初投稿:2021.7.21、更新日:2022.7.2、2023.7.1
こんにちは!
この記事は、JALCO【6625】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。
・社長のリーダーシップ
・第1回懇談会
なお、2023年6月の株主総会&懇親会に参加した際の内容を追記して記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。
★★★
【目次】
1 JALCOについて
⑴ 会社概要
アミューズメント(パチンコ)向け等の貸金業、不動産事業の2本柱経営の会社。
会社四季報では不動産(非住宅)に区分されていて時価総額順位は29/56社(四季報)となっています。
四季報の見出しでも、【高水準】、【新形態】などの期待される見出しが躍ります。
売上高496億円、総資産561億円、時価総額229億円の事業規模。
PBRは1.38倍と割安水準です。
セグメント
・貸金事業
・不動産賃貸事業
・M&Aコンサルティング事業
から成立。
特に貸金事業(ソーシャルレンディング)に特徴を見出しています。
⑵ 株主になったきっかけ
身近な人が保有していたことで会社を知りました。
社名を見た時にJALの子会社と思っていました。
総会に参加して、思っていた会社と違うことに気づきびっくり!
でも、今は面白い会社と出会えてよかったと思っています。
⑶ 2023年3月期の経営分析
業績は増収増益で好調です。
収益性
・売上高総利益率:79%
・売上高営業利益率:65%
著しく高収益です。
しかも前期よりも収益性向上。
今後も期待したいです。
安全性
・流動比率(100%以上が望ましい):169%
・自己資本比率(30%以上が望ましい):28%
前期とほぼ同レベル。
自己資本比率は一般的には30%以上が望ましいとされています。
けれども、金融機関の場合、資本効率を高めるために30%以下の場合が少なくありません。
安全性と資本効率のバランスが重要と考えます。
効率性
・有形固定資産回転率:0.12
前期よりは数値が高まっています。
ただし、不動産を扱う会社らしく有形固定資産回転率は高くはありません。
⑷ 2022年3月期の経営分析
全般として増収減益。
ただし、パチンコホール企業等の優良事業会社を賃借人とする長期保有資産の取得を進めた結果、長期安定的な黒字形状が見込める収益体質を確立したとのことです。
収益性
・売上高総利益率:77%
・売上高営業利益率:59%
著しく高収益です。
安全性
・流動比率:157%
・自己資本比率:29%
昨年に比べて、短期的及び中・長期的な安全性に関する数値は低下しています。
直ちに著しい影響があるとはないと思いますが、気にかけておくべきレベルではあると思います。
効率性
・有形固定資産回転率:0.07
不動産を扱う会社らしく有形固定資産回転率は高くはありません。
販売可能な不動産を多く保有しているという見方もあると思います。
⑸ 2021年3月期の経営分析
増収増益です。
収益性
・売上高営業利益率:47%
高い収益性です。
これほど高い収益性の会社はM&Aか一部の金融関係の会社に限られると思います。
安全性
・流動比率:165%
・負債比率:163%
・自己資本比率:38%
全般として良いというほどではありませんが、問題は認められません。
効率性
・有形固定資産回転率:0.1%
一般的にはいい数値とはいい難いですが、不動産業・物品賃貸業の平均が0.59ということなので、不動産に関する資金の効率性については平均以下ということは言えるでしょう。
なお、会社は保有不動産の入替を継続的に図っていくとしていますので、深刻な懸念事項には至らないと考えます。
2 株主総会等
⑴ 2023年6月の株主総会
第12回定時株主総会 2023年6月24日(土) ベルサール東京日本橋
今年も受付で冷えたお水をいただきました。
飛行機等で遠方から来場された株主も多いとのこと。
好調な業績と今後の方針について社長からの説明がありました。
株主総会&懇親会の概要
・1000〜1040 株主総会:和やかな雰囲気で終了
・1040〜1050 会場準備:廊下にておしゃべり
・1150〜1300 昼食:弁当は72人分用意され約60人が喫食
・1300〜1410 懇談会:弁当食べた人はほぼ全員参加
社長他2名の方からの事業等に関する説明、最後はビデオ鑑賞
主なポイント
・懇談会実施の趣旨は、当社のステークホルダーの輪の中に入って欲しいため。
・時価発行増資の場合証券会社は手数料6%を取得し、すぐに株式を売却する。
・私は情に厚いが親切な人間ではなく実践合理主義者である。
・パチンコ店1店舗支援のため20〜30億円が必要。
・三菱ふそう等の底地を売却してパチンコ店に集中している(パチンコシフト)。
・イオンであっても売上高が10%減少したら危ないが、当社はそれにも耐えられる。
・オリエンタルランドと比較した当社の動態分析(フロー)と静態分析(ストック)によると当社株は伸び代がある。
・当社株は400円ぐらいの価値があるが、それが200円ぐらいで売買されている。
・相手が必要ないものを売るのが販売で、前職は販売力が強かった。
・相手が必要なものを売るのがマーケティングで、コンサルと一緒になって営業となる。
・コスト意識は粗利を生み出すためもの。
・毎日バランスシートを更新しながら経営に当たっている。
・1兆円の資金ニーズに応える完璧なプランを朝3時に思いついた。
・M&Aは時間短縮に役立つ。
・当社は、従業員数の少なさ、一人当たりの利益、利益率で日本有数の会社。
・ある意味、SBIの北尾社長(先輩)とやりたいことが重なる部分がある。
・電子部品会社の経営で損しないことの大切さを学んだ。
・会社が大きくなったので適時開示をふつうに出せるようになった(以前は、「こんなん出すんですか?」と言われたこともあり)。
・投資担当者より、不動産投資の判断のために4回は見にいく。
・資金調達、不動産、貸金等の業務を横断的に実施できるのは良い。
・社長がリスクを取ってくれるのが当社の良い点。
・メガバンクのように仕組みを構築してストック収入が定期的に入るよう努力中。
・人材については、若くて素直な人が伸びる。
・自社で育てる方が早く戦力化できる。
・少人数の会社ではあるが、語学やPCに長けた新人が入社してきている。
・人手不足は提携会社の社員の人のサポートでカバー知っている。
・IRは頑張る、ヤフー掲示板はチェックしている。
・現在は金融機関のいいねがないとビジネスが成立しない時代。
・業界のトップに上り詰めて自分のお金を自分で決めていける会社にしたい。
・背中の痒みをとるような感覚で、将来、3000億円の営業利益を達成する予定。
・(ビデオ鑑賞後)澄んだ心で考える!
主な質疑応答
【株主総会】
Q.配当政策について
A.20〜30%の配当性向が多い中、当社は50%を基準としている。
これは、長く株主でいて頂きたいとの思いからである。
Q.役員報酬における売上高総利益率と現金総利益率の違いについて
A.現金総利益率とは現金でどの程度稼いだのかを示している。
一般に、コンサル会社は30%、大企業で20%であるのに対し、当社では6%程度であり妥当と考える。
Q.増資について
将来2兆円規模のビジネスをするためには自己資本を4000億円まで引き上げたい。
そのために、増資は実施する。
その際、希薄化の懸念があるが当社の場合、すぐには株を売らない第3社に引き受けていただくようにしている。
ちなみに当社はこれまで、時価発行増資をしたことはない。
【懇談会】
Q.(社長から)株式の平均取得単価は?
A.現在の株価よりも低い株主が多いようだった。
Q.(社長から)当社の株式を買ったきっかけは?
A.藤本さんのユーチューブを見た人が複数
Q.(社長から)個人金融資産2000兆円のお金の流れを当社に引き込むには?
A.ログミーファイナンス、カビュー、ネット、動画等を駆使して会社をアピールしては?
Q.会計監査人の選定について
A.会計監査人は売り手市場。
大手の会計監査人のコストは5000万円。
中堅・中小の中の選択肢は少なく、現在の形となった。
決議事項
・定款一部変更の件
・取締役3名選任の件
・監査役2名選任の件
・会計監査人選任の件
・取締役報酬限度額変更の件
拍手を持って、承認・可決されました。
株主総会&懇親会雑感
美味しいお弁当、ごちそうさまでした。
気づきは以下の4点です。
・株主総会&懇談会の理解度
一生懸命に話を聴きましたが、おそらく(間違えを含めて)理解度は半分くらい。
業界のこと、企業経営のこと、当社のことなどもっと勉強しないといけないと痛感。
そして、話の理解度が上がれば、自分の投資力そのものももっとアップすると感じました。
・社員の平均年齢
当社11名の平均年齢は51.3歳で比較的高齢だと思います。
けれども、懇談会には会場前後に若い社員が3名いました。
それにもかかわらず、平均年齢が高いというのはシニアのかたがいらっしゃるためだと推察します。
シニアになっても働ける会社は良い会社だと思いました。
・SBI HD北尾社長との共通点
SBIも株主総会やインフォメーションミーティングで当社と同じようなイベントを下記のように実施しています。
・2時間以上、北尾社長が語りまくる。
・”世のため人のため”を連呼する。
・書籍やサプリなどお土産が盛りだくさん。
当社社長と北尾社長はともに野村證券出身の社長。
販売力が強い会社で勤務されたことの反作用が、株主を大切にし”世のため人のため”に事業に注力することの原動力になっているのかもしれないと感じました。
・後継者について
当社の”田辺商店”的な面をリスクと捉える株主もいると思います。
けれども、北尾社長の流れを汲む人物であれば、あと20年は精力的に事業に情熱を注げると思料します。
その間に、自然と懸念事項も解決するのでは?
後継者問題という将来の緊急事態に認知資源を割くのは時期尚早。
社長には今を大切にし、好きな仕事を好きなだけ打ち込んで企業価値向上に貢献していただきたいと感じました。
【懇談会前のお弁当】
【いただきます!】
⑵ 2022年6月の株主総会
第11回定時株主総会 2022年6月25日(土) ベルサール東京日本橋
クーラーボックスから冷えたお水を受付にていただきました。
会場は20名程度で、若い株主が多かったです。
社長からの説明のポイントは以下の通り。
・自社株買い7億円、配当2億円としたが配当を重視することも含めて試行錯誤していく。
・ガイア盛岡の物件の売却を通じた銀行からの信用に獲得について。
・低コスト体制(1ヶ月300万円)により少数精鋭の頭脳営業が可能となる(タクシーチケットではなく給与を高くすることの効果)。
・若手社員の入社とDNAを最大限に発動させる仕事について。
主な質疑応答
Q.株価低迷について
A.悔しい感情をぶつけてくれて嬉しい。
時間効率で考え株主の期待に沿えるよう努める。
Q.人材育成について
A.日本には資産100億円の富裕層が1万人いる。
当社で5〜7年勤務後に独立してそのような富裕層の期待に応えられるような人材に育つことが理想。
一般に人は脳力の5%程度しか使用していない。
よって、知らないことを詰め込み、圧を掛け、化学反応を起こさせ(北斗の拳のように)DNAの最大発現を促すことが大切だと思う。
Q.パチンコホールの目利き力について
A.タクシードラーばーから地元のパチンコの歴史について聞いたり、自分で実際に”打った”感覚を重視している。
Q.決算発表の時期について
A.今後は午後3時から5時に実施する。
Q.今後の展開について
A.パチンコホールの改革についてコンサルフィーを頂けるようなビジネスも考える。
決議事項
・定款一部変更の件
・取締役3名専任の件
・会計監査法人専任の件
拍手を持って賛成・可決されました。
なお、会場の制約から11半過ぎで散開となりましたが、まだまだ質問したい株主が沢山いたようです。
ちなみに、総会の締めくくりにおいて社長から
「株主総会の朝は明鏡止水の境地」
「欲の塊のような自分の物欲が無くなってきて、JALCOを純粋に良い会社にして恩返しをしたいようになってきた・・・」
「一緒にやっていこうぜ!」
などの力強い発言を聞くことができ、安心しました。
⑶ 2021年6月の株主総会
第10回定時株主総会 2021年6月26日(土) ベルサール東京日本橋
昨年に続き、2回目の参加です。
会場で、子会社の売却に関する書類を頂きました。
スピード感をもって経営に当たっていると感じました。
■課題
・計画未達
・資金調達力の強化
・低コスト体制
・人材確保
質疑応答
Q.JALCOのクレジットについての考えは?
A.金融機関がJALCOの中身を理解したら2.4%の金利が2%下がって0.4%になることも可能。
利益が50億円を超えたら金利は下がると予想。
自己資本800億円以上、格付けの取得を目指す。
Q.取締役2名の所信表明をお願いします。
A.(社長から)取締役と執行役員の違いは、自分の城をもってリスクをとれる人かどうかで決まる。二人との付き合いは長く、危うく騙されるところを助けられたこともある。
(取締役から)夢・ビジョンを持つ社長とともにしっかりと頑張っていきたい!
Q.増資はやめてほしい。
A.これからの会社の成長を考えれば増資はやめられない。
現状の140億円の自己資本では天下は取れないから。
ただし、ファイナンスのやり方は考える(すぐに株式を売却しない人に売るなど)ことでけじめはつける。
IT便利グッズをつくり、キャッシュを出し続けられるようにしていく。
現在は一人当たり1.6憶円の利益だが、これを10億円を目指す。
Q.コロナ禍の影響は?
A.ない。
ありとあらゆるダメになるパターンを想定して経営に当たっている。
不動産賃貸業については、家賃の遅れも値下げもしていない。
Q.クラウドファンディングの規制は今後強まるのか?
A.ソーシャルレンディング関連の社長の力量を考えると、規制はある程度強めたほうがいい。
安心して貸し出せる先はそんなには増えない。
Q.子会社売却の経緯は?
A.当社はコトを売る会社。子会社47人はモノを売る意識が強く、自分の指導力の限界を感じたため売却に至った。
また、今後の会社の成長は100億の剰余金をうまく回せるかにかかっている。総合格闘家が強くなるイメージに近い。
変な人の話を聞きに来る人を幸せにしたいという一念で頑張る!
⑷ 株主還元
配当
2023年3月期:6円
2022年3月期:2円
2021年3月期:2円
2020年3月期:無配
株主優待
3000株以上の株主に対し、株数に応じたクオカード
自社株買い
7億円規模の自社株買いを実施
【2022年6月の株主総会で頂いた冷えたお茶】
3 株主としてのコメント
⑴ 社長のトークについて
社長が語る夢、ビジョン、本音、現実のトークが魅力です。
「3年間、株価が上昇しないことについて、1日7回ぐらい考え続けている・・・。」
というような独特の言い回しも、他の社長にはない発言です。
また、他の株主の鋭いかつディープな質問も、投資家として参考になることが少なくありません。
ちょっとマニアックすぎるかもしれませんが、金融リテラシーを高める上で、毎年6月下旬の土曜日に行われる株主総会が楽しみです。
なお、収益性の高さやコロナ禍においても増収増益であることから今後の成長も楽しみな企業でもあります。
配当も出るようになりました。
株主優待もあります。
株価も低いところは買い増しを行い、長期で会社の成長をモニターしていきたいと思います。
⑵ 自社株買いか配当か
利益剰余金の配当と自社株買いの割合について社長が言及していました。
社長が”3年株を保有してほしい”と株主に語りかけているので長期投資家に報いるという意味では良い方向性と思います。
ただし、自社株買いにはROEを高めるという効果もあります。
現在のJALCOのROEは6.5%(四季報)と低めであるので、自社株買いが減ることによるROEの低下が懸念されます。
ROEは収益性、回転率、財務レバレッジの積となるので、自社株買いが減少(財務レバレッジの低下)しても収益性や回転率でカバーできるような経営も期待します。
【2021年の株主総会会場で配られた水】
4 まとめ
JALCOについて述べてきました。
ユニークなビジネスモデルと社長のリーダーシップが特徴の会社です。
株価はイマイチですが、黒字体質にもなり配当も出るようになりました。
若い株主が土曜日の株主総会に多く参加し熱い議論を交わす光景を楽しみにしつつ株主を長期で続けたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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