こげぱんの資産運用

ピンチはチャンスなりをモットーに株式投資を中心とした資産運用についてつづります

NTT【9432】~株主総会雑感(株式25分割後の明暗)

初投稿:2021.7.13、更新日:2021.12.16、2022.7.22 、2023.1.5、2023.6.⚪︎、2024.7.14

こんにちは!

この記事は、NTT【9432】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

なお、2024年6月の株主総会の内容を追記し、記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。

・ファン(新しい株主)を増やすことに期待

・株式25分割後の明暗

★★★★

【目次】 

【NTT本社が所在する大手町ファーストクスエア(イーストタワー)】

                   

1 NTTについて

⑴ 会社概要

 日本電信電話株式会社(NTT)は日本を代表する通信会社です。

電電公社というイメージもあります。

株主総会の招集通知の事業報告の中でも

事業活動を通じた社会的課題の解決

と記載。

情報通信の力で日本を、そして世界を変える力を持った企業です。

売上高13.3兆円、総資産29.6兆円、時価総額14.3兆円の事業規模。

会社の付加価値(のれん、ブランド力)を示すPBRは1.36倍と前期よりも低下して居ます。

セグメント

●総合I CT事業:NTTドコモ、NTTコミュニケションズ、NTTコムウエア

●地域通信事業:NTT東日本NTT西日本

●グローバル・ソリューション事業:NTT、NTTデータ

●その他(不動産、金融)

上記4区分となっています。

比較的バランスの取れたセグメントと考えます。

⑵ 株主になったきっかけ

実は、一番初めに買った株がこのNTTです。

30年以上も前のこと。

もちろん、購入後数年で利益を確定しており、ずっと持ち続けたわけではありません。

最近、再度株式を購入したのは、ドコモの子会社化がきっかけ。

NTTグループの総力を挙げて、5G、6G、IOWN構想などに取組む姿勢に著しく共感したため、応援の意味を込めて投資しました。

YouTubeでさまざまなNTT関連の近未来的なハイテク動画を見ると、

”血が騒ぐ”

くらい”電子立国日本”世代としてのテンションが上がります。

⑶ 2024年3月の経営分析

収益性

売上高営業利益率(10%以上が優良株):14%

前期と同じ収益性を維持しています。

安全性

流動比率(100%以上が望ましい):94%

自己資本比率(30%以上が望ましい):37%

流動比率は3%前期よりも低下しています。

おそらく経営陣は、流動比率の低さについてはあまり危機感を抱いていないと推察します。

その背景には国が大株主であることなどがあると考えますが、民営化に向けて安全性の推移に着目していきたいと思います。

効率性

・有形固定資産回転率:1.28

有形固定資産回転率は前期に比べて若干低下しています。

これは売上高の伸びに比べ有形固定資産の増加が上回ったからです。

成長のための所要の投資がなされていると推察します。

⑷ 2023年3月の経営分析

収益性

売上高営業利益率(10%以上が優良株):14%

前期よりも1%低下しましたが高収益を維持していると考えます。

安全性

流動比率(100%以上が望ましい):97%

自己資本比率(30%以上が望ましい):37%

短期的な安全性は懸念される水準です。

3年連続でこの水準ということは、おそらく経営陣は流動比率はあまり気にしていないと推察します。

効率性

・有形固定資産回転率:1.35

有形固定資産回転率も低水準で推移しており、新規の投資等はなかったものと推察します。

⑸ 2022年3月期の経営分析

収益性

売上高営業利益率(10%以上が優良株):15%

高収益です。

しかも、前期より1%の向上。

さらに、ドコモ完全子会社化のシナジー効果はこれからということで期待が高まります。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):91%

自己資本比率(30%以上が望ましい):38%

盤石とは言えず多少懸念される水準です。

ドコモ完全子会社化のための有利子負債の影響かもしれません。

ただし、前期よりも改善されているので推移を見守りたいと思います。

効率性

・売上債権回転率:3.37

・有形固定資産回転率:1.3

売上債権回転率については、前期同様に低い水準が続いています。

また、有形固定資産回転率も決して高い方ではありません

なお、単体のB/Sによると有形固定資産1300億円のうち「建物」が710億円、「土地」が277億円、「工具、器具及び備品」が248億円となっています。

NTT自体には自社ビルはないものの、ドコモ(代々木)やデータ(豊洲)は立派な自社ビルがあることが影響しているものと推察します。

⑹ 2021年3月期の経営分析

業績は増収増益、過去最高益を更新しているということで安心感があります(菅政権下で携帯電話料金が大幅に引き下げられたにもかかわらずの好業績はNTTグループのポテンシャルの高さと考えます)。

同時に、”NTTがリモートワークを基本とすること”が大きく報道されたことから分かるように、NTTの変化が社会に与える影響は極めて大きいと考えます。

株主としては、安定と変革の2つがNTTの最大の魅力ととらえています。

収益性

売上高営業利益率:14%

収益性は高いと思います。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):72%

自己資本比率(30%以上が望ましい):36%

短期の安全性を示す流動比率は目安を下回っています。

中・長期の安全性を示す自己資本比率も意外と低い数値です。

安全性(財務)を軽視あるというよりは、リスクを取った経営を重視しているように考えます。

効率性

・売上債権回転率:3.38

サービス業の平均が30を超えていることを考えると、債権の回収が滞りがちのように分析されます。

巨大なグループ企業ゆえ、経営の効率化については改善の余地が大きいと推測されます。

⑺ NTTグループ中期経営戦略の見直し  

新たな戦略の枠組みとして下記のように説明されています。

●新たな経営スタイルへの変革

・リモートワークを基本とする新しいスタイル

●国内/グローバル事業の強化

・申請ドコモグループの成長・強化

・IOWN開発・導入計画の推進

・グローバル事業の競争力強化

・B2B2Xモデル推進

・新規事業の強化

企業価値の向上

・新たな環境エネルギービジョン

・災害対策の取組

・株主還元の充実

残念ながらすべてを理解するには至りませんが、情報通信業界、ひいては日本の社会がの方向性を見極める上では参考になることが多いと思います。

NTTがリモートワークを基本とすることで、それに倣う会社も増えていくことが予想されます。

そういった変化の中に投資のチャンスとリスクが含れており、しっかりと学ぶ価値があると考えます。

株主総会会場にて】

2 株主総会

⑴ 2024年6月の株主総会

第39期定時株主総会 2024年6月20日(木) グランドプリンスホテル新高輪

主なポイント

・売上高13兆円は過去最高益

マネックス証券等との資本業務提携

・生成AIであるtsuzumiへの期待

・データセンターは世界第3位の実力

・キャリアの見直し(18.8%が抜擢による昇格)

・単身赴任解消

・2000億円の自社株買い

・NTT法改正により開示義務がなくなり、オープンのみならずクローズドの研究も可

・外国人の経営参加も可

主な質疑応答

【事前】

Q.セキュリティ対策について

A.NTT西日本における情報漏洩についてはマネジメントが不十分だったことが原因と考える。

ルール遵守、状況確認、システムの管理保守などグループ横断で対応していく。

Q.NTT法改正に対する当社の考え方

A.研究開発についてはさまざまなパートナと共同研究ができるようになった。

懸念事項についえは総務省のワーキンググループに参加して対応していく。

Q.株価と株主還元について

A.株価が期待に応えていないことを厳粛に受け止めている。

成長分野に投資をするとともに既存分野の効率化に努める。

株主還元については増配と自社株買いに注力する。

【会場】

Q.株主総会のあり方について

A.会場の確保、役員のスケジュール調整などから平日の昼間開催となている。

改善意見については真摯に受け止める。

なお、昨年はWebサイトで数千名の株主が株主総会を視聴している。

Q.株式25分割はやりすぎでは?

A.新NISAにより投資しやすい環境が整っており、予定通り株主数を増やすことができた。

なお、手数料の増加等はデジタル化で対応している(株主総会関連資料など)。

株主還元については優待もあるが、増配を続ける配当が基本と考える。

Q.IWON、6Gの展開について

A.世界標準にするためのIWONグローバルフォーラム等があるがそれだけでは足りない。

デファクトスタンダード(市場の競争による標準)のみでなくデジュールスタンダード(公的な標準)を目指している。

その意味で、ITU(国際電気通信連合)の局長に当社出身者が就任したことも追い風である。

IWONは新しい価値を創造するものである。

Q.電話回線契約について

A. Webを通じて24時間対応しているが、本総会においても2階の窓口の相談コーナーで対応している。

Q.社外取締役が考える当社の課題について

A.個別な話題には言及しないが、中期経営計画の実践においてしっかりとした対応をしている。

社外取締役より)当社は大きくポテンシャルがある会社であり、価値創造に向けてチャレンジし続けている。

課題は期待に通じるものとと考える。

Q.YouTubeで株価が3割下落するという人がいる

A.国が保有する3割の株式の売却に関して、株価に影響のないように(一度に3割全部を売却するような極端なことのないように)意見をあげている。

Q.ドコモサポートの顧問契約を打ち切られた株主からのクレーム

A.他の株主の迷惑にならないよう2階の相談コーナーにお越しください。

Q.株価下落について

A.業績の見通しが弱いことが原因と考える。

2027年のEBITDA達成に向けて社長会(約50人の社長の集まり)にてベクトルをしっかり合わせて頑張るよう働きかけている。

Q.新任者に期待する役割について

A.新役員については持続的成長と企業価値向上に資する人材として指名委員会が選抜した幅広い見識を有する人物。

個別には、新規事業創出の実績やソニーでのリーガル経験を踏まえている。

Q.近所の木の枝を切ったことについて回答がない

A.回答していないのは依頼者である中国財務局から連絡することになっているためである。

Q.NTTという名前について

A.グローバル化やブランドに寄与することなどを踏まえた社名を個別に検討している。

Q.電話加入権について

A.電話加入権の譲渡は可能でその市場もあるが当社は関与していない。

電話加入権については工事費と同様の扱いで当社としてはその価値は担保していない。

そのことの周知に努める。

Q.ドコモの聴覚障害者用サービスの打ち切りと有料サービスについて

A.サービス廃止は効率化が原因ではなく、利用者が減少したためである。

辛い決断で忸怩たる思いで廃止に至った。

また、利用者の減少にはスマホが便利になったことも背景にあると考える。

Q.104の廃止について

A.未定である。

決議事項

・剰余金の配当の件

・取締役10名選任の件

拍手を持って承認・可決されました(株主提案否決)。

株主総会雑感

株式25分割後の株価は低迷しています。

新NISA口座で買われる人気株であるにも関わらず株価は冴えません。

三菱重工業の場合は10分割したのちも株価は右肩上がりのトレンドを続けています。

分割後の明暗を分けたように思えて仕方ありません。

低迷する株価の原因は2つあると考えます。

・業績

24年度の業績予想が増収・減益となっています。

これでは株価は当面厳しいですね。

株主総会の対応

NTTの株主総会議長の官僚的な対応と最前列に座っている人達の謎の拍手が気になります。

やはり電電公社の官僚的な名残なのかもしれません。

そもそも

”NTTのファンを増やしたい!”

と言って25分割した割には、会社に足を運んだ株主を大切にしていないように思えて仕方ありません。

足を運んだ株主が

”来て良かった!”

と思えるような、丁寧な質疑応答が為されることを期待します。

ちなみに、クレーマー的な株主に対して、

”・・・細部は、2階の相談コーナーにてお願いします。”

という”交通整理”は良かったと思います。

⑵ 2023年6月の株主総会

第38期定時株主総会 2023年6月22日(木) グランドプリンスホテル新高輪

入り口で水と資料をいただきました。

会場の中央に難聴の方専用のスペースが確保されていました。

質問がある人は、2つのマイクスタンドの前に集まる方式でしたが、スタンド周辺に椅子が1席しかなかったのが残念です。

これまでの中期経営計画や今後の計画業績が過去最高益であったこと、連続増配APN IWON1.0が実用化されたことなどが、報告されました。

ただし、せっかくの輝かしい成果なのに、専門用語が多く少し分かりづらかったと思います。

どれほど多くの株主がプレゼン内容を理解できたかちょっと心配になりました。

主な質疑応答

【事前】

Q.通信サービスの品質向上について

A.都市部においてドコモの通信故障、通信速度の低下事案が発生した。

所要の原因究明と対策を速やかに実施して信頼性の向上に努める。

Q.人的資本経営の考え方について

A.価値創造の源泉は社員。

社員のキャリア形成を全面的に支援する。

Q.株式25分割について

A.価格を安くすることで多くの株主に応援していただける企業を目指す。

【会場】

Q.対面を重視した株主総会について

A.ハイブリッド方式を通じて引き続き対面での総会が可能なように努める。

Q.コオロギ養殖について

A.コオロギ養殖については当社のIT技術を活用して支援しているが、当社が直接販売しているわけではない。

また、トマトやレタス等も含め、IT技術を利用してトマトやレタスなど様々な支援をしている。

Q.増配の5円では物足りない。

A.これまで継続増配をしてきた。

最高益を目指して頑張っているので期待してほしい。

Q.長期株主優待による株価向上について

A.優待制度の改善や現金を要望する株主の声を踏まえ、株主還元の向上に努める。

Q.NTTをさらなる良い会社にしてほしい

A.かつてはクオリティが重視された時代があったが今は数が重視される時代と認識(特にネット社会)。

しかし、これからは価値が重視される時代が到来すると予想しており、価値創造企業として頑張っていく。

Q.社労士である株主がドコモサポートと揉めていることについて

A.事実関係を踏まえ適切に対処する。

Q.分割して株主を増やすことのメリットとデメリットについて

A.当社を応援する株主(ファン)を増やすためである。

20年前の株主は190万人いたが現在は90万人に減少している。

デメリットとしてはコスト増があるが、株主総会招集通知や株主通信等の電子化等によりコストを抑制していく。

Q.3年間パワハラを訴えている株主発言。

A.第三者を交えて調停してきたが不調となり残念である。

再度、調停をしたいということであれば、第三者を交えて対応する用意はある。

Q.フィーチャーフォンの買い替えダイレクトメールについて

A.営業活動においては法令に則って適切に対応している。

フィーチャーフォンから第4世代、第5世代への乗り換えについても対応している。

Q.NTT完全民営化の影響について

A.自民党がNTT株の売り出しについて検討しているということは承知している。

NTT法の改正には論点が沢山あるが、それらを踏まえ、政府の検討に適切に対応していく。

Q.(契約社員から)頭ではなく心の経営をしてほしい。

A.新たな価値を造像するのは人であり、社員が成長できる会社として頑張りたい。

Q.6Gの進捗について

A.IWONの中で2030年の実用化に向けて研究開発中である。

Q.ビル内のケーブルが顧客の確認なしに撤去されたことについて

A.そのような事実は承知していない。

必要であれば、担当を通じて具体的な状況を確認させていただきたい。

決議事項
株主総会雑感

株主からの個人的な恨みの質問が散見されました。

2日前のソフトバンク(通信)の株主総会とは正反対な株主総会の雰囲気。

建設的な審議がなされていなく残念です。

株主総会はそのような場と勘違いされる懸念を持ちました。

そういった意味では、

株式分割により当社のファンを増やす!

ことにより、株主総会での”グチ”や”ゴネ”に代わって価値創造に資するような建設的な意見が株主から多く発せられれば良いと感じました。

来年の株主総会に期待します。

⑶ 2022年12月のオンライン会社説明会

動画のリンクは下記の通りです。

www.irwebcasting.com

株主通信2022年12月号の主なポイント

・社長メッセージは

①CX(カスタマーエクスペリエンス)をEX(エンプロイーエクスペリエンス)で創造

②テクノロジーで脱炭素目指す

③巨大災害が起こった時でもインフラや受容システムを繋ぎ続ける

の3点。

特に、「コミュニケーションをつなぐ会社」から「データをつなぐ会社」として社会課題を解決する会社をミッションとする姿勢が印象的でした。

・業績は増収・減益

減益の要因は電気料金の高騰などの影響とのこと。

・IWON1.0「IWONサービス」スタート

APN(オールフォトニクスネットワーク)のサービス提供を2023年3月に開始

ちなみに、APNは現在のネットワークに比べて

●電力効率100倍

●伝送容量125倍

●エンド遅延1/200

の実現を目指すとのことで、期待しています!

オンライン会社説明会

2022年12月20日(火) 2000〜2100

【主なポイント】

・資産形成手段のひとつとしてのNTT〜高配当、株価の上昇トレンド等説明

NTTグループのビジネス〜セグメント説明、事業再編、リモートワークやIWON紹介

・足元の業績〜過去最高

【質疑応答】

Q.事業投資について(配当による圧迫)

A.先に投資を行い残ったフリーキャッシュフローから配当を捻出しており心配ない。

Q.株式分割について

A.東証が推奨する5〜50万円の投資単位を踏まえ検討していく。

Q.電気料金上昇の通期業績への影響について

A.当初2割の上昇を想定していたが、実際は4割の上昇となった。

下半期は効率化と事業拡大によるリカバリーを目指す。

Q.現在の株価について

A.一次売り出し価格119.7万円(分割:2934円)は上回ったが満足できるものではない。

PERは11〜12倍と低いため、非財務の価値を高め伝えることに注力する。

Q.利上げの影響について

金利については7.4兆円の有利子負債の金利0.6〜0.7%で年間の利払いは約500億円である。

金利上昇に伴う増加分は70億円程度と見込んでおり、フリーキャッシュフローが1兆円あることを踏まえれば影響は大きくはない。

為替については現地で仕入れをする特徴があるためあまり影響は受けない。

Q.ドコモの完全子会社化について

A.良かったと考える。

4兆円を投じてドコモ株の1/3を取得した。

財務的に考えれば約1300億円の配当と約1000億円の自社株買いの”流出”がなくなるため、それだけで年間5%のリターンとなる。

ビジネス面では、ドコモとコミュニケーションの一体となった提案(モバイル&固定さサービス)が可能となり、法人営業を中心に利益が上昇している。

さらに、ドコモとコミュニケーションのインフラ統合による効率化が期待される。

Q.何故、株主優待は毎年出さないのか(30年間の株主)?

A.当初の目的は株主数の減少に歯止めをかけることでその点では一定の効果があった。

株主優待については検討を継続する。

Q.NTTは固定電話の会社でなければ何の会社なのか(一言で)?

A.課題解決のための”つなぐ”会社・・・。

株主としての雑感

『NTT2030年世界戦略「IWON」で挑むゲームチェンジ』を読んでいたので、ちょっとオンライン説明会の内容では「ちょっと物足りない」と感じました。

ただし、IRは双方向の情報(意見)交換が大切という説明には共感しています。

会社をビジョンレベル、戦略レベル、オペレーションレベルの階層ごと評価すると

●ビジョンレベル:澤田会長の世界のトレンドを掴んだビジョン:○

●戦略レベル:IWONによるゲームチェンジ:◎

●オペレーションレベル:?

と感じています。

オペレーションが?の理由は2つ。

会社説明会でNTTは何の会社?という問いに明確に答えられていなかった。

・リモートワークでビジョンの共有がどのようにして為されるのかの説明がなかった。

役員を含む社員全員に会社のビジョンがどの程度浸透しているのか、気になりました。

話はずれますが、日本一年収の高いM&Aキャピタルパートナーズという会社では、毎週月曜日に経営理念を唱和しているとのこと。

NTTはもちろんベンチャー企業ではありませんが、将来に向けて更なる飛躍を遂げつつゲームチェンジャーになれるかどうかは、社員へのビジョンの浸透にかかっているように感じました。

そしてそのことが「CXをEXで創造する」ことの第一歩と考えます。

なお、個人的にはNTTは”情報通信”の会社と思っています。

⑷ 2022年6月の株主総会

ライブ配信で視聴しました。

印象に残っているポイントは下記の通りです。

・業績は増収増益、過去最高益、当期利益が始めて1兆円超え

NTTドコモNTTコミュニケーションズ及びNTTコムウエアの完全子会社化

サステナビリティ憲章(SDGs,ESG,CVS),9つのチャレンジ,30のアクティビティ

・EPS目標320円を2年前倒しで達成し、370円に見直し

・12期連続の増配、自己株式の買付は合計4.7兆円

主な質疑応答

【事前】

Q.NTTドコモグループの成長・強化について

A.組織再編により2023年に2,000億円のシナジー効果を目指す。

Q.グローバル事業強化について

A.NTTデータを中心とする合弁会社により2025年に300億円のシナジー効果を目指す。

Q.株主還元について

A.増配を継続しつつ、機動的な自己株式の取得を実施する。長期株主政策としてのdポイント株主優待も継続する。

Q.取締役8名から10名の増強について

A.多様性の向上による戦略的議論の活性化のため。

【会場】

Q.(36、7年間の株主より)ようやくキャピタルゲインを得た。バーチャルオンリー株主総会について。

A.バーチャルオンリーの株主総会感染症拡大などの有事のみに実施する。

Q.日本版の検索エンジンSNSについて

A.製品・サービスの提供を始めている。

Q.勤務地を原則自宅にすることによる社員の一体感醸成について

A.ビジネスチャットを駆使したり、個別に出勤なども促しながらハイブリッドで対応している。

Q.(OBによる)パワハラについて

A.別の場において(昨年に引き続き)いくらでも対応する。

Q.マイクロソフトのようなOSづくりについて(坂村健取締役への質問)

A.この業界は変化が激しく、何度でもチャレンジできる。

特に、今はインフラチェンジの時代であり、IOWNを中心にチャレンジを続ける。

Q.タウンページの情報についての著作権違反について

A.適時、所用の処置を講じる。

Q.個人的な質問をする株主について

A.株主総会は株主との対話の場であり、さまざまな意見が出るものと承知している。

Q.女性の負担軽減について

A.育児はマイナス評価ではないことを強調し、男性の育児休暇取得も推進している。

Q.イチローのCM起用について

A.商品やサービスに相応しいタレント起用に努める。

議長から一言

コロナ禍、携帯電話料金の値下げ、総務省接待を乗り越え、リモートワークなど一連の変革の方向性が策定された。

7月のドコモ統合、10月のグローバル会社の再編、IOWNの推進などの支援をしっかり継続する。

NTTグループへのご理解・ご支援をよろしくお願いいたします。

決議事項

・剰余金の配当の件

・定款一部変更の件

・取締役10名選任の件

監査役2名選任の件

拍手を持って賛成・可決されました。

株主総会雑感

会社の業績は絶好調将来への夢が感じられる会社からの説明を受けました。

それに対して、株主からの質問にはちょっとがっかりしました。

「議長からの一言」として株主総会に相応しい総括をしなければならなかったのもやむを得ません。

NTTの株主構成において個人株主の割合は約16%と多くはありません。

けれども、数多くのサイレントマジョリティの中には心ある株主が少なくないと信じています。

次回からは企業価値の向上に資する質問が増えることを願っています。

⑸ 2021年6月の株主総会

第36回定時過分主総会 2021年6月24日(木)グランドプリンスホテル新高輪

ライブ中継参加

事業報告の中で、ドコモのTOBの経緯や総務省接待事案に対する陳謝及び説明がなされました。

主な質疑応答

(事前質問に対する回答)

Q.コンプライアンス対策は?

A.会食の関するルールの設定。研修、事前及び事後のチェック

Q.総務省接待事案の責任の取り方は?

A.報酬減額及び厳重注意など

Q.モバイル市場における競争激化への対応は?

A.ahamaの契約が100万契約となるなど、予想以上に好調な状態である。

Q.グローバル事業の今後の見通しは?

A.NTTデータおよびNTTリミティドに対してコスト削減及び高付加価値化の推進をすすめる。

Q.役員報酬の改定とは?

A.固定報酬:賞与(金銭):株=5:3:2とすること。

(会場からの質問に対する回答)

Q.(財務大臣の代理の方からの)コンプライアンス対策は?

A.本事案を極めて重く受け止めており、高い倫理観をもって対応していきます。

Q.(パワハラが原因で退職に至ったと主張する株主からの)コンプライアンスがこわれているのでは?

A.(NTT西日本の副社長から)2006年の事案に対してはパワハラではないと認識。その後、ひとつひとつのパワハラの訴えに対しては真摯に対応し続けている。

Q.子会社や孫会社の給料をもっとアップしては?

A.毎年2%給料はアップしている。

Q.105円の配当の妥当性は?

A.株主に対する継続的な増配を重視している(2011年から継続増配)。

Q.株を買い増したくなるような夢のある話をしてほしい!

A.6GやIWONなどのグローバルな構想に従いR&Dの力やプロダクトにより世界的な課題解決に取組んでいる。

また、電気から光へエネルギー革命に通じるような世界初となる半導体を開発している!

採決

・剰余金処分の件

・取締役に対する業績連動型株式報酬等の額および内容決定の件

・取締役の報酬等の額及び内容改定の件

拍手多数で承認

・株主提案(取締役解任の件)

拍手なしで否決

⑹ 株主還元

配当

配当の推移は下記の通りです。

14年連続で増配です。

2024年3月期:5.1円(25分割)

2023年3月期:120円

2022年3月期:115円

2021年3月期:105円

2020年3月期:95円

2019年3月期:90円

2018年3月期:75円

安定した増配はありがたいです。                     

株主優待

100株以上の2年以上の株主に対して所要のドコモポイントが付与されます。

2年以上3年未満:1500ポイント

5年以上6年未満:3000ポイント

エントリー制、口座開設&アンケートが必要かつ期間限定であり、毎年もらえるものでないところが特徴です。

保有期間が2年以上となる日を楽しみにしています。

自社株買い

2022年度は総額5000憶円強の自己株式取得を進めています。

1999年からの自己株式取得額は約5.1兆円となります。

NTTドコモの本社ビル】

3 株主としてのコメント

⑴ 気になったこと

2020年にやる気のないNTTドコモの社長を解任してTOBを断行し、目を覚ましたNTT。

分割されるまでの輝いていたNTTが思い出されます。

1990年以降のバブル崩壊と分割以降の低迷30年を経たこれからのNTTに大いに期待しています。

ちょっと気になったのは、質疑応答の際に会社の回答の後に必ず沸き起こる拍手。

JALの時も拍手はありましたが、ふつうの株主からの自然な拍手でした。

TBSの時も会社回答の後に必ず拍手がありましたが、この時は、前2列にスーツ姿で座った複数の男性によるもので(同じような属性の方々でした)、こちらは”サクラ”だったと思います。

NTTの場合の拍手はどちらだったのか?ちょっと気になります。

思うに、心ある株主から

株を買い増したくなるような夢のある話をしてほしい!

という質問があったように、NTTは大勢の人々の愛で支えている面があると思います。

・日本が元気の良かった80年代を象徴する巨大企業

・電子立国日本の中核企業

・大学で電子工学を専攻した優秀な学生からの憧憬

 NTTの復活に期待を寄せる人は少なくないと思います。

世界の課題を解決するという意気込みをもって王道を歩み続けることを期待します! 

⑵ 雑誌の記事について

ある雑誌にて

”NTTが完全子会社化したドコモからキャッシュを搾り取る”

という批判的な内容の記事を目にしました。

でも、そもそもみんな電電公社

それが日米経済摩擦を背景に強過ぎるという理由でNTTグループを分割してきたのが失われた30年。

これに対して、米中対立を背景に日米の協力関係が緊密化しているのが昨今の流れ。

当然、かつてのNTTが戻って来るのに何か問題でもあるのでしょうか?

左翼系の批判記事は、「公共性」と「起業性」を備えたNTTの実現の証左と認識しています。

【総会会場でいただいた水と資料】

4 まとめ

NTTについて述べてきました。

業績も絶好調で株主還元にも積極的な日本を代表する会社です。

同時に、単に株主に富をもたらしてくれるのみならず、日本ひいては世界の発展に大きく貢献する会社と認識しています。

株主として応援を続けます。

お読みいただき、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

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