初投稿:2021.7.4、更新日:2022.1.16
こんにちは!
この記事は、WOWOW【4839】に関心のある方に向けた株主としてのコメントを記したものです。
なお、株主通信を頂いたことをきっかけとして配信について記事を更新しています(青字が更新箇所です)。
・システムに関するトラブルや懸念が続く背景
・動画配信の位置づけは?
【目次】
1 WOWOWについて
⑴ 会社概要
テレビのリモコンでBSの9chでおなじみの日本初の民間衛星放送会社です。
長期ビジョン「10年戦略」
コンテンツがコミュニティを生み、コミュニティが文化を作る!
中期経営計画(2021ー2025年度)
会員事業構造の再設計「映像メディア業」→「コンテンツ・コミュニティ業」へ
重点取組み
1 コンテンツ
2 メディア・サービスの変革
3 コミュニティ・サービスの拡充
4 エンターテイメント・サービスの進化
⑵ 株主になったきっかけ
WOWOWオリジナルドラマが見たくて、10年以上前に株主となりました。
それ以降、WOWOWの株主と視聴者をずっと続けています。
⑶ 経営分析
今期は減収減益でした。
コロナ禍でスポーツなどが中止・延期されたことに伴う加入者数の減少が業績低迷と説明されています。
収益性
・売上高営業利益率:9%
10%あれば成長企業と言われています。
健闘していると思います。
安全性
・流動比率:214%
・負債比率:117%
・自己資本比率:68%
財務基盤も問題ありません。
効率性
・有形固定資産回転率:6.22
有形固定資産を取り上げて効率性に着目していますが、比較的上手にお金を使っているように思えます。
2 株主総会等
⑴ 株主総会
第37回定時株主総会 2021年6月22日(火) 都市センターホテル
ライブ中継あり
質疑応答
Q.全仏オープンの決勝戦におけるシステム障害についての改善状況は?
A.アクセス集中によるサーバーダウンがシステム障害の原因。
システムの増強に注力中。
⑵ 株主還元
配当
1株あたり50円
配当性向は67.6%
株主優待
100株以上が対象
権利確定月は9月
⑴ 3カ月の視聴料無料
2年以上の継続所有の場合4か月の視聴料無料
⑵ オリジナルクオカード2000円分
3 株主としてのコメント
⑴ WOWOWの良さ
自分が感じているWOWOWの良さは、オリジナルドラマと世界中の映像の目利きの2つです。
地上波では見られないシリアスな社会ドラマは約10年見続けています。
また、映画のみならずスポーツ、海外ドラマ、演劇、ドキュメンタリーなど、WOWOWがその目利き力を発揮して選択してくれた映像も楽しみにしています。
基本的にWOWOWの番組には満足しています。
けれども、WOWOWの経営については不満を抱いています。
加入者が減少し業績が低迷する理由は何でしょうか?
2年前の株主総会で、成長ストーリーが必要だと提言したことがありますが、その後、長期ビジョンや中期経営計画は発表されています。
もちろん自分の発言で出てきたものではないとは十分承知しておりますが、自分の懸念事項を伝えることで、少しでも会社の経営改善につなげればと思い業績低迷の理由を考えてみました。
⑵ WOWOWの業績低迷(加入者数減少)の理由
テレビのリモコン
最近のテレビは、リモコンに動画配信のボタンが標準装備されています。
YouTube、ネットフリックスやアマゾンプライム、ディズニーチャンネルなどがありますが、何故かWOWOW配信ボタンはありません。
動画配信全盛期の今日において、会社は今まで通り放送を重視し、配信はおまけ程度に考えているのでしょうか?
視聴者の動向を考えれば、テレビのリモコンのボタンに至るまでマーケティングを徹底し加入者数アップを目指す姿勢に欠けているように思えます。
CTOの不在
今回の総会でシステムダウンについての指摘がなされました。
視聴者の信頼を損ねてしまっては加入者の減少はある意味当然の結果かもしれません。
完全に技術的な問題です。
この他にも、WOWOWオンデマンドのアプリがiPhoneの機種転換に対応するのが著しく遅いという”問題”を個人的に経験してきました。
さらに、最近のアンドロイドテレビを購入しましたが、WOWOWオンデマンドのチャンネルはインストールできたのに、”未対応なのでしばらくお待ちください”の状態。
自分の中では、WOWOWは技術革新に乗り遅れた企業となってしまいました。
取締レベルで技術に明るい人材は果たして何人いるのか?
CTOを設置し、技術に弱いWOWOWのイメージを払拭すべきです。
配信の扱い
個人的に配信について不満を感じた点が
会社のセグメントを見ても
・放送
の2つしかありません。
動画配信をより利用しやすくすることで加入者を増やそうとする発想はあるのか?
配信の位置づけが良く分かりません。
テレビのリモコンの動画ボタンにWOWOWが無いこともシステム障害も根本的な問題は配信をどのように位置づけるかについて、会社の方針が明確でないことが関わっているように考えます。
今のまま衛星放送だけに頼っていては時代とともにジリ貧になることは避けられません。
と言って、動画配信に社内のリソースをどこまで咲いているかも不透明で、腰が引けた対応が続いています。
もし、経営陣が放送会社だから配信がメインになることはちょっと…などと考えているとすれば言語道断です。
あの、アマゾンでさえネット通販ではなく、サーバーで大きな収益を稼いでいるのだから、WOWOW経営陣ももっと知恵を絞るべきです。
⑷ EPSの低迷
一株当たりの当期純利益の推移を示します。
17年3月期:251.9円
18年3月期:272.7円
19年3月期:192.0円
20年3月期:187.9円
21年3月期:108.9円
18年をピークに著しく低下していることが明らかです。
稼ぐ力が落ちているのはおそらくスマートテレビ時代に乗り遅れたことが原因の一つだと考えます。
そして、この先WOWOWはどうなってしまうのでしょうか?
凋落が続くのか?それとも復活出来るのか?
⑸ コンテンツを強化すれば復活出来るのか?
株主総会で会社の業績を上げるためにコンテンツの魅力を強化すると説明がされました。
そのアプローチによる復活には疑問を持っています。
例えば、スーパーの2強といえばイトーヨーカ堂とイオンですが、商品の魅力を追求し続けたイトーヨーカ堂は業績が向上せず、不動産と金融を強化したイオンはその成果が現れています。
百貨店についても、JFRが不動産会社であるパルコを完全子会社して不動産に力を注ぎ、百貨店と不動産の収入が1:1として生き残りを図っています。
ある意味、良い商品や良いサービスはビジネスの前提条件。
勝負はそれを生み出し消費者に届ける仕組みにあります。
その点で、配信について他者に出し抜かれたWOWOWの現経営陣には限界を感じます。
また、株主通信の関係会社の中にアクトビラを発見しました。
この動画配信会社がWOWOWの配信と何か関わりがあるのでしょうか?
ちなみに、このアクトビラは22年3月31日を持ってサービス終了となります。
それを機会に変化が生じるかもしれません。
⑹ いっそ配信事業を分社化しては?
ユニリーバという会社が紅茶部門を分社化しました。
意思決定の迅速化と社員のモチベーションの向上に貢献しているとの報道がありました。
WOWOWの配信事業のスピード感の無さを解消するためにも分社化を含めた改革の必要性を感じています。
4 まとめ
10年近く前の株主総会に出席した際は、プライム、ライブ、シネマの3チャンネルを通じた将来への成長ストーリーの説明が実施され経営陣も自信に満ちていました。
また、解約率の多さについての問題点について株主からの質問や提言が集中し活気のある総会だったと記憶しています。
けれども今回の総会の様子をライブでも見ましたが、最近のWOWOWの総会は躍動感がありませんでした。
個人的にはWOWOWの番組が気に入っており、今後も株主と視聴者を継続することになると思います。
けれどもそれとは反対に、WOWOWの経営については疑問点や問題点がいくも目についてしまいます。
そんな課題山積の経営ですがそれらが改善されることを僅かに期待しつつ会社を見守っていきたいと考えております。
お読み頂き、ありがとうございました。
※当ブログに掲載されている所感は、あくまでも個人的見解に基づくものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではなりません。投資は自己責任でお願いします。
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