こげぱんの資産運用

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WOWOW【4839】~株主総会雑感(長期業績低迷)

初投稿:2021.7.4、更新日:2022.1.16、2022.7.8、2023.6.30

こんにちは!

この記事は、WOWOW【4839】に関心のある方に向けた株主としてのコメントをまとめたものです。

なお、2023年6月の株主総会ライブ配信で視聴した内容を追記し、記事をアップデートしています(更新箇所は青字です)。

・システムに関するトラブルや懸念が続く背景 

・動画配信の位置づけは?

★★★★

【目次】 

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1 WOWOWについて

⑴ 会社概要

日本初の民間衛星放送会社です。

売上高771億円、総資産970億円、時価総額328億円の事業規模です。

PBRが0.48倍という低さ。

しかも、東証からの改善指導中にもかかわらず去年よりも低下していることは問題です。

長期ビジョン「10年戦略」

コンテンツがコミュニティを生み、コミュニティが文化を作る!

中期経営計画(2021ー2025年度)

 会員事業構造の再設計「映像メディア業」→「コンテンツ・コミュニティ業」へ

重点取組み

1 コンテンツ

2 メディア・サービスの変革

3 コミュニティ・サービスの拡充

4 エンターテイメント・サービスの進化

⑵ 株主になったきっかけ

 WOWOWオリジナルドラマが見たくて、10年以上前に株主となりました。

それ以降、WOWOWの株主と視聴者をずっと続けています。

⑶ 2023年3月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:34%

売上高営業利益率:4%

比較的粗利は悪くないと思いますが、営業利益率は低めです。

毎年、収益性が低下していることが懸念されます。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):230%

自己資本比率(30%以上が望ましい):69%

安全性については昨年以上に、短期的にも中・長期的にも問題はなさそうです。

ただし、個人的には、無駄に資本を溜め込むよりは、投資を積極的に行い、収益性と資本効率を高めた方が良いと思います。

効率性

・有形固定資産回転率:6.9

情報通信業界の平均レベルであり、前期からの若干の上昇は新規の投資がなされていないことの証左と捉えています。

⑷ 2022年3月期の経営分析

収益性

・売上高総利益率:39%

売上高営業利益率:7%

比較的粗利が高くビジネスモデルは悪くないと思いますが、営業利益率は低めです。

しかも、昨年よりも収益性は悪化しています。

安全性

流動比率(200%以上が望ましい):219%

自己資本比率(30%以上が望ましい):67%

安全性については昨年同様、短期的にも中・長期的にも問題はなさそうです。

効率性

・有形固定資産回転率:6.52

情報通信業会の平均値が6.38であることを考え合わせると、効率性については平均的な経営がなされていると思われます。

⑸ 2021年3月期の経営分析

今期は減収減益でした。

コロナ禍でスポーツなどが中止・延期されたことに伴う加入者数の減少が業績低迷と説明されています。

収益性

売上高営業利益率:9%

10%あれば成長企業と言われています。

健闘していると思います。

安全性

流動比率:214%

・負債比率:117%

自己資本比率:68%

財務基盤も問題ありません。

効率性

・有形固定資産回転率:6.22

有形固定資産を取り上げて効率性に着目していますが、比較的上手にお金を使っているように思えます。

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2 株主総会

⑴ 2023年6月の株主総会

第39回定時株主総会 2022年6月21日(水) 都市センターホテル

ライブ配信を視聴しました。

業績は減収減益。

しかも長期の下落トレンドに歯止めがかかっていません。

会員が12万人減少とのこと。

苦戦の原因として、大型動画配信サービスの参入による価格競争や、ユーザーニーズ変化の加速などが挙げられていました。

対策としては、多様なジャンルにおける質の高いコンテンツに磨きをかけることやアマゾンFIRE TVからの加入などのマーケティング等に力を入れるとのことでした。

主な質疑応答

【事前】

Q.株価について

A.申し訳ありません。

消耗線で苦戦していますが、250万人の顧客をベースに対話しつつ巻き返したい。

Q.自社株買いについて

A.2月に実施した。

今後も適時実施する。

Q.株主優待について

現状を維持する。

Q.減配について

A.戦略的投資のために30円に減配とする。

Q.差別化について

A.独占放送、オリジナルコンテンツ、放送と配信によるダブルスクリーン対応、体験価値などが挙げられる。

Q.女性取締役の増加について

A.頑張る。

Q.株式を保有しない社外取締役について

A.社外取締役は経営者としての資質を基準に選定している。

Q.コールセンターの対応改善について

A.改善を強化していく。

Q.スペインサッカーの放送終了について

A.個別コンテンツの取捨選択は総合的に判断している。

【会場】

Q.水滸伝のドラマ化、コミュニティづくりについて

A.中国ロケが必要であったがコロナ禍で行けず滞っていた。

ただ、キングダムではキャストが中国に行かなくても映画が作られている。

同様な手法で制作するので今しばしお待ちください。

Q.テニス中継について女子の試合が少ないのでは?

A.大坂なおみ選手の試合は全て実施した。

4大大会は男女ともに厳選している。

また、放送以上に配信では多くカバーしている。

決議事項

・取締役8名選任の件

拍手を持って承認・可決されました。

株主総会雑感

業績がここ5年くらい低迷を続けていますが、競争激化は前から予想されたこと。

その問題に真摯に取り組んで来なかったから、業績低迷は必然と思っています。

多くの会社は生き残りのために、事業ポートフォリオを拡充したりしています。

テレビ朝日やTBSも、放送のみならず不動産で多くの収益を上げていることから何も学んでいないのでしょうか?

放送とテレマーケティングだけでは戦略的に厳しいと思います。

⑵ 2022年6月の株主総会

第38回定時株主総会 2022年6月22日(水) 都市センターホテル

ライブ配信を視聴しました。

冒頭、社長からプライム市場に移行したとの報告がありました。

メディアコンテンツ事業が減収・減益だったものの、テレマーケティング事業が増収・増益であったためトータルで増収・増益とのこと。

ただし、加入者が11万人減少したということが気になります。

対処すべき課題として

・コンテンツの強化:オリジナル、独占性、外部パートナーとの協業

・メディアサービスの改善と拡充:参加、体験

・収益性確保

の3点を強調していました。

主な質疑応答

【事前】

Q.収益拡大への具体的な取り組みについて

A.ドラマで好評だった『アキラとあきら』の映画化などがある。

Q.配信における差別化について

A.スポーツや音楽の生中継などさまざまなジャンルを扱っているのが当社の強み。

Q.女性役員の登用について

A.今後の検討課題としているのでご理解いただきたい。

【会場】

Q.株主優待の継続について

A.株主優待は株主還元という位置付けではなく事業を理解してもらう趣旨で実施している。

中止するつもりは無い。

また、株主優待の廃止についての提案はない。

Q.優秀なプロデューサーのネットフリックスへの移籍について

A.残念なことではあるが、クリエイターからも選ばれる会社を目指していきたい。

Q.(サッカーの)代理人を対象としたドキュメンタリー番組について

A.興味深いテーマであり検討する。

Q.監査等委員会への移行について

A.経営の透明性と迅速性の向上が期待される。

デメリットはない。

決議事項

・定款一部変更の件

・取締役11名選任の件

・監査等委員である取締役4名選出の件

・取締役の報酬限度額設定の件

・監査等委員である取締役の報酬限度額設定の件

・取締役に対する譲渡制限付き株式付与のための報酬決定の件

拍手を持って賛成・可決されました。

なお、新役員の紹介の際に拍手がなかったのはちょっと寂しかった。

けれども、閉会に際しては拍手があったので安心しました。

加入者の11万人減少について

ここ数年で社長の表情が最も硬い株主総会でした。

加入者数11万人減少がよほど効いたものと推察します。

長期株主としてはこれまで競合他社との差別化の強化や配信の拡充を訴えたのに、現経営陣があまり真摯に取組んでこなかったのである意味必然の結果と考えています。

ガバナンスを高めるために会社の機関設計を監査等委員会設置会社へ移行することも当然だと思います。

それでも、経営には不満を持っています。

例えば、いまだに東芝スマートテレビではWOWOWのオンデマンドが視聴できません。

今回の件で、経営陣が危機感を持って経営に当たることを希望します。

株主優待と株主還元の関係について

興味深かったのは、株主優待は株主還元ではないという会社の主張です。

そういえば以前、会社の商品・サービスを消費者に理解してもらう目的の株主優待という位置付けを他の会社で伺ったことがあります。

その際の予算科目は、利益剰余金ではなく販売管理費だったと記憶しています。

株主還元なら利益の公平さということで株主優待について疑問を持つ株主がいることは理解できます。

けれども、”広報”の一環として販管費と用いた株主優待という位置付けを明確にして企業価値の向上に努めることは良い取り組みだと思いました。

⑶ 2021年6月の株主総会

第37回定時株主総会 2021年6月22日(火) 都市センターホテル

ライブ中継あり

質疑応答

Q.全仏オープンの決勝戦におけるシステム障害についての改善状況は?

A.アクセス集中によるサーバーダウンがシステム障害の原因。

  システムの増強に注力中。

⑷ 株主還元                        

配当

配当の推移は下記のとおりです。

2023年3月期:50円

2022年3月期:60円

2021年3月期:80円

2020年3月期:80円

2019年3月期:80円

減配基調が続いており、経営がうまくいっていないことを物語っています。

株主優待

100株以上が対象

⑴または⑵を選択。

権利確定月は9月

⑴ 3カ月の視聴料無料

  2年以上の継続所有の場合4か月の視聴料無料

⑵ オリジナルクオカード2000円分

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3 株主としてのコメント

⑴ WOWOWの良さ

自分が感じているWOWOWの良さは、オリジナルドラマ世界中の映像の目利きの2つです。

地上波では見られないシリアスな社会ドラマは約10年見続けています。

また、映画のみならずスポーツ、海外ドラマ、演劇、ドキュメンタリーなど、WOWOWがその目利き力を発揮して選択してくれた映像も楽しみにしています。

基本的にWOWOWの番組には満足しています。

けれども、WOWOWの経営については不満を抱いています。

加入者が減少し業績が低迷する理由は何でしょうか?

2年前の株主総会で、成長ストーリーが必要だと提言したことがありますが、その後、長期ビジョンや中期経営計画は発表されています。

もちろん自分の発言で出てきたものではないとは十分承知しておりますが、自分の懸念事項を伝えることで、少しでも会社の経営改善につなげればと思い業績低迷の理由を考えてみました。

⑵ WOWOWの業績低迷(加入者数減少)の理由

テレビのリモコン

最近のテレビは、リモコンに動画配信のボタンが標準装備されています。

YouTube、ネットフリックスやアマゾンプライムディズニーチャンネルなどがありますが、何故かWOWOW配信ボタンはありません。

動画配信全盛期の今日において、会社は今まで通り放送を重視し、配信はおまけ程度に考えているのでしょうか?

視聴者の動向を考えれば、テレビのリモコンのボタンに至るまでマーケティングを徹底し加入者数アップを目指す姿勢に欠けているように思えます。

CTOの不在

今回の総会でシステムダウンについての指摘がなされました。

視聴者の信頼を損ねてしまっては加入者の減少はある意味当然の結果かもしれません。

完全に技術的な問題です。

この他にも、WOWOWオンデマンドのアプリがiPhoneの機種転換に対応するのが著しく遅いという”問題”を個人的に経験してきました。

さらに、最近のアンドロイドテレビを購入しましたが、WOWOWオンデマンドのチャンネルはインストールできたのに、”未対応なのでしばらくお待ちください”の状態。

自分の中では、WOWOWは技術革新に乗り遅れた企業となってしまいました。

取締レベルで技術に明るい人材は果たして何人いるのか?

CTOを設置し、技術に弱いWOWOWのイメージを払拭すべきです。

配信の扱い

個人的に配信について不満を感じた点が

会社のセグメントを見ても

・放送

テレマーケティング

の2つしかありません。

動画配信をより利用しやすくすることで加入者を増やそうとする発想はあるのか?

配信の位置づけが良く分かりません。

テレビのリモコンの動画ボタンにWOWOWが無いこともシステム障害も根本的な問題は配信をどのように位置づけるかについて、会社の方針が明確でないことが関わっているように考えます。

今のまま衛星放送だけに頼っていては時代とともにジリ貧になることは避けられません。

と言って、動画配信に社内のリソースをどこまで咲いているかも不透明で、腰が引けた対応が続いています。

もし、経営陣が放送会社だから配信がメインになることはちょっと…などと考えているとすれば言語道断です。

あの、アマゾンでさえネット通販ではなく、サーバーで大きな収益を稼いでいるのだから、WOWOW経営陣ももっと知恵を絞るべきです。

⑷  EPSの低迷

一株当たりの当期純利益の推移を示します。

17年3月期:251.9円

18年3月期:272.7円

19年3月期:192.0円

20年3月期:187.9円

21年3月期:108.9円

18年をピークに著しく低下していることが明らかです。

稼ぐ力が落ちているのはおそらくスマートテレビ時代に乗り遅れたことが原因の一つだと考えます。

そして、この先WOWOWはどうなってしまうのでしょうか?

凋落が続くのか?それとも復活出来るのか?

⑸  コンテンツを強化すれば復活出来るのか?

株主総会で会社の業績を上げるためにコンテンツの魅力を強化すると説明がされました。

そのアプローチによる復活には疑問を持っています。

例えば、スーパーの2強といえばイトーヨーカ堂とイオンですが、商品の魅力を追求し続けたイトーヨーカ堂は業績が向上せず、不動産と金融を強化したイオンはその成果が現れています。

百貨店についても、JFRが不動産会社であるパルコを完全子会社して不動産に力を注ぎ、百貨店と不動産の収入が1:1として生き残りを図っています。

ある意味、良い商品や良いサービスはビジネスの前提条件。

勝負はそれを生み出し消費者に届ける仕組みにあります。

その点で、配信について他者に出し抜かれたWOWOWの現経営陣には限界を感じます。

また、株主通信の関係会社の中にアクトビラを発見しました。

この動画配信会社がWOWOWの配信と何か関わりがあるのでしょうか?

ちなみに、このアクトビラ22年3月31日を持ってサービス終了となります。

それを機会に変化が生じるかもしれません。

⑹  いっそ配信事業を分社化しては?

ユニリーバという会社が紅茶部門を分社化しました。

意思決定の迅速化社員のモチベーションの向上に貢献しているとの報道がありました。

WOWOWの配信事業のスピード感の無さを解消するためにも分社化を含めた改革の必要性を感じています。

4 まとめ

10年近く前の株主総会に出席した際は、プライム、ライブ、シネマの3チャンネルを通じた将来への成長ストーリーの説明が実施され経営陣も自信に満ちていました。

また、解約率の多さについての問題点について株主からの質問や提言が集中し活気のある総会だったと記憶しています。

けれども今回の総会の様子をライブでも見ましたが、最近のWOWOWの総会は躍動感がありませんでした。

エンターテイメント企業でしょ!

個人的にはWOWOWの番組が気に入っており、今後も株主と視聴者を継続すると思います。

けれどもそれとは反対に、WOWOWの経営については疑問点や問題点がいくも目についてしまいます。

そんな課題山積の経営ですがそれらが改善されることを僅かに期待しつつ会社を見守っていきたいと考えております。

お読み頂き、ありがとうございました。   

  

※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。 

#株式 #投資 #資産運用 #株主総会 #株主優待 #WOWOW