、ブロックチェーン技術を駆使した金融商品・サービスと拡大する業績を中心にモニタを続けたいと思います。
⑷ 2021年5月の株主総会
第23期定時株主総会 2021年6月29日(火) The Okura Tokyo
ライブ中継を見ました。
30分足らずで終了。
質問は、竹中平蔵氏のこととHIPER SBIの使い勝手についてのものでした。
総会後の事業報告の中で様々な質疑応答がなされたと想像しますが、残念ながら今回はその中継はありませんでした。
⑸ 株主還元
配当
一株当たりの配当金の推移
2017年3月期:50円
2018年3月期:85円
2019年3月期:100円
2020年3月期:100円
2021年3月期:120円
当期利益の40%を下限として株主還元を実施するとのことです。
安定して増配を続けており高配当も魅力です。
なお、2022年3月期の中間配当は、10円増配して30円となっています。
株主優待
株数と保有期間に応じて暗号資産(7月末時点換算で2,000円相当)、健康補助食品、化粧品等が選べます。
今回は、アプラスゴールドEX(60粒)11,880円等を頂きました。
3 株主としてのコメント
⑴ 投資対象としてのSBI
SBI証券についてネットで検索してみると、
・口座開設をいかにお得にするか?
・キャンペーンのお知らせ
・IPOや仮想通貨関連の裏技
・iDeCo口座・・・
などがありますが、意外と投資対象とての記事は少ないように思います。
投資対象としての主なプラスの材料とマイナスの材料は下記の通りです。
●プラス材料
・量的緩和を背景とした金融相場の継続(日米株式)
・菅政権終了に伴う総裁選と衆議院選挙(選挙に伴う株高→アベノミクス相場の再来の可能性)
・600万口座という証券業界ナンバーワンの地位
・「新規事業の税引き前利益の総額が連結税引前利益に占める割合が20%程度」という新中期ビジョンに基づく成長性
・暗号資産の飛躍的発展
・バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティックス事業の収益化
●マイナス材料
・北尾社長の高齢化(70歳)
・SBIソーシャルレンディングの廃業に象徴される不祥事の多発
・定期的に生じ続けている金融庁の政処分
・SOR(スマート・オーダー・ルーティング)注文を巡る先回り取引による不適切な利益
まとめると、優秀な人が必死に稼いでくれる一方、必死さゆえに不祥事を起こし続けてきた会社と見なすことが出来そうです。
長期的には成長し続けると予想しますが、不祥事による株価下落や企業価値の棄損のリスクは覚悟しておく必要があると思います。
リスクと言えば、カリスマ経営者の北尾社長の年齢も挙げられます。
同業のマネックスグループは松本大さんが50代で会長となり40代の清明祐子さんに社長を譲ったのとは対照的です。
もちろん北尾会長の元気さは株主総会のライブ中継からもか確認しています。
けれども、トップの交代が未経験という組織のリスクはやはりそれなりのインパクトの要因になると思います。
株式の売買において馴染みのある会社であり、かつ、株価も上昇基調であり、配当・優待も魅力的ですが投資対象として長く付き合うなら、お行儀の悪さや北尾社長依存のリスクをしっかりと認識しておくことが無難だと思います。
ちなみに、自分は投資対処としてのSBIに魅力を感じ、長期保有の予定です。
⑵ 論語と経営
企業経営に論語を活かす経営者は少なくありません。
新一万円札で注目を浴びている渋沢栄一に始まり、その子孫の方もコモンズ投信において論語の大切さを唱えています。
北尾社長もその一人です。
いままで、
「それほど反響が無いのに北尾社長が論語に関する著書やSNSで発信をし続けるのは何故なんだろう?」
と疑問に思っていました。
むしろ、マイナス材料で述べたような不祥事がずっと続いていることから
「論語の効果はそれほどでもないのでは?」
とさえ感じていました。
けれども、よくよく考えれば、論語の重要性を社内外に発信し続けてきたのはご自身のためなのかもしれないと最近考えるようになってきました。
49歳で野村証券を飛び出し、野村證券を凌駕する会社を作ることは並大抵のことではありません。
きわどい判断を迫られることも数えきれないほどあったと思います。
それでも、創業以来ずっと社長として会社をここまで大きくできたのは、論語によって社長自身がその方向性を誤らなかったことが大きいと考えます。
定期的に不祥事が続いているものの、致命傷に至っていないことが論語のおかげなのかもしれません。
4 まとめ
SBIホールディングスについて述べてきました。
インフォメーションミーティングや高配当・株主優待など個人株主を重視する姿勢に好感を持っています(株主総会終了後の経営近況報告会についてもライブ配信されればさらに良い)。
また、SBIの戦略を読み解くことで金融・経済についての理解も深まります。
今後ともしっかりとモニターしていきたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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